『フライト』をTOHOシネマズ渋谷で見ました。
(1)本作は、予告編で、旅客機が上下さかさまになって飛ぶ(背面飛行)シーンが映し出され、いったいどんなわけでそんな曲芸を演じることになるのかという点に興味がひかれて映画館に出向きました。
映画は、デンゼル・ワシントン扮するベテランのパイロット・ウィトカーを巡るお話です。
彼は、アトランタ行きの飛行機に酷い睡眠不足状態で搭乗し(注1)、嵐の乱気流を見事突破してホッとするのもつかの間、今度はメカニッカルな問題(尾翼とエンジンにトラブルが発生)によって機体が制御不能となって、どんどん降下してしまいます。
そんな緊急事態を、長年の経験から培われた優れた操縦技術と勘とによって乗り越え、なんとか草原に不時着でき、犠牲者はわずか6名でした。
本来ならばウィトカーは英雄となるはず。
ですが、直後の検査でアルコールと覚醒剤(注2)が検出されてしまい、一転して窮地に立たされます。
果たして彼はこの窮地を脱することができるでしょうか、……?
本作の前半では、酷い乱気流を機の速力を一杯に引き上げて乗り切ったり、機体の降下を背面飛行(注3)することで食い止めたりするなど、大変緊迫感のあるシーンが続き、後半になると、一転して、窮地に追い詰められた機長のウィトカーが苦悩する様が描かれており、全体としてまずまずの仕上がりとなっています。
主演のデンゼル・ワシントンは、最近では『デンジャラス・ラン』で見ましたが、本作の運輸安全委員会公聴会において証言するシーンは、さすがオスカーを2つも獲得しているだけの凄い演技だなと思いました。
本作にはほかに、ウィトカー側の弁護士・ヒュー役にドン・チードル(注4)が出演しています。
また、事故後入院した病院でウィトカーが出会う麻薬中毒のニコールに扮するケリー・ライリー(注5)なども出演しています。
(2)本作は、クマネズミにとってやや違和感を持つところがありました。
一つは、以前だったら白人が占めている位置に黒人が実にすんなりと嵌まっていて、アメリカにおける人種問題などどこ吹く風といった感じなのです。
すなわち、黒人機長のウィトカーの下には、白人の副操縦士が入っていますし、またウィトカー側の弁護士として黒人のヒューが就きます。
最早、大統領が黒人の時代なのですから、こんな姿は、運輸安全委員会調査班のリーダーが女性であるのが当然であるように(日本だったら当たり前とは言えませんが)、米国ではごく普通のことなのでしょう。
もう一つは、なんだかコカインが自然の感じで登場することです。
すなわち、運輸安全委員会公聴会の当日、泥酔状態のウィトカーを立ち直らせるべく、彼の親友ハーリン(ジョン・グッドマン:注6)が呼ばれますが、ハーリンが鞄から取り出すのがコカイン。
パイロット組合幹事のチャーリーらの前で、これを鼻から吸引すると、見る間にウィトカーは蘇ります。
こんな映像を見ると、コカインが米国では厳しく規制されていないのかと疑ってしまうところ、そんなことはないはずです。
でも、ウィトカーについては、アルコール依存症が大きく取り上げられるものの、コカイン中毒の方は殆ど問題視されません(注7)。
(3)そんなこんなで、本作は、アルコール依存症の恐ろしさを訴えた作品と言えるかもしれません。とにかく主人公のウィトカーは、強いウオッカをあちこちで飲みまくります(注8)。
でもそれくらいでは、洋画はさることながら、邦画でも『酔いがさめたら、うちに帰ろう。』などで描かれているように、ありきたりすぎます(注9)。
それに、ウィトカーが搭乗する飛行機が墜落するのは、ウィトカーがアルコールのせいで操縦を誤ったからではなく、むしろ彼の類い希なる腕で大部分の乗客は助かるのですから、アルコール依存症の怖さを訴えるにしてはおかしな感じがしてしまいます。
そこで、ジョージ・ワシントンの桜ではありませんが、本作では、“嘘をつかないという英雄的行為”、“正直であることの大切さ”が描き出されているとも見ることができます(注10)。でも、それもありきたりではないでしょうか(注11)。
