AMASHINと戦慄

~STARLESS & AMASHIN BLOG~
日々ブログレッシヴに生きる

ヘヴィ・メタルの逆襲

2012年09月28日 | 本わか図書室
ヘヘヘ・・・奥さん、いいブツが手に入りやしたぜ。

1985年に新潮文庫より刊行された伊藤政則著の、その名も『ヘヴィ・メタルの逆襲』。
絶版になって久しく、私が浪人時代にかりパクされて以来ずっと探し求めていた入手困難な稀覯書であった。
以前オークションで結構な値段で取引されてたが、この度帯付きのをお手ごろ価格でゲット。

1985年といえば、私はまだチェッカーズとか聴いてたメタルに介入する前の時代。
NWOBHMが猛威を奮いだし、アメリカでもL.A.メタルが台頭してきたまさにヘヴィ・メタル・ムーブメントが世界を席巻しつつある黄金期を迎えんとしていた頃だ。
本書は、70年代からハード・ロック、ヘヴィ・メタルの復興を待ち望んで止まなかった伊藤氏の、歓喜の叫びとも言うべき熱い想いがヒシヒシと伝わってくる渾身のメタル啓蒙書である。

私も多感期の中坊の頃に本書と出会い、伊藤氏のメタル愛熱すぎる文章に心打たれ、「メタルこそ真実である」という狂信的な理念に到達し、伊藤氏の言う「Keep The Faith(信念を保て)!!」という言葉を座右の銘とし、「メタル広めたる!!」という決意を心に誓ったものである。
(その後の時代に追従したブレまくりの私の人生はご存知の通りだ)

本書前半は、70年代のブリティッシュ・ロック黄金時代から70年代後半の衰退期、そして80年初頭のヘヴィ・メタルが復興に向かうまでの軌跡が、マスコミの怨みつらみと共に詳細に述べられていてかなり勉強になる。
特にブリティッシュ・ロック・シーンにおける黒魔術ブームのくだりはかなり興味深く、本書は私が70年代ハード・ロックに強い憧れを抱き、そしてオカルト趣味の傾向に走らせた原点的指南書でもあった。
そしてやはり、ハード・ロック、ヘヴィ・メタルはマスコミに敵視されやすく、「その歴史は賢者を装った愚か者たち(マスコミ)との血塗られた戦いの記憶である。」と伊藤氏は言う。
ま、私なんかも下敷きにメタルバンドのコラージュ写真を挟んだりしてて、教師やクラスの女子には白い目で見られてたし、親ともしょっちゅうケンカしてた。「ヘビメタヘビメタ」、「ウルサイだけの音楽」ってよく蔑まれてた。

でも今考えると、そういった偏見を持たれるのは仕方なかったのかな~って。
時代はMTV真っ盛り。アイアン・メイデンなどのド派手なライブパフォーマンスや、ツイステッド・シスターのアメリカンバカなPVがしょっちゅうお茶の間に流れてた。
現在のガテラルヴォイスが認知されるような時代ではなく、演奏力がなくてもそこそこのキャッチーさとヴィジュアルのこけおどしで十分通用する世界だったのだ。




でも、誤解されやすい音楽だからこそ、その苦渋を味わってきたミュージシャンたちの裏の素顔を知って欲しいと伊藤氏は切に願うのである。
本書の後半では、ランディ・ローズ、ロブ・ハルフォード、マイケル・シェンカー、スティーブ・ハリスなどの、そのミュージシャンたちと直に関わってきた伊藤氏だからこそ知りえる彼らの素顔やエピソードが紹介されている。
こういったミュージシャンたちの意外性や男気なんかも、メタルのひとつの魅力でもあったのだ。武勇伝とは裏腹に、彼らの奥ゆかしい素顔を知っていたからこそ、僕たちはあの頃、メタルにただならぬ憧れと敬愛の念を抱いたのであった。


本書には、このようなメタルバンドのお宝カラー写真がギッシリと満載されている。



AMERICAN UNKNOWN METAL BAND、“TSUNAMI”。彼らは今・・・・?



