![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/78/d8/ed2091d88f9b2777f425b95c388f18f5.jpg)
『疾風ロンド』を渋谷TOEIで見ました。
(1)阿部寛が主演の作品だということで、映画館に行きました。
本作(注1)の冒頭では、雪山の景色が映し出されます。
カメラが接近すると、長く伸びているスキーコースを滑り降りる一人のスキーヤーの姿。
次いで、医科学研究所で研究員が、試験管やシャーレを使って細菌を培養している様子が映し出されます。
2つの場面が交互に映し出された後、ある地点で止まったスキーヤーの男は、周りを見回し、雪を掘り、持ってきたボックスから瓶状のものを取り出して、そこに埋めます。
それから、すぐそばの木の幹に釘を打ってテディベアを掛けます。
次いで、発信機と受信機をセットして、「さあ、ゲームの始まりだ」と呟きます。
タイトルが流れ、「月曜日」の字幕(注2)。
主人公の栗林(阿部寛)の家の朝。栗林は、玄関の上り口で、滑って転びます。
彼は「お前、またワックスかけたのか?」と息子の秀人(濱田龍臣)に怒ると、秀人は「次からは気をつける。買ってもらったときの約束だから」と答えます(注3)。
秀人は、誘いに来た友人と一緒に学校に向かいます。
友人が「また喧嘩?」と尋ねると、秀人は「うるさいんだから」と応じます。
さらに友人が「オヤジさん、何やってるの?」と訊くと、秀人は「研究所に行っている。でも、最近、研究していないみたい」、「中間管理職なのかな」と答えます。
他方、栗林は、仏壇の妻の位牌に向かって、「年頃の男の子は難しいんだよ。お前がいてくれたら」と嘆いた後、出勤します。
栗林は、研究所に着いて保管庫を調べると、重要な物がなくなっているのに気が付きます。
大急ぎで所長室に行ってそのことを報告すると、所長の東郷(柄本明)は「やっぱり本当か」と呟きます(注4)。
所長は、「盗んだ葛原(戸次重幸)が3億円要求してきた」と言い(注5)、驚いた栗林が「3億円も用意できるのですか?」と尋ねると、所長は「負けてもらう」と答え、さらに栗林が「警察に連絡を」と進言すると、所長は「これがバレたら、皆クビだぞ」と答え、通報を拒否します。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/36/cd/e67c12357413a37f60d5e2d397b56324.jpg)
そんなところに、警察から「葛原さんが、事故で亡くなりました」との連絡が入るのですが、さあ、この後物語はどのように展開するのでしょうか、………?
本作は、人を大量に死に至らしめる恐ろしい炭疽菌が盗まれ、それを必死に探し出そうとする主人公らを巡るサスペンスコメディ。ですが、主役の阿部寛が、最後の肝心な時にも、事態が推移するのをただ待っているだけというのでは、しまりがなさすぎ。それに、炭疽菌という生物兵器にもなる恐ろしいものを取り扱っている映画にしては大味で、総じて「ゆるすぎる」感じがしました。
(以下は、本作がサスペンス物であるにもかかわらず、あちこちでネタバレしていますので、未見の方はご注意ください)
(2)本作の主人公の栗林は、所長の厳命で、野沢温泉スキー場に行って炭疽菌の入った瓶を秘密裏に探すことになります(注6)。
とはいえ、栗林は、スキーを大学の時に少しやったくらいで全くの素人だという設定(注7)。
おまけに、スキーを履いて少々滑ったら、木に激突して靭帯を損傷し満足に動けなくなってしまいます。
それで、炭疽菌の探索は、専ら、スキー場のパトロール隊員の根津(大倉忠義)と、彼の後輩でスノーボードクロス選手の千晶(大島優子)に任せ切りになってしまい、栗林自身は、スキー場のレストランなどでウロウロするばかりです。
レストランの椅子に座って、頭髪をかきむしりながら、時間がただ経過するのを待つだけの主人公では、滑稽で面白いとしても、どうしようもありません(注8)。
それに、本作は、危険極まりないとされる炭疽菌を巡るお話のはずですが、肝心の炭疽菌の取扱いがとても杜撰に見えるのはどうしたことでしょう?
本来ならば、当初、栗林が炭疽菌の所在を保管庫で確かめようとする際に着用していた防護服が、どんな場合にも最低限必要なのではないでしょうか(注9)?
