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孤帆の遠影碧空に尽き

年に3回ほどアジアの国を中心に旅行、それが時間の流れに刻む印となっています。そんな私の思うこといろいろ。

日中関係  双方が警戒感を抱きつつも、歩み寄りの姿勢も

2018-01-02 21:49:14 | 中国

(【2017年12月14日 毎日】 短期間に大きく変動しますから、一時的な動向で両国関係を固定的にとらえないようにすることが大切かも)

世論調査で、日中関係の悲観論が両国で大幅に減少
日本を取り巻く国際環境を考えると、現在懸案事項となっている北朝鮮の問題は、長期的には落ち着くところに(それがどこで、どういう形でかはわかりませんが)落ち着くのでしょう。

アメリカとの関係はもちろん重要ですが、多少の波風や、トランプ大統領の巻き起こす突風などはあるにしても、ほぼ似たような価値観を持つ国ですから(多分・・・・違いも多々ありますが)、それほど深刻に悪化することもないでしょう。

韓国との関係はグジャグジャしていて、下手にさわらない方がいいような感も。

そういうことからして、長期的に、日本が主体的に取り組む必要があるのは、急速に国際的影響力を高める隣国・中国との関係ではないでしょうか。

二千年の日本の歴史的にも重要な要素でしたし、現在の政治・経済関係においても重要です。
(嫌いだからといって引っ越す訳にもいきませんので)中国の影響力・引力がますます強まるなかで、今後どのようにバランスを保つか、価値観の違いを超えて、日本の立場を維持しながら両国関係を良好な状態を作り出すかが、日本にとっての課題となります。

ここ数年は冷え込んでいた日中関係ですが、北朝鮮問題もあって昨年末あたりから、その改善を示唆するような話題・記事が目に付くようになりました。

****<日中共同世論調査>関係「悪い」…両国で大幅減****
非営利団体「言論NPO」と中国国際出版集団は14日、第13回日中共同世論調査の結果を発表した。現在の日中関係を「悪い」(「どちらかといえば」を含む。以下同じ)と答えた人の割合が日本側で44.9%と昨年の71.9%から大幅に減少した。50%を下回るのは7年ぶり。

中国側でも「悪い」は64.2%と昨年より14ポイント減少し、日中関係の悲観論が減少した。
 
北京で記者会見した言論NPOの工藤泰志代表は「両国間でこの1年、首脳間の交流に進展があった。北朝鮮の軍事的脅威も高まっており、相対的に日中関係の安定を際立たせた」と説明。

また、「相手国に対する印象」は中国側で「良い」が31.5%(前年比9.8ポイント増)。「良くない」は66.8%(同9.9ポイント減)となり、尖閣諸島国有化(2012年)の対立前の水準に戻った。

日本側も小幅ながら「良い」が11.5%(前年比3.5ポイント増)。「良くない」が88.3%(同3.3ポイント減)だった。

調査は10月20日〜11月5日、日中双方で18歳以上の男女を対象に、日本は1000人、中国は1564人から回答を得た。【2017年12月14日 毎日】
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中国の習近平国家主席が昨年12月13日、旧日本軍による南京事件(1937年)を記念する「国家哀悼日」の追悼式典に出席しながらも演説しなかったことで、“日本への配慮をうかがわせた”とも話題になりました。

首脳相互訪問、「一帯一路」への協力の動きも
こうした状況は、日中両政府が調整している首脳相互訪問への追い風になるのでは・・・との期待もあります。

****<日中共同世論調査>首脳相互訪問へ追い風 関係悲観論減少****
非営利団体「言論NPO」と中国国際出版集団が14日発表した第13回日中共同世論調査は、日中関係の悲観論が大幅に減少する結果となり、日中両政府が調整している首脳相互訪問への追い風となりそうだ。
 
言論NPOの工藤泰志代表は「昨年の調査(8月13日〜9月4日)から現在まで首脳会談は4回、外相会談は7回の計11回開催された。前回の調査期間の計6回を大幅に上回る形で、両政府は関係改善に動き始めている」と指摘する。
 
日中両政府が関係改善のテコにしているのが、来年の日中平和友好条約締結40周年にあわせた首脳の相互訪問計画だ。日本で開催予定の日中韓首脳会談に合わせた李克強首相の訪日▽安倍晋三首相の訪中▽習近平国家首席の訪日−−の順が想定されている。
 
