人言はそういう冗語性の大きな、ムダの多い言語を毎日使って、言語生活をつづけている。言葉を使っているかぎり、いかなる人もムダから無縁ではあり得ないわけだ。食べるものにこと欠くような人々ですら、言語を使うことによってのムダはすることができる。いいかえると人間らしい営みをすることができるのである。 . . . 本文を読む
人間というものは、ムダが身につくもので、ムダなくやったことは、しばらくすると、ムダなく消えてしまう。ぼくなんか、いちおうは長い間、数学の勉強をしてきたが、結局は自分の身についたのは、ムダの部分だけだったような気がしないでもない。早くおぼえたことは早く忘れたし、早くわかったことは、わかり方のおくが浅かった。 . . . 本文を読む