孤帆の遠影碧空に尽き

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イスラエル  停戦協議へ向けて動き ガザ住民の犠牲・苦境に冷淡なイスラエル国民の思考

2024-04-29 23:40:40 | パレスチナ

(【4月29日 日テレNEWS】)

【動き始めた? 停戦協議 ラファ侵攻回避への最後のチャンス】
パレスチナ・ガザ地区の状況は、イスラエル軍によるラファなどへの空爆も、また、避難民の窮状も、強く懸念される状況が続いています。

****ガザ地区への空爆…少なくとも27人死亡の報道も 人道危機への懸念高まる****
イスラエルによる空爆で多数の死傷者がでています。イスラエル軍は、28日から29日にかけてパレスチナ自治区ガザ地区北部や南部ラファを空爆し中東のメディアアルジャジーラは子供や女性を含む少なくとも27人が死亡したと伝えています。

こうしたなか人道危機への懸念も高まっていてUNRWA=国連パレスチナ難民救済事業機関は、飲料水が不足するなか気温上昇による暑さで子供2人が死亡したとの報告を受けたとします。ラザリーニ事務局長は「人々は灼熱のなか温室のような建物で暮らしている」とのべ支援強化を訴えました。【4月29日 日テレNEWS】
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一方、今月1日にイスラエル軍の攻撃でメンバー7人が死亡したことを受け、活動を中断していた食料支援団体「ワールド・セントラル・キッチン」は28日、「ガザの人道状況は依然として悲惨だ」として、ガザでの支援活動を再開すると発表しました。

こうしたなか、イスラエルとイスラム組織ハマスとの戦闘停止などをめぐる交渉で、イスラエル側が初めて恒久的な停戦を議論する用意があることを伝えたとアメリカメディアが報じており、ハマス側も前向きの受け止めで、ようやく停戦に向けた交渉が始まる環境ができてきたようです。

アメリカ・バイデン大統領もイスラエル・ネタニヤフ首相に停戦交渉に臨むように働きかけているようです。

****ハマス、イスラエルの新たな提案に「大きな問題ない」****
イスラム組織ハマスの幹部は28日、パレスチナ自治区ガザ地区での戦闘が長期化する中、イスラエル側が新たに提示した戦闘休止と人質解放案について、「大きな問題はない」との見方を示した。

匿名でAFPの取材に応じた同幹部は、代表団が29日にエジプトを訪れ、イスラエル側の提案についての検討結果を伝える予定だと明らかにした。

同幹部は「イスラエルから新たに妨害を受けない限り、前向きな雰囲気がある」として、「ハマスの検討結果の中に大きな問題は含まれていない」と語った。

米ニュースサイト・アクシオスは、イスラエル政府高官2人の話として、今回の提案では、人質解放後、ガザにおける「持続的な平穏回復」について協議する意向を示していると報道。イスラエル側が紛争終結について話し合う用意があるのを示唆したのは初めてだと伝えている。

ハマスの情報筋はAFPに対し、ハマス側は「前向きに話し合う用意がある」とし、「恒久的な停戦と避難民の帰還、(イスラエルで拘束されているパレスチナ人と人質との)受諾可能な交換、ガザ地区の包囲解除を保証する合意に達するのを切望している」と述べた。

一方、米ホワイトハウスは、ジョー・バイデン大統領は28日、イスラエルのベンヤミン・ネタニヤフ首相との電話会談で、同国が現在進めている協議内容について検討したと明らかにした。 【4月29日 AFP】
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****ハマス代表団、停戦協議でカイロへ 米・イスラエル首脳は電話協議****
イスラム組織ハマスの代表団が29日、パレスチナ自治区ガザでの停戦に向けた協議のためエジプトのカイロを訪問することが分かった。ハマス関係者が28日、明らかにした。

ハマスが仲介役のカタールとエジプトに渡した停戦案とそれに対するイスラエル側の反応について協議するという。
交渉について説明を受けた関係筋によると、ハマスは27日に示されたイスラエルによる最新の段階的停戦案に回答する見通し。

