『スマグラー~おまえの未来を運べ』を渋谷TOEIで見てきました。
(1)このところ『悪人』や『マイ・バック・ページ』で印象的な演技を見せていた妻夫木聡が出演するというので、取り敢えず映画館に出かけてみました。
冒頭では、妻夫木が扮するフリーター・砧(役者を目指していました)が、騙されて300万の借金を背負い込むことになり、それを金貸しの山岡(松雪泰子)から借りる代わりに、日給5万円の仕事を紹介されます。
その仕事というのがスマグラーの手伝い。
smugglerを英語辞書で調べると「密輸業者」としか出ていませんから、この映画は、てっきり麻薬などの密輸に係わるものなのかと思ってました。
そしたら、あっけにとられてしまうシーンが息つく間もなく続きます。
田沼組組長が、チャイニーズ・マフィアからくすねた覚醒剤を売りさばこうとしている現場に、突如、殺し屋の「背骨」と「内臓」が現れ、アレヨアレヨと見ている間もなく全員が簡単に殺されてしまいます。
なんとスマグラーとは、こうした現場に転がる死体を秘密裡に運んで処分してしまう者をも指す言葉のようなのです。
ここで登場するスマグラーのリーダーのジョーを演じるのが永瀬正敏。当初は、妻夫木の砧をお荷物視していたものの、次第に彼の考え方をポジティブな方向に変えるべく、色々手を差し伸べるようになるという重要な役どころです(注1)。
それに、田沼組組長に扮するのが、B&Bの島田洋八と聞いて驚いてしまいます。相方の洋七の方は、「佐賀のがいばあちゃん」などで活躍振りは知られていますが、彼の方は何処へ行ったやらという感じだったところ、本作では、画面に突然現れると、他人の喫煙には我慢できない一方で自分は大の愛煙家であり、またツマラナイお説教を長々と垂れたりするという常識外れの親分役を演じるのです。
これは面白いと思っていると、「背骨」の手にかかってアッサリと殺されてしまい、その頭部が切断されて、組の事務所に届けられます。
組長の首が届けられた組のほうでは、タガの外れた凶暴な河島という男が復讐を叫びます。
そしてこれに扮するのが、高嶋政宏。その演技には正直驚きました(注2)。映画の性格がかなり違うので一概に比べられませんが、テロリストに対して残虐な拷問を加える場面が長々と描かれる『4デイズ』を上回る残酷なシーンを、彼は演じているのではと思いました。
というのも、実際に組長を殺した「背骨」の身代わりとして砧が河島の元に届けられ、河島は砧に対して、めちゃくちゃな拷問を加えるからです。
ただ、彼に拷問される砧を演じているのを見ていると、確かにスマグラーの永瀬正敏はかなり格好よく演じているものの、やはり、次第に成長する主役をサポートする立場であって、主役は妻夫木聡ではないのか、特に、「背骨を演じるのだ!」と気を入れ替えて、自分を責め苛む河島をぶちのめす逆転劇は(注3)、そのような場面を設けたことと合わせて(注4)、それを演じる妻夫木は素晴らしいなと思いました。
また、満島ひかりは、田沼組組長の妻・ちはるという設定ながら、本作の物語においては重要な役割を果たすのであり、やっぱり『一命』(瑛太の妻の役)よりも、こういう元気のある役の方が(注5)、その持ち味を出せるのではと思いました。
さらに、「背骨」を演じた安藤政信は、一方でヌンチャクの達人であると共に、他方で、「さっきまで喋っていたやつが死ぬ。死ぬのが怖い」などと病内面を晒したりもするなかなか難しい役を、上手くこなしていて印象的です。
加えて、山岡役の松雪泰子も随分と気合いが入っているなと思いました(注6)。
物語全体として非常に面白く、加えて演じる俳優が皆個性を十分に発揮しており、映画としては、なんだか『モテキ』よりもこちらの作品の方を評価したくなってしまいます。
(2)本作は、真鍋昌平氏の漫画(注7)を実写化したものですが、映画との関係で見てみると、どうも絵コンテのような感じがしてしまいます。すなわち、原作・脚本・絵コンテまでが真鍋氏が担当し、それを石井克人監督が実写化したというような印象なのです。
