銀座のうぐいすから

幸せに暮らす為には、何をどうしたら良い?を追求するのがここの目的です。それも具体的な事実を通じ下世話な言葉を使って表し、

村上隆、草間弥生、千住博の違いと共通点

2009-02-21 23:45:46 | Weblog
 一つ、これから先は、この番組『クローズアップ現代』を見ないことにしようと決意した日を、上げてみましょう。それは、「村上隆の近況報告」と言うテーマの日からなのです。

 村上隆さんと言う作家(美術系)は、芸大日本画科出身の現代アート系作家であり、ビートたけしの「誰でもピカソ」と言うテレビ東京の番組の常連だった人です。特にアーチストを、コンテストで、選別する催し物の審査員として活躍をしていた人です。

 だけど、それ以降、大変な活躍ぶりで、ニューヨークのオークションで、ご自分のデザインした大きなフィギュアー(特殊なプラスチックで出来た人形・ココちゃん)が7000万円で落札したという事が、世間のニュースになったり、ルイ・ヴィトンのマークを、色だけは新デザインするように頼まれて、茶色地に黒だけだった、それを、白地にカラフルな紋章を散らしたものに、変えた人でもあります。

 また、ニューヨークで開かれた個展のタイトルを、リトル・ボーイと名づけ、それが大評判をとって、大成功だったとも、日本へ伝わっている作家です。

 で、その日は珍しく、国谷さんが、スタヂオを飛び出し、彼を工房他、へ、訪問して番組を作るという体裁になっておりました。

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 その時に、見てしまったのですが、すさまじい数の社員を、抱えた一種の会社組織に近い形で、彼が、作品を制作していると言う事実です。オフィスがものすごく近代的で、若い人が多く働いています。

同じように、マーシャライズ(統括している)と英語で、解説をされる、草間弥生女史より、さらに大規模です。

 草間女史の工房も、映像で見ましたが、縫い物が多いので、まず、ミシンを踏む女性たちを雇っていますね。後ろに一杯これから、使うはずの生地とか、半分出来上がった部品が下がっている、その工房は古典的です。大体が昔からの中小企業の作業場の形態を、保持した工房の様子でした。鏡の細工は別の場所でするのだと思いますし、版画はもちろん、専門の工房が、摺りだけを引き受ける形態でしょう。そこに働いているのは、主婦のようです。臨時雇いと言うかパート形式だと思いました。その人が、主たる生活をかけている給料ほどは払えない・・・・・と言うのも作家と言うのは、発想が沸くときと、沸かないときがあるわけで、常時人を雇うのは、いささか、邪道だと私は考えているからです。

千住博さんが、フィラデルフィアの松風荘の襖絵を、引き受けられて、ニューヨークでそれを、制作なさっているのを見ましたが、助手(弟子)はいます。助手が、墨というか、絵の具を用意したりする。だけど、弟子と言うのは、一種の修行をさせてもらっているわけですね。絵を描く技術のほか、業界人との交渉術とかそのほか多数のことを、学んでいるわけです。

だから、給料以外のメリットもあるし、それを助手本人が納得をして雇われているわけです。それに比べて村上隆さんの周りの景色は、大規模に過ぎました。大勢の若い人(新卒の可能性もある)の人生を引き受けてしまったわけです。しかも、急に景気の大後退が起こって、作品が以前と同じような値段で取引をされるかどうかが、怪しくなってきた状況での、クローズアップ現代での取材です。

これが新・日曜美術館での取材なら、同じ業界に住むもの同士の遠慮があって、その部分を質問しなかったでしょう。しかし、クローズアップ現代だからこそ、そこにも、質問が行きました。

で、それに対して、村上さんは、「確かに迷いもある」と答えています。「これから、フィギュアーではなく、平面(昔の言葉で言う絵ですね)に、移行しようかなと思う」と、背後に、一種の色面分割で出来た作品を、展示しながら仰いました。

私はその画面を見ながら、自分の生きるスタンスとして、こういう作家(美術系)を受け入れがたく思う発想があるのを、再確認しました。それは、人間としては、絶対に、失いたくないスタンスなのです。作品制作の一面に、お金が大きな部分で関与している、そういう姿を、一人のアーチストとして、受け入れがたく思う発想があるのです。

それで、その日以来「クローズアップ現代」を見ないようにしていたのです。が、偶然にも昨日は、その防衛機序を破って回したチャンネルで、よいものを見ました。

ところで、以上の、村上隆さんについて書いた部分は、私にとっては相当大きなポイントですが、その時点で書かなかったのは、私一流の礼儀です。<水に落ちた犬をたたくことになってはいけない>と感じるからです。人の人生には誰でも波があります。村上隆さんにも、収入の面で、旭日の日が、再びめぐってくる可能性はあります。

だから、放映・当時は何も書きませんでした。では、
            2009年2月20日  雨宮舜 (川崎 千恵子)
コメント
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