あと巻末には、伊藤氏が選んだメタル・アルバム50選が年代順に紹介されているが、こん中でよく聴いたのはせいぜい10枚くらいかな。
まぁ私がメタルに傾倒していったのは80年代後半であり、前半のはあんま通ってこなかったので、ピンとこないのも致し方ない。




今日の1曲:『ヘヴィ・メタルの逆襲』/ 人間椅子
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恐怖!機動ビグ・ザム

2012年09月25日 | ミノフスキー粒子
のっけからわけのわからん構図の写真で恐縮ですが、最近ブックオフやオークションやスーパーでおもろいぐらいに欲しかったアイテムが手に入るので、まぁこの写真はその一部を撮ったもので、カテゴリー分けに困ってるありさまにございます。

まずは今月はじめ頃に入荷されていた、ペプシネックスの大河原先生デザインのガンダム缶シリーズ第二弾でありますが、毎日チビチビと購入していって(いっぺんに買うと次の日の楽しみがなくなっちゃうので)、あとMS2種を残したところで近所周辺のスーパーに全く入荷されないという状態が続き、ルナツー空域での補給活動に支障をきたすのっぴきならぬ事情でもあったんかいなと気を揉んでたんだが、ちょっと遠出をしたところのスーパーのレジ前に大量に置いてあるのを発見し、その時私が跳び上がらんばかり喜んだのは言うまでもない。(オッサン、ほかに楽しみないんかい)
積み上げられたペプシネックス缶の中から残りの2種を必死こいて探し出してる時の私の姿は、レジに並んでる客にはひどく無様に映っていたであろう。(オッサン、ほかにやることあるやろ)

今回のシリーズでは、ゾックなんてなかなかレアじゃない?ボラスキニフもあの世で涙していることでしょう。
しかし、ジムやゴッグを差し置いて、エルメスやビグ・ザムなどのモビルアーマーを中途半端に今シリーズに加えたのは理解に苦しむところ。

おかげで近所のスーパー、このありさまよ。

「ガ~~ハッハッハ!!ビグザムが量産の暁は連邦なぞあっという間に叩いてみせるわ!」
ザビ家の栄光、ドズルのプライドのため、誰か買ってあげて!


で、もう1アイテムはスーパーの帰りに立ち寄ったブックオフで見っけたPerfumeの最新シングル『Spending all my time』の初回盤。
いや、メジャーデビュー当時からPerfumeの音楽にはハマっていたが、レンタルで十分だと思っていたのが、ひとつ商品を買ってしまうと私のいつもの蒐集癖がモラホラと疼き出してきやがるのだ。まぁそれだけ自分の中でPerfumeの存在がデカくなってきたということだ。

ユニバーサルに移籍して、いよいよ海外進出を強く意識し出した彼女たちだが、志を高くしてグローバルに活躍してくれれば、こちらも日本人として誇り高い。
ただ、今回のシングルナンバーはなんかそれをへんに意識しすぎたやけにスカした楽曲だ。
使い古された安っぽい洋楽ポップというか、Tommy Februaryあたりがやってそうなスカした感じ。
海外進出のためとはいえ、テクノアイドルらしさ、あるいはJ-POPという本分を逸脱しすぎるのはいかがなものかと。
そもそもこの楽曲を聴いて、果たして海外の人が「カノジョタチサイコウダヨ」って思うだろうか?
あとのカップリング2曲はいつものらしさが出ていてよい。特に#3“Hurly Burly”はクールながら、サウンドのハジけ具合が秀逸。
やっぱPerfumeはハジけてないと。



今日の1曲:『Spending all my time』/ Perfume
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絵 VS 墓

2012年09月16日 | プログレッシヴ草稿
中古で激安だったので、有名プログレバンドのライブアルバムを2枚同時に入手。

1枚はエマーソン・レイク&パーマー(以下ELP)が、ムソルグスキーの壮大なる組曲を大胆にもカヴァーしたあまりにも有名な『展覧会の絵』の20bitK2盤。
ELPは、私が高校時代にプログレッシヴ・ロックに傾倒していくキッカケとなったバンドでもあり、このライブアルバムも当時むさぼるように聴いておりましたが、やはりなんだかこのクラシックとハードロックの融合には、少なからず違和感を覚えながら聴いておったように思います。
10数年ぶりにいい音質で改めて聴いてみて、ムーグシンセサイザーを駆使しまくりのキースのプレイはそこそこおもしろいとは思うが、グレッグの歌はカッタるいし、プログレ特有のクドクドしさ、大仰しさの典型といったところで、今聴くとちょっとしんどいものがある。