むろん、実際はそんなわけはないので、脚本・絵コンテ・編集は石井克人監督が手がけています(注8)。
なにしろ、原作漫画では、冒頭がいきなり田沼組長らを「背骨」と「内臓」が襲撃する場面ですし、松雪泰子演じる金貸しの山岡は男、河島も太鼓腹の醜い男として描かれています。
でも、例えば、「背骨」を運ぶトラックがコンビニで休憩しているときの、妻夫木の砧と満島ひかりのちはるとの印象的なやりとり(注9)は、両者でほぼ同一ですし、そのトラックに乗せられている「背骨」の様子はマサニ原作漫画そのものと言えるでしょう。なにより、主要な登場人物のキャラ設定(特にスマグラーのジョー)は両者でほぼ同一のように思われます。
こんなところから、本作については、原作漫画と映画との距離がかなり狭まっているなと感じたところです(注10)。
(3)渡まち子氏は、「稀代の映像クリエイターの石井克人が映画化した本作は、刺激的なアクションとコメディの要素を盛り込んだ、スタイリッシュなエンターテインメントに仕上がっ」ており、。「クライマックスに凄まじい形相を見せる妻夫木聡がいいのは言うまでもないが、寡黙なスマグラーのジョーを演じる永瀬正敏の存在感が際立っていた」として65点をつけています。
福本次郎氏は、「触れると切れるような狂気を孕んだ背骨に扮した安藤政信以外いイマイチ華のない男優たちに比べ、金貸しを演じた松雪泰子や極妻役の満島ひかりら女優の存在感が作品を引き締めていたのが救いだった」として40点をつけています。
(注1)ジョーは、「望まぬ日常に埋もれるカスにはなるな」などと、至極格好の良いことを言ったりします。
また、ラストでは、砧に対して、「お前はクビだ。お前は、この世界に住む人間じゃあない」と言いながら、「退職金」としてチャイナのところからくすねてきたお金を渡します。
(注2)『探偵はBARにいる』では、弟の高嶋政伸が、これまたエキセントリックな雰囲気を持つ殺し屋の役を演じていました。
(注3)永瀬正敏のジョーが、「本気の嘘を真実にするのだ」と言っていたのを、砧は思い出します。
(注4)冷静に見ればファンタジーそのものですが、演じる妻夫木の気迫が物凄いので、そういうこともアリだよな、と思ってしまいます。
(注5)スマグラーと一緒にトラックに同乗しているときの話しぶりは秀逸です。
(注6)組長を殺した「背骨」を探しに河島らが山岡の事務所に来て、山岡は痛めつけられますが、その時の鼻血のまま電話を掛けるシーンが、ラストのクレジットでも使われていて、これは松雪泰子は相当気合いが入っているなと思いました。
(注7)漫画『スマグラー』は、2000年8月に単行本として出版されていますが、この9月に「新装版」が、「アフタヌーン」の本年10月号掲載のものが「特別編」として追加された上で、出版されています。
(注8)石井克人監督の作品は、『茶の味』(2004年)を見たことがありますが、ここでも「原作・脚本・監督・編集」は彼1人となっています。
(注9)砧は、タコ焼きを買ってきてちはるにもあげたところ、ちはるは「要らない」とごみ箱に棄ててしまいます。剰え砧に対して、「その顔ムカツク」、「なんで文句を言わない」、「言いなりは楽だからか?」、「誰からも嫌われたくないからか?」、「私は自分の居場所を築くためなら、争いを避けたりしない」など悪口雑言を並べ立てます。
これに対して、砧は「俺はただ、キミが悦ぶと思っただけだよ」と言って立ち去りますが、その後でちはるは、棄てたタコ焼きをごみ箱から取り出して食べ、「うまいじゃんか」と言うのです。
〔以上は、原作漫画によっています〕
(注10)こんな感じは、例えば、『極道めし』ではマッタク受けなかったところです(現在も連載中の大長編であり、登場する人物の数も違っているなどからでしょうか)。
★★★★☆
象のロケット:スマグラー