もちろん、栗林以外の登場人物は、瓶の中身を正確には知らないのですから、普段通りで仕方ないにしても、炭疽菌の怖さをよく知っている栗林までも、炭疽菌の入った瓶を実に不注意に取り扱おうとします(注10)。
この他にも、突っ込みどころは色々あるでしょう(注11)。
とはいえ、炭疽菌を栗林が探索するというメインの物語の他に、医科学研究所の研究員・折口(堀内敬子)の指示を受けてワダ(ムロツヨシ)が炭疽菌を奪おうとする話なども絡んできて(注12)、それなりに飽きさせません。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/21/9e/7f59078e89676f68e5dfc805dd0c6d3c.jpg)
また、瓶を奪い取ったワダがスキーを滑らせて逃げるところ、それをスノーボードを履いた千晶が追う追跡劇は、なかなか見応えがあります。
なにしろ、千晶役の大島優子が代役なしに演じたようで(注13)、最後はワダ゙とストックでチャンバラまがいのことまでするのですから。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/64/11/5882f506d4a0c42327cf25dc99bf517a.jpg)
(3)渡まち子氏は、「監督が「サラリーマンNEO 劇場版(笑)」の演出を手掛けた吉田照幸と聞いて、本作の脱力系ギャグに大いに納得。緊張と緩和がほどよいウェルメイドな娯楽作だ」として60点を付けています。
(注1)監督は吉田照幸(脚本にも参加)。
脚本はハセベバクシンオー。
原作は東野圭吾著『疾風ロンド』(実業之日本社文庫)。
なお、出演者の内、最近では、阿部寛は『海よりもまだ深く』、大島優子は『ロマンス』、ムロツヨシは『金メダル男』、堀内敬子は『永い言い訳』、戸次重幸は『ぼくのおじさん』、柄本明は『後妻業の女』、麻生祐未は『麦子さんと』、堀部圭亮は『殿、利息でござる』(代官役)、生瀬勝久は『謎解きはディナーのあとで』で、それぞれ見ました。
(注2)ただし、その後の話の流れからすると、ここまでの話が「月曜日」の出来事で、ここからの話は「火曜日」の出来事であり、栗林たちが野沢温泉スキー場に出向くのは「水曜日」のように考えられます。
(注3)おそらく、秀人(中学2年生)が熱中しているスノーボードを父に買ってもらった時に、使ったワックスの後始末をちゃんとやるという約束をしたのでしょう。
(注4)というのも、なくなっているのは、研究員の葛原が培養した危険極まりない「炭疽菌k-55」。葛原は「究極の兵器だ」と豪語し、それを聞いた所長は彼を解雇していたのです。解雇を恨みに思った葛原は、「後で後悔するぞ」と所長に言い、とうとう「k-55」を研究所から盗み出しました。
(注5)さらに所長は、葛原から送られてきた写真を栗林に見せながら、「ぬいぐるみは発信機だ」、「瓶はその下に埋めてあるらしい」、「金を用意すれば、瓶がある場所を教えてくれる」などと言います。
(注6)事故で死んだ葛原の遺品から、瓶が野沢温泉スキー場のどこかに埋められていることがわかります。ただ、テディベアに仕組まれた発信機からの電波を受信する受信機も遺品の中にありましたが、発信機の電池の寿命があと4日間で尽きるので、金曜日までに探し出す必要があります。
(注7)栗林は、ボーゲンでゆっくり滑ってもバランスを崩してしまうほどで、スキー場で知った幼い女の子・ミハル(大田しずく)〔父親(堀部圭亮)に連れてきてもらっています〕に、栗林が「気をつけて」と言ったところ、ミハルから「オマエモナ」と言われてしまう始末。
(注8)炭疽菌の入った瓶は、最後には、栗林の息子・秀人の機転によってすり替えられており、結局、栗林自身は、この炭疽菌探索行においては何一つ貢献できませんでした。
原作者の東野圭吾氏は、劇場用パンフレット冒頭の「AUTHOR’S COMMENT」において、「主人公の栗林和幸は、決して無能な人間ではありません。むしろ優秀で、状況によってはヒーローになれる人材でしょう」と述べていますが、本作からはそんな風にはとても思えません。
(注9)炭疽菌を持って出国しようとした折口とワダが成田空港で捕まった際、爆発物処理班の警察官(生瀬勝久)が、完全装備をして登場します(炭疽菌に対する配慮と言うなら、少なくともそのくらいはするべきでしょう。ただ、その警察官が瓶の中身を確かめますが、でてきたのは、……)。
(注10)いい加減な取扱いから、栗林は瓶を床に落としてしまい、瓶が割れて中身が外に出てしまいます(栗林が、慌てて「生物兵器だ」などと叫ぶものの、中身はすり替えられていて、単なる胡椒でした。根津が「今、生物兵器とか言いませんでした?」と尋ねると、栗林は「そんなこと言わないよ」と猫をかぶります)。
