孤帆の遠影碧空に尽き

年に3回ほどアジアの国を中心に旅行、それが時間の流れに刻む印となっています。そんな私の思うこといろいろ。

世界人口80億人突破という一方で、男性の「精子数減少」の報告も

2022-11-18 22:20:36 | 人口問題

【人口80億時代  評価すべき面の他、懸念される面も】
15日報道によると、世界人口は80億人を突破したようです。増加の中心はアフリカ・インド。
来年にはインドは中国を抜くとも。

****世界の人口 80億人突破へ インドやアフリカなどで増加が顕著に****
国連によりますと、世界の人口が15日、80億人を突破します。人口の増加はインドやアフリカ諸国などで著しく、来年にはインドが中国を抜いて世界で最も人口が多くなるとみられています。

世界の人口は、平均寿命の伸びや母子の死亡率の低下を背景に増加を続けていて、この12年でおよそ10億人増え、国連は15日、80億人を突破するとしています。(中略)

また、今後2050年までに増える世界の人口の半数以上は、アフリカのサハラ砂漠以南の国々になる見通しだということです。

一方で日本を含む61の国や地域では、出生率の低下などから2050年までにそれぞれ人口が1%以上減少すると、予測されています。

世界全体の人口増加のペースも徐々に鈍っていて、2080年代におよそ104億人のピークを迎えたあとは、減少に転じる可能性があるとみられています。

国連の経済社会局は、人口が急速に増加している国では若者の教育や就労機会の確保が必要だとする一方、人口の増加が見込めない国では少子高齢化などに備える必要があると指摘しています。

2050年までに人口が大幅に増加するのは8か国
国連は、今後2050年までに人口が大幅に増加する国として、インド、ナイジェリア、パキスタン、コンゴ民主共和国、エチオピア、エジプト、フィリピン、タンザニアの8か国をあげています。

こうした国々で大幅な人口の増加が見込まれる要因として、国連は平均寿命が伸びる一方で、乳幼児などの死亡率が低下していることをあげています。

一方で急速な人口の増加や高い出生率が続くことについて、国連の経済社会局は、子どもたちへの教育が追いつかず、社会の発展を妨げるおそれがあるとしています。

そのうえで、ジェンダーの平等などを推進することで、高すぎる出生率をより安定したレベルに移行させることが可能になるとしています。

インドの人口増加の背景は
インドの現在の人口はおよそ14億人。政府は1950年代以降、人口を抑制するため、夫婦の子どもを2人までとすることなどを目標にした政策を展開し、避妊手術なども行われましたが、現在は国としての厳格な制限はありません。

人口は最近毎年1%増えていて、背景の1つには衛生環境の改善などによる乳幼児の死亡率の低下があるとみられています。政府の統計によりますと、乳幼児が亡くなる割合は2000年には1000人当たり68人でしたが、2020年には28人へと大幅に減っています。

それに加えて、高い経済成長が続く中、平均寿命も1970年代前半には49.7歳だったのが、2000年代後半には69.7歳へと、20年も長くなっています。

人口構成も、これから子どもを持つことが想定される若年層の割合が高い「釣り鐘型」になっていることなどから、当面は人口の増加が続くとみられていて、2050年には16億人を超えるという推計も出ています。

2050年までには4人に1人がアフリカの人々と予測
人口増加の波はアフリカにも押し寄せていて、国連によりますと2022年のアフリカの人口は14億人余りと、世界全体のおよそ18%ですが、2050年までには24億人を超え、世界の人口の4人に1人がアフリカの人々になると予測されています。

人口急増の背景にあるのが高い出生率で、国連のデータによりますと、サハラ砂漠以南の国々では1人の女性が一生のうちに産む子どもの数の指標は平均して4.5となっていて、世界平均の2.3を大きく上回っています。

さらに、アフリカでは人口が増加するだけでなく、平均年齢も世界全体と比較して若いのが特徴で、市場としての魅力も高く、世界から注目されています。

近年はインターネットの普及を背景に、保健医療や物流、農業などこれまで課題を抱えていた分野で新たなサービスを生み出す現地のスタートアップ企業も多く生まれていることから、世界から投資が集まっていて、日本も官民をあげて投資を増やす動きを活発化させています。