ワイト島でのELP衝撃のデビューライブ。
当時この映像を目撃した時は、さすがにキースのやんちゃっぷりに度肝抜かれた。



もう1枚は第一期キング・クリムゾンの2枚組ライブ音源集『Epitaph ~1969年の追憶~』。
いわゆるオフィシャル・ブートレグというやつで、フリップ翁が海賊盤流出の対抗措置として、ブート音源集を連発していた頃の1つ。
オリジナルメンバーでのライブ音源にはかなり興味はあったんだが、1969年のブート音源なんてどうせロクな音質じゃないだろうし、だいいち4500円は高価すぎるということで今まで手を出さずじまいだった。

Disc-1には、最初のレコーディングとなったBBSスタジオライブの音源が4曲の他、アメリカでの2公演のライブ音源をつなぎ合わせた寄せ集め構成で、音質のバラツキ感はハンパない。
BBSセッションの“クリムゾン・キングの宮殿”と“エピタフ(墓碑銘)”だけが、やたらクリアな音質という。
あとインプロで、ビートルズの“Wild Honey Pie”のアコギフレーズをさりげに挿入してるのが面白い。
Disc-2は、1ヶ所の公演に統一されたもので、オリメンでの最後のライブとなったサンフランシスコ フィルモア・ウェスト公演の音源。音質はDisc-1に比べてはるかに良いものとなっている。
“21世紀の精神異常者”は様々な時代のライブヴァージョンを聴いてきたが、やはりオリメンでの演奏が私には一番シックリくる。この時期のフリージャズ然としたタイトな演奏が素晴らしい。
そして第一期クリムゾンの一番の功労者ともいうべきイアン・マクドナルドの暴れっぷりが耳を惹く。フルート、サックスを自在に弾きこなし、“クリムゾン・キングの宮殿”を名曲たらしめたメロトロンの実に雄大で壮厳なる効果的な奏でっぷりは圧巻というほかない。

あと本作で一番の収穫だったのが、2曲目の“Drop In”。
この曲は“Why don't you just drop in”というタイトルで、クリムゾン前身バンド?Giles,Giles & Flipp時代から演奏されていた曲で(この時はイアンがVoか?)、クリムゾンの4th『Islands』で、“The Letter”というタイトルでボズ・バレルが歌ったのが正式レコーディングされている。
GG&F時代のはちょっとフォーク・ロック寄り過ぎで、ボズの歌うのはいささかダーク過ぎだが、第一期メンバーでのヴァージョンはかなり荒削りな演奏ながら、アヴァンギャル度が濃厚でぶっ飛んでいる。
なんつってもグレッグの歌がいいね。『展覧会の絵』の時のダサヴォーカル加減とは比べるべくもない。

しかし、この時期のライブ音源を聴くにつけても、クリムゾンという音楽集団はやはりその時代、その時のメンバー編成によって独特の輝きを放っている。グレッグの歌ひとつとってもそうだが、クリムゾンの名のものとにメンバーが想定以上の技量を発揮する不可思議な魔力を持つ空前絶後のモンスターバンドなのだ。
いや、クリムゾン自体ロックバンドというより、とてつもない破壊力を内包した一種のエネルギー体というべきか。



今日の1曲:『Drop In』/ King Crimson
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世界で一番冒涜的な

2012年09月12日 | まったり邦楽
私はとうとう、Perfumeの映像作品にまで手を出してしまった・・・・

Perfume史上最大規模で初のアリーナツアーとなった『Perfume 3rd Tour「JPN」』から、今年の4月1日、彼女たちの地元である広島グリーンアリーナでの凱旋ライブの模様が収録されたDVDである。
Amazonで安価だったというのもあるが、なによりもこの冒涜的な角度を持つ三角体の集積物の浮遊するジャケットに心騒がせられるものがあり、なにか得体の知れぬ緒力によって突き動かされるがままポチってしまったのだ。