むしろ本作は、飛行機が草原に不時着するまでの緊迫する機内の様子を生き生きと描き出した前半が見どころではないか、とも思えるところです(注12)。
(4)渡まち子氏は、「奇跡の不時着でヒーローになった男の真実の姿を描く人間ドラマ「フライト」。パニックから法廷、そして人間の心の闇と、ストーリーは意外なルートをたどる」として75点をつけています。
また、前田有一氏も、「デンゼル・ワシントンも相変わらず文句のつけようのな演技をしており、とくに終盤、神に力を与えてくれと思わずつぶやいてからのシークエンスには圧倒される。共感度100パーセントの、見事な場面である」などとして80点をつけています。
(注1)ウィトカーは、客室乗務員のカテリーナと、搭乗直前までホテルで一緒に過ごし、セックスしたり酒を飲んだりしていました。
(注2)酷い睡眠不足状態だったために、目を覚ますべく、ウィトカーは搭乗前にコカインを吸っていました。
(注3)背面飛行については、こちらの記事を参照。
(注4)ドン・チードルは、 『クロッシング』における捜査官タンゴの役が印象に残っています。
(注5)ケリー・ライリーは、『シャーロック・ホームズ』でワトスンの婚約者の役を演じていました。
(注6)ジョン・グッドマンは、最近では、『アルゴ』と『人生の特等席』が印象に残ります。
(注7)あるいは、ウィトカーと病院で親しくなるニコールが麻薬中毒患者であることで、その点は描かれているという訳なのでしょうか。
(注8)劇場用パンフレットに掲載されているピーター・バラカン氏のエッセイ「ウィップ・ウィトカーの心情に寄り添うロック、ソウルの名曲」によれば、映画の冒頭で流れる曲は「アルコール」というタイトルだそうです。
(注9)いくら断酒していても、アルコール依存症の者が一口でも酒を口にしたら、目につく酒びんをすべて空にしてしまうという光景は、様々の映画で描かれていることでしょう。
本作では、随分と手が込んでいて、ウィトカーは、公聴会が開催されるホテルに宿泊するのですが、予め備えつけの冷蔵庫からはアルコールの類いは一掃されています。にもかかわらず、たまたま仕切りドアに鍵がかかっていなかったために、隣室にウィトカーが何気なく入ったところ、そこに置かれていた冷蔵庫にはたくさんの酒びんが置かれていたのです!
(注10)公聴会で、ウィトカーは、不時着した機体から酒が入っていたボトルが2本見つかったことに関し、同乗した客室乗務員カテリーナが飲んだと思うかと何度も尋ねられ、愛人のカテリーナの画像が彼の前のスクリーンに大写しになっていたこともあって、ついに真実を口にしてしまいます。
カテリーナはこの事故で死んでいるので、さらには、ウィトカーに関する検査報告を弁護士ヒューが潰してしまったことにもよって、一言「飲んだのはカトリーナだと思う」と言いさえすれば、ウィトカーは無罪放免となるにもかかわらず。
こうしてウィトカーが勇気を持って真実を証言したことによって、ウィトカーは一方で刑務所に入ることになるものの、他方で、彼から離れていたニコールや彼の息子などが、彼のもとに戻ってくるのです。
何もそんなにすべてをハッピーエンドに持って行かずともという感じながら、一つのお話としてそれもいた仕方がないのでしょう。
(注11)最近見たデンマーク映画『偽らざる者』においても、幼い女の子の吐いた嘘が大きな波紋を巻き起こします。
(注12)もう一つ上げるとすれば、機長ウィトカーの操縦能力によって、102名の乗客乗員のうち96名が救出されたにもかかわらず、そして飛行機の墜落の原因が機体の整備不良であることが明らかになったにもかかわらず、機長が飛行中にアルコールを飲んだ点が断罪され、刑務所行きになってしまったことかもしれません。
むろん、なにはともあれ酒気を帯びて飛行機を操縦すること自体は断罪されるのでしょうが(自動車の運転の場合でも、事故を引き起こさずとも、酒気帯び運転ということだけで処罰を受けますから)、この場合は特別ではないでしょうか?
