孤帆の遠影碧空に尽き

年に3回ほどアジアの国を中心に旅行、それが時間の流れに刻む印となっています。そんな私の思うこといろいろ。

ロボット車がロボットをはねる時代 2019年実用化する新技術 自動翻訳機の可能性は?

2019-01-11 23:36:46 | 世相

(テスラ社の自動運転車「モデルS」にはねられるプロモボット社のロボット「V4」(左端)【1月9日 カラパイア】)

【自動運転のテスラ車がロシアのロボットを轢き殺した】
今日見た記事で一番面白かったのが、下記の“自動運転のテスラ車がロシアのロボットを轢き殺した”というもの。

****ロボットがロボットを殺す、新時代の出来事****
今年のCES(アメリカ、ネバダ州ラスベガスで開催中の見本市コンシューマー・エレクトロニクス・ショー)で自律型のビジネスアシストロボットとして展示されたプロモボット。

ペンシルバニア州のプロモボット社がアジアと欧州に開発センターを持ち製作しているもので、現在世界26の国で実際に導入されている。
 
このプロモボットがCES2019に搬入されている最中にテスラの無人走行車両に「轢き殺される」という事故が起きた。テスラは自動運転走行の実験中だったと見られるが、ロボットと接触したことに全く気付かぬように走り去る場面が録画されている。
 
プロモボットのチームは会場にボットを搬送する途中で、1台のボットが車道に置かれていた。そこを通りかかったテスラと接触して転倒したのだが、人間に例えれば飛び出しと前方不注意運転が重なった不幸な事故、といったところだろうか。
 
この事故の興味深い点は事故の加害者、被害者が共に自律運転されていた、つまり全くのロボット同士による世界初の事故例だった、ということだ。

もっとも映像を見る限りプロモボットは事故の時点では動いておらず、車道の端に立っていただけ。テスラのオートパイロットがプロモボットを障害物として認識せずブレーキを全くかけていないように見える。
 
テスラのオートパイロットについてはこれまでも道端に停止している車両(例えば配送業社のトラックだったり救急車のような緊急車両など)を認識せずに物損事故を起こす、という事例が報告されている。

今回はその対象が道端のロボットだった、ということなのだが、結果として前代未聞のロボットがロボットを殺す、という事例となってしまった。
 
この事故に対しテスラ側からは特に声明が出されていない。しかしプロモボットはこの事故をニュースリリースとして流し、さらには翌日に行われたロボットが「死亡」した現場での「世界初のロボットのための追悼サービス」の模様もユーチューブで流した。結果としてプロモボットにとっては大きな宣伝につながった面もある。
 
プロモボットはショッピングコンサルタント、ミュージアムなどでのガイド、企業の受付などに利用されている。また顔の部分がデジタル表示で表情を表しており、「感情を表すロボット」としても知られている。

さらにはダンスを踊って観客を楽しませることもできるという。これまでもCESのような大規模コンフェレンスに貸し出され、会場のアシストなどを行ってきた。
 
今回の事故が投げかけるのは、今後こうしたロボット対ロボットの事故が増えるのではないか、という疑問だ。それは自動運転車両同士の衝突かもしれないし、倉庫など複数の運搬ロボットが使用される場所でのロボット同士の衝突かもしれない。
 
テスラのオートパイロットの弱点である「停止している無機物の認識が弱い」は他のロボットにも共通する点かもしれない。相手が人間であれば熱感知などで存在を認識できるが、動くべき場所で停止している機械その他への認識が遅れ、こうした事故につながる。
 
また今回のような交通事故に対し、保険会社はどう対応すべきなのか。車道に出ていたプロモボット側にも自己責任が加算されるのか、あるいは停止物にぶつかったテスラの100%引責となるのか。今回の事故でテスラがプロモボットに対しロボット代金の補償を行うのか、対物事故として処理されるのか、など問題点は多い。
 