過去にファーストライブDVD『GAME』を鑑賞し、(まだ良質の楽曲も少なかったこともあり)「やっぱ所詮はアイドルのお遊戯レベルのキャピキャピライブやな」と、全く感銘できず、今年大阪城ホールで実際Perfumeのライブを目の当たりにしてもあまり集中することができなかったことから、彼女たちのライブに対しかなり懐疑的であった私であるが、ダンサブルなエレクトロサウンドと、トリッキーで正確無比なる三人娘のダンスパフォーマンス、そして彼女たちの思惟によって連動するサイコミュシステムであるかのような舞台装置を、的確なカメラワークと編集によって構成された映像を通して、様々な角度から(いや、スケベな目線ではなく)改めて鑑賞してみると、チームPerfumeの緻密に計算しつくされたこの音と光の見事なスペクタルショーに、驚異的なものを感じないではいられず、「Perfumeの音楽は、ライブで演奏されて初めて完成する」という格言もあながちデタラメではないなと思えるようになった。
やはり、彼女達はアイドルという領域を遥かに超越した存在であり、オーディエンスに媚を売ることよりも、この壮大なるショープログラムを完璧に演じきることへのハイレベルなプロ意識というものを固持しているように思われた。

腑に落ちないところといえば、今時テクノライブのDVDで、5.1chにもドルビーサラウンドにもしないという日本音楽業界の体たらくぶりくらいか。


オオオ・・・上空より角度ある光る螺旋状の物体が三本同時に降下してくる!
もう、間もなくだ。間もなくこのステージに彼方からのエレクトロ三人娘が降臨し、我々を想像も及ばぬ角度ある朦朧とした領域へと導いてくださるのだ・・・イアイア。



オーディエンスのこころをシュワリと突き刺す虹色の羅舞ビームが一斉に放たれた!
地球上で知られるどんなリズムとも異なる狂おしいエレクトロサウンドをバックに、この光を目にした者は、麻薬常習患者のように恍惚と破滅の彼方へといざなわれるという。



私は彼女たちの頭上に浮遊するこの三角体を目にし、角度ある領域から顕れるという“ティンダロスの猟犬”のことを思い浮かべると同時に、先月、米子の皆生温泉旅館の縁側にて私が一心不乱に興じていた、木製パズル“The T”のことをも思い出していた。



そして城ホールのライブで、私が最も興奮させられた“JPNスペシャル”と名づけられた(もうちょっとマシなタイトルなかったんかい)中田ヤスタカ氏によるインストナンバーでの目くるめく三角体イルージョンはやはり圧巻であり、映像でもそのスピード感と突き上げるようなブっ太い四つ打ちビートの凄まじさがビンビン伝わってくる。
これだ!・・・・現地でのあの言いしれぬ興奮が再びフツフツと蘇ってくる!
この驚異ともいうべき映像を見るために、私はこのDVDを購入したといってもいいかもしれない。
とにかく、この時のパフォーマンスは映像作品として、もっと多くの人に配信されるべきであるかと。

巨大なピラミッド型のスクリーン連続体の彼方より出でし崇高なるも不自然なガールズ。


最高の神聖なる甘酸が律を編むのだ!
動のみならず静までも!

最高なる三竦みが支えてこそなせる技
その三竦みとは・・・・

ノッチデンス、ウシュムガル・アーチャン、カシュ=カ

おお、偉大なる三竦みよ 最初にして最後なるものよ
全能なりし 最も活気溢れる連続体よ・・・


「ラン・ラン・ラン・・・・・」という幻惑的な響きと共にはじまる“シークレットシークレット”の、漆黒の地下世界から浮上する彼女たちの非人間的な動きのロボットダンスパフォーマンスは恐ろしくも神秘的であり、その緊張感たるや凄まじいものがある。


ただ、そのイントロの後突如“不自然なガール”に切り替わり、肩透かしを食らわせられるという、信じ難い冒涜的展開に!そこからは怒涛のPerfumeナンバーメドレーへと一気になだれ込む。
なんという狂気!なんというカオス!
願わくば、この気を狂わさんばかりの悪意あるねじくれた展開を目撃した小心な女子たちが、ショックのあまり“心不全なガール”と成り果てたまわらんことを・・・・・


ただ、私がどうしても受け入れ難いのが「P.T.A.」のコーナーで、娘三人が強要してくる背徳的な振り付けと、呪詛めいた掛け声にはどうしても抵抗を感じ、不快感を禁じえなかった。

「ソト・ウチ、ソト・ソト、ウチ・ウチ、ヨグ・ソト、ヨグ・ヨグ、ヨグ・ソト・・・ヨグ=ソトホース!!」

その時、わたしはその連祷の意味を悟ったのだった。
戸口だ。アルハザードが円柱都市イレムで開けた最初の門。
時空間の最下のさらに彼方、核の混沌のただなかにおいて、原初の粘液として永遠に泡立っている、有害きわまりないヨグ=ソトホースが潜む彼方へと我々をいざなう連祷だったのだ!