なんだか、小さなマイナスの結果だけを拡大して捉えて、大きなプラスの結果の方は無視するような姿勢と思えてしまうのですが。
とはいえ、ウィトカーが飲むアルコールの量はただごとではなく、また、普通の場合だったら、酒気帯びで6名も死者が出たりしたら「無期懲役」だそうですから、5年ほどの刑期ということで特別な事情が考慮されたと考えるべきなのでしょう。
★★★☆☆
象のロケット:フライト
(1)本作は、予告編で、旅客機が上下さかさまになって飛ぶ(背面飛行)シーンが映し出され、いったいどんなわけでそんな曲芸を演じることになるのかという点に興味がひかれて映画館に出向きました。
映画は、デンゼル・ワシントン扮するベテランのパイロット・ウィトカーを巡るお話です。
彼は、アトランタ行きの飛行機に酷い睡眠不足状態で搭乗し(注1)、嵐の乱気流を見事突破してホッとするのもつかの間、今度はメカニッカルな問題(尾翼とエンジンにトラブルが発生)によって機体が制御不能となって、どんどん降下してしまいます。
そんな緊急事態を、長年の経験から培われた優れた操縦技術と勘とによって乗り越え、なんとか草原に不時着でき、犠牲者はわずか6名でした。
本来ならばウィトカーは英雄となるはず。
ですが、直後の検査でアルコールと覚醒剤(注2)が検出されてしまい、一転して窮地に立たされます。
果たして彼はこの窮地を脱することができるでしょうか、……?
本作の前半では、酷い乱気流を機の速力を一杯に引き上げて乗り切ったり、機体の降下を背面飛行(注3)することで食い止めたりするなど、大変緊迫感のあるシーンが続き、後半になると、一転して、窮地に追い詰められた機長のウィトカーが苦悩する様が描かれており、全体としてまずまずの仕上がりとなっています。
主演のデンゼル・ワシントンは、最近では『デンジャラス・ラン』で見ましたが、本作の運輸安全委員会公聴会において証言するシーンは、さすがオスカーを2つも獲得しているだけの凄い演技だなと思いました。
本作にはほかに、ウィトカー側の弁護士・ヒュー役にドン・チードル(注4)が出演しています。
また、事故後入院した病院でウィトカーが出会う麻薬中毒のニコールに扮するケリー・ライリー(注5)なども出演しています。
(2)本作は、クマネズミにとってやや違和感を持つところがありました。
一つは、以前だったら白人が占めている位置に黒人が実にすんなりと嵌まっていて、アメリカにおける人種問題などどこ吹く風といった感じなのです。
すなわち、黒人機長のウィトカーの下には、白人の副操縦士が入っていますし、またウィトカー側の弁護士として黒人のヒューが就きます。
最早、大統領が黒人の時代なのですから、こんな姿は、運輸安全委員会調査班のリーダーが女性であるのが当然であるように(日本だったら当たり前とは言えませんが)、米国ではごく普通のことなのでしょう。
もう一つは、なんだかコカインが自然の感じで登場することです。
すなわち、運輸安全委員会公聴会の当日、泥酔状態のウィトカーを立ち直らせるべく、彼の親友ハーリン(ジョン・グッドマン:注6)が呼ばれますが、ハーリンが鞄から取り出すのがコカイン。
パイロット組合幹事のチャーリーらの前で、これを鼻から吸引すると、見る間にウィトカーは蘇ります。
こんな映像を見ると、コカインが米国では厳しく規制されていないのかと疑ってしまうところ、そんなことはないはずです。
