孤帆の遠影碧空に尽き

年に3回ほどアジアの国を中心に旅行、それが時間の流れに刻む印となっています。そんな私の思うこといろいろ。

移民・難民を阻む現実政治の壁、「無関心の壁」

2020-01-02 23:22:49 | 難民・移民

( イラク北部バルダラシュの難民キャンプに逃げてきたクルド人難民=20191128日、篠田航一撮影)【12月30日 毎日】)

 

【彼らは世界中で「無関心の壁」に突き当たっている】

人は、単にどこに生まれたのかという個人の力では如何ともしがたい理由で、その人生は苛酷なものになったりもします。

 

****ローマ教皇、移民のために祈り 「無関心の壁」と指摘 ****

ローマ教皇フランシスコは25日、カトリックの総本山バチカンにあるサンピエトロ大聖堂のバルコニーで、クリスマス恒例のメッセージを読み上げた。

 

教皇は「安心な生活を求めて母国を出ざるをえない」人々のために祈りを捧げ、彼らは世界中で「無関心の壁」に突き当たっていると述べた。

 

「不正義が彼らに砂漠や海を旅させ、そこを墓場にしている。不正義が、非人道的な難民収容所で彼らに、言語道断の搾取や、あらゆる形の隷属を強い、暴力や残酷な仕打ちにあわせている」(教皇)。

 

教皇は難民や移民への支援を教皇として最も重要な任務の1つに掲げており、2016年には、当時、大統領選の候補として移民の母国送還と国境の壁の建設を主張したドナルド・トランプ米大統領について「キリスト教徒らしくない」と述べた。

 

また同年、ギリシャのレスボス島の移民キャンプを訪れた際には、3組のシリア人家族をバチカンの難民として受け入れるためローマに連れ帰った。

 

クリスマスのメッセージは、中東など世界の紛争地について幅広く触れるのが恒例になっている。【2019 年 12 月 26 日 WSJ】

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【アフリカから欧州 「西方ルート」が増加】

よりよい生活を夢見て危険な旅に出て命をおとす人々は、いまだ少なくありません。

初期のトルコからギリシャへ入るルートがふさがれ、リビアからイタリアに渡るルートも取り締まりが厳しくなり、西アフリカからスペイン・カナリア諸島を目指す「西方ルート」が今増加しているとのことです。

 

****移民船沈没で62人死亡 西アフリカ沖****

西アフリカ、モーリタニアの沖合で4日、移民が乗った即席の船が沈没し、少なくとも62人が死亡した。欧州への密航者が増加する西アフリカ沖ルートでの事故としては今年最悪のものとなった。

 

船はスペインのカナリア諸島を目指す途中、岩に衝突して転覆。83人が自力で岸に泳ぎ着いた。

 

モーリタニア内務省が4日夜に行った発表によると、移民らは同じく西アフリカにあるガンビアの首都バンジュールからスペインへの密航を試みていた。(中略)

 

同当局者がAFPに語ったところによれば、船は西サハラとの境界線に近い町、ヌアディブの北約25キロの場所で岩に衝突して浸水し、沈没した。船から岸までは遠くなかったが、波が荒く接岸できなかったという。

 

生存者らはIOMに対し、沈没時、船には少なくとも150人が乗っていて、女性や子どももいたと話している。モーリタニア内務省も、船には150人から180人が乗っていたと説明。その大半が20歳代だったとしている。

 

IOMの統計によると、今回の死者数は「西方ルート」と呼ばれる航路での事故としては今年最多で、移民の水難事故としては世界で6番目に多い。

 

リビアから欧州を目指す航路は当局が取り締まっており、近年は西アフリカ諸国からカナリア諸島を目指すルートでの渡航が増加。IOMによると、同諸島に向かう途中で死亡した人は昨年1年間で43人だったが、今年はこれまで確認されているだけで158人前後に上っている。 【2019年12月6日 AFP】AFPBB News