(1)このところ『悪人』や『マイ・バック・ページ』で印象的な演技を見せていた妻夫木聡が出演するというので、取り敢えず映画館に出かけてみました。
冒頭では、妻夫木が扮するフリーター・砧(役者を目指していました)が、騙されて300万の借金を背負い込むことになり、それを金貸しの山岡(松雪泰子)から借りる代わりに、日給5万円の仕事を紹介されます。
その仕事というのがスマグラーの手伝い。
smugglerを英語辞書で調べると「密輸業者」としか出ていませんから、この映画は、てっきり麻薬などの密輸に係わるものなのかと思ってました。
そしたら、あっけにとられてしまうシーンが息つく間もなく続きます。
田沼組組長が、チャイニーズ・マフィアからくすねた覚醒剤を売りさばこうとしている現場に、突如、殺し屋の「背骨」と「内臓」が現れ、アレヨアレヨと見ている間もなく全員が簡単に殺されてしまいます。
なんとスマグラーとは、こうした現場に転がる死体を秘密裡に運んで処分してしまう者をも指す言葉のようなのです。
ここで登場するスマグラーのリーダーのジョーを演じるのが永瀬正敏。当初は、妻夫木の砧をお荷物視していたものの、次第に彼の考え方をポジティブな方向に変えるべく、色々手を差し伸べるようになるという重要な役どころです(注1)。
それに、田沼組組長に扮するのが、B&Bの島田洋八と聞いて驚いてしまいます。相方の洋七の方は、「佐賀のがいばあちゃん」などで活躍振りは知られていますが、彼の方は何処へ行ったやらという感じだったところ、本作では、画面に突然現れると、他人の喫煙には我慢できない一方で自分は大の愛煙家であり、またツマラナイお説教を長々と垂れたりするという常識外れの親分役を演じるのです。
これは面白いと思っていると、「背骨」の手にかかってアッサリと殺されてしまい、その頭部が切断されて、組の事務所に届けられます。
組長の首が届けられた組のほうでは、タガの外れた凶暴な河島という男が復讐を叫びます。
そしてこれに扮するのが、高嶋政宏。その演技には正直驚きました(注2)。映画の性格がかなり違うので一概に比べられませんが、テロリストに対して残虐な拷問を加える場面が長々と描かれる『4デイズ』を上回る残酷なシーンを、彼は演じているのではと思いました。
というのも、実際に組長を殺した「背骨」の身代わりとして砧が河島の元に届けられ、河島は砧に対して、めちゃくちゃな拷問を加えるからです。
ただ、彼に拷問される砧を演じているのを見ていると、確かにスマグラーの永瀬正敏はかなり格好よく演じているものの、やはり、次第に成長する主役をサポートする立場であって、主役は妻夫木聡ではないのか、特に、「背骨を演じるのだ!」と気を入れ替えて、自分を責め苛む河島をぶちのめす逆転劇は(注3)、そのような場面を設けたことと合わせて(注4)、それを演じる妻夫木は素晴らしいなと思いました。
また、満島ひかりは、田沼組組長の妻・ちはるという設定ながら、本作の物語においては重要な役割を果たすのであり、やっぱり『一命』(瑛太の妻の役)よりも、こういう元気のある役の方が(注5)、その持ち味を出せるのではと思いました。
さらに、「背骨」を演じた安藤政信は、一方でヌンチャクの達人であると共に、他方で、「さっきまで喋っていたやつが死ぬ。死ぬのが怖い」などと病内面を晒したりもするなかなか難しい役を、上手くこなしていて印象的です。
加えて、山岡役の松雪泰子も随分と気合いが入っているなと思いました(注6)。
物語全体として非常に面白く、加えて演じる俳優が皆個性を十分に発揮しており、映画としては、なんだか『モテキ』よりもこちらの作品の方を評価したくなってしまいます。
(2)本作は、真鍋昌平氏の漫画(注7)を実写化したものですが、映画との関係で見てみると、どうも絵コンテのような感じがしてしまいます。すなわち、原作・脚本・絵コンテまでが真鍋氏が担当し、それを石井克人監督が実写化したというような印象なのです。