でも、ウィトカーについては、アルコール依存症が大きく取り上げられるものの、コカイン中毒の方は殆ど問題視されません(注7)。
(3)そんなこんなで、本作は、アルコール依存症の恐ろしさを訴えた作品と言えるかもしれません。とにかく主人公のウィトカーは、強いウオッカをあちこちで飲みまくります(注8)。
でもそれくらいでは、洋画はさることながら、邦画でも『酔いがさめたら、うちに帰ろう。』などで描かれているように、ありきたりすぎます(注9)。
それに、ウィトカーが搭乗する飛行機が墜落するのは、ウィトカーがアルコールのせいで操縦を誤ったからではなく、むしろ彼の類い希なる腕で大部分の乗客は助かるのですから、アルコール依存症の怖さを訴えるにしてはおかしな感じがしてしまいます。
そこで、ジョージ・ワシントンの桜ではありませんが、本作では、“嘘をつかないという英雄的行為”、“正直であることの大切さ”が描き出されているとも見ることができます(注10)。でも、それもありきたりではないでしょうか(注11)。
むしろ本作は、飛行機が草原に不時着するまでの緊迫する機内の様子を生き生きと描き出した前半が見どころではないか、とも思えるところです(注12)。
(4)渡まち子氏は、「奇跡の不時着でヒーローになった男の真実の姿を描く人間ドラマ「フライト」。パニックから法廷、そして人間の心の闇と、ストーリーは意外なルートをたどる」として75点をつけています。
また、前田有一氏も、「デンゼル・ワシントンも相変わらず文句のつけようのな演技をしており、とくに終盤、神に力を与えてくれと思わずつぶやいてからのシークエンスには圧倒される。共感度100パーセントの、見事な場面である」などとして80点をつけています。
(注1)ウィトカーは、客室乗務員のカテリーナと、搭乗直前までホテルで一緒に過ごし、セックスしたり酒を飲んだりしていました。
(注2)酷い睡眠不足状態だったために、目を覚ますべく、ウィトカーは搭乗前にコカインを吸っていました。
(注3)背面飛行については、こちらの記事を参照。
(注4)ドン・チードルは、 『クロッシング』における捜査官タンゴの役が印象に残っています。
(注5)ケリー・ライリーは、『シャーロック・ホームズ』でワトスンの婚約者の役を演じていました。
(注6)ジョン・グッドマンは、最近では、『アルゴ』と『人生の特等席』が印象に残ります。
(注7)あるいは、ウィトカーと病院で親しくなるニコールが麻薬中毒患者であることで、その点は描かれているという訳なのでしょうか。
(注8)劇場用パンフレットに掲載されているピーター・バラカン氏のエッセイ「ウィップ・ウィトカーの心情に寄り添うロック、ソウルの名曲」によれば、映画の冒頭で流れる曲は「アルコール」というタイトルだそうです。
(注9)いくら断酒していても、アルコール依存症の者が一口でも酒を口にしたら、目につく酒びんをすべて空にしてしまうという光景は、様々の映画で描かれていることでしょう。
本作では、随分と手が込んでいて、ウィトカーは、公聴会が開催されるホテルに宿泊するのですが、予め備えつけの冷蔵庫からはアルコールの類いは一掃されています。にもかかわらず、たまたま仕切りドアに鍵がかかっていなかったために、隣室にウィトカーが何気なく入ったところ、そこに置かれていた冷蔵庫にはたくさんの酒びんが置かれていたのです!
