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饗庭「平成都市計画史」その①

2023-10-21 | 都市計画・まちづくり

饗庭伸(あいば2021)『平成都市計画史』花伝社 その①

 「近代都市計画の百年」(石田頼房)の歴史はあったが、その後の流れ30年史である。労働者の賃金が上がらず、公的住宅は縮小し、高層建築が乱立して居住レベルの水準と住環境は良くなっていないと思う。私としては都市計画、建築、まちづくりに関わった時期と重なり、長いスパンでの視点は興味深い。規制緩和で都市市民の生活悪化には危惧している。参考文献には読んだ著者が多い。小林重敬、渡邊俊一、五十嵐慶喜、大谷幸夫、内海麻利、野口和雄、小泉秀樹、広原盛明、塩崎賢明、住田昌二、西山卯三、平山洋介、西村幸夫、卜部直也、野澤千絵、本間義人、宮本憲一、建築学会、都市計画学会などである。都市計画は総合計画であり分野が広く、総合性(社会学、経済学、財政学、政治学、地方自治)と専門性の両方が求められ、焦点が絞りにくい。私の関心テーマは、2000年頃の「都市計画の分権」、都市計画マスタープラン、都市・建築法、線引きと立地適正化、2項道路と地区まちづくり、高層マンションと空間地域計画である。今は、豊田市駅前開発の検証と既存ストックの活用で山之手公園改修に関心がある。以下、気になった箇所のメモ書きで、(   )内は私のコメントである。

 都市の大半を作り上げたのは、建築基準法の容積率、都市計画法の用途など、画一的で杓子定規な、しかし緩くて大雑把な規制であった。(建築確認が民間で出来るようになった。緩和より許可にすべき考えに賛成である。集団規定は別の法にすべきである。地区の計画なきところに開発なしの法制度が欲しい)。ヨーロッパと違い我が国には城壁がないが、線引き制度がある。縦方向への拡大の呪いが「容積率」という規制である。それ以前は、絶対高さがあった。

 「住宅双六」でゴールは庭付き郊外戸建て住宅であった。高層分譲マンション、広い床面積、間取りの多様化など変化がある。(郊外団地の老朽化、庭がほとんどなく家30坪ほど駐車2台である。公営住宅は縮小し民間住宅に家賃補助がない)中曽根内閣は容積率緩和を指示した。第一種住居地域の変更、市外化調整区域における宅地開発の規制緩和が進められた。

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