日中外交関係者によると、中国外交当局は日本国内の対中世論の動向に関心を示している。特に習氏の訪日が実現すれば、2008年に訪日した胡錦濤前国家主席や1998年の江沢民元国家主席の接遇とも比較される。

幅広い日本国民から歓迎されるかは習氏の体面がかかる。両国の相手国への国民感情は、12年の尖閣諸島国有化でどん底まで落ちた。今回、信頼性の高い日中共同世論調査で、悲観論が大幅に減少する結果が出たことは非常に明るい材料だ。(後略)2017年12月14日 毎日】
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12月24日から訪中した自民党の二階俊博幹事長、公明党の井上義久幹事長らの与党訪中団の積極姿勢、これを厚遇する中国側対応も目立っています。

****与党、一帯一路に前のめり 慎重姿勢の政府と温度差****
中国の現代版シルクロード経済圏構想「一帯一路」をめぐり、自民党の二階俊博幹事長を団長とする与党訪中団の積極姿勢が際立っている。

訪中団は財界関係者も引き連れ、中国福建省を一帯一路推進の国際的モデル地区とすることでも合意した。だが、安倍晋三首相は透明性確保などを協力の条件とするなど慎重姿勢を崩しておらず、政府・与党間で温度差が生まれている。

二階氏は28日、習近平国家主席と面会した。5月に続き今年2回目で、与党幹事長としては異例の厚遇だ。政府が閣僚派遣を見送った一帯一路関連フォーラムに二階氏が出席したことが影響したとみられる。

「一帯一路協力の推進について突っ込んだ意見交換を行い、未曽有の実り多い成果を得ました!」

二階、習両氏の会談で、同席した中国共産党の宋濤中央対外連絡部長は、二階氏らが参加した25、26日の日中与党交流協議会の成果を習氏に報告した。

一帯一路の支持を取り付けることは中国側の最重要課題だ。安倍首相が9月に日中国交正常化45年の祝辞を送った際は、中国側が事前に「祝電に『一帯一路』を入れてほしい」と求めたという。

二階氏は24日に現地メディアに対し、一帯一路について「しっかり応援する。積極的に参加すると心に決めた」などと語った。交流協議会では、福建省をモデル地区とするため、中国政府担当者が来日することも決まった。

これに対し、安倍首相は第三国での日中協力を後押しする意向を示すが、透明性や公平性を協力の条件としている。外務省幹部は、スリランカ南部ハンバントタ港で中国国有企業が得た99年間の貸与合意などを念頭に「第三国で港湾をつくって中国が独占なんてことに協力できない」と警戒する。港湾が軍事利用されればインド洋のシーレーン(海上交通路)が脅かされるからだ。

ただ、政府内には一帯一路の商機を生かしたいとの思惑もある。民間協力を支援する指針策定に向けた動きもあり、一帯一路を疑問視する政府高官は「不愉快だ」と吐き捨てる。

一帯一路をめぐる日本政府内の綱引きが続く中で、中国側からすれば二階氏の訪中は渡りに船だった。習氏は28日の面会で、自身が勤務した福建省を二階氏らが訪問したことを踏まえ、こう語りかけた。「福建省以外の地方も回ってください」【2017年12月29日 産経】
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中国側の日本への警戒論
こうした流れを、中国側は“日本・安倍政権が日中関係改善に方向を変えつつある”と認識しているようです。

****安倍首相が日中関係改善を急ぐ3つの理由―中国メディア*****
2017年12月22日、海外網は記事「日本与党の幹事長が中国を訪問、首脳の相互訪問実現を期待する安倍首相」を掲載した。

安倍首相は22日、自民党の二階俊博幹事長、公明党の井上義久幹事長と会談した。両氏は24日から中国を訪問する。安倍首相は日中首脳の相互訪問実現と友好深化への期待を表明している。

日本・共同通信によると、日本外交は対中けん制から友好路線へと転換しつつあるという。日本政府が対中関係改善を急ぐ理由はどこにあるのだろうか。

中国外交学院の周永生教授は三つの狙いを指摘している。
外交で成果を挙げ、周辺国との関係を安定させる狙い
中国の「一帯一路」戦略に参加することで経済振興を図る狙い
対中関係強化に踏み切った米国外交と協調する狙いだ。

ただし周教授は日本が対中けん制という従来の方針を捨てたわけではないと警告している。従来の方針を守りつつも、日中関係改善に努力するようになったのが現状との分析だ。【2017年12月23日 Record china】
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もちろん、中国側には、日本への警戒感も根強くあります。