(注10)公聴会で、ウィトカーは、不時着した機体から酒が入っていたボトルが2本見つかったことに関し、同乗した客室乗務員カテリーナが飲んだと思うかと何度も尋ねられ、愛人のカテリーナの画像が彼の前のスクリーンに大写しになっていたこともあって、ついに真実を口にしてしまいます。
カテリーナはこの事故で死んでいるので、さらには、ウィトカーに関する検査報告を弁護士ヒューが潰してしまったことにもよって、一言「飲んだのはカトリーナだと思う」と言いさえすれば、ウィトカーは無罪放免となるにもかかわらず。
こうしてウィトカーが勇気を持って真実を証言したことによって、ウィトカーは一方で刑務所に入ることになるものの、他方で、彼から離れていたニコールや彼の息子などが、彼のもとに戻ってくるのです。
何もそんなにすべてをハッピーエンドに持って行かずともという感じながら、一つのお話としてそれもいた仕方がないのでしょう。
(注11)最近見たデンマーク映画『偽らざる者』においても、幼い女の子の吐いた嘘が大きな波紋を巻き起こします。
(注12)もう一つ上げるとすれば、機長ウィトカーの操縦能力によって、102名の乗客乗員のうち96名が救出されたにもかかわらず、そして飛行機の墜落の原因が機体の整備不良であることが明らかになったにもかかわらず、機長が飛行中にアルコールを飲んだ点が断罪され、刑務所行きになってしまったことかもしれません。
むろん、なにはともあれ酒気を帯びて飛行機を操縦すること自体は断罪されるのでしょうが(自動車の運転の場合でも、事故を引き起こさずとも、酒気帯び運転ということだけで処罰を受けますから)、この場合は特別ではないでしょうか?
なんだか、小さなマイナスの結果だけを拡大して捉えて、大きなプラスの結果の方は無視するような姿勢と思えてしまうのですが。
とはいえ、ウィトカーが飲むアルコールの量はただごとではなく、また、普通の場合だったら、酒気帯びで6名も死者が出たりしたら「無期懲役」だそうですから、5年ほどの刑期ということで特別な事情が考慮されたと考えるべきなのでしょう。
★★★☆☆
象のロケット:フライト
おっしゃるように、映画で描かれていた限りでは、ウィトカーは、コカインを「常用」していたという意味での「中毒」状態であり、「それ自体が目的となり手に入れるためなら犯罪でも何でもやり、まともな社会生活が送れない状態にまで陥ること」という意味での「中毒」までは至っていないようにも思われます。
ただ、ウィトカーは機長として高額の報酬を得ていたりするために(親友ハーリンもいますし)、コカインをいつでもすきなだけ自由に入手することができ、その結果、外見的には「手に入れるためなら犯罪でも何でもやり、まともな社会生活が送れない状態」にまで至っていないのではと思われます。
とくに、「過去何十年も覚醒剤としてコカインを使用していた」とするならば、シャーロック・ホームズに忠告するワトスンではありませんが(なにかその辺を題材にした映画もあるそうですが)、精神的にはすでに危険な領域に入り込んでいたのではないかとも思われます(既にそうなっていたにもかかわらず、映画では上手く描かれなかったのかもしれません!)。
ウィトカーが“常用”していたのは事実ですがカテリーナなど一部を除き同僚などは知らなかった可能性すらある。なぜなら弁護士が用意した公聴会での模範答弁を見もせず(酒に対する)嘘なら任せておけとばかりに自信満々で言う。つまり過去何十年も覚醒剤としてコカインを使用していたかもしれないが立派に仕事をこなす優秀なパイロットであったことは間違いなくコカインに“溺れる”という意味での中毒ではあり得ない。
一般的に言う病的な中毒とは辞書と違い酒であれドラッグであれ、それ自体が目的となり手に入れるためなら犯罪でも何でもやり、まともな社会生活が送れない状態にまで陥ることを意味するように思う。