イスラエルで収監されているパレスチナ人の釈放と引き換えに、40人以下の人質解放に応じるほか、「平穏持続期間」を含む休戦の第2段階への合意が含まれているという。

この関係筋によれば、イスラエル側は第1段階の後にガザ南部と北部の間の自由な移動を認めるとともに、ガザから部隊を一部撤収させる見通し。

一方、バイデン米大統領は28日、イスラエルのネタニヤフ首相と電話協議した。米ホワイトハウスによると、両氏は人質解放と即時停戦に向けた交渉を巡り協議した。【4月29日 ロイター】
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イスラエル側は、「ハマス」から人質の解放について合意が得られれば、多大な民間人犠牲者が予想されるラファ侵攻を停止する可能性があるとの考えを示しています。

****イスラエル外相、人質解放の「合意得られればラファ侵攻延期の可能性」言及 ハマス 人質だとする新たな映像公開か****
イスラエルの外相は、イスラム組織「ハマス」から人質の解放について合意が得られれば、ガザ地区南部を侵攻する計画を停止する可能性があるとの考えを示しました。また、ハマス側も人質だとする新たな映像を公開し、双方が圧力をかけあう展開となっています。

イスラエル カッツ外相 「合意が得られれば、我々は作戦を停止する。人質を取り戻すために必要なことは何でもする」(後略)【4月28日 TBS NEWS DIG】
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すべては「これから」の段階で、先を見通すことはできませんが、おそらくラファ侵攻を阻止するための最後のチャンスでしょう。

****休戦合意へ「最後のチャンス」=イスラエル、進展なければラファ侵攻****
米ニュースサイト「アクシオス」は26日、パレスチナ自治区ガザでの戦闘休止を巡るイスラエルとイスラム組織ハマスの間接交渉で、イスラエルが仲介役のエジプト側に、ハマスとの合意に関し「最後のチャンスだ」と伝えたと報じた。進展しなければ、イスラエルはガザ最南部ラファへの地上侵攻に取りかかるという。

エジプト代表団は26日にイスラエル入りし、ハマスが拘束する人質の解放などについて議論。イスラエルのラファ侵攻で、多数のパレスチナ人が越境して流入する事態を懸念するエジプトは、人質解放を含む合意締結を進め、侵攻を避けたい思惑がありそうだ。【4月27日 時事】 
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エジプトはイスラエルの(エジプト国境も近い)ラファ侵攻で大量のパレスチナ人難民が自国へ流入する事態は避けたいし、アメリカ・バイデン政権も大学での反イスラエル運動の高まりを受けて、これ以上の戦闘激化は若者支持層の離反という形で大統領選挙に多大な影響を与えますので、なんとか事態を収めたいところでしょう。

【イスラエル国内の停戦反対論】
ただ、イスラエル国内には停戦・ラファ侵攻回避には右派・極右勢力の強い抵抗があります。ネタニヤフ首相としてはこうした勢力の協力なしには政権を維持できないという現実もあります。

****イスラエル極右閣僚2人、ガザ戦闘休止案に異議****
イスラエルの極右の閣僚2人が28日、パレスチナ自治区ガザ地区におけるイスラム組織ハマスとの戦闘休止協定案に公然と異議を唱え、ハマスのガザ地区最後の拠点とされるラファを侵攻しなければ、イスラエルのベンヤミン・ネタニヤフ首相政権は存在意義を失うと非難した。

戦闘休止協定案に異議を唱えたのは、ベツァレル・スモトリッチ財務相と、イスラエル戦時内閣メンバーのベニー・ガンツ前国防相。2人はハマスのせん滅を改めて要請した。

スモトリッチ氏はX(旧ツイッター)でネタニヤフ氏に対し、「白旗を揚げ、イスラエルの安全保障を回復するためにハマスのせん滅を目的としたラファ侵攻計画を中止するなら、あなたが率いる政府の存在意義は失われる」と主張。

「(仲介国)エジプトの協議内容は屈辱的な降伏だ。人質への死刑判決を意味し、何よりも、イスラエルは国家存亡の危機に直面する」と訴えた。

ガンツ氏も、自身の党が発表した声明でラファ侵攻を強く要求。
「ラファ侵攻は、ハマスとの長期化した戦闘において重要である」「(ハマスがイスラエルに越境攻撃を仕掛けた昨年)10月7日に政府を率いていた閣僚が(ラファ侵攻を)阻止するとすれば、政府は存続する意義を失うだろう」と主張した。

ネタニヤフ氏は、150万人以上のパレスチナ人が避難しているラファへの侵攻を表明しているが、人質解放に向けた協定を締結するよう国内外から多大な圧力を受けている。(後略)【4月29日 AFP】
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ベツァレル・スモトリッチ財務相のような極右勢力の反対は“当然”の反応ですが、かつて右派の与党リクードよりやや中道的な「青と白」を率いてネタニヤフ首相に対抗していたガンツ前国防相もラファ侵攻すべしとの立場というのは私的には意外でした。

