以前私は、日本国も病院船『広島』『長崎』を建造運営することを提案した。日本は、政権が自由民主党から民主党に変わった。そのことによって自衛隊のインド洋での海上燃料給油活動が1月で終わった。これから民主党の案によれば、アフガニスタンへは、民間人を中心とした教育や農業支援を展開するという。おっせかいな海外援助にまだ懲りていない。
今まで自由民主党は、付け焼刃的な国際貢献に終始していた。長期的展望に立ち、この先100年200年を視野に入れた国際貢献体制を構築するべきである。 病院船は、日本の今後の世界で大きな存在感を発揮できる。世界唯一の被爆国日本は、原爆症治療の先駆者であり、研究も進んでいる。世界中で原子力発電所の建設が増えている。チェルノブイリのような事故がいつ起きるかも知れぬ。日本の病院船は、原爆症をはじめ戦争、災害による負傷者救助を中立国の立場でできる。まさに日本は適任国である。
加えて今回のハイチ、チリ両国の大地震で、人々が最も必要とした飲料水においても日本は高い技術とノウハウを持っている。船の名前を『奥・井ノ上』とイラクで殉死した二人の外交官の名をつけた真水プラント船の建造も一案である。船に真水製造プラントを組み込み、現地で最悪海水から、可能であればできるだけ安全な水源から取水して飲料水にろ過精製する。それでもできなければ、タンカーを真水輸送できるように改造した水運搬船を同行させる。飲料水は、ペットボトルやポリタンクに詰め、現地で製造して被災者に届ける。日本は、水のプラントでもペットボトル成型機でも実績も実力もある。
時期は、今を逸すれば、後発の諸国が、また日本を追い抜いていくに違いない。平和憲法を掲げる日本だからこそ意義がある。ここで発想の転換をはかり、長期的展望に立つべきである。日本の船の建造技術と実績、水の精製プラント、プラスティック成型機技術、日本の高度医療の進歩、共に国際社会に貢献できる大きな強みである。病院船も水プラント船も、国内の災害にも必ずや役立つと信じる。ともすれば日本の政治は、「俺らが地域」の我田引水ばかりに気を取られた旧態依然の島国的発想に終始する。ここで大きく目を海外に向け、新しい援助貢献の道を切り開いて欲しい。私が生きているうちに『広島』『長崎』『奥・井ノ上』の世界平和に貢献する雄姿を見られたら嬉しいのだが。