(注11)例えば、医科学研究所の東郷所長役の柄本明は演技過剰気味で、一人だけ浮き上がっている感じがします。
(注12)栗林の息子・秀人は、野沢スキー場で地元の中学生・育美(久保田紗友)と知り合いになりますが、育美の同級生の母親(麻生祐未)が娘をインフルエンザで最近亡くしていることから、本作の話に絡まってきます。ただ、このエピソード自体、地元の中学生を話に絡めようとするために作られたような取ってつけたわざとらしい感じがしてしまいますが。
(注13)劇場用パンフレット掲載のインタビュー記事において、大島優子は、「9歳からやっていたスノーボードを、仕事に活かすことができて、とても嬉しい」などと述べています。
★★☆☆☆☆
象のロケット:疾風ロンド
(1)阿部寛が主演の作品だということで、映画館に行きました。
本作(注1)の冒頭では、雪山の景色が映し出されます。
カメラが接近すると、長く伸びているスキーコースを滑り降りる一人のスキーヤーの姿。
次いで、医科学研究所で研究員が、試験管やシャーレを使って細菌を培養している様子が映し出されます。
2つの場面が交互に映し出された後、ある地点で止まったスキーヤーの男は、周りを見回し、雪を掘り、持ってきたボックスから瓶状のものを取り出して、そこに埋めます。
それから、すぐそばの木の幹に釘を打ってテディベアを掛けます。
次いで、発信機と受信機をセットして、「さあ、ゲームの始まりだ」と呟きます。
タイトルが流れ、「月曜日」の字幕(注2)。
主人公の栗林(阿部寛)の家の朝。栗林は、玄関の上り口で、滑って転びます。
彼は「お前、またワックスかけたのか?」と息子の秀人(濱田龍臣)に怒ると、秀人は「次からは気をつける。買ってもらったときの約束だから」と答えます(注3)。
秀人は、誘いに来た友人と一緒に学校に向かいます。
友人が「また喧嘩?」と尋ねると、秀人は「うるさいんだから」と応じます。
さらに友人が「オヤジさん、何やってるの?」と訊くと、秀人は「研究所に行っている。でも、最近、研究していないみたい」、「中間管理職なのかな」と答えます。
他方、栗林は、仏壇の妻の位牌に向かって、「年頃の男の子は難しいんだよ。お前がいてくれたら」と嘆いた後、出勤します。
栗林は、研究所に着いて保管庫を調べると、重要な物がなくなっているのに気が付きます。
大急ぎで所長室に行ってそのことを報告すると、所長の東郷(柄本明)は「やっぱり本当か」と呟きます(注4)。
所長は、「盗んだ葛原(戸次重幸)が3億円要求してきた」と言い(注5)、驚いた栗林が「3億円も用意できるのですか?」と尋ねると、所長は「負けてもらう」と答え、さらに栗林が「警察に連絡を」と進言すると、所長は「これがバレたら、皆クビだぞ」と答え、通報を拒否します。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/36/cd/e67c12357413a37f60d5e2d397b56324.jpg)
そんなところに、警察から「葛原さんが、事故で亡くなりました」との連絡が入るのですが、さあ、この後物語はどのように展開するのでしょうか、………?
本作は、人を大量に死に至らしめる恐ろしい炭疽菌が盗まれ、それを必死に探し出そうとする主人公らを巡るサスペンスコメディ。ですが、主役の阿部寛が、最後の肝心な時にも、事態が推移するのをただ待っているだけというのでは、しまりがなさすぎ。それに、炭疽菌という生物兵器にもなる恐ろしいものを取り扱っている映画にしては大味で、総じて「ゆるすぎる」感じがしました。
(以下は、本作がサスペンス物であるにもかかわらず、あちこちでネタバレしていますので、未見の方はご注意ください)
(2)本作の主人公の栗林は、所長の厳命で、野沢温泉スキー場に行って炭疽菌の入った瓶を秘密裏に探すことになります(注6)。
とはいえ、栗林は、スキーを大学の時に少しやったくらいで全くの素人だという設定(注7)。
おまけに、スキーを履いて少々滑ったら、木に激突して靭帯を損傷し満足に動けなくなってしまいます。
それで、炭疽菌の探索は、専ら、スキー場のパトロール隊員の根津(大倉忠義)と、彼の後輩でスノーボードクロス選手の千晶(大島優子)に任せ切りになってしまい、栗林自身は、スキー場のレストランなどでウロウロするばかりです。
レストランの椅子に座って、頭髪をかきむしりながら、時間がただ経過するのを待つだけの主人公では、滑稽で面白いとしても、どうしようもありません(注8)。
それに、本作は、危険極まりないとされる炭疽菌を巡るお話のはずですが、肝心の炭疽菌の取扱いがとても杜撰に見えるのはどうしたことでしょう?
