孤帆の遠影碧空に尽き

年に3回ほどアジアの国を中心に旅行、それが時間の流れに刻む印となっています。そんな私の思うこといろいろ。

南スーダン、牛争いから大量虐殺 アフリカで繰り返される虐殺

2012-01-07 21:25:03 | スーダン

(今回事件が起きた南スーダン東部ジョングレイ州ピボル 昨年5月 予防接種のために牛を集める住民 この男性も虐殺の犠牲になったかも・・・・“flickr”より By CICR en Español  http://www.flickr.com/photos/cicr-espaniol/5729816359/ )

女性と子ども2182人、男性959人
なんとも気が重くなるニュースです。
南スーダンで、牛を巡る争いから民族間の衝突があり、これまでに3141人の遺体が確認されているとのことです。

****南スーダン、民族衝突の死者3000人を超える 独立後で最悪の衝突に*****
南スーダン東部ジョングレイ州ピボル郡で前週、家畜をめぐる争いを機に起きた大規模な民族衝突は、死者が3000人を超え、数万人が避難を強いられる事態となっている。

ピボルでは前週、ロウ・ヌエル民族の武装集団6000人余りが、牛を強奪されたとの理由で、以前から敵対していたムルレ民族が住むピボルを襲撃。政府軍が応戦するまで、わらぶき屋根の住居に火を放ったり、病院の略奪などを続けた。これが発端となって、両民族間の大規模衝突に発展した。
ジョシュア・コニイ郡政委員は6日、ピボルでは大量殺害が行われており、これまでに計3141人の遺体を確認したことを明らかにした。内訳は女性と子ども2182人、男性959人だという。

国連(UN)と南スーダン軍では、まだ犠牲者の数を確認できていないが、遠隔地ピボルでの犠牲者数を独自に確認することは難しい。だが、犠牲者数が3141人と確定されれば、昨年7月に南スーダンが分離・独立を達成して以来、最悪の民族衝突となる。
コニイ氏によると、1000人以上の子どもたちが行方不明となっており、ロウ・ヌエル側に拉致された恐れが出ている。このほかにも、牛数万匹が強奪されたという。【1月6日 AFP】
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この事件に関する報道で最初に目にしたのは、1月1日の下記報道でした。
****中部の町で国連部隊増強=民族対立が緊迫化―南スーダン****
AFP通信によると、南スーダン担当の国連高官は31日、中部の町ピボルにここ数日、PKO部隊を集め、兵力を増強していることを確認した。
ピボルがあるジョングレイ州では民族対立が緊迫化、民兵6000人が対立する一方の民族の住民をピボルに追い込んでいる。ピボルからの住民脱出も続き、混乱の中、避難民は数千人と推定される。高官は「30日時点でピボルに食料はない」と訴えた。国連は31日、食料の空輸を始めた。【1月1日 時事】 
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年明け早々、いやなニュースだとは思いましたが、死者に関する記述もなく、PKO部隊が対応しているような記載でしたので、こんなことになるとは思ってもいませんでした。
この時点ですでに虐殺行為がなされていて、PKO部隊は間に合わなかったということでしょうか?

1月4日報道でも“この衝突による避難民は、国連の推計で2万人以上にのぼった。避難した女性や子供、最大で150人が殺害されたとの未確認情報もある” 【1月4日 AFP】とのことでしたが・・・・。
犠牲者数については確定したものではなく、3141人から、今後更に増加する可能性もあります。
3000人以上の者が殺される場面というのは、想像もできません。

ゴリラが殺されたらニュースになるが・・・・
この事件で感じたことはふたつ。
ひとつは、3141人もの犠牲者を出した“大量虐殺”“ジェサイド”にもかかわらず、報道での扱いが非常に小さいことです。

アメリカの9.11の犠牲者数は2973人とも言われています。
犠牲者の数の大小が問題ではないというのはわかりますが、9.11ではアメリカ国内ではこの世の終わりのような衝撃が走り、全世界も震撼し、アフガニスタンでの戦争の引き金にもなりました。
一方で、スーダンで同規模の“大量虐殺”が行われても、一片の簡単な報道があるかないか・・・の程度です。

昨年話題になった小説「ジェサイド」(高野和明著)は、アフリカ・コンゴを舞台にしたものでしたが、そのなかで、「コンゴではこんな大量殺戮(ジェノサイド)が起きているのに、日本で報じられるのは絶滅危惧種のゴリラが殺されたニュースだ」といった類の記述がありました。
実際、もしゴリラが100頭も殺されたら、スーダンの事件よりはるかに大きな扱いのニュースになるでしょう。
ニュースというのは「犬が人に噛みついても・・・・」といったものだとは言え、納得できないものが残ります。

定着しない基本ルール「汝殺すなかれ」】
事件で感じたふたつ目は、アフリカでは「犬が人に噛みつく」ように、どうしてこんな虐殺が頻発するのか?ということです。
ルワンダでは50~100万人と言われる大虐殺が起きたことは比較的知られていますが、その余波でコンゴで起きた“第1次アフリカ大戦”とも呼ばれる周辺国を巻き込んだ紛争では、98年からの10年間で戦闘や病気、飢餓などで犠牲になった人は約540万人とも言われています。

今回事件と同じスーダンのダルフール紛争では、200万人の死者、400万人の家を追われた者、60万人の難民が発生しているとされ、今もなお継続中です。
そのほか、映画「ブラッド・ダイヤモンド」の舞台であるシエラレオネの内戦、今もウガンダやコンゴで活動を続ける“神の抵抗軍”による殺戮、ナイジェリアの南北宗教対立による衝突・・・・今の日本では想像できない殺戮がアフリカ各地で起きています。

「命の重さ」が日本や欧米とアフリカでは全く異なる現実があります。
アフリカ連盟によってシリアに派遣された監視団の団長であるスーダン人のムスタファ・ダービ氏は、ホムスで「恐るべきものは見なかった」などと発言し物議を醸していますが、ひょっとしたら政治的な思惑などはなく、ダルフールでの大量殺害事件への関与が疑われている同氏の目からすれば、せいぜい何十人単位のシリアでの犠牲者は“恐るべきもの”としては映らなかった・・・ということかも。

こうしたアフリカの現状を、人種的差異として考える見方もあります。
まるでチンパンジーの争いのような、繰り返される虐殺・・・。

私自身は、人種的な差異ではなく、教育などの社会環境、生きることすら難しくする劣悪な経済事情、あるいは過去の植民地支配によってそうした問題が助長されてきたことなどによるものとは考えていますが、「汝殺すなかれ」という人間社会の基本ルールがいまだに定着しない現状に、暗澹たる気持ちになることも事実です。

もちろん、こうした暗い面だけがアフリカではなく、経済発展で社会が変化しているのもまたアフリカの一面であるのは言うまでもないことではありますが。
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