妻は10連休のまさに大型連休となった。こうなるのを知った3ヶ月前にマレーシアの友人を訪ねることを計画、飛行機の予約を済ませた。しかし航空運賃のあまりに高さに気後れしていた。そうこうしているうちにマレーシアの訪ねようとしていた友人が帰国休暇で日本へ戻ると連絡があった。喜んで予約をキャンセルした。4月初めに夫婦で我が家を訪ねてくれた。2年ぶりの旧交を温めた。まさに“朋あり、遠方より来る”とマレーシアの政治経済から日常生活まで多くのことを教えてもらい学んだ。大型連休は、連年どおり家でゆっくり過ごすことにした。
普段、遠距離通勤している妻は、本来出不精である。加えて人混みが苦手。反対に私は出て歩くことが好きである。人混みも嫌いではない。仕事を辞めてからずっと“毎日が連休”の私である。まだ働いている妻の貴重な休日は、できるだけ妻の要望を叶えてあげようと思っている。
出かけない代わりに人を招くことにした。大型連休中招待が2組、泊り訪問が2組ある。今年から御呼ばれが増えた。何と連休中2家族から招待された。団塊世代の私の友人もいよいよ退職する者が多くなったためである。分類:無職の引退仲間が増える。嬉しい限りである。時間にあまり左右されずに今までより余裕を持って付き合える。長年それぞれの専門分野で活躍してきた友の実績と経験から学ぶことは多い。退職に於いて私は大先輩である。
妻も私の交際模様の変化を喜んでいる。酒を飲める機会が増えるのも理由であるが、私の人物の選別眼に拍車がかかってきたからであろう。家の外のレストランや飲み屋での集りも悪くはないが、家庭で普段着のままの付き合いは、相手の自然体に出遭える。他人を自分の家に招きいれることは、それなりの覚悟がいる。御呼ばれの最大の喜びは、自分がその招こうか招かないでおこうかの審査を通過したという勝手な思い込みである。
28日に招待されたMさんから昨日留守電が入っていた。「今日竹の子掘りに行ってきました。竹の子をお届けしたいのですが、電話いただけますか」 届けてもらうなんてとんでもない。私が伺うと電話して妻と一緒に車で向かった。道路に車を停めて妻が高台にある家に行く。妻と家族3人が坂を降りてきた。「昼間から3人で飲んでいます」と赤ら顔の夫が言う。娘さん奥さんも笑顔で横並び。道路の石垣の上のシャクナゲの大きな木に真っ赤な花が少し傾き始めた西日に輝いていた。手渡されたショッピングバッグの中身がまだ温かかった。連休っていいな。引退生活も捨てたものではない。