むろん、実際はそんなわけはないので、脚本・絵コンテ・編集は石井克人監督が手がけています(注8)。
なにしろ、原作漫画では、冒頭がいきなり田沼組長らを「背骨」と「内臓」が襲撃する場面ですし、松雪泰子演じる金貸しの山岡は男、河島も太鼓腹の醜い男として描かれています。
でも、例えば、「背骨」を運ぶトラックがコンビニで休憩しているときの、妻夫木の砧と満島ひかりのちはるとの印象的なやりとり(注9)は、両者でほぼ同一ですし、そのトラックに乗せられている「背骨」の様子はマサニ原作漫画そのものと言えるでしょう。なにより、主要な登場人物のキャラ設定(特にスマグラーのジョー)は両者でほぼ同一のように思われます。
こんなところから、本作については、原作漫画と映画との距離がかなり狭まっているなと感じたところです(注10)。
(3)渡まち子氏は、「稀代の映像クリエイターの石井克人が映画化した本作は、刺激的なアクションとコメディの要素を盛り込んだ、スタイリッシュなエンターテインメントに仕上がっ」ており、。「クライマックスに凄まじい形相を見せる妻夫木聡がいいのは言うまでもないが、寡黙なスマグラーのジョーを演じる永瀬正敏の存在感が際立っていた」として65点をつけています。
福本次郎氏は、「触れると切れるような狂気を孕んだ背骨に扮した安藤政信以外いイマイチ華のない男優たちに比べ、金貸しを演じた松雪泰子や極妻役の満島ひかりら女優の存在感が作品を引き締めていたのが救いだった」として40点をつけています。
(注1)ジョーは、「望まぬ日常に埋もれるカスにはなるな」などと、至極格好の良いことを言ったりします。
また、ラストでは、砧に対して、「お前はクビだ。お前は、この世界に住む人間じゃあない」と言いながら、「退職金」としてチャイナのところからくすねてきたお金を渡します。
(注2)『探偵はBARにいる』では、弟の高嶋政伸が、これまたエキセントリックな雰囲気を持つ殺し屋の役を演じていました。
(注3)永瀬正敏のジョーが、「本気の嘘を真実にするのだ」と言っていたのを、砧は思い出します。
(注4)冷静に見ればファンタジーそのものですが、演じる妻夫木の気迫が物凄いので、そういうこともアリだよな、と思ってしまいます。
(注5)スマグラーと一緒にトラックに同乗しているときの話しぶりは秀逸です。
(注6)組長を殺した「背骨」を探しに河島らが山岡の事務所に来て、山岡は痛めつけられますが、その時の鼻血のまま電話を掛けるシーンが、ラストのクレジットでも使われていて、これは松雪泰子は相当気合いが入っているなと思いました。
(注7)漫画『スマグラー』は、2000年8月に単行本として出版されていますが、この9月に「新装版」が、「アフタヌーン」の本年10月号掲載のものが「特別編」として追加された上で、出版されています。
(注8)石井克人監督の作品は、『茶の味』(2004年)を見たことがありますが、ここでも「原作・脚本・監督・編集」は彼1人となっています。
(注9)砧は、タコ焼きを買ってきてちはるにもあげたところ、ちはるは「要らない」とごみ箱に棄ててしまいます。剰え砧に対して、「その顔ムカツク」、「なんで文句を言わない」、「言いなりは楽だからか?」、「誰からも嫌われたくないからか?」、「私は自分の居場所を築くためなら、争いを避けたりしない」など悪口雑言を並べ立てます。
これに対して、砧は「俺はただ、キミが悦ぶと思っただけだよ」と言って立ち去りますが、その後でちはるは、棄てたタコ焼きをごみ箱から取り出して食べ、「うまいじゃんか」と言うのです。
〔以上は、原作漫画によっています〕
(注10)こんな感じは、例えば、『極道めし』ではマッタク受けなかったところです(現在も連載中の大長編であり、登場する人物の数も違っているなどからでしょうか)。
★★★★☆
象のロケット:スマグラー
笑うには拷問の場面がいたすぎて、かんどうするには、おちゃらけた部分が邪魔をして、入り込めなかったです。
かなりお気に入りの俳優です!
