電脳筆写『 心超臨界 』

行動は人を作りもし壊しもする
人は自らの行為が生み出したものなのだ
( ヴィクトル・ユーゴー )

歴史を裁く愚かさ 《 強姦者を寛大に扱えと命じたドイツ公文書——西尾幹二 》

2024-06-20 | 04-歴史・文化・社会
電脳筆写『心超臨界』へようこそ!
日本の歴史、伝統、文化を正しく学び次世代へつなぎたいと願っています。
20年間で約9千の記事を収めたブログは私の「人生ノート」になりました。
そのノートから少しずつ反芻学習することを日課にしています。
生涯学習にお付き合いいただき、ありがとうございます。

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
東京裁判史観の虚妄を打ち砕き誇りある日本を取り戻そう!
そう願う心が臨界質量を超えるとき、思いは実現する
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
◆村上春樹著『騎士団長殺し』の〈南京城内民間人の死者数40万人は間違いで「34人」だった〉
■超拡散『世界政治の崩壊過程に蘇れ日本政治の根幹とは』
■超拡散『日本の「月面着陸」をライヴ放送しないNHKの電波1本返却させよ◇この国会質疑を視聴しよう⁉️:https://youtube.com/watch?v=apyoi2KTMpA&si=I9x7DoDLgkcfESSc』
■超拡散記事『榎本武揚建立「小樽龍宮神社」にて執り行う「土方歳三慰霊祭」と「特別御朱印」の告知』
■超拡散『移民受入れを推進した安倍晋三総理の妄言』
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━


ポーランドやルーマニアやウクライナやロシアの女性にドイツ兵が武器で威嚇して手籠めにし、強姦行為を果たしてもまあ大目に見てやってほしい、という公式文書である。こういう文書があれば、ドイツ軍事法廷は「運用」次第で大抵のドイツ兵の性犯罪を無罪放免としてしまったであろう。ザイドラーはこの背景に、衛生問題を見ている。売春宿ではどう管理しても性病を防ぎ切れない。売春婦を相手とする限り、病気の広がりは止められない。それは軍事力の低下を招く。それくらいならドイツ兵の性欲の発散を一般市民の女性で解決した方が安全で、合理的である。


『歴史を裁く愚かさ』
( 西尾幹二、PHP研究所 (2000/01)、p178 )
第3章 慰安婦問題の国際的不公平
2 『朝日新聞』論説の詐術を嗤う

◆強姦者を寛大に扱えと命じたドイツ公文書

フランツ・ザイドラーの前掲書によると、第一次大戦で2百万人のドイツ兵士が性病に罹って兵力を落した苦い経験から、ドイツ国防軍は1939年の開戦と同時に、いかにして軍を性病から守るかという一点に対策を絞っていた。兵士たちの禁欲など最初から不可能と見ている。占領地で性欲の処理を野放しにしたとき、被占領地の住民の婦人たちに被害が及び、軍の威信を傷つけはしないかという配慮などは、最初からほとんど議論の対象にさえなっていなかった。ことに人種差別感情を抱いていた東欧からソ連へかけてはそうだった。

ドイツ軍人の結婚相手への貞潔のモラルを軍当局が論じた形跡もない、とザイドラーは書いている。被占領地での外国人女性との性交渉が前提だった。管理されていない街の娼婦との交渉からの罹病率が当然一番高い。売春宿を軍の管理下に置き、売春婦として働く全女性に駐屯地区指令部が許可捺印して顔写真付の「身分証明書(アウスヴァイス)」を与えて、営業を許可し、定期検診を義務づけ、彼女たちとの交渉だけをドイツ兵士に認める。これが一番安全で、罹病率は低い。誰でも一般的にそう考える。この考えに立って約5百の国防軍所属の占領地売春宿(Bordell)がどのように運営されたかの一端は、すでにざっと見ておいた。しかしじつはこれは実際に行われたことのごく一部なのである。

1941年ドイツ軍はソ連領に侵入してから、兵士の性病が激増した。住民の栄養状態が悪く、売春が公認されていない共産主義の国では的確に検診できる有資格の医者もいない。成熟した公娼制度を持つ西欧諸国に比べ、かえって危険だった。南ウクライナでは軍が設営した売春宿が病気の発生源と見られた。何をどうすれば病気の蔓延に効果的に対応できるか、ドイツ国防軍はほとほと困り果て、議論百出であったとザイドラーは報告している。

そうして、そのような議論の中で、売春宿を設立することによって被占領地の一般女性に対するドイツ兵の違法行為、すなわち強姦等が少なくなるであろうし、また少なくしようとする軍当局の意志は認められなかった。否、そういう議論がたまにあってもたちまち消えてしまった、と述べている。まことにもってこれは驚くべき指摘だが、ザイドラーによる驚くべき指摘はさらにつづく。