本来ならば、当初、栗林が炭疽菌の所在を保管庫で確かめようとする際に着用していた防護服が、どんな場合にも最低限必要なのではないでしょうか(注9)?
もちろん、栗林以外の登場人物は、瓶の中身を正確には知らないのですから、普段通りで仕方ないにしても、炭疽菌の怖さをよく知っている栗林までも、炭疽菌の入った瓶を実に不注意に取り扱おうとします(注10)。
この他にも、突っ込みどころは色々あるでしょう(注11)。
とはいえ、炭疽菌を栗林が探索するというメインの物語の他に、医科学研究所の研究員・折口(堀内敬子)の指示を受けてワダ(ムロツヨシ)が炭疽菌を奪おうとする話なども絡んできて(注12)、それなりに飽きさせません。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/21/9e/7f59078e89676f68e5dfc805dd0c6d3c.jpg)
また、瓶を奪い取ったワダがスキーを滑らせて逃げるところ、それをスノーボードを履いた千晶が追う追跡劇は、なかなか見応えがあります。
なにしろ、千晶役の大島優子が代役なしに演じたようで(注13)、最後はワダ゙とストックでチャンバラまがいのことまでするのですから。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/64/11/5882f506d4a0c42327cf25dc99bf517a.jpg)
(3)渡まち子氏は、「監督が「サラリーマンNEO 劇場版(笑)」の演出を手掛けた吉田照幸と聞いて、本作の脱力系ギャグに大いに納得。緊張と緩和がほどよいウェルメイドな娯楽作だ」として60点を付けています。
(注1)監督は吉田照幸(脚本にも参加)。
脚本はハセベバクシンオー。
原作は東野圭吾著『疾風ロンド』(実業之日本社文庫)。
なお、出演者の内、最近では、阿部寛は『海よりもまだ深く』、大島優子は『ロマンス』、ムロツヨシは『金メダル男』、堀内敬子は『永い言い訳』、戸次重幸は『ぼくのおじさん』、柄本明は『後妻業の女』、麻生祐未は『麦子さんと』、堀部圭亮は『殿、利息でござる』(代官役)、生瀬勝久は『謎解きはディナーのあとで』で、それぞれ見ました。
(注2)ただし、その後の話の流れからすると、ここまでの話が「月曜日」の出来事で、ここからの話は「火曜日」の出来事であり、栗林たちが野沢温泉スキー場に出向くのは「水曜日」のように考えられます。
(注3)おそらく、秀人(中学2年生)が熱中しているスノーボードを父に買ってもらった時に、使ったワックスの後始末をちゃんとやるという約束をしたのでしょう。
(注4)というのも、なくなっているのは、研究員の葛原が培養した危険極まりない「炭疽菌k-55」。葛原は「究極の兵器だ」と豪語し、それを聞いた所長は彼を解雇していたのです。解雇を恨みに思った葛原は、「後で後悔するぞ」と所長に言い、とうとう「k-55」を研究所から盗み出しました。
(注5)さらに所長は、葛原から送られてきた写真を栗林に見せながら、「ぬいぐるみは発信機だ」、「瓶はその下に埋めてあるらしい」、「金を用意すれば、瓶がある場所を教えてくれる」などと言います。
(注6)事故で死んだ葛原の遺品から、瓶が野沢温泉スキー場のどこかに埋められていることがわかります。ただ、テディベアに仕組まれた発信機からの電波を受信する受信機も遺品の中にありましたが、発信機の電池の寿命があと4日間で尽きるので、金曜日までに探し出す必要があります。
(注7)栗林は、ボーゲンでゆっくり滑ってもバランスを崩してしまうほどで、スキー場で知った幼い女の子・ミハル(大田しずく)〔父親(堀部圭亮)に連れてきてもらっています〕に、栗林が「気をつけて」と言ったところ、ミハルから「オマエモナ」と言われてしまう始末。
(注8)炭疽菌の入った瓶は、最後には、栗林の息子・秀人の機転によってすり替えられており、結局、栗林自身は、この炭疽菌探索行においては何一つ貢献できませんでした。
原作者の東野圭吾氏は、劇場用パンフレット冒頭の「AUTHOR’S COMMENT」において、「主人公の栗林和幸は、決して無能な人間ではありません。むしろ優秀で、状況によってはヒーローになれる人材でしょう」と述べていますが、本作からはそんな風にはとても思えません。