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【シリア トルコに入れないイドリブ難民 故郷に帰れないクルド人難民】

一方、シリアなど紛争国では、戦闘から逃れる避難民が。

シリアでは、反体制派最後の拠点イドリブに対する政府軍・ロシアの攻撃が激化したことで、避難民が急増していますが、その向かう先であるトルコも今以上の難民受け入れを拒んでおり、国境は閉じられています。

 

行き場を失った人々を、更に飢えと冬の寒さが苦しめています。

 

****爆撃激化で23万人以上が避難 シリア北西部****

シリア北西部イドリブ県では、政府軍とロシアによる爆撃から逃れるためここ2週間で約235000人が避難する事態となっている。激戦地の町に通じる道路は27日、民間人で埋め尽くされた。

 

AFP特派員によると、現地では家族連れの民間人たちがマットレスや衣服、家電製品と共にピックアップトラックに乗ってイドリブ県南部から避難。その大半は、北方のより安全な地域へと向かった。

 

内戦開始から8年が経過したシリアでは、イドリブ県が反体制イスラム過激派の最後の主要拠点となっている。今年8月には停戦協定が結ばれていたが、シリア政権軍は今月中旬以降、同盟関係にあるロシア軍と共に同県南部での爆撃を強化。

 

国際社会は緊張緩和を要請しているものの、イドリブ県で続く今回の攻勢により、多くの民間人が死亡している。

 

国連人道問題調整事務所によると、今月1225日の2週間で235000人以上が避難。最も多くの避難民が出ているのはイドリブ県南部の町マーラトヌマンで、町は「ほぼ無人」になったという。

 

OCHAの報道官デービッド・スワンソン氏は27日、今月イドリブ県南部から避難した人々の8割以上は女性と子どもだと述べた。

 

イドリブ県北部ダナにある避難民キャンプに最近到着した5児の母は、顔を覆ったベールから疲れた目をのぞかせながら「キャンプには住めない。雨はとても強いし、暖房や服、食べ物も必要」と語った。 【1228日 AFP】

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23万人という数字は日増しに増えていると推測されます。

 

政府軍・ロシアの攻撃は今も続いており、下記記事では避難民の数は40万人以上とも。

 

****イドリブ情勢(シリア)****

シリア北西部のイドリブでは、昨年末から政府軍機とロシア機の激しい空爆と、それに援護された政府軍等の攻撃が続いていて、40万以上とされる避難民がトルコ国境向けて非難していますが、al sharq al awsat net は、シリア政府は虐殺をもって2020年の幕を開けたとして、政府軍等及びロシア機の激しい攻撃、特に民間人に対する攻撃を伝えています。


・政府軍はイドリブの東部に対する地対地ミサイルが1日、学校に落下して、シリア人権監視網によると、児童4名、婦人2名を含む8名が死亡し、16名が負傷した由。


・また同じく1日、政府軍機がイドリブ南を空爆し、31~1日にかけてはロシア軍機が、イドリブ周辺で22回の空爆をこなった由(後略)【1月2日 「中東の窓」】

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同じシリアでは、昨年10月のトルコ軍の侵攻によってクルド人の避難民も多数発生していますが、政府軍の駐留によって帰還も難しくなっています。

 

****クルド難民「徴兵」恐れ帰還できず 狙われる若者 アサド政権、戦闘員「受け入れ用意」****

トルコ軍によるシリア北部のクルド人勢力への攻撃を受け、シリアのクルド人住民が隣国イラクに押し寄せている。

 

大規模な戦闘は収まったが、かつてのクルド人居住地域には現在、アサド政権軍が駐留を始めている。「帰ればアサド政権に拘束され、徴兵される」との理由でシリアに戻ることを拒む若者も多く、帰還のめどは立っていない。

 

イラク北部クルド自治区バルダラシュ。山岳地帯の一角に、国連や地元クルド自治政府の支援で設置された難民キャンプがあり、敷地内に数百の白いテントが並ぶ。

 

