電脳筆写『 心超臨界 』

人生は歎き悲しむよりも
笑いとばすほうが人には合っている
( セネカ )

物語の生まれるトワイライトゾーン――河合隼雄

2024-10-01 | 07-宇宙・遺伝子・潜在意識
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日本の歴史、伝統、文化を正しく学び次世代へつなぎたいと願っています。
20年間で約9千の記事を収めたブログは私の「人生ノート」になりました。
そのノートから少しずつ反芻学習することを日課にしています。
生涯学習にお付き合いいただき、ありがとうございます。

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東京裁判史観の虚妄を打ち砕き誇りある日本を取り戻そう!
そう願う心が臨界質量を超えるとき、思いは実現する
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■緊急拡散宜しく『日本を崩壊へ導く「選択制夫婦別姓」問題』
■『小樽龍宮神社「土方歳三慰霊祭祭文」全文
◆村上春樹著『騎士団長殺し』の〈南京城内民間人の死者数40万人は間違いで「34人」だった〉
■超拡散『移民受入れを推進した安倍晋三総理の妄言』
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物語が立ち現われるのは、明確な二分法をあいまいにする境界であることが多い。虚実の被膜の間、つまりトワイライトゾーンにこそ物語が立ち現われるというのである。よいテーマを貰うと、こちらの心も活性化される。そして、ここから「庭」というイメージが浮かんできた。庭はまさにトワイライトゾーンである。屋外であるが家の敷地内である。


◆物語の生まれるトワイライトゾーン

半歩遅れの読書術「人間の内なる庭――読み直して『手入れ』を」
河合隼雄(臨床心理学者)
( 2001.08.05 日経新聞(日刊) )

講演は下手すると、どこでも同じことの繰返しになって好ましくないのだが、ときに依頼されたテーマに刺激されて面白いことが生じる。先日、津田塾大学の講演に、「物語の生まれるトワイライトゾーン」というテーマをいただいた。「物語」は現代人にとって非常に大切で、科学技術の発展によって得た便利で快適な生活に、深さや味わいを与えてくれるものと思っている。

その物語が立ち現われるのは、明確な二分法をあいまいにする境界であることが多い。虚実の被膜の間、つまりトワイライトゾーンにこそ物語が立ち現われるというのである。よいテーマを貰うと、こちらの心も活性化される。そして、ここから「庭」というイメージが浮かんできた。庭はまさにトワイライトゾーンである。屋外であるが家の敷地内である。

聴講者に児童文学関係者が多い、ということもあって、「庭」についてすぐ思いついたのは、不朽の名作とも言える、フィリパ・ピアス『トムは真夜中の庭で』(高杉一郎訳、岩波少年文庫、1975年)である。そして古い作品だが、バーネット『秘密の花園(上・下)』(茅野美ど里訳、偕成社文庫、1989年)がある。これら西洋の名作に対して、日本人による「庭」の最近作もすぐに思いついた。梨木香歩『裏庭』(新潮文庫、2001年)および、湯本香樹実『夏の庭』(同、同)である。

こうなると楽しいのは「半歩」どころか何歩も遅れて、かつて読んだ本を読み返すことである。名作は何度読んでも新しい発見がある。今回特に印象に残ったのは、前二者と後二者と比較して、洋の東西の比較ではなく、後者の方が、現代に生きる少年・少女の生きることの困難さをよく反映している、ということであった。前二者は、もちろん時代を超える価値をもっているのだが「古きよき時代」という感じを受ける。

科学技術の発展が下手をすると外界を汚染するように、人間の内なる庭をも汚染してしまう。現代の思春期の子どもたちの「庭」は、大分荒らされている。

『秘密の花園』についてかつて論じたとき、「すべての少女はその内海に庭を持っている」と書いたが、実のところ、それはすべての人に通じることだ。馬鹿げた多忙さで、つい忘れがちな、自分の庭の手入れに、これらの作品を通じて熱中できて有難いことであった。本の読み直しは庭の手入れに似ている。
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