(注9)炭疽菌を持って出国しようとした折口とワダが成田空港で捕まった際、爆発物処理班の警察官(生瀬勝久)が、完全装備をして登場します(炭疽菌に対する配慮と言うなら、少なくともそのくらいはするべきでしょう。ただ、その警察官が瓶の中身を確かめますが、でてきたのは、……)。
(注10)いい加減な取扱いから、栗林は瓶を床に落としてしまい、瓶が割れて中身が外に出てしまいます(栗林が、慌てて「生物兵器だ」などと叫ぶものの、中身はすり替えられていて、単なる胡椒でした。根津が「今、生物兵器とか言いませんでした?」と尋ねると、栗林は「そんなこと言わないよ」と猫をかぶります)。
(注11)例えば、医科学研究所の東郷所長役の柄本明は演技過剰気味で、一人だけ浮き上がっている感じがします。
(注12)栗林の息子・秀人は、野沢スキー場で地元の中学生・育美(久保田紗友)と知り合いになりますが、育美の同級生の母親(麻生祐未)が娘をインフルエンザで最近亡くしていることから、本作の話に絡まってきます。ただ、このエピソード自体、地元の中学生を話に絡めようとするために作られたような取ってつけたわざとらしい感じがしてしまいますが。
(注13)劇場用パンフレット掲載のインタビュー記事において、大島優子は、「9歳からやっていたスノーボードを、仕事に活かすことができて、とても嬉しい」などと述べています。
★★☆☆☆☆
象のロケット:疾風ロンド
まあ予告編からコメディとされていたんで、あとはサスペンスがどこまで取り込まれているかが焦点でした。
思った以上に各キャラが笑いに傾斜していましたね。特に主人公役の阿部ちゃんが、徹底的な屁たれでちょっと驚きでした。
ラストだけでしたねちょっと男らしいのは。
こうなるとムロツヨシの存在感が逆に大きかったです。
こちらからもTBお願いします。
おっしゃるように、「主人公役の阿部ちゃんが、徹底的な屁たれ」でしたが、やっぱり主役なのですから、「k-55」探索で何かクリーンヒットを打たないと、ユルすぎになってしまいます。
クマネズミさん大人になったな。
> 本来ならば、当初、栗林が炭疽菌の所在を保管庫で確かめようとする際に着用していた防護服が、どんな場合にも最低限必要なのではないでしょうか
それでは極秘裏に調査が出来ないので。所長に取っては炭疽菌が漏れて大変な数の死人が出るより秘密が漏れる方がマズイと言った考えだからしょうがないでしょう。
「大人になったな」と評価していただき、痛み入ります。
(実は、この表示はかなり以前から記載しているもので、本年だけでも、『スター・ウォーズ フォースの覚醒』以降7作品について、同じような書き込みを行っているのですが)
なお、防護服を着用したら「極秘裏に調査が出来ない」という点につきましては、まさにそうだからこそ、本作に対して「いくらなんでも酷いストーリーなののでは」と思えてしまうのですが?
ドタバタ喜劇(本作はそのレベルにも達していませんが)に、いくら保身第一と考える所長を登場させるにしても、「大変な数の死人が出るより秘密が漏れる方がマズイ」と考える大悪魔のような所長はリアリティーがなさすぎるように思います。
それに、栗林の息子の秀人は、最後に瓶の中身をフランクフルトにすり替える際に、一体どのようにして行ったのでしょうか?
また、あんなものを持って簡単に入出国できると考える人間がいるとも思えないところです(折口は研究員なのですから、普通の判断力を持っているはずでしょう)。
炭疽菌の扱いはいかにも雑でしたし、あのままで国外持ち出しができると思う展開も雑でした。
誤字:(注8)の4行目、「状況によっては」だと思いますが「上京によっては」になっています。
秀人は瓶の中身をすり替えたのではなく、瓶とフランクをすり替えたので、アルミ容器の中に直接フランクが入ってました。
おっしゃるように、本作における「炭疽菌」の取扱は、特に「雑」でした。
なお、「上京」の誤りについてのご指摘は、誠にありがとうございました。早速、修正いたしました。
また、「ふじき78」さんのコメントに対するコメントの中で「瓶の中身をフランクフルトにすり替える」とあるのは、「瓶をフランクフルトにすり替える」の誤りとのご指摘も、ありがとうございます。そうであれば、クマネズミが呈した疑問は意味がないことになります。