「トルコ軍は昼夜なく町を空爆した。学校に向かう路上には黒焦げの遺体が転がっていた。今もあの光景が夢に出る。戦闘再開の恐れもあり、もう戻りたくない」。シリア北部ラス・アルアインから10月中旬に家族と共に逃げてきた高校生、ハジャールさん(17)は振り返る。

 

だが帰還を拒否する理由として「アサド政権軍に拘束された友人もいる。戻って徴兵されるのが怖い」(25歳の男性)といった声も目立った。

 

トルコ軍は10月9日、テロ組織とみなすシリア北部のクルド人勢力への軍事作戦を開始した。それまでは現地の駐留米軍が過激派組織「イスラム国」(IS)掃討作戦でクルド人と連携していたため、米国の同盟国・トルコは大規模攻撃を控えてきたが、米軍が撤収を始めたことから、トルコはこの機会を利用して攻撃を開始。10月17日に停戦が実現したが、散発的な衝突はその後も続く。

 

一方で今回のトルコ軍の攻撃は、2011年から続くシリア内戦の構図も変えた。従来、アサド政権と反体制派の戦闘に対し、シリア北部を支配するクルド人勢力は「中立」を保ってきた。

 

だがトルコ軍のシリア領内侵入を「主権侵害」とみなすアサド政権が「自国民のクルド人保護」を名目に10月中旬からクルド人支配地域に進軍したのだ。

 

「町には続々と政権軍がやって来て、クルド人の若者を探していた」。テントの中、電気ストーブで暖を取っていた50代の女性が話した。アサド政権は18歳以上の男性に2年程度の兵役を課しているが、内戦で多くの兵士が死傷。シリア国防省は既に国営シリア・アラブ通信を通じ、「新たにクルド人戦闘員を受け入れる用意がある」との声明を出した。

 

山岳地帯の難民キャンプは冷え込みが厳しく、衣類や防寒具も不足しているが、「ここでは徴兵されないだけまし」との声も聞いた。

 

クルド自治区の難民支援NGO「バルザニ慈善財団」によると、バルダラシュのキャンプに逃げてきたクルド人難民は11月末時点で約1万6000人。「戦闘再開の恐れ」「徴兵」という懸念材料を前に、大半の難民は帰還のめどが立っていないという。【12月30日 毎日】

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【トランプ政権による「メキシコ待機政策」で行き場を失う人々】

メキシコでもアメリカに入れず行き場を失った移民が。

 

****行き場を失う移民 移民大国アメリカの行方*****

2020年のアメリカ大統領選で、国境・移民政策が重要争点のひとつになるのは間違いない。トランプ大統領は、2019年もメキシコとの国境沿いで取り締まりを強化し続けてきた。自らのウクライナ疑惑が注目されている間もだ。

2020年、トランプ大統領が再選に向けて不法移民対策の実績を声高に強調する姿が浮かぶが、国境沿いでは行き場を失った移民が漂流し、トランプ政権の政策は非人道的だとの批判が高まっている。

国境に移民を寄せつけない“メキシコ待機政策”
カリフォルニア州と接する国境の町、メキシコ・メヒカリ。去年10月、多くの移民が滞留している施設があるとの情報を得て、その場所へと向かった。(中略)

ここは「移民の宿」と呼ばれる一時的な宿泊場所だ。元々は廃虚となっていたホテルで、今、民間の支援団体が運営してホンジュラスなど中米出身の移民らを受け入れている。給湯設備などは使えないものの、雨や風をしのぐ最低限の生活場所となっていた。

「冷蔵庫など足りない物はたくさんあるが、寄付でなんとかやりくりをしている」と語る運営責任者自身も、かつては移民だったという。

そんな施設に2019年、入居を希望する移民が急増した。その背景にあったのは、トランプ政権による「メキシコ待機政策」だ。

2018年、中米出身者らによる大規模移民集団「キャラバン」がアメリカ国境へと押し寄せた。これを受けてトランプ大統領は、入国して移住するための手続きをさらに厳しいものへと変更。