1935年の軍事刑罰法典では、前線の兵士といえども犯罪を犯せば被害者からの届け出のあるなしに関わりなく、犯罪それ自体として裁かれ罰せられたが、1940年10月10日にその重要な条項が抹消されてしまった。この法の変更により、例えば強姦罪は被害者の届け出に基づく親告罪となり、実際に取り上げられる件数は激減した。

が、それにとどまらない。さらに驚くべきは、SS(ナチス親衛隊)裁判所本部が、被占領地区において強姦を犯したドイツ軍人の処罰に当たっては寛大に扱うよう、次のように要請していたことである。ザイドラーは当時の記録を、ドイツ連邦共和国公文書から抜き出して、再録している。

「ドイツ帝国と帝国併合地域の外部に動員されたSS親衛隊ならびに各種警護部隊の構成員に有罪の判決を下すに際しては、強姦罪の量刑に当たっては、つねに特別の事情が考慮されなければならない。彼らは特別の事情の下に勤務を果しているからである。故国にいるときとは完全に異質な状況下での生活、心に受ける強烈な印象、ときとして羽目をはずしたアルコールの飲み過ぎなどで、それまで非の打ち所のない人物であり、出撃に耐えると認められていた人物でさえ、普段なら失うはずのない心の抑制機能がままとり除かれてしまう。おまけに性衝動を鎮静するチャンスが欠けているため、しばしば性的緊張――特性や素質に応じ個人ごとに違った反応を示すが――は極度に高まる。
 もとより科せられるべき刑罰はきびしくあって当然だが、以上述べた理由から、一回的逸脱行為を道徳的次元において、正常な事情の下において妥当とされるのと同じ基準でつねに処罰するのは当を得ていない。とくに犯行者が名誉を剥奪され、追放され、刑務所収監の罰を受けねばならぬか否かは格段の吟味を必要とする。」

「刑務所収監の処罰が適当であるのは、犯行における犯人の特別の野卑、獣的態度、特殊な粗暴粗野がなんらかの役割を果した場合に限られる。死刑判決が妥当であるケースはきわめて特殊なひどい場合で、犯人がどの点から見ても非人間的で、野獣のように残忍非道に振舞った場合であって、めったにあってはならない。」

「よしんば、強姦犯罪が武器の脅しで行われた場合があったにしても、ただそれだけでは、それは1939年12月5日の暴力犯罪法規定の、あるいはまた、戦時特別処罰法規第5条(a)の適用をそのまま正当化するものではない。兵たる者は職業上武器を携行し操作する者であり、強姦犯罪に際しそれを使用したからといって、それだけでは彼が暴力犯罪者であるとの烙印をただちに捺されるいわれはない。ことにこれまでの前歴において暴力犯罪法規定がぴたりと当て嵌まるような暴力行為常習犯罪者タイプ、ギャングであるとのレッテルを張られていないような人の場合には、とりわけこのことが重要なのである。そういう人の場合でも、もとより厳しく罰せられるべきではあるが、暴力犯罪者として罰せられるべきではない。」(HA. SS-Gericht—6. S. E, Ziffer 23 vom 15. 12. 1940, in: Sammelerlasse des Reichsfuhrers-SS, Hauptamt SS-Geircht vom 1. 8. 1944, S.102, Bundesarchiv NSD41/312)

ポーランドやルーマニアやウクライナやロシアの女性にドイツ兵が武器で威嚇して手籠めにし、強姦行為を果たしてもまあ大目に見てやってほしい、という公式文書である。こういう文書があれば、ドイツ軍事法廷は「運用」次第で大抵のドイツ兵の性犯罪を無罪放免としてしまったであろう。ザイドラーはこの背景に、衛生問題を見ている。売春宿ではどう管理しても性病を防ぎ切れない。売春婦を相手とする限り、病気の広がりは止められない。それは軍事力の低下を招く。それくらいならドイツ兵の性欲の発散を一般市民の女性で解決した方が安全で、合理的である。

邦訳されたクリスタ・パウルの『ナチズムと強制売春』も、次のように書いている。

「1940年10月10日から国防軍の軍人による強姦は親告罪となった。これは強姦がほとんど追究も処罰もされないことを意味した。」

「ドイツ将兵、ドイツ国防軍の軍人、武装SSの隊員、そしてそのほかの軍機能の担い手たちはポーランドやロシアやフランスなどで何千人もの女性を強姦した。彼らは処罰を恐れる必要がなかった。」

「国防軍の軍人が強姦を犯すか売春宿を利用するか、そのどちらの率が高いかは、軍事上の状況によってそのつど変わったと考える。」

「1943年にあるユダヤ系の雑誌にのった自殺を謳った詩は、ナチスが学校を売春宿にしようとしていることを知って自殺した、クラカウのベート・ヤコブ師範学校の93人の女生徒についての最後の証言であろうと察せられる。」
この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« 日本史 鎌倉編 《 世阿弥に見... | トップ | WIGP 《 「日本の平和」と「... »
最新の画像もっと見る

04-歴史・文化・社会」カテゴリの最新記事