今年1月2日発表された世論調査では“戦闘終結後に誰に首相になってほしいかとの問いでは、現在、戦争内閣に参加している野党「ナショナル・ユニティ」党首のベニー・ガンツ前国防相が23%”【1月10日 JETRO】と、ガンツ前国防相はネタニヤフ首相を上回る国民支持を得ています。

従来から、イスラエルにおいては、ことパレスチナ対応については右も左もない・・・とは言われていますが。

【ガザ住民の犠牲に冷淡なイスラエル国民の思考の一端】
イスラエル右派勢力はガザへの支援物資搬入にも反対し、阻止行動を行っています。

****人道危機のガザ 栄養失調で28人の子どもが命を落とす 支援物資を運ぶトラックを妨害する動きも****
イスラエルが侵攻を続けるパレスチナ自治区では、危機的な食料不足が続いています。イスラエルは人道物資の搬入を拡大する方針を決めましたが、検問所では市民による妨害が行われています。

侵攻から半年以上たった今も、イスラエル軍の攻撃が続くパレスチナ自治区ガザ。

現地メディアによりますと、南部ハンユニスではイスラエル軍の撤収後、病院の敷地内で集団埋葬地が見つかり、これまでに283人の遺体が収容されました。ガザ全体での死者はすでに3万4000人を上回っています。

攻撃に加え、ガザの市民を苦しめているのが深刻な食料危機です。
国連人道問題調整室によると、ガザ北部では2歳未満の3人に1人が栄養失調に苦しみ、今月上旬までにすでに28人の子どもが命を落としました。

イスラエルの最大支援国であるアメリカの圧力で、ネタニヤフ政権はガザへの人道物資の搬入を拡大する方針を決定。しかし搬入口となる検問所近くに行ってみると…

記者「ガザへと人道支援物資を運ぶトラック、何十台とずらっと奥まで続いていて、立ち往生という状況になっています。その手前、数多くの乗用車が道の真ん中に停められていて、トラックをブロックしています」

イスラエル南部、ケレム・シャローム検問所から20キロほどの場所で支援トラックを妨害しているのは、イスラエルの右派系市民です。

記者「道路の真ん中に座り始めました。身体を張って人道支援物資を中に通さないぞ、と」

支援を妨害する市民「動きません。私に命令しないで、動かないから。ハマスの味方をするんですか。触らないで、手をどかして」

記者「イスラエル軍が、力づくで排除しています」

こうした抗議活動は連日続き、予定されていたトラックがガザへと到達できないこともあるということです。

支援を妨害する市民「彼らはハマスに支援物資を供給しています。(Q.飢えに苦しむ市民のことを思うとどう感じますか?)ガザの市民で無実の人は1人もいません」

「(Q.多くの子どもが飢えで亡くなっているが?)私は人が飢えで亡くなっていると思えません。国連などの組織が言っているだけです。(Q.しかし実際に子どもたちが死んでいるとしたら?)だとすれば、飢えを終わらせられるのは彼らの親だ。人質を解放すれば良いだけだ」

国連機関は、早ければ5月にもガザ北部が飢饉に襲われると警告するなど、待ったなしの状況に追い込まれています。【4月23日 TBS NEWS DIG】
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昨年12月に行われたイスラエルでの世論調査で、ユダヤ系イスラエル人については、「軍事計画を立てる際に、どの程度ガザの人たちの苦しみを考慮するべきか」との設問に対し、「ほとんど考えるべきではない」「あまり考えるべきではない」の答えが合わせて81%を占めたとのことですので、ガザ住民の被害・苦境への突き放した対応は右派だけのものではないようです。

****ガザ3万人犠牲でも「仕方がない」? イスラエルの洗脳教育は〝成功〟なのか 日本在住40年、非戦論のイスラエル人が同胞の思考回路を分析した****

イスラエル軍とパレスチナのイスラム組織ハマスの戦闘が昨年10月7日に始まってから半年がたった。発端となったハマスのイスラエル奇襲では約1200人が死亡、二百数十人が人質として拉致された。