 

それまで審査中の移民はアメリカ国内で待機することができたが、逃走のおそれがあるなどとしてメキシコ側に送り返して審査の順番待ちをさせるようにした。

シラキュース大学の調査によると、これまでに送り返された移民は5万6000人に上る。「不法移民はアメリカへの侵略者」だとするトランプ大統領としては、移民らの一時滞在をメキシコ側に押しつけた形だが、一方のメキシコ政府も受け入れ態勢は整えられていない。

そのため民間団体のシェルターや教会などが受け入れを担っているが、収容可能人数を超えているとの指摘もある。メヒカリの「移民の宿」には、取材で訪れた時点で約330人が滞在し、6畳ほどの部屋を5人ぐらいで使用していた。

ここで出会ったホンジュラス出身の女性は、約3か月前から7歳の娘と2人で滞在していた。犯罪集団のギャングによって母国の治安が悪化し、娘により良い教育を受けさせようとアメリカに入ったが、当局に審査日までメキシコで待つよう指示されたという。

女性は、当局から渡された審査の呼び出し状を大切に持っていた。「再び送り返されることになってもメキシコで待ち続ける」。娘の前では笑顔で振る舞うが、1人で応じたインタビューでは「母国にも戻れず不安」だと涙を浮かべた。

約1か月後、女性は審査を受けた。しかし入国は認められず、再びメキシコ側に送り返され「移民の宿」へと戻ってきた。

「移民の宿」の運営責任者は「滞在している移民の中には5回目の審査を待っている人もいる」と話す。送り返される移民の増加や滞在期間の長期化で物資不足が深刻になるなど、受け入れが限界に近いという。

この「メキシコ待機政策」は、単にメキシコ側で待たせるだけではなく審査自体も厳格化されている。先のホンジュラス出身の女性の場合、アメリカの当局側が求める迫害を受けた証拠を示すことができなかったとみられる。

さらに取材を通してわかったのは、そもそもアメリカの当局がどのような書類を求めているのか、移民らが把握できていないということだ。犯罪集団に命を狙われていると訴える移民らだが、シラキュース大学によると、送り返された約5万6000人のうち、これまでにアメリカで保護されたのはわずか100人あまりだという。

この政策に対し、カリフォルニア州の移民支援団体ボーダー・エンジェルの幹部は「移民らは命の危険から逃れてきたのに、再び厳しい環境へと追いやられている。安全に暮らす権利を奪う非人道的な政策だ」などと強く批判し、次の大統領選で大きな争点になると考えている。

「壁をつくる」実現困難公約めぐり論戦必至
トランプ大統領は再選に向けて、この「メキシコ待機政策」などを持ち出し、不法移民を寄せつけない安全な国境を実現しているとアピールする可能性がある。

ただ、国境・移民政策においては頭の痛い状況も抱え続けている。前回の選挙で看板公約にした「国境の壁」の建設が思うように進んでいないのだ。

3000キロあるメキシコとの国境沿いに不法移民や麻薬の密輸対策で壁を築くものだが、アメリカのメディアによると十分な建設予算がいまだに確保できておらず、建設できても一部分にとどまる見通しだという。

移民大国アメリカはどこへ向かうのか。2020年の大統領選で、移民の受け入れと「国境の壁」をめぐって激しい論戦が繰り広げられるのは必至だ。【1月1日 日テレNEWS24】

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もちろん、「国内にも支援を必要としている者が多数存在する。国家は自国民を優先すべき」というのは現実論でしょう。

 

ただ、そうであるにしても、移民・難民など追い返せばいい、死のうがどうなろうがしったことではない・・・・というのであれば悲しい感も。

 

どこまでなら対応できるのか、何ができるのか・・・そういう方向で現実的対応を模索することはできないのか・・・

 

 

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