電脳筆写『 心超臨界 』

歴史とは過去の出来事に対して
人々が合意して決めた解釈のことである
( ナポレオン・ボナパルト )

人間通 《 引き降ろし――谷沢永一 》

2024-07-28 | 03-自己・信念・努力
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日本の歴史、伝統、文化を正しく学び次世代へつなぎたいと願っています。
20年間で約9千の記事を収めたブログは私の「人生ノート」になりました。
そのノートから少しずつ反芻学習することを日課にしています。
生涯学習にお付き合いいただき、ありがとうございます。

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東京裁判史観の虚妄を打ち砕き誇りある日本を取り戻そう!
そう願う心が臨界質量を超えるとき、思いは実現する
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◆村上春樹著『騎士団長殺し』の〈南京城内民間人の死者数40万人は間違いで「34人」だった〉
■超拡散『世界政治の崩壊過程に蘇れ日本政治の根幹とは』
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■超拡散『移民受入れを推進した安倍晋三総理の妄言』
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普通の組織に身をおく者が嫉妬されるのは、頭角のあらわし方が中途半端(ちゅうとはんぱ)である場合が多い。たいてい同僚が彼奴(あいつ)になら事と次第によっては追いつけると思える位の射程距離にあるときが最も危険である。皆の衆の目から見て、とても叶(かな)わぬ、と匙(さじ)を投げるほどの地位に駆け昇ってしまえば、そこが漸(ようや)く安全地帯となる。通常の嫉妬は自分がまだ至らぬゆえ知らぬ間に誘発しているのである。


◆引き降ろし

『人間通』
( 谷沢永一、新潮社 (2002/05)、p51 )

羨望(せんぼう)は埋(うず)み火のように必ずしも飛び散らないが、嫉妬(しっと)は烈(はげ)しく燃えさかって及ぶべきところを焼き尽くそうとする。嫉妬は心のなかで燻(いぶ)されているにとどまらず、本人の攻撃衝動に点火して陰険な行動に駆(か)り立てる。羨望(せんぼう)は遠く眺めながら地団太(じだんだ)踏む思いに堪(た)えているが、嫉妬は憎むべき人物を栄光の座から引き摺(ず)り降ろすために手段を選ばない。根がもっとも暗く卑(いや)しい情念に発しているのだから、あの手この手と陰湿きわまる奸計(かんけい)を弄(ろう)する。嫉妬が究極的に企(たくら)むところは合法的な人殺しである。情容赦なく手加減せず途中で気をゆるめない。人を破滅させるために計略を練るときの秘(ひそ)かな北叟笑(ほくそえ)みは戦慄(せんりつ)的な恭悦(きょうえつ)であろう。誰かを陥(おとしい)れるべき悪謀を企みはじめるや、陶酔して歯止めがきかなくなるのかもしれない。

嫉妬を避ける方法は殆(ほと)んどなかろう。姿をくらまして遁世(とんせい)するのなら別だが、そんな極端を論外とするなら、謙虚に徹する演技しか道は残されていない。ただし世間一般のありふれた軽い嫉妬の場合には対応の策がいちおう考えられる。突出した政治家や芸能人(げいのうじん)は別として、普通の組織に身をおく者が嫉妬されるのは、頭角のあらわし方が中途半端(ちゅうとはんぱ)である場合が多い。たいてい同僚が彼奴(あいつ)になら事と次第によっては追いつけると思える位の射程距離にあるときが最も危険である。皆の衆の目から見て、とても叶(かな)わぬ、と匙(さじ)を投げるほどの地位に駆け昇ってしまえば、そこが漸(ようや)く安全地帯となる。通常の嫉妬は自分がまだ至らぬゆえ知らぬ間に誘発しているのである。
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