プロモボット側にすれば追悼サービスまで行うほど、「単なるロボットではなく感情を表し人の手助けをする存在」という思い入れがある。しかしロボットはあくまで「物」であり、今回のような事故が対人となる可能性はない。
 
しかし今後ロボットがますます実社会に導入されるようになれば、こうした事故も増加するだろう。ロボットのオペレーションにあたっては当然保険が掛けられることになるが、車でなくても対人対物、「死亡補償」などが必要となってくるかもしれない。

世界初のロボットがロボットを「轢き殺した」事故は、我々の未来に新たな疑問を投げかけることになった。【1月11日 WEDGE】
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“事故現場”は録画されており、プロモボット社がCESに展示するはずだったロボット「V4」がテスラ社の自動運転車「モデルS」にはねられる(正確には“接触して倒される)”瞬間の動画は【1月9日 カラパイア】などで見ることができます。

****テスラ社の自動運転車がAIロボットをひき殺すという事案(アメリカ)****
(中略)事故を受けてプロモボット社はテスラのイーロン・マスク氏に宛てて、以下のようにツイートした。

「マスクさん、ラスベガスで罪もないロボットがテスラ・モデルSに轢き殺されました。あなたの車は完全な自動運転の最中でした。」(後略)【1月9日 カラパイア
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もっとも、上記【1月9日 カラパイア】によれば、“プロモボット社による自作自演では?という疑惑も一部でささやかれている。”とのこと。

****一方で疑惑も****
なお動画を見る分には、事故は軽い接触で、ロボットにそれほど深刻なダメージがあったようには見受けられない。

これについて、プロモボット社による自作自演では?という疑惑も一部でささやかれている。 というのも2016年にも同じようなことがあったからだ。

そのときはロボットが車道に飛び出して騒動になった。ロボットは開発者から逃げ出したところだったと報じられたのだが、どういうわけだかその一部始終がしっかりと撮影されていた。(後略)【同上】
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まあ、確かに今回事故も、「なんでロボットはあんなところに置かれていたのか?」という感もしないでもないです。
真相はわかりません。


(ロボットと対面する微妙な表情のプーチン大統領【1月11日 WEDGE】)

いずれにしても、これからいろんな新しい出来事が起きるのは間違いないでしょう。

自動運転車については、すでに配車サービスも始まっています。

****全米初 自動運転の配車サービス開始 グーグルグループ会社****
車の自動運転の開発競争が激しさを増す中、大手IT企業グーグルのグループ会社「ウェイモ」は、全米で初めて一般の客を対象に、自動運転の車を使ったタクシーのような配車サービスを事業として始めました。

アメリカのウェイモは5日、西部アリゾナ州のフェニックスとその周辺で、スマートフォンのアプリを使って自動運転の車をタクシーのように呼べる配車サービスを始めたと発表しました。

当面の利用者は住民数百人で、自動運転のミニバンには大人3人と子ども1人までが乗車できます。
また当面は、安全のために運転席にドライバーが座ることにしています。(後略)【2018年12月6日 NHK】
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【AIが人間の知性を超えるとされる「シンギュラリティ」は2030年?】
自動運転車については、「高齢者をはねるのを避けようとすれば子供をはねてしまう・・・といった場合に、どちらを選択するのか?」とか、「歩行者をはねるのを避けようとすれば、車が崖の激突して搭乗者が死んでしまう・・・・といった場合にどうするのか?」といった興味深い問題もあります。

正確には「どうするのか?」ではなく、「どうするように設計されているのか?」という問題でしょう。

人間であれば思考停止状態での一瞬の出来事で、「選択」もほとんどできない成り行きまかせ、あるいは条件反射でしょうが、AIチップ搭載の自動運転ということになると、判断できる余地があるだけに「どう判断するのか?」という話にもなります。