一方で、増え続ける人口に教育や雇用が追いつかず、格差の拡大も大きな問題となっているほか、貧困や飢餓が深刻さを増している国もあり、アフリカの人口問題は世界が取り組むべき課題になっています。

国連機関 声明 ”格差や不平等の解消が重要”
世界の人口が80億人に達することについて、国連人口基金などの国連の機関が共同で声明を発表しました。

声明では、人口増加の背景となっている世界の衛生状況の改善や乳幼児死亡率の低下などを歓迎する一方で、「急激な人口の増加は、貧困、飢餓、栄養失調との闘いや、保健サービスや教育の普及を難しくする」と、人口増加によって生じる課題もあげています。

そのうえで「保健、教育、ジェンダー平等の推進などのSDGs=持続可能な開発目標の達成は、世界人口の増加のペースを遅らせる」として、改めて格差や不平等の解消が重要になると指摘しています。

また「人口増加は世界の最も貧しい国に集中していて、そのほとんどがサハラ以南のアフリカの国々だ。すべての国が、人口の増減にかかわらず国民が質の高い生活を送れるようにするとともに、最も弱い立場の人に配慮しなければならない」として、国際社会が協力して取り組まなければならないと強調しました。

国連人口基金「人口の増減のデータに基づいた政策を」
世界の人口が80億人を突破することについて、日本を訪れていたUNFPA=国連人口基金のコミュニケーション・戦略的パートナーシップ局のイアン・マクファーレン局長はNHKのインタビューに対し「人々が長生きし、女性が出産で命を落とすことが減ったことを、まずは祝福すべきだ。一方で、環境への負荷など世界への影響を懸念する声もあがるだろう」と述べました。

そのうえで、食料不足や格差拡大への懸念については「人口の増減について状況を正確に把握するとともに、人々が平等にサービスを享受でき、社会に貢献できるような法的枠組みも必要だ」と述べ、各国が取り組む課題や責任も生じるとして、人口の増減のデータに基づいた政策を進める必要性を指摘しました。

また「出生率が最も高い国の1つのニジェールでは、女性1人当たりから7人近くの子どもが生まれていて、多くの場合、女性はこれほど多くの子どもを望んでいない」と述べたうえで「女性や少女が保健サービスや避妊方法へのアクセスを保証され、結婚や出産について自分の意思で決める環境をつくることが変化をもたらす」として、女性に教育や選択肢を提供する重要性を強調しました。【11月15日 NHK】
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人口増加を可能にした諸条件・環境の改善という喜ぶべき側面と、急激な人口増加がもたらす貧困、飢餓、栄養失調などの深刻化、教育・雇用機会の不足への不安、女性の権利・教育が十分でなく意図せざる妊娠・出産で増えている側面・・・評価すべき側面と懸念すべき側面の両方が考えられる現実です。

国連報告書は温暖化や食糧不足への懸念も指摘しています。

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国連は報告書で人口の急速な増加が「地球温暖化や気候変動など様々な環境劣化を引き起こしている」と指摘し、「化石燃料への過度の依存から脱却する必要がある」と警鐘を鳴らした。

化石燃料の使用などによる二酸化炭素(CO2)の排出量は過去半世紀で倍増した一方、1990年以降、日本の国土の11倍超にあたる面積の森林が消失した。

温暖化の影響として「小さな島国が海面上昇の危機に直面している」と指摘。南太平洋の島国ツバルのナタノ首相は8日、エジプトで開催中の国連気候変動枠組み条約第27回締約国会議(COP27)で「温暖化する海が我々の土地をのみ込み始めている」と訴え、各国に化石燃料の廃止を求めた。

海面は今世紀末で最大55センチ上昇するとの予測もある。平均海抜約2メートルのツバルでは国土消失の危機に直面している。インド洋の島国モルディブも国土の大半が水没する恐れがあり、人工島への住民移住を進めている。

食糧不足
食糧問題も深刻な課題だ。報告書は「人口の増加が見込まれる多くの国が低所得国だ」と指摘し、「飢餓」が増える可能性を指摘した。特にアフリカは、現在の約13億人から約25億人に倍増すると予測される。アフリカではすでに気候変動による干ばつに加え、ロシアのウクライナ侵略による穀物価格の急騰に直面しているが、今後は一層厳しい状況に置かれそうだ。

