孤帆の遠影碧空に尽き

年に3回ほどアジアの国を中心に旅行、それが時間の流れに刻む印となっています。そんな私の思うこといろいろ。

ロシア原子力潜水艦 日本近海で事故

2008-11-09 13:13:28 | 国際情勢

(今回事故を起こしたと報じられているロシアのアクラ級原子力潜水艦 “flickr”より By MATEUS_27:24&25
http://www.flickr.com/photos/mateus27_24-25/1686084148/)

【海中にうごめく原子炉】
ロシア太平洋艦隊所属の原子力潜水艦が8日、実験航行中に事故を起こし、乗組員ら20人以上が死亡したもようです。
この原子力潜水艦については、日本海で航行試験を行っていたアクラ級の「ネルパ」だったと報じられています。【11月9日 毎日】
艦体に損傷はなく原子炉は正常に稼働しており、放射能漏れなどもなく、9日未明(日本時間同日早朝)現在、救助艇とともに沿海地方の基地に向かっているそうです。

これまで実際にチェルノブイリやスリーマイル島で危険な事故を引き起こしている原子力発電施設については、通常その安全性について、地震などの災害による損傷の危険、テロの可能性などを含め、厳しく論議されています。
素人考えでは、そのような極めて慎重な扱いを要する原子炉が核弾頭とともに、潜水艦という極めて不安定な形で海中で多数うごめいているというのは、なんとも常軌を逸したもののようにも感じます。

【多発する原潜事故】
原子力潜水艦の事故と言うと、118名の犠牲者を出した2000年8月に起きたロシアの原子力潜水艦クルスク号を思い出します。
クルスク号はコラ半島沖のバレンツ海に沈み,救助活動も手遅れに終わった悲惨な事故でした。
この事故について書かれた【京都精華大学 中尾ハジメウェブサイト 原子力潜水艦クルスクの運命 】によると、1963年アメリカの原子力潜水艦スレシャー号が129人の乗員もろとも大西洋の5,000mの海底に沈没、その2年後には原潜スコーピオン号が乗員99名とともに3,000mの海底に原子炉、核兵器とともに沈んでいます。

“ソ連原潜についての沈没記録は,1968年のホテル級原潜の沈没および艦級不明原潜の沈没にはじまる。70年にはノベンバー級原潜が演習の帰途,火災から原子炉停止,4,700mの海底に乗員52名とともに沈む。83年には演習に向かおうとするチャーリーI級原潜が原子炉室に浸水し水深50mに沈没し,16名が死亡。その同じ艦が2年後にカムチャッカ沖で再び沈没。86年にヤンキー I 級原潜がミサイル燃料爆発から火災,炉心溶融は寸前で回避するも5,500mに沈没し,乗員4名死亡。89年にはマイク級原潜コムソモレッツ号がノルウェー沖で火災,酸素発生装置の爆発から沈没,66名中42名が死亡。知られているだけで以上の6件があった。そして今回のクルスク号である。”
http://www.kyoto-seika.ac.jp/nakao/archives/magazine/submarine.html )

原子力潜水艦の危険性は可能性の問題ではなく、現実に多くの事故が発生しています。
当然、二重構造にするとか、隔壁で区画するとか、安全対策は採られていますが、“理路運上は・・・”とか“マニュアルどおりに管理・運用されれば・・・”という前提が現実においては殆ど意味をなさないことは、自分達の身の回りの様々にことがらから自明のことでもあります。
まして原子力潜水艦は戦闘行為を前提にしたものであり、攻撃を受け破壊されることが予想されている兵器です。
その危険性は地上の原子力発電所に比較して各段に大きなものがあります。

【クルスク号の事故の原因】
クルスク号の事故の原因を探る番組を採録したニコニコ動画を下記サイトで見ました。
http://youtube1000mg.blog86.fc2.com/blog-entry-35.html

原因については、チェチェン絡みのテロ、演習を偵察していたアメリカ潜水艦との衝突(実際、潜水艦衝突は多発しているそうです。)、予備バッテリーの発火爆発なども想定されましたが、番組によれば、品質管理が十分になされていない演習用魚雷の推進システムから漏れ出した物質が原因とされています。

これに、遮断ドアの不完全な扱い、換気用ダクトを伝わった艦内への被害拡大、喚起用フィルターの取扱ミスなどが重なって、被害が拡大したとされています。
どれも、“理路運上は・・・”とか“マニュアルどおりに管理・運用されれば・・・”とか言えば、ありえないことですが、現実には不測の事態が起きます。

原子力潜水艦では、なにがしらかの事故が艦内で発生した場合、放射能漏れなどの被害拡大を防止するため人為的に原子炉を停止するシステムになっているそうです。
そのことは、動力源を失った艦内人員の生存確率を著しく低下させます。
なんとも非情な判断を迫る仕組みです。

【兵器使用制限の動き】
戦争に使用される兵器であっても、コントーロルできない被害を拡大する地雷やクラスター弾などについては、その使用制限が課される方向で世界が動いています。
もっとも、今年5月の軍縮交渉「オスロ・プロセス」で厳しく制約されたクラスター弾については、特定通常兵器使用禁止制限条約(CCW)の政府専門家会合が開かれていますが、交渉は決裂したようです。
何事も一気に・・・というのは難しいところがありますが、流れは見えてきています。

原子力潜水艦についても、本来はその海洋汚染の危険性を21世紀の“常識”に照らして検証すべきものと思われます。
しかし、原潜については保有国が核保有国に限定されており、彼等は絶対に既得権益(権益と言っていいのかどうかはわかりませんが)を手放そうとはしませんので難しいところですが。



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1 コメント

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Unknown (アッキードF19で小沢一郎を撃退希望)
2019-07-12 06:52:53
https://blog.goo.ne.jp/adoi/e/24a688657c8774f650a8ee0d48d4f8d3
日航ジャンボ123便ソ連自衛隊核攻撃惨事における たくさんのJAL123便の元気な生存者及び、ご搭乗の昭和天皇が、日本の埼玉県警察の警察官らの襲撃(日本語で おまわりさん?らの手により)により
http://www.marino.ne.jp/~rendaico/ainugakuin/e0011938_16494167[1].jpg
といった惨憺たる虐殺死体と化した

一方、救助に奔走したのは米国のみであった


なお、米国機関で改めて調査を行ったところ、生存者の一部は、伊豆の達磨山の地下にヘリで連れていかれ、少なくとも十数年は生存していたことが新たに判明した。
また、藤岡公民館の日航機石碑は、米軍で救助に入って日本の埼玉県警らに殺害された米兵50名の墓となっていることが新たに判明した
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