****中国はこの先30年、日本の和解への意欲を軽率に信じてはいけない****
2017年12月27日、米華字メディアの多維新聞は、「中国はこの先30年、日本を信じてはいけない」とする記事を掲載した。

記事はまず、自民党の二階俊博幹事長が25日、訪問先の中国で、日中関係について「対話と交流を途絶えさせてはならない。日中首脳は胸襟を開いた率直な意見交換を頻繁に続けていくべきだ」とし、現在の日中関係については「改善の道をまっしぐらに歩んでいる。努力を続ければ、国民感情は確実に改善される」と述べたことを紹介した。

二階氏はさらに、中国が提唱する現代版シルクロード経済圏構想「一帯一路」について「お互いの障害を取り除き、円滑にビジネスができるようになれば、日中は共に発展できると確信している」と協力姿勢を強調したという。

その上で記事は「日中関係改善の大勢については言うまでもない。日中関係はかつてないほどの和解の機会を迎えている」とした一方で、「長期的には、中国は今後30年、日本の和解への意欲を軽々しく信じることはできないだろう」と主張した。

その理由として記事は、「米国が離脱した後のTPP(環太平洋経済連携協定)を主導し、米国とインド太平洋戦略を掲げ、台湾の肩を持ち、中国が立ち上げた『一帯一路』をボイコットしてきた日本が突然、中国に対する態度を変化させたのは、米中の接近が日本に与える影響を無視できなくなったためであり、外交上で受け身となることへの不安と焦りを感じているためだ」などと指摘した。

記事はさらに「日本は長い歴史の中で、中国を信頼せず本能的に抵抗してきた」とも指摘。

「中国が、今後の15年で社会主義現代化を基本的に実現し、その後の15年で富強・民主・文明・調和の美しい社会主義現代化強国を築き上げるという戦略目標を予定通り実現させれば、日本は自然と中国と和解する。中国が全面的に台頭しない限り、日本が本当に中国に頭を下げることはない。日本の現在の中国に対する態度の変化は一種の『ストレス反応』であり、本物の「友情」ではない。従って、日中関係がどれほど温かさを取り戻したように見えようとも、中国は冷静を保たなければならない」と結んだ。【2017年12月29日 Record china】
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ほかにも、“日本がF―35Bを購入して「いずも」に搭載か?中国紙が強い警戒感”【2017年12月27日 Record china】とか、やはり防衛費の増加への懸念や「日本は18年度に(米国製の)F35A戦闘機6機を購入し、戦闘機から発射する長距離巡航ミサイル等の装備を導入するほか、新型潜水艦1隻と新型駆逐艦2隻を建造する予定だ」といった警戒論“「日中関係の改善は安倍首相の行動次第」と中国国営メディア”【2017年12月31日 Record china】なども。

中国の姿勢への警戒も
一方で、日本側には、“中国・習近平政権が日本への歩み寄り姿勢を見せている”との認識もありますが、当然ながら、そうした見方への警戒感がもあります。

****習近平の深謀が日中和解のサインに潜む****
<対日関係改善の意思をにじませる中国――狙いはアメリカの「対中封じ込め」封じ?>

日本が尖閣諸島(中国名・釣魚島)を国有化したのを受けて日中関係が冷却化してから5年余り。中国はやっと関係改善に意欲を示しているように見える。

実際、中国のサインは曖昧なものだった。17年12月13日、習近平(シー・チンピン)国家主席は「南京大虐殺犠牲者国家追悼日」の追悼式典に出席。5年前から「中国の夢」という国家主義的なスローガンを掲げている習だが、今回の式典では演説しなかった(14年に国家追悼日を制定し、初の式典に出席した際は演説している)。

日中関係を定義してきた事件から80年という節目だけに、異例ともいえる習の対応は、ようやく日本に歩み寄る用意ができたのかと臆測を呼んでいる。

問題は、習が安倍晋三首相との関係改善を望む動機だ。安倍は中国の国営メディアから反中政治家とたたかれてきた。中国がここへきて対日政策を転換するのには、差し迫った理由が少なくとも3つある。

最も基本的なレベルでは、中国の対日強硬策が逆効果になっていること。中国は13年に、尖閣諸島上空を含むADIZ(防空識別圏)を設定するなど強硬策に打って出た。尖閣諸島周辺海域に艦船を送り、日本の領空に国家海洋局の航空機を飛ばしたこともある。日本との高官レベルの接触も中断している。