対するイスラエル軍の報復攻撃によるパレスチナ自治区ガザ側の死者は増え続け、既に3万3千人を突破した。当初はイスラエルに同情的だった国際世論は一転し、批判が強まっている。やり過ぎではないのか。イスラエル人はどう考えているのか。日本に40年近く住むイスラエル人のダニー・ネフセタイさん(67)=埼玉県皆野町=に聞いた。

 ▽自分の国が悪いとは…
「徴兵制のイスラエルで戦争が始まると、どんなにリベラルな人でもとにかく軍を応援しようとなる」。日本人女性と結婚し、日本に移住したネフセタイさんは「教育によって国民性をつくるのは簡単なこと。洗脳教育のやり方だ」と語る。

イスラエル中部のリベラルな家庭に生まれたが、18歳から3年間、徴兵のため空軍に入隊することに疑問はなかった。小学校に入ると毎年、ナチス・ドイツによるユダヤ人大量虐殺(ホロコースト)について学び「国を守るのは当然のことだと教え込まれた」からだ。

ユダヤ人は1948年、パレスチナの地にイスラエルを建国した。土地を追われた約70万人のアラブ人は各地に離散し、パレスチナ難民と呼ばれるようになった。アラブ人の間では「ナクバ(大惨事)」と呼ばれるが、イスラエルの学校では「ナクバは教えない。『アラブ人はイスラエル軍を恐れて逃げただけ。私たちが追い出したんじゃない』と教わった」。反対に「とにかくユダヤ人は欧州で大変だった。この国をちゃんと守らないと、またホロコーストが起きる」という教育に終始すると話す。

イスラエルにはナクバについて書かれた本もあるが、あえて読む人は非常に少ないという。「自分の国が加害者だったと認めたくないから、わざわざ調べようとはしない。日本で言えば、従軍慰安婦問題や南京虐殺と似ている」と話す。「自分の国の非を認めるのは大変なこと。今回のガザ戦闘みたいなことをやっても、それでも自分の国が悪いとは認めたくない」

 ▽指導者殺害を「みんな待っている」(中略)

 ▽疑問持たせぬ「洗脳教育」
こうした考え方の根本にあるのは、イスラエルの「洗脳教育」だと語る。「『アラブ人は怪しい。怖い。信用できない。唯一やりたいことは私たちを殺すことだ』と0歳から刷り込まれる」。そのため今回の奇襲も「長年の抑圧に対しての抵抗ではなく『ハマスはそういう人間だからやった』と考える。イスラエル人が普通に考えることだ」と語ると、昨年10月のカレンダーを持ち出してきた。

ハマスがイスラエルを奇襲したのは7日。カレンダーでは6日までが黒塗りされている。「イスラエル人にはこう見えている。『イスラエルとパレスチナの歴史は全て10月7日から始まった』という考え方。そこまでの占領は関係ない」

イスラエルのネタニヤフ首相や軍高官らはハマス戦闘員を「テロリスト」「動物」「怪物」と呼ぶ。これも「洗脳教育」と似た考え方だ。「軍隊は兵士に対し『動物だから殺しても問題ない。こっちは人間。向こうは人間じゃない』という教え方をする」と説明。(中略)

 ▽「プロパガンダに大成功」(中略)

 ▽イスラエルで使われている地図には
最後に、イスラエルの学校で使っているという地図を見せてくれた。「この地図にはガザとの境界線はあるが、ヨルダン川西岸との境界線は描かれていない」。

イスラエル以外で使われる地図では、イスラエルと西岸との間には第1次中東戦争の休戦協定で1949年に引かれた休戦ラインが描かれ、西岸にはパレスチナ自治区とイスラエル占領地が混在している。しかし、イスラエルで使っているという地図に休戦ラインはない。「西岸はイスラエルだという教育だ。イスラエル政府が意図的にやっている」

その上で「今回ガザで起きたパレスチナ人の爆発は、近いうちに西岸でも起きる」と警鐘を鳴らす。「西岸に住むパレスチナの若者たちも、抑圧の中で憎しみを育てている。このままパレスチナ国家が樹立されなければ大変なことになる。犠牲者は1200人ではすまない」。

一部のイスラエル人はそうした認識を持っているが、大部分の人は「そのことを考えたくない。そこまで大きな問題ではないと思いたいのだ」と問題の根深さを指摘した。【4月29日 47NEWS】
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もちろん上記はイスラエルの現状に批判的な、日本在住40年になるネフセタイさんの個人的見解ではありますが、イスラエル国民の本音・思考を推測するうえでの参考にはなるかも。
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