団塊的“It's me”

喜寿老(きじゅろう77歳)の道草随筆 月・水・金の週と火・木の週交互に投稿。土日祭日休み

番狂わせ

2024年08月19日 | Weblog

  甲子園で繰り広げられている高校野球のテレビ中継に喜寿老は、夢中になっている。猛暑続きで外に出られない。まるでコロナ騒ぎのあの時に戻ってしまったようだ。家のベランダに差し込む日光は、普段感じる神格化された有難さから豹変して悪魔のごとき殺意を感じる。天気予報などで「命に関わる危険な暑さ」と言うが、決して大げさな表現ではない。まさに私自身が外にいたら死ぬかもしれないと思う。幸いなことに家に2台のエアコンがある。12時間ごとに切り替えてフル稼働させている。すでに1カ月近くそうしているので電気代が凄いことになっているだろう。しかし命に関わっているのなら、エアコンを止めるわけにはいかない。

 やらなければならない事が数多くある。なのにまずやる気が起こらない。やっても集中力が続かない。頭にぬらしたピンクの布で姉さんがぶりをする。首に冷凍庫で凍らせたネッククーラーをタオルで巻いてはめ込む。エアコンを効かせた部屋の中にいても、濡らしたピンクの布は、すぐに乾いてしまう。ネッククーラーもものの20分はもたない。

  散歩が日課の私である。朝の4時45分に家を出る。この時間はまだ暑さは殺人的でない。この1カ月1日のうちで唯一体を動かす時間である。朝夕の妻を車で送迎の時間には、すでに気温は高くなっている。駐車場に行くまでに頭が痛くなったり、吐き気さえ感じる時もある。それでも妻は遠距離通勤を続けている。東京は住んでいる町よりずっと暑い。いくら私よりひとまわり若いと言っても夏バテして当たり前だ。

  妻が出勤してしまうと10時間以上私は家で一人になってしまう。以前は意外と規則正しく時間を持て余すことなく生活できていた。コロナと猛暑が私を怠惰に戻した。健康寿命末期の貴重な時間が大幅にカットされた。それでも大相撲、アメリカでの大谷翔平選手の活躍、パリオリンピック、高校野球と連続するスポーツ中継が私の怠惰な生活に張り合いを与えてくれている。

  今回の高校野球でも、長野県代表は早くも1回戦で敗退してしまった。長野県出身の私は長野県代表に何としても勝ち進んで欲しいとは思っていない。どこの都道府県であれ、面白い試合をしてくれる代表を楽しんでみている。

 今大会で私は小松大谷高校の応援に夢中になった。何と言っても優勝候補の大阪桐蔭を3-0で破ったからだ。大阪桐蔭は勝って当たり前の常勝軍団である。私は大阪桐蔭のようなチームは好きになれない。名も知られていない優勝候補だと言われることもないチームが勝つと何だかとても嬉しくなる。小松大谷が敗れた時は、落ち込んだ。

 小松大谷に代わって大社高校があの早稲田実業をタイブレイクで3-2で破った。これこそ番狂わせだったであろう。快挙である。大社高校は、島根県の県立高校である。大阪桐蔭や早稲田実業のような私立の強豪ではない。猛暑は今しばらく続くだろう。大社がどんな番狂わせをしてくれるか楽しみだ。命に関わる猛暑の中、懸命にプレーする高校球児に私は命を救われている気がする。

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