何を演じても上手いなあ~と思うのですが、
この作品、アップが多すぎなのと、元々イタイのとかグロイのが苦手で、
終盤、かなりキツかったです。
そういえば、ひかりちゃんは「悪人」でも共演してましたね、今思い出しました。
彼女はかなり演出家によって違ってくるなぁ、、とこの頃思っています。
原作を知らないからなのかも知れませんが。
原作漫画もその実写映画も、頗る劇画チックで、もしかしたら「男の子好み」と言えるかもしれませんね。
妻夫木クンもひかりちゃんも、今ドンドン自分の守備範囲を広げている真っ最中だと思います。妻夫木クンの今回の役は、『マイ・バック・ペーパー』とは随分と違っていますし、ひかりちゃんも『一命』の若妻と180度異なっていますが、よくこなしているなと思いました。
クマネズミさんのレビューは概ね私が感じたことと一緒です。
私は女ですが、この映画のような世界観は嫌いじゃありませんし、グロさイタさも直接描写も無く、予想していたより酷くありませんでした。
私を含めた周りでも恋愛系や泣き系が苦手な、男の子好みの作品が好きな女子って結構いるのです。(理系やクリエイティブ関係の人が多いからかなぁ)
それよりも、実力派俳優さん達の演技に魅了されてしまい、日本映画も面白い作品あるんだなーと再認いたしました。
特に安藤さん、高嶋さん、松雪さん。
もちろん他の役者さん達も。
妻夫木さんはこの作品では地味、可哀想と言われてるみたいですが、そうゆう役なのでそれを徹底した妻夫木さんも素晴らしいと思います。
これから過去のも日本映画、たくさん観て見ようと思ってます。
「ゆか」さんの周囲に、「恋愛系や泣き系が苦手な、男の子好みの作品が好きな女子って結構いる」とは、実に頼もしい限りです。
そういう方々をも是非誘って「日本映画、たくさん観て」いただければ、リメイク作や続編ばやりのハリウッド映画を圧倒して、もっと世界市場に打って出れるのでは、と思ったりしています。
ただ、いただいたコメントは酷く難解で(短い文章の中に、沢山のことが詰め込まれているような気がします)、ついて行けそうもありません。
それでも仮に、個々の映像はそれ自体として自律していていくらでも取り外し可能だ、というのが「ふじき78」さんのコメントの趣旨だとすれば、確かにそういう面はあるものの、それでもクマネズミにとってこの映画は、砧の成長譚という点がキモですので(ラストの砧の爆発のために、それまでの様々の映像はあるのでは)、「妻夫木君を殺してしまっ」たら成立しないのでは(価値がなくなってしまうのでは)、と思えるのですが。
でも、そもそも話に重きを置いてない映画なのだから、ありそうなこういうモデルケースを途中で捨てて、「成長したらいい男になったかもしれない青年の死を嘆いて終わる話」にしても観れると思うのです。
おっしゃるように、「そもそも話に重きを置いてない映画」と思われるものの、描かれている「大きな話の枠」自体を変更してしまったら、クマネズミとしてはツマラナイ映画になってしまうのでは、と思っています(個々のエピソードも、この「大きな話の枠」に有機的に繋がっているという雰囲気があるからこそ、クッキリと自律している感じがするので)。