電脳筆写『 心超臨界 』

真の発見の旅は新しい景色を求めることではなく
新しい視野を持つことにある
( マルセル・プルースト )

悪魔の思想 《 安江良介――『かくて昭和史は甦る』が指摘した歴史的事実/谷沢永一 》

2024-08-17 | 04-歴史・文化・社会
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そう願う心が臨界質量を超えるとき、思いは実現する
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昭和40年、日韓基本条約が締結されるときに、まず問題になったのは、「日韓併合条約は合法かつ有効な条約か」ということである。このときの日本側の関係者たちの主張は、まことに筋の通った話であった。「日本が韓国に復興資金を出すのは、やぶさかでない。喜んで資金提供をするつもりだ。だが、それを日韓併合の賠償金として支払うのは拒否する。なぜなら、日韓併合条約はまったく正しい手続きを経て締結されたものだし、諸外国もそれを承認した正規の条約である。その正規の条約によって発生した行為に“賠償金”を払うことは、国際的に許されるわけがない」としたのである。(『かくて昭和史は甦る』)


『悪魔の思想』 「進歩的文化人」という名の国賊12人
( 谷沢永一、クレスト社 (1996/02)、p158 )
進歩的文化人の差配人・安江良介(やすえりょうすけ)への告発状
第6章 金日成に無条件降伏の似非(えせ)出版人

  安江良介
  昭和10年生まれ。金沢大卒。東京都知事特別秘書、『世界』編集
  長を経て、現・岩波書店社長。大赤字の美濃部都政の黒幕。

  北朝鮮は第18富士山丸の船員2人を捕えて帰国を許しませんでし
  た。これはまったくの言い掛かりによる不当な抑留であったこと言
  うまでもありません。そのとき安江良介は北朝鮮の非人道的な無法
  については一切の批判を避けました。そして二人が故国に帰れない
  本当の原因は日本の側にあると言い立てます。すなわち日本政府が
  本当に解決しようと努力しないからである、というわけです。つま
  り北朝鮮の言いなりになれ、という意味ですね。安江良介は金日成
  を崇拝し、心情的には金日成の代理人(エージェント)でした。

6-3 『かくて昭和史は甦(よみがえ)る』が指摘した歴史的事実

そのためには、歴史を歪曲して平気の平左であるという鉄面皮には呆れてものが言えません。

歴史の問題として、日本は朝鮮半島との間にけっして「誤り」をおこしていないのです。あらゆる議論は事実に基づいてなされねばならぬこと自明の理でありましょう。

どういう事実が現にあったか、渡部昇一が『かくて昭和史は甦る』(平成7年5月15日・クレスト社)において、次ぎのごとく明快に要約しています。

  昭和40年、日韓基本条約が締結されるときに、まず問題になった
  のは、この日韓併合条約の問題であった。

  それはつまり「日韓併合条約は合法かつ有効な条約か」ということ
  である。

  このときの日本側の関係者たちの主張は、まことに筋の通った話で、
  今考えてみても「よくぞ言ってくれた」という思いがする。

  それは、

  「日本が韓国に復興資金を出すのは、やぶさかでない。喜んで資金
  提供をするつもりだ。だが、それを日韓併合の賠償金として支払う
  のは拒否する。

  なぜなら、日韓併合条約はまったく正しい手続きを経て締結された
  ものだし、諸外国もそれを承認した正規の条約である。その正規の
  条約によって発生した行為に“賠償金”を払うことは、国際的に許
  されるわけがない」

  としたのである。

  これは、まさに正論である。もし、ここで日本が賠償を払って“悪
  しき先例”を作れば、誰も条約を結ぼうとはしなくなるであろう。
  その時は正当な条約とされていたのが、あとになって「あれは犯罪
  的条約だ」とされるのでは、オチオチ条約など結べない。したがっ
  て日韓併合条約を合法と主張するのは、日本のワガママでも何でも
  なく、国際社会での“筋”は曲げられないという責任感なのである。

  この日本の主張を、当時の朴(ぼく)大統領は受け容れてくれた。こ
  れもまた素晴らしい決断である。韓国の世論が朴大統領の真意も知
  らず、非難してくるのは目に見えているのだから。

  日韓併合条約は有効である――この一点にについて合意ができれば、
  あとはスムーズに進んだ。日本は韓国に無償贈与として3億ドル、
  借款5億ドルを提供、また、韓国のほうは対日賠償を一切求めぬと
  いうことになった。

  したがって、この基本条約以後、いやしくも政治に関わる人間が“
  戦後補償”などということを持ち出すのは、日韓基本条約破りであ
  り、国際常識がないと非難されても文句は言えないはずである。

  このような戦後補償論が出てきた背景には、国交回復当時の事情を
  知らぬ、戦後生まれの政治家と官僚が増えてきたことが大きいであ
  ろう。彼らは自分が“無知”であることを知らないのである。それ
  は“国賊的無知”と言ってよかろう。
                            (183頁)

編集者(ジャーナリスト)として、殊に朝鮮半島の事実に詳しい探求(リサーチ)を以て己の任務とする安江良介ともあろう者が、渡部昇一によって指摘されている上のようにはっきりした歴史的事実にまったく「無知」であるわけではありません。

よくよく知ったうえで、北朝鮮は別だという口実のもとに、日韓基本条約において日韓併合条約は有効であると合意された詳細を一般国民は知らぬのであろうと高を括(くく)り、国民を舐めきったうえで虚偽(デマゴギー)をまきちらしているのです。

“土下座外交の勧(すす)め” へつづく
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