愛知労問研25周年の記念講演で、雑誌「経済」の元編集長友寄英隆氏が話された。大きなテーマを1時間ちょっとでしたが、大局を振り返るのにいくつか得心しました。レジメと共に年表と簡易な文章が資料で、後から読めて良かったです。①「新自由主義」と「ケインズ主義」のもたれあい、二番底は終わっていない、②投機マネーの再膨張、国家債務危機(ソブリン危機)、③ユーロ危機とデフォルト、EUの新段階、④あいまいな日本、⑤悪魔の循環ともう一つの悪循環などが印象に残りました。
①について新自由主義はわかりますが、ケインズと「もたれあい」には違和感がありました。新自由主義は民でできることは民でといいながら、規制緩和、民営化、優遇税制で大企業中心の政治が行われています。新自由主義いうより大企業中心主義のほうが分かりやすいかもしれません。②の投機マネーでは、「新自由主義路線が潰した歪んだ経済構造を改革しないまま、なし崩しに財政・金融を急膨張させたために、当然のことながら深刻な財政危機、金融緩和による投機マネーの再膨張をもたらした。」と説明しています。③ユーロ危機は、「国家財政が破綻し、デフォルトに陥ると、欧米の大銀行の不良債権となり、世界の金融機関のドミノ倒しの危機を招くことになる。」としています。「最近のユーロ批判の背景には、今日のドル体制を維持するための通貨戦争の側面もある。」としています。私のわずかばかりのユーロ貯金も不安です。0金利の日本のせいでしょうか。④曖昧な日本は、背景に対米従属の安保体制があることです。日米構造協議による公共投資押し付け、規制緩和、原発、オスプレイ配備をみれば良く理解できます。特に、⑤のもう一つの悪循環の図解はよく理解できました。実態的な悪循環では、(低単価)低賃金・リストラ、低価格・輸出増大、円高、低賃金・リストラの悪循環がありました。それに、貨幣的な悪循環であるデフレが絡み合っているとしています。これを主導しているのが大企業の「リストラ・低賃金」です。それは大企業を中心に強蓄積・内部留保の増大があります。3つの提言では、①日本の通貨主権の確立と「アジア通貨同盟」の提唱、②原発ゼロを基礎に「長期的な産業再生政策」の推進、③国民生活安定を基礎にすえた「総合的な経済発展計画」の策定を挙げています。質問も沢山でました。国民を苦しめている資本主義の経済構造を学習し理解し国民的な政策合意と、投機マネーの規制、国際的な労働戦線の連帯が必要であると感じました。
写真は友人からいただいた大きな天然鮎です。炭火焼ではありませんがおいしく頂きました。