AIが人間の知性を超えるとされる「シンギュラリティ(技術的特異点)」の時期については、2030年頃という見方が多いとか。

****「AIが人の知性を超す」9割 若手研究者アンケート ****
日本経済新聞社は2050年の将来に関するアンケート調査を実施した。18年12月に20~40代の若手研究者男女約300人を対象に調査し、200人から回答を得た。

50年までにAIが人間の知性を超えるとされる「シンギュラリティ(技術的特異点)」が来るかという質問に対しては「どちらかといえばそう思う」(33%)も含めると9割が「そう思う」と回答。

時期については30年が18%と最も多く、40年が16%で続いた。(中略)

アンケートの最後には「今よりも幸せになっていると思うか?」と問いかけた。「そう思う」(39%)、「どちらかといえばそう思う」(24%)で、6割が肯定した。

「変わらない」が29%で、「どちらかといえばそう思わない」は9%、「そう思わない」はゼロで、技術の進歩を前向きにとらえる研究者が多かった。(後略)【1月1日 日経】
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【2019年に実現する新技術】
テスラ社のイーロン・マスク氏の“夢”は多方面にわたっています。

****マスク氏が低コストトンネル公開、都市交通網に革命?****
米電気自動車大手テスラおよび宇宙開発企業スペースXの創業者で富豪のイーロン・マスク氏は18日夜、都市交通への「天の恵み」とうたう低コストのトンネルを発表した。
 
今回お披露目されたのは、マスク氏が2年前に設立したトンネル掘削会社ボーリング・カンパニーが約1000万ドル(約11億2400万円)で施工した全長1.8キロのトンネルで、同氏の地下道路網構想の一部。

渋滞した道路の地下を高速移動することで、都市交通に革命を起こすプロジェクトの第1段階だという。
  
この構想では、自動車(テスラを想定)をリフトでトンネルに下ろし、トンネル内の軌道にセットすると、最大時速241キロで走行することができる。
 
マスク氏は「地下輸送システムを居住区に合致させる唯一の解決策は、3次元化することだ」「どちらかといえばシンプルな構想で、ノーベル賞も必要ない」と述べた。
 
今回は、米ロサンゼルス近郊でトンネルの見本の出入り口が初公開された。特別に設計された装置で、自動車1台分の軌道に相当するトンネルを掘る。

構想中の地下道路網は、トンネルとエレベーターを無限に拡張することができ、1時間に4000台以上の車が通行可能になるという。 【12月19日 AFP】AFPBB News
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確かには発想としてはシンプルですが、問題は資金でしょう。

も少し現実的なところで、2019年にはどういうものが一般化するのか・・・ということについてみると・・・。

****2019年、あなたの生活を変えるテクノロジー****
宅配ロボットや折り畳みスマホなど念願のテクノロジーが現実に

(中略)今年、私たちの生活に影響を与えると予想されるテクノロジーをまとめた。

iOSを大幅に改良
(中略)これまでに発表されたiOSの12のバージョン全てでホーム画面にはアプリのアイコンがグリッド状に表示されていたが、次のバージョンではそれが変更されるかもしれない。(中略)今年は開発者がiOS用のアプリをパソコン用OS「MacOS」でも使えるようにすることも認められる。

5Gがやってくる
「数秒で長編映画がダウンロードできる!」など何年も前から広告されていた5Gの運用がついに米国で始まる。

(中略)5Gはただ携帯端末の通信速度を速めるだけのものではない。5Gでは端末と基地局の間でデータをやり取りするときの遅れが少なくなるため、ARと仮想現実(VR)が進化するほか、スマートホームの使い心地が改善され、自動運転車の改良にもつながる。(中略)

フェイスブックは二日酔い
2018年にはフェイスブックがこの10年、利用者のデータを飲み干して権力に酔っていたことが明白になった。今年は二日酔いに苦しむだろう。(中略)
 
グーグルも無傷ではいられないだろう。同社は利用者の電子メールを読み取っていたことや個人情報をめぐる過ちをめぐって議員の厳しい監視の目にさらされている。議会では公聴会が開かれており、今年は米国でプライバシー法が成立するであろうことは容易に想像できる。

