銀座のうぐいすから

幸せに暮らす為には、何をどうしたら良い?を追求するのがここの目的です。それも具体的な事実を通じ下世話な言葉を使って表し、

ショウグン(短尾の猫)は、ガンで死んだのですが・・・・・

2009-08-29 22:59:02 | Weblog
 30年前のその頃にはペットホテルなどありませんでした。ヘレンさんはしょっちゅう日本国内に旅行に行くわけです。猫、三匹をどうするか? その点ですが感心をしたのは、ご近所様に預けていく事ができることでした。ヘレンさんは非常に謙虚な人で、それゆえに、嫌われていなくて、猫を預けて旅行に行く事ができるのです。

 しかし、猫好きの私などが、2週間の海外旅行をしたときに、実家に預けたわけですが、猫は環境が変ると逃げ出したりして、大変です。それを予測した私が、スポーツ用品の専門店で、上等な綿ロープを買ってきて、「必ず、これを首輪に付けておいてね。反対側をどこかに結ぶ必要な無いのよ。だけど、このロープが重いから、逃げても必ずつかまえられるからね」と言っておいたのに、一回その忠告を無視してロープを首輪からはずしてみたようです。未だに母がそのときのことを、興奮して話すほどです。大騒ぎになった模様です。

 直径が一センチぐらいの綿ロープを三メートル後ろにたらすと、それは相当に重いので、猫がよたよた歩く感じになります。それを見た、祖母と娘は善意からですが、「かわいそうだから。はずそう」と合意して、はずしました。

 その途端、待ち構えていたかのように、猫は逃げてしまいました。夏ですから、ひょいと、はき出し窓から逃げたのです。昔はクーラーなど無くて、夏は窓は開けっ放しだったのです。私たち夫婦が出発後の、三日目ぐらいで、「すっかり慣れたわね」と祖母と娘が安心していたのに、猫はさっといなくなってしまいました。

 娘は泣いたそうです。「あんなにお母さんが、『ロープを首に結んでおいてね。重いから逃げても必ず、つかまえられるから』と言っていたのに、はずしたら行方不明になっちゃった。猫って、本当のおうちに帰るんだって。でも、途中で交通事故にあったり、飢え死にしたりするんだって」と泣いたそうです。

 でもね。その頃の猫、チビちゃんは相当賢い猫で、天井か、床下で娘が泣いているのを聞いていたのでしょう。何時間かたった後で、ひょいと顔を出したそうです。あわてて、二人が捕まえて、(男の子は主人の実家に預けていました。猫と娘だけを、私の実家に預けたのです)それ以降は、3メートルのロープをつけたまま、自由に放したそうですよ。どこかの柱に結わえ付けるのではないのです。行動としては自由にさせてあげるのですが、ロープの重さで、猫特有の敏捷さが失われるので、人間が追いつくのです。どこかへ逃げそうになったら、抱きしめて窓を閉めれば済む事なのです。

 これは、私が1980年代に夫婦で、一緒に海外旅行をするときに、思いついたというか、実験を重ねた方法で、猫をよそのお宅に預ける際には相当有効な方法です。ペットホテルなどに預ければ、ケージ(駕籠ではあるが、猫にとっては牢獄みたいなものです)に入れっぱなしになりますので、この綿ロープをつけて、普通に放しておく方が、ずっと猫には快適なはずです。ただ、今でもこの重い綿ロープを売っているかどうかが分かりませんが。

 白い木綿糸がたくさん撚り合わされてできているもので、昔は大縄跳び(クラス中が参加して冬は遊んだものですが)に使っていたものです。

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 ヘレンさんは猫好きだから猫に甘くて、そんな制限みたいな事は思いつくはずも無く、ただ、「お願いします」と言ってご近所様(日本人の普通の主婦)に預けたわけです。ただ、謙虚で静かなヘレンさんとお友達になっているぐらいですから、それは、できた奥様でしょう。

 ただね、『ご近所とは言え、他人の猫を三匹も預かるのは大変だろうなあ。その逃げ出す事も含むから。特にやんちゃなショウグンは元野良猫だから、外へ出たがるだろうに。それを逃げ出さないように管理するのは本当に大変でしょう』と私は推察していました。その推察どおりだったのです。

