孤帆の遠影碧空に尽き

年に3回ほどアジアの国を中心に旅行、それが時間の流れに刻む印となっています。そんな私の思うこといろいろ。

ケニア、ジンバブエ  大統領選挙めぐる動き 民主主義の形としての選挙は行われるものの

2013-03-18 23:56:18 | アフリカ
9日に日本を発ったネパール旅行を終えて、今日帰国しました。
下記の内容は16日にカトマンズで書いたものですが、停電のためアップできず、17日に宿泊した中国・昆明ではネット接続はできているのにエクスプローラが開かず、18日は上海・福岡・鹿児島と移動のためアップの機会がなく・・・・という訳で、更新が延び延びになっていたものです。結局、鹿児島の自宅からの更新になりました。
(そんな訳で内容的には古くなっているかも)

ケニア:選挙結果について最高裁に異議申し立て
アフリカの選挙をめぐる話題が2件。
最初はケニア。ケニアでは今月4日に大統領選挙が行われ、現大統領の後継者であるケニヤッタ副首相が得票率約50%で、野党候補のオディンガ首相の46%を僅差で抑えて勝利しました。

約50%(正確には50.0いくらという小数点第2位で50%を超えた数字だったと思います。現在カトマンズは停電中でネット検索ができませんので)というのが微妙なところです。
50%を切っていれば上位2名の決戦投票になるところで、選挙前は決戦投票にもつれるのではないかと見られていました。

2007年の前回大統領選では、再選を目指すキバキ元大統領と野党オディンガ氏が激しく争い、選挙結果をめぐって流血の部族間抗争が起き、1100人以上が死亡、60万人以上が避難生活を余儀なくされつという大混乱に陥いりました。最終的に新たに首相ポストを設け、キバキ氏が大統領にオディンガ氏が首相に就任して権限を分担する形で落ち着きましたが、オディンガ首相は勝利を盗まれたと主張しています。

オディンガ首相としては、50%というきわどい数字(無効票の再チェックを行えば容易にくつがえる可能性がある数字です)で再び大統領選勝利を阻まれた形で、納得していません。

****ケニア大統領選:結果に異議申し立て…次点の首相陣営****
東アフリカ・ケニアの大統領選でケニヤッタ副首相(51)の当選が発表された開票結果について、次点のオディンガ首相(68)の陣営が16日、最高裁に異議申し立てをした。2週間以内に裁定が下る見込み。選挙結果が無効となれば、その後60日以内に再選挙が行われる。

ロイター通信によると、異議申し立てに伴い、オディンガ氏の支持者ら約100人が最高裁周辺に集結。警官隊が解散させるため催涙ガス弾を発射した。

ケニアでは07年の前回大統領選で、当初オディンガ氏の大差リードが伝えられたが、キバキ氏(現大統領)の当選が発表された。オディンガ氏の出身民族ルオ人がキバキ氏の出身民族キクユ人を襲撃するなどして、全国で1000人以上が犠牲となった。【3月16日 毎日】
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なお、ケニヤッタ副首相とウィリアム・ルト副大統領候補は前回選挙における混乱を主導したとして国際刑事裁判所(ICC)に提訴されており、ケニヤッタ氏が勝利した場合には、大統領就任後も裁判で長時間拘束される可能性があるとも報じられています。

最高裁判断で決着がつけば幸いですが、両候補の対立は出身部族を背景にしており、部族間の流血の争いになる可能性があり懸念されています。
ケニアは資源に依存した経済構造が多いアフリカ諸国にあって、バランスのとれた経済発展を実現している“優等生”ですが、そのケニアしてこの政治混乱・・・・といったところです。それとも、政治は混乱しても経済は着実と評価すべきでしょうか。

ジンバブエ:次期選挙に向けて新憲法国民投票
もうひとつの話題はジンバブエ。
ムガベ大統領のもとで経済崩壊したジンバブエも前回大統領選挙で大混乱に陥りました。
第1回投票では野党候補のツァンギライ氏がリードしましたが、ムガベ陣営の暴力によって決戦投票辞退を余儀なくされ、国際的な調停もあって、ムガベ氏を大統領、ツァンギライ氏を新設ポストの首相とするケニア方式でなんとか決着しました。
そのジンバブエで次期大統領選挙に向けた動きです。

****ジンバブエ:新憲法めぐり国民投票****
アフリカ南部ジンバブエで16日、新憲法案の是非を問う国民投票が行われた。賛成多数で承認される見通し。新憲法下で行われる予定だった次期大統領選・議会選の実施に道筋がつくことになる。
新憲法案では大統領権限が縮小され、大統領任期が最長で2期10年に制限される。選挙は今年7月実施説が浮上している。【3月16日 毎日】
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次回はムガベ大統領は出馬しないでしょうが、ツァンギライ氏側有利の情勢になったとき、既得権益層がこれを黙って許すか・・・・懸念されます。

選挙が既得権益をめぐる争いとなるのはアフリカ諸国に限った話ではありませんが、選挙という民主主義の形をとりながらも、民主主義の実情が伴わないケースがアフリカで多いのも事実であり、残念なことです。
コメント
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