中国にとってはあいにくだが、こうした戦術は期待どおりの効果を上げてはいない。(中略)

加えて、朝鮮半島の核危機も習に日中関係改善を迫っている。(中略)対日関係がより安定し改善すれば、朝鮮半島問題でドナルド・トランプ米大統領に対する影響力を手にできるはずだと、習は考えている。

対日政策の根本は不変
最後に、中国が日本に歩み寄るもう1つの重要な動機は、米中関係の大幅な悪化が見込まれることだ。最新の国家安全保障戦略が示すように、アメリカは今では中国を戦略上のライバルと見なしている。(中略)

中国に対する封じ込め政策は日本が参加を拒めば骨抜きになるだろう。中国にとってはアメリカを出し抜いて日本に働き掛けるのが一番だ。日中関係を改善できれば、日本はアメリカと共に中国を封じ込めることに消極的になるはずだ。

以上が安倍に対して習が態度を軟化させている理由だとすれば、目的達成を阻む「壁」も待ち受けている。

最も明白な壁は、習が日本に歩み寄りを見せているのは単に戦術的なもの、と見破られる可能性だ。言い換えれば、中国の対日政策は根本的には変わっていない。

中国が東アジアの覇権国家を自任し、日本を対等なパートナーと認めなければ、日本は今後も中国の長期的な狙いについて懸念するはずだ。

中国の経済・政治改革の後退を思えば、中国をアジアにおけるパートナーとして信頼することに日本がさらに懸念を深めるのも当然。こうした懸念から、日本はこの先も安全保障をもたらすことのできる唯一の同盟国アメリカから離れないだろう。

さらに、日本との関係改善を模索するのなら、中国は近年の強硬路線からの劇的な転換を示すため、はるかに多くのシグナルを送らなければならない。

例えば、中国の国営メディアは反日プロパガンダのほとんどをやめて、中国軍は日本付近の海域や空域での活動を大幅に削減するはずだ。(中略)

最後の壁はアメリカだ。トランプと国家安全保障顧問たちが習の動きを注視するだろう。アメリカは日中の緊張緩和は歓迎しても、中国が日米関係に亀裂を生じさせようとすれば黙ってはいない。

朝鮮半島の核危機やアメリカのアジア戦略といった非常に重要な問題について、アメリカは日本が今後もアメリカの忠実で頼れる同盟国であり続けるよう、あらゆる手を尽くすはずだ。

こういった理由から、中国が見せた日本に対する雪解けムードは、当面はうわべだけで中身のないものになる公算が大きい。

引き続き和解を目指すのなら、習はさらに多くの、より強力なシグナルを送るはずだ。近い将来、高官レベルの協議が再開され、ひいては習と安倍の公式首脳会談も実現するかもしれない。

そうしたジェスチャーは追い風にはなるが、日中関係の本質と根本にある戦略的力学を変えるものではない。アジアにおけるライバルである2つの国は、以前よりはましな関係になっても、決して警戒を解くことはできないはずだ。【2017年12月29日 Newsweek】
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前向きに状況をマネジメントする努力を
お互いが根強い警戒感を抱きながらも、双方が少しずつ歩み寄り姿勢も・・・といった現状です。

****日本が4月の日中韓首脳会談開催を提案、日中関係の改善に「本気」****
2017年12月31日、参考消息網は記事「日本、日中韓首脳会談を提案、真剣に日中関係の改善を図る」を掲載した。

日本メディアの報道によると、日本政府は2018年4月の日中韓首脳会談の開催を中国、韓国に提案した。韓国側は「調整する」と回答し、中国からはまだ返事を得られていないという。

18年は、日中平和友好条約締結40周年の節目に当たる。日本側は日中首脳の相互訪問実現を目指している。2月にも安倍首相が訪中し、4月の日中韓首脳会談で相互訪問の定着を目指す構えだ。【1月2日 Record china】
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双方に警戒感があるのは当然ですが、そうした警戒感による負の連鎖を断ち切るためにも、首脳間の会談が重要でしょう。

中国の影響力拡大という“見たくない現実”から目をそらしているだけではどうにもなりませんし、中国との不毛の対抗関係にのめりこむのも日本の安全保障・経済上の利益にはなりません。

状況を前向きにコントロール・マネジメントする努力が必要です。
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