映画的・絵画的・音楽的

映画を見た後にネタバレOKで映画を、展覧会を見たら絵画を、など様々のことについて気楽に話しましょう。

私の中のあなた

2009年10月31日 | 洋画(09年)
 「私の中のあなた」を有楽町の「TOHO シネマズ 日劇」に行って見てきました。

 予告編からすれば、お定まりの感動もの(若い子が不治の病で死を迎えるというよくあるストーリー)だからわざわざ見ても仕方ないのではと思っていましたが、何かと評判がいいので映画館に足を運んでしまいました。

 実際のところ、やっぱりこうした映画こそ、うるさいことは何も言わずに、“おすぎ”のように、「姉ケイトの苦悩、家族というもの…愛というもの…死というもの…をラスト30分、号泣し、スクリーンが見えにくい状態で考えさせられました」と言ってみたり、前田有一氏(85点)のように「ぜひ大切な人とともに見て、生と死について議論をかわしていただきたい。そういう楽しみ方が、一番適している」と格好よく言ってしまうかすればいいのでしょう。

 ですから、福本次郎氏(50点)の、「家族の意見の食い違いを表現するのに、やたらと現在と過去を混在させる編集法は、見ていて混乱するだけ。せっかくサラが頭を丸めたのだから、彼女の髪の伸び具合で時間の経過を示すくらいの親切さがほしい」といった意見は、ピントが外れていて、なくもがなということになります。

 結局の所、私も大変感動しましたが、でもそれだけでは、せっかく見たのに詰まりません。
 少しコメントすれば、
・白血病に罹っている姉のケイトについて、映画「ちゃんと伝える」とは全く違って、厳しい症状の場面が繰り返し描き出されます。こうしたシーンがきちんと描かれているからこそ、海岸に行きたいとのケイトの願いを家族全員の協力で実現させたときの場面が非常に感動的になります。
・母親役のキャメロン・ディアスは、自分の髪の毛を剃って丸坊主になる場面まで設けて、この映画に全力投入していて感動的です。
・妹のアンを演じるアビゲイル・ブレスリンは、「リトル・ミス・サンシャイン」とか「幸せの1ページ」でお馴染みですが、可愛らしさの中に大人びたものも感じさせ、その演技に唸らされます。
・ただ、いま少しわからないのは、妹アナは、白血病の姉を救うべく試験管ベービーとしてもうけられたにしても(SF的な設定になっています)、その事実をなぜ本人が知っているのか、という点です。両親や医者が口を閉ざしてさえいれば、本人は自分が生まれるにいたった経緯など分からないのではないかと思われます。
それが、この映画では、妹のアナはその事情をよく承知しているばかりか、これまでの自分に加えられた治療行為を証明する書類まで持って弁護士のところに行くのですから、いくらSF的な設定がとられているとはいえ、余り説得的ではないように思われます。


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