団塊的“It's me”

喜寿老(きじゅろう77歳)の道草随筆 月・水・金の週と火・木の週交互に投稿。土日祭日休み

レオパレス問題と映画タワリングインフェルノ

2019年04月16日 | Weblog

  今朝、目覚まし時計代わりのラジオの放送が始まると、パリのノートルダム寺院が燃えていると伝えた。火事は恐い。私が4歳の時、お産で母親が亡くなった。その母親の記憶ではっきり覚えていることがある。近所のセメント瓦製造工場が火事になった時のことである。母親が着物をたすき掛けにして一心不乱にバケツに水を入れ運んでいた光景だ。火事の炎、顔を煤で黒くして重いバケツを運んでいた母。当時の事はそれ以外何も覚えていない。どれほどあの火事が恐かったかの証拠であろう。火事と聞くたびにあの記憶がよみがえる。

  火事などの深刻な被害に繋がらなかったが、レオパレスの界壁の違法建築問題に関してテレビ東京の番組『ガイアの夜明け』の3月26日火曜日の放送で新たな証言が明かされた。(界壁とは:界壁とは、共同住宅において、各住戸の間を区切る壁のことをいいます。 相応の防耐火性能や遮音性能が求められます。 建築基準法上、界壁は遮音上問題となるすきまのない構造であり、耐火構造または準耐火構造または防火構造でさらに天井裏に達するように設けなければなりません。)

  昨年5月のレオパレスが会見で会社は、施工業者が界壁番組を観て、あのスティーブ・マックイーン主演の映画『タワリングインフェルノ』(1974年)を思い出した。サンフランシスコに新名所として地上138階建ての超高層ビル「グラス・タワー」が完成し、落成の日を迎えた。設計者ダグとビルのオーナーのジムは、客300名を135階の宴会会場に迎え、盛大な落成パーティを開く。その頃すでに、ビル地下室の発電機が作動せず、予備の発電機を始動させたところ、配電盤のヒューズが発火して床のマットに燃え移った。知らせを受けた設計者は、配線工事が自分の設計通りに行われていないことに怒った。ビル建設の責任者が経費削減のため、手抜きしたのだった。

  私たち一個人がどれほど注意深くしていても、自分以外の他人が悪さを仕掛けてくれば、それを見破ることは、ほとんどできない。ましてや専門業者が施工製造する物で私たちの専門外であり、目に見えない物であれば尚更である。私が子供の頃、近所で家を建てた人たちは、大工さんの仕事を始終見張っていた。決して口には出さなかったが、不正手抜きを見張っていたと聞いた。これは一種の契約が実行されているかの審査行動であったと思う。最近、自動車製造会社のリコール問題が多発しているが、自社内でまあまあ、なあなあの検査方法が機能していないのである。

  4月上旬に私が住む集合住宅の大規模修繕工事がやっと終わった。工事の総監督は一級建築士という資格を持つ人が当たった。いくつか不具合があった。いくら監督をするといっても全てを見張って検査点検をするわけではない。やはり信頼信用にすがるしかない。

  地震雷火事おやじ。厳格でうるさいおやじは、もういない。私自身おやじになったが、生温い。日本は自然災害の多い国である。建築基準も厳しい。しかしいつの時代どこの国であっても利益という欲にかられ悪だくみをする輩はいる。このくらいの手抜きならばれないだろうと高を括って、砂場の砂山を少しずつ切り崩すように手抜きをする。それがどこの業界でもまかり通る。今回のレオパレスにしろ、45年前の映画『タワリングインフェルノ』の不正にしても監督官庁である国家の検査監督機能は見抜いていない。不正や違反が見つかってから、後手後手で自分たちの失態を取り繕うと問題を追及する。自分の安全は自分で守ることには、限界がある。

  私が住む集合住宅は、全電化住宅でガスや石油を使わないで住める。もちろん石油使用は禁止されている。それでも安い便利な石油ストーブを使う人たちがいる。エレベーターの中に残るニオイは騙せない。火事を防ぐために設計者が、少しでも危険を少なくしようとしても、住民自らがあえて危険を冒す。火事が出た場合、どう責任を取るつもりなのか。

  人間誰しも目先の節約や利益に目を奪われやすい。私たちはどうしてもすぐ目の前の事に気を取られてしまう。用心はしすぎることはない。規則があれば、それを守ることと同時に見張ることも私たちの義務である。

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