映画的・絵画的・音楽的

映画を見た後にネタバレOKで映画を、展覧会を見たら絵画を、など様々のことについて気楽に話しましょう。

「NO MAN’S LAND」展

2010年01月28日 | 美術(10年)
 広尾の在日フランス大使館では、昨年末、旧庁舎と同じ敷地内に新庁舎が完成し、それに伴い旧庁舎は取り壊されるところ、解体前に「NO MAN’S LAND 創造と破壊」展と銘打った展覧会が開催されています。普段は一般人が入ることのできない建物に対する興味もあって、チョットのぞきに行ってきました。

(1)建物について
 旧庁舎の本館は、1957年、ジョゼフ・ベルモンの設計で作られ(場所は、南麻布の徳川伯爵の所有地だったところ)、外壁を全面窓にするなどなかなかモダンな感じです。
 大使館入口のゲートから入って暫く先の正面に本館があり、本館へ行く途中の左手には別館が建っています。

①本館玄関には、ヤヤ盛り土をして半円形の車道が設けられています。玄関のある建物部分は2階建で、その奥に4階建の事務棟があります〔玄関部の屋上は緑地になっています〕。



②玄関の右脇には、奥の日本庭園などに通じる階段が付いています。



③玄関を入って進むと中庭で、その左サイドに事務棟に繋がる通路が見えます。



④本館に向かって左側には、1960年代に作られた別館があります。




(2)展覧会について
 以上の旧庁舎は取り壊され、その後には集合住宅が建設されるとのことです。解体工事が開始されるまでの2ヶ月間を使って、今回の展覧会が旧庁舎内で開催されています(2月18日まで)。
 参加しているのは日本とフランスの若いアーチストで、ジャンルも、ヴィジュアル・アートからファッション、デザイン、建築など様々です。

①この展覧会は、大使館入口の手前から始まっています。



②館内に入ると、廊下の壁もペインティングされています。



③階段も表現の場です。



④各部屋には、様々な作品が展示されています。
 
イ)上から無数のコードが垂れ下がっています。



ロ)部屋中ゴミがぶちまけられています。



ハ)単に床に小石が並べられているだけ。



ニ)部屋の壁のボールペンが突き立てられています。



 以上の写真は、私がデジカメで撮影したものに過ぎません。もっときちんとした画像をご覧になりたい方は、たとえばこのブログをご覧ください。

(3)感想
 建物は、建設されてから50年以上も経っているためでしょう、汚れがひどく相当傷んでもいます。
 そんな建物の中を、今回は、トイレに至るまで、隅から隅までのぞき見ることが出来、ある意味で画期的と言えるでしょう。
 ただ、建物のどこがどのように使われていたのか門外漢にはまったくわからないため、普通は入れない大使館の中に入ったという感激はあまり湧いてきませんでした。これが、各部屋ごとに、たとえば「大使執務室」、「大使応接室」、「会議室」、「書記官室」等々と札が下げられていて、大使館としての使用状況が部外者にもわかるようになっていれば、言うことなしなのですが。

 展覧会の方は、実にたくさんの現代アートの作品が所狭しと展示されており、かつまたそれぞれかなり力作でもあり、全体としてみればなかなか見ごたえがありました。
 とはいえ、現代作品には、総じて、ポップ・アート系のもの、インスタレーション、あるいは映像(ビデオか写真)を使ったものが多い、という一般的な傾向はここでも窺え、それがこうも数多く一度に展示されると、それぞれが本来持っていたはずのインパクトが薄れてしまうのではないか、とも思えてきました。
 いずれにしても、大部分の作品は、展覧会期間が終了すれば廃棄される運命にあって、芸術としたら実にはかない命しか持っていないのだな、と思いました。