国連世界食糧計画(WFP)によると昨年、アフリカ諸国を中心に約8億2800万人が飢餓状態となった。特に南スーダンは来年、国民の3分の2にあたる780万人に命の危険が迫る「深刻な飢餓状態」に直面する恐れがあるという。

国連は報告書で、先進国が低所得国に対し、「技術協力や資金援助」する必要性を訴えている。【11月14日 読売】
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【男性の「精子数減少」が進んでいる・・・本当だろうか?】
人口増加・・・という話の一方で、男性の精子の数が激減しておりヒトの妊娠可能性が低下しているという報告も。

****ヒトの精子の減少が加速、70年代から6割減、打つ手見えず****

今から5年前、男性の精子の数が激減しているという研究結果が出され、人類滅亡の危機かと騒がれた。そして今回、新たに発表された研究によって、精子の数はさらに減り、しかもそのスピードが速まっていることが明らかになった。

5年前の研究は、2017年7月25日付けで学術誌「Human Reproduction Update」に発表された。それによると、北米、ヨーロッパ、オーストラリア、ニュージーランドの男性の精子を分析したところ、1回の射精に含まれる精子の数が1973年から2011年までに50%以上減少していたという。

その後、同じ研究者が率いるチームが2014年から2019年までに公開された精子サンプルの研究結果を分析し、これを以前のデータに付け加えた。新たなメタ分析は、世界的な傾向を知るため、中南米、アフリカ、アジアを含め1万4233人分のサンプルを使用した。

すると、精子の総数は70年代に比べて62%減少していたことが判明。そればかりか、1年ごとの減少率は2000年以降2倍になっていた。この結果は、11月15日付けで同じく「Human Reproduction Update」に掲載されている。

「数の減少速度は緩やかになるどころか、激しい落ち込み方です。減り方の程度としては全体的にほぼ同じと言えますが、近年に注目すれば加速していることがわかります」と、米ニューヨーク市にあるマウントサイナイ医科大学の生殖・環境疫学者で、論文の共著者でもあるシャナ・スワン氏はコメントする。

「ある時点で下げ止まるのではないかと期待していたのですが、その反対のことが起こっているようです。このままではほとんどの男性が不妊状態になるところまでいって後戻りできなくなるか、健康面で他の問題が現れてしまうのではないかと懸念しています」と、論文の筆頭著者でイスラエル、ヘブライ大学ハダッサー・ブラウン公衆衛生学部の医学疫学者であるハガイ・レビーン氏は話す。(中略)

世界的な精子数減少の原因は?
2017年と2022年のメタ分析はいずれも、何が精子数の低下を引き起こしているかについては検証していない。しかし、環境や、喫煙や肥満など生活習慣による要因を示唆する研究はある。(中略)

精子の数の減少が、中南米、アフリカ、アジアの男性にも見られたということは、その原因となる生活習慣や環境因子が世界的に存在することを示唆している。

しかし、減少を加速させているものは何かという問いには、誰もはっきりした答えを持っていない。レビーン氏は、原因は一つではなく、いくつもの化学物質が環境中で混じり合い、それぞれのマイナス効果が拡大されてより大きな問題になってしまったのではないかと考えている。または、長い時間をかけて繰り返しさらされたことが影響しているのかもしれないという。

最新のメタ分析には50年分のデータが含まれていることから、スワン氏は何世代にもわたって環境化学物質の影響が蓄積することで問題が加速するのではないかと考えている。

母親が妊娠中にさらされるのと同じ化学物質や生活習慣の要因(不健康な食生活、喫煙、肥満など)に、胎児もさらされる。そして誕生後、これが次の世代へと受け継がれる。また、母親だけでなく父親から受け継がれる可能性もある。母親の子宮内で、父親からの精子のなかにある何かが生殖器の発達を妨げる原因になっているのかもしれない。

これらの環境化学物質や有害な生活習慣にさらされる世代が今後も増え続ければ、その影響は蓄積する一方かもしれない。【11月18日 ナショナル ジオグラフィック日本版】
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本当でしょうか? もし、本当なら「温暖化」などよりはるかに直接的な人類滅亡ぼ脅威かも。
しかし、冒頭のように70年代から右肩上がりに世界人口は増加しており、そのことは上記「人類滅亡の危機」が間違っている証拠・・・・なのかも。