角度!!角度!!


今日の1曲;『My Color』/ Perfume
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ハンニバル

2012年09月09日 | しねしねシネマ
昨日、テレビをポケーっと見てたら、earth music&ecologyのCMで、宮崎あおいがカフェで外人のオッサンとあれこれやり取りするシュールな内容のCMが目にとまった。
これを見てハッと思ったのは、その外人のオッサンがアキ・カウリスマキ監督のフィンランド映画『過去のない男』に主演してたマルック・ペルトラさんやないかと!



で、“宮崎あおい”、“フィンランド”、“過去のない男”のキーワードでググったら、どっかの芸能ニュース記事に、

「CMは全編フィンランド語で展開する北欧映画をほうふつさせる内容で、宮崎さんは挑発的な言葉で話しかけてくる男性をフィンランド語でやりこめるクールな女性を演じている。」

みたいなことが書かれてあったが、外人のオッサンについては全く触れられてなかった。
一般の方の記事で、あれは『過去のない男』の俳優だと言及していたのを読んで確信に至ったわけだけど、カフェのシックな色合いのコントラスト映像といい、センスのいいBGMといい、いかにもカウリスマキ監督の作品に雰囲気が似ている。
とかいったら、私がまるでフィンランド映画に詳しいみたいに聞こえるが、そんなことは微塵もなく、だいたいフィンランドの好きなメタルバンドといえばSTONEぐらいだし、そもそもフィンランドっていう国自体どこにあるかもよく知らない。
たまたま観たカウリスマキ監督『過去のない男』が私のお気に入り映画っつーだけで、この作品に関しては2年くらい前に当ブログで紹介しているくらい思い入れのある一本。



まぁ芸能ニュース記事には、「挑発的な言葉で話しかけてくる男性」って書いてるけど、彼はただダンディーに話しかけているだけであって、むしろ挑発的なのは宮崎あおいの方って気もするんやけど。しかも別に言いくるめてないし。
CMでフィンランド人の男が「あんたオレが昔飼ってた犬に似ているな」というセリフがあるが、これは多分『過去のない男』に出てきた“ハンニバル”っていう名の犬のことを指しているのではないかと。

ハンニバル。

元の飼い主には、家賃滞納者をかみ殺すほどの猛犬と言われていたが、メッチャおとなしくてかわいい。
彼(本名タハティ)は本作において、カンヌ国際映画祭で優秀な演技を披露した犬に贈られるパルム・ドッグ賞を受賞している。


CMで宮崎あおいがコーヒーに砂糖を溢れんばかりに注いでるシーンも、映画の中でマルック氏が自宅のキッチンで料理してる時に、フライパンに(塩だか砂糖だかの)大量の調味料を注いでいるシーンを彷彿とさせるのだが、おそらくこのCM自体『過去のない男』をパロったものではなかと思うのは、私の行き過ぎた憶測だろうか?


アキ・カウリスマキ監督は、実は小津安次郎や成瀬巳喜男監督などの日本映画ファンでもあって、まぁその辺の難しい映画のことはよくわからないが、『過去のない男』の終盤ではクレイジー・ケン・バンドの曲が使用されていたり、けっこう日本と関わりの深い人物のようだ(ってことを前の記事にも書いた)。
俳優のマルック・ペルトラさんも、フィンランドを舞台とした日本の映画『かもめ食堂』に出演してるとのことなので、今度また確認しようかと思う。



~訂正とお詫びとボヤキ~
ここんところ、“宮崎あおい”、“過去のない男”のキーワード検索で当ブログにご訪問して下さる方が多いのですが、もーいっぺんネットで調べてみたところ、『過去のない男』主演のマルック・ペルトラさんは、2007年12月31日に逝去されておりました。
よく見るとまゆげも太めだし、声も太すぎるなとは思ってたんですが・・・(あ~あ、またやっちまったなぁ)

markku peltola R.I.P.


私めの無知蒙昧さと早とちり記事のせいで、皆様にご迷惑おかけしました。

でも、CMの雰囲気はもろカウリスマキ監督風なんですけどねぇ。
芸能ニュース、その辺詳しく書けよ!!