ただ“やめられない”という意味では例えば僕が映画中毒であることも間違いなく現在は家庭の事情で年間200本にも届かないが多い年は500本以上(劇場で)見ていた。
タバコも30年以上吸っているが実は1日数本で、切れても面倒だから徒歩1分のコンビニに買いに行くこともせず次に出かけるまで数日吸わないこともある。しかし、やめられない(やめる気がない)という意味ではニコチン中毒と言えるかもしれない。
それより社内聴取の場所が野球場のVIPルーム(ニューオリンズ、スーパードームのVIPルームを見学くしたことがある)で、オーナーが“野球の方がいい”と倒産すら気にしていないのが面白かった。
アルコール依存症の人がそこから離脱するためには、「節酒」ではだめで、「完全断酒」しかないとはよく言われます。
ウィトカーも、刑務所に入っている時は酒を飲まないでしょうが、出所後の厳しい状況の下では、よほどのことがなければ、おっしゃるように、スグに元に戻ってしまうことでしょう。
なお、ウィトカーのコカインですが、墜落した飛行機に搭乗する朝にもコカインを吸引していましたから、いつも手元に持ち歩いていたものと思います。そして、あれだけのアルコール依存症ですから、これまでも飛行機に搭乗するたびごとに吸引していたのではと想像され、従って中毒になってしまっているのではないかと思います(ハーリンが持ってくるのは、隔離されていて手元にコカインが見当たらない場合なのではないでしょうか)。
それはともかく、日本だったら麻薬取締法違反の方がより問題視されると思われるところ、本作では、むしろアルコールのことが重大視されているのに違和感を持ちました。
また、書き間違いのご指摘、誠にありがとうございます。早速訂正いたしました。
いつもつまらないことばかり書き並べていますが、映
画を見終わった後こんな事をしてみるのも、また遊び
として面白いと思いますよ。
言うまでもなく僕はアル中でも薬中でもないので、心理状態や症状を正しく認識できないが、どの程度の確率で脱出できるのか気になる。『クリスチーヌF』という映画で、あれだけつらい禁断症状に耐えリハビリに成功したんだから“これぐらいなら大丈夫”とまたしても手を出してしまう(この映画でもそうだが)。つまりほとんどの人は永久に脱出できないのではないかと悲観的に考えるので映画ではハッピー・エンドだが、彼は出所後またアルコールに手を出すとしか思えない。
映画でも一度はすべてのアルコールを処分(つまり禁酒に成功していた)したのに、結局戻ってしまう。
しかしウィトカーはニコールと違いアルコール依存症ではあってもコカイン中毒ではないと思います。泥酔状態から一気に正常(?)な状態に戻る、まさに“覚醒剤”として効果的だから仕事のために過去に何度もハーリンの世話になっているだけではないかと。
ただ映画を見ていてコカインがあんなに効果的なら使ってみようかと思う人が増えないか、とまるでコカイン礼賛のように思えた(大昔知っていた映画や舞台に出たこともあるアイリッシュのダンサーの女性も色々試したがコカインが一番よかったとは言っていた)。
どうでもいいが病院の階段でタバコを吸っているときガンの男は地階から点滴のスタンドを持って3階まで上ってくる。もし人がいなかったら6階まででも上がるんだろうか…
また関係ないがジョン・グッドマンが登場する3回にストーンズの2曲が流れたが最後の1回だけ使わなかったのに意味はあるのか?
老婆心ながらピーター・バカランは書き間違いです。
こんにちは。
トラックバックありがとうございます。
クマネズミさんは、掘り下げていろいろと書かれているので、「なるほどそういうことだったのか。」と感心しております。
クマネズミも、飛行機が教会の屋根を破壊したり、草原で宗教活動をしている信者のスグ近くに不時着するなど、最初の内はすごくアンチ・キリストなのかなと思ったりしたのですが、副操縦士がウィトカーに病床で言うこととか、ラストシーンなどを見ると、全体としては随分と旧道徳寄りの描き方がされているなという感じです。