無人の店舗で買い物 
(中略)こうしたコンビニはあなたの家の近所にも登場する可能性が高い。(中略)思わぬうっとうしさも付きまとう。「あの日焼け止め、本当に欲しくないのですか」とばかりに、店の中で手に取ってから棚に戻した商品の広告が送られてくる。

ハリポタでAR人気に火
(中略)技術開発に1年以上をかけて作り上げた、スリリングで巨大な魔法の世界で遊べるこのゲームは見逃せないだろう。まじめな話をしておくと、プレーヤーが現実の世界とJ・K・ローリングが作り出した想像の世界を区別できなくなったとき、収拾がつかなくなる恐れがある。
 
2019年には、他にも現実空間にデジタル情報を重ねて表示するAR技術が日々の生活に欠かせなくなる経験を目の当たりにするだろう。例えば地下鉄から降りて、通りにカメラを向ければグーグルマップの矢印が道案内をしてくれるようになる。ビジネスの世界ではARは研修やシミュレーションなどに活用されるだろう。(中略)

自動運転は小型ロボットから
今年はウーバーとリフトの新規株式公開(IPO)で盛り上がるだろうが、どちらも自動運転車を使った未来のタクシーサービスを強引に売り込むことはないだろう。あなたがドローンでピザを受け取ることもなさそうだ。

しかし小型の宅配ロボットという形で自動運転が現実になるかもしれない。車輪付きの保冷ボックスが自律走行すると考えればいい。(中略)

折り畳み式のスマホ
スマホは普通の人間が握って使うには大きすぎる。しかしスマホはおそらく大きいほど使いやすい。この2つの事実はこれまで両立しえなかったが、今年はそれぞれの長所を生かすことができるかもしれない。(中略)

曲がるディスプレーはあなたの家や車の中にもやってくるかもしれない。折り畳み式の大型テレビをほしくない人なんているだろうか。【1月4日 WSJ】
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【外国人労働者の職場・生活環境も変えることができる自動翻訳機】
個人的に関心があるのは、自動翻訳機がどこまで実用化できるかということ。

****SFの世界にまた一歩、ほぼリアルタイムの自動翻訳機 CES****
これまで、SFの世界の中に限られていた自動翻訳機だが、人工知能やクラウドコンピューティングの進歩により、実用レベルに到達し始めている。最新の機器では、ほぼリアルタイムでの対応も可能になった。
 
米ネバダ州ラスベガスで開催中の世界最大級の家電見本市「国際コンシューマー・エレクトロニクス・ショー」では今回、携帯タイプの専用端末やワイヤレスイヤホン型の多言語翻訳機が数多く展示されている。
 
米ニューヨークで2014年に設立されたウェイブリーラボは、イヤホン型翻訳機「パイロット」を展示している。パイロットは15言語に対応しており、価格は180〜250ドル(約1万9500〜2万7000円)。(後略)【1月11日 AFP】
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“日本からは、ソースネクストが出展している。同社はスマートフォンを必要としない翻訳機「ポケトーク」を展示。同社は2020年東京五輪を機にこのデバイスが広がることを期待しているという。”【同上】とのこと。

販売されている「ポケトークW」の評判は悪くないようですが、いちいち翻訳機のボタンを押して・・・というが面倒。やはりこれでは会話は成立しません。

その点、ウェイブリーラボのイヤホン型翻訳機「パイロット」は、イヤホンが自動的に音声をキャッチして機械翻訳を行い、同時に耳元にささやくということで、これなら使えそうです。

今は数秒のタイムラグが生じるとのことで、ここらが改善されれば、いよいよ外国人と普通に会話できるという日も・・・・来るかな? 期待しています。

話は飛びますが、日本では外国人労働者の受け入れが拡大されましたが、受け入れ態勢の整備が問題とされています。

一番のネックは言葉です。単純な話で、上記のような自動翻訳機を受け入れ事業所に配置することを義務付けるだけでも相当に効果があるのでは?

もっとも、機械に頼って本人が語学学習をおろそかにするということになると、デメリットもあるのかも。
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