 ヘレンさんの旅行中にショウグンが一才にもならない若さで死んでしまいました。預かった奥さんは相当な責任を感じたのでしょうね。それで、『自分が虐待をした』と、誤解をされるのをおそれて、獣医さんに解剖をしてもらいました。その結果として、ショウグンがガンに罹っていたことを突き止め、その内臓を、ホルマリン漬けにしてもらって、ヘレンさんの帰宅を迎えました。

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 ヘレンさんは、その話を私たち二人にするときには、別に怒ってはいませんでした。本当はものすごく悲しかったらしいのですが、それも見せませんでした。そのときには、私はまだヘレンさんがアウシュビッツの生き残りである事を知りませんでした。

 でね、その落ち着きは不思議に思いました。実は文脈上は、この最大のポイントは、私の当時のときの経過どおり、秘めておきたいと考えていました。その方が問題点が明確になります。しかし、このブログ内で、米軍横須賀基地の高官の奥様と交流する話など書いても、読者の皆様が、何の興味をも、おもちにならないのではないかと感じて、『ヘレンさんがアウシュビッツの生き残りであること』を最初に明かしているわけですが、

 私自身は当時はそれを知らないわけです。

 それで、大学の医学部にあるようなふたつきのガラス瓶に入った、ガンが、はびこった猫の内臓を見ながら、私は二つのことを考えました。まず、『ご近所づきあいと言うのも難しいなあ。ペットをご近所に預けては駄目だ』と言う気付きです。どんなに友好的な関係を築いていても、ペットを預けては駄目だという事です。

 私もベッティさん(100%の日本人)もヘレンさんの地域の人ではないので、その預かった人を知りません。だけど、もしその奥様に「本音で語ってください」とお願いしたら「本当に大変だった。もう、ヘレンさんの猫は預かりたくないわ」と言うに決まっています。だからこそ、検死解剖みたいなことをしてもらって、内蔵を保存をしておいたわけです。「私の落ち度ではないのよ。ショウグンはガンだったのだから、自然死だったの」と言いたかったわけです。

 猫好きな私が推察するのには、ショウグンはガンだったかもしれませんが、死への引き金はあったでしょう。たとえばこれも視てきたような嘘をいいの類ですが、預かったお隣さんで、一部屋に三匹の猫を夜は、閉じ込めて寝かせたとしましょう。ショウグンは、元野良猫です。ただでさえ、閉鎖的な窮屈な部屋に押し込められたらいやがるはずです。が、そこに輪をかけて、先輩であるタイから来た二匹の猫と軋轢があったりしたら、プレッシャーを感じて、それが大きなストレスになり、死へ至ったかもしれないのです。
 ヘレンさんは楽しみが目的の旅行に行ったわけです。しかし、猫とはいえ、死は重大な事で、取り返しがつきません。ヘレンさんだって、内心ではどんなに悲しんでいるか、それも充分に推察できます。こういう重大な結果が現れると、ご近所の友好関係の中で、ペットを預けるのは・・・・・・止めた方がよい事がわかります。


 でも、駐留米軍の高官の奥様であるヘレンさんには、実家と言うものとか、姉妹とか、従妹と言うものの家が、日本にはありません。だから、ご近所様を頼る事になるけれど、結果がこれほど、重大だと、預かった人も大きく、傷ついているはずです。

 しかし、もちろんのこと、礼儀上、私はそんな分析をヘレンさんにぶつけるような事は致しません。

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 それよりももっと、もっと重大な、ヘレンさん側の過失に気がついていました。それは、ヘレンさんが殺虫剤を多用する事です。しかし、これについても、私はヘレンさんご自身に向かっては、何も言えませんでした。この殺虫剤の多用については、また、後日、日を改めて、詳細な分析を述べさせてくださいませ。そここそ、この一連の文章の主たる眼目なのです。もっとも大きなポイントであります。

では、今日はこれで、・・・・・・6冊目の本ができたので、その諸手当で、毎日毎日、疲労困憊しており、今日のひと日のうちに、クライマックスまで入れなかったのを、おわびします。2009年8月29日 雨宮舜(川崎 千恵子)
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