もちろん、上記のような「精子数減少」は、いままでのところ絶対数としては妊娠可能性を大きく阻害するレベルにはいたっておらず、一方で、衛生環境・医学などの改善の結果増加している。しかし、このまま「精子数減少」が進行すればやがては・・・という推論も成り立ちます。

5年前の2017年の報告の際も、その真偽について賛否両論がありました。
その報告によれば、「経済的に豊かな先進国に住む男性の間で、精子の濃度が1973年の1ミリリットル当たり9900万から、2011年に4700万まで減った。精子の総数も3億3750万から1億3750万に減少し、全体で60%近く減った。」とのことでした。

****「精子減少で人類滅亡」のウソ****
<精子の数が減ったからといって即パニックに陥る必要はない>
BBCのタイトルは衝撃的だった。「精子数の減少で人類滅亡の恐れも」
このニュースの根拠は、精子の濃度と総数に関する過去の研究結果を見直し「メタ分析(分析の分析)」をした研究だ。(中略)

それでは、精子の数の減少が原因で人類が滅亡する日は近いのだろうか? 恐らくそんなことはない。

2013年、ニューヨークのプレスバイテリアン病院と米ワイルコーネル医科大学で生殖医学を専門とするハリー・フィッチと彼の同僚は、1992年以降に発表された精子の質に関する35件の研究結果を包括的に分析し、精子の数をめぐるデータのトレンドを調べた。

フィッチらは1万8109人の男性を対象にした8件の研究で、精液の質の低下がみられたと報告した。一方11万2386人を対象にした21件の研究で、精液の質は同じ、もしくは良くなっていた。さらに2万6007人を対象にした6件の研究は、曖昧もしくは矛盾する結果だった。

精子の数はまだ十分
フィッチに言わせれば、要するに「世界中で精子のパラメーター値が下がっているという主張は、まだ科学的に証明されていない」のだ。

フィッチは、研究チームは複合的な原因を考慮しようと努めた割に、肥満の増加やマリファナの服用、座ることの多い生活スタイル、精巣の温度上昇など元に戻すことも可能な要因が精子の減少を引き起こしているかもしれないことを十分に考慮しなかったのではないか、と言う。

世界保健機関(WHO)によれば、正常で受精可能な精子の濃度は1ミリリットル当たり1500万だ。今にも人類が滅亡しそうな印象を与える見出しは、少々大げさだろう。【2017年8月9日 Newsweek】
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一方で、この報告を重視する立場としては、環境保護団体グリーンピースのように、精子数の減少は海洋汚染が原因だと訴えるキャンペーンを行うものなども。

体内にとりこまれるプラスチックが原因だとする説も。
“スカケベックは、もっと決定的な原因を見つけた。それは産業革命に始まり、20世紀における石油化学産業の勃興がもたらしたもの。石油の浪費による二酸化炭素の大量排出は地球の温暖化を招いたが、石油化学産業はプラスチックの微粒子をまき散らし、それを体内に取り込んだ私たちのホルモン(とりわけ女性ホルモンと男性ホルモン)のバランスに深刻な影響を与えていた。”【2018年11月27日 “止まらない精子減少の行方──人類の終わりのはじまり?” GQ】

あるいは、現代の一夫一妻制とセックス頻度の減少が「精子減少」と「睾丸の萎縮」につながっているとの説も。

“文化の発展とともに一夫一妻になり、結婚した女性は配偶者としかセックスをしなくなりました。
すると、どうなるか。精子の競争が生じないため、弱い精子であっても受精できる確率が高くなります。弱い遺伝子を受け継いだ子どもの繁殖力は低い可能性があり、このような状態が続くことで人類全体の繁殖力が低下する(クリストファー・ライアン/カシルダ・ジェタ)【2019年8月16日 「精子が減ってるって本当?〜男性不妊に多い造精機能障害と予防法〜」】

「精子数減少」が本当なのか? もし本当なら、どの程度影響しているのか?  よくわかりません。
2017年報告から、世間があまり大騒ぎしていないことからすれば、さほど気にする必要のないことなのでしょう・・・・多分。
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