『過去のない男』劇中歌。


今日の1曲:『悪魔に追われて』/ Paha Vaanii
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ハスキー犬に気をつけて

2012年09月05日 | しねしねシネマ
ジョン・カーペンター監督の『遊星からの物体X』をさっそくレンタルして鑑賞しやしたぜ。

つーかこの映画って、相当古い映画っていうイメージがあって、一部のSFマニアの間だけに支持があるんだろうと勝手に思ってたんですが、それは1952年製作の『遊星よりの物体X』の方であり、カーペンターが監督したのは1982年製作の、いわばリメイク版であり上映当時はそこそこの話題作だったみたいですねぇ。
この年は、私が低学年の時に劇場で初めて見た洋画『E.T.』なんかも上映された頃だったんですね。幼少の頃からこの映画タイトルは聞いたことあったと思うんですが、当時かなりのビビリだったんで多分この類のポスター見るのも忌避しておったと思います。

まぁ先日、キャンベルJrの原作読んだので、だいたいの粗筋は把握しておったワケなんですが。
本作は、氷塊の中から解き放たれた“物体X”が、すでにノルウェー南極基地で一騒動起こした後の、シベリアンハスキー犬に憑依した姿で別のアメリカ南極基地に向かっているシーンから始まる、いわゆる原作からの後日譚という設定。
とはいうものの、登場人物の名前はほぼ原作と一緒で、ストーリー展開もかなり原作に添ったものでした。
疑心暗鬼に陥った隊員たちの心理描写や、物体Xのグロ変態シーンにいたるまで、監督が原作の要となる部分を余すことなく忠実に描き出そうという意気込みがもの凄く感じられる見事な完成度を誇ってました。
滴るゼリーの液体や、顔を歪ます装置、マペット技術などを駆使した当時のSFX特殊効果は、今となっては多少の古くささを感じさすものの、そのグロテスク効果は絶大で、80年代後半くらいから使われだした安っぽいCG合成映像や、アニメーションと区別のつかない現代の味気ないコテコテのCG映画よりはるかに強烈なインパクトがあり、この作品に対する監督のただならぬ思い入れと情熱を感じとることができました。



あと、オープニングから流れる、これから起こるなにやら不吉な予兆を感じさせる、ゴブリン、あるいはピンク・フロイドあたりが演ってそうな不穏な雰囲気のBGMがよいね~!
ボンボンッ ボンボンッ・・・・ていうあのベース音!
エンディングでも、この後の人類の行く末に暗い影を落としていく、なんともダークな後味の悪さをこのベース音が効果的に表現していますよね。
こいつが今みたいに頭悪そうなラウドロックやコア系だったら台無しだからね。

本作は主人公が若かりし頃のカート・ラッセルで、モジャ髭面が実によく似合ってました。
で、今夏上映の『遊星からの物体X ファーストコンタクト』の主人公がメアリー・エリザベス・ウィンステッド。
この二人は私のフェイバリット映画『デス・プルーフ』で共演してるってことで、個人的に感慨深いものを感じてしまったんですが、『ファーストコンタクト』は、その“物体X”が氷塊から発見されたノルウェー南極基地での前日譚が描かれてるとのこと。
つまり、原作により忠実ってことなのかな?(燃え上がる赤い三つの目とか、蠢く蛆虫のような青い髪の毛とか)。でもカーペンター監督がかなり原作に忠実に映像化してしまったからなぁ~、ちょっとこれ以上料理しようがない気もするんですが。
でもなんか気になって仕方がないので、映画館に観に行こうかと思ったんやけど・・・・

近畿圏ではもうどこの劇場もやっとらへんやんけ!
は~あ、俺の人生全てが思い通りにいかねぇな。



オススメ度:★★★★

今日の1曲:『遥かなる影』/ Carpenters
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物体エッキス その他の恐怖

2012年09月02日 | ルルイエ異本
先月上映された『遊星からの物体X ファースト・コンタクト』の便乗本として、時を同じくして扶桑社より刊行された『クトゥルフ神話への招待 -遊星からの物体X-』を先日入手。

まぁタイトル見てもろたら分かるように、いまだカルト的人気を誇る『遊星からの物体X』の3回目の映画化上映に乗じて、SFホラー映画ファンをクトゥルー神話の世界に引きずり込むことを目的とした布教企画本であろう。
本書には、J・W・キャンベルJr.が著した原作の新訳版のほか、クトゥルー神話関連作品の中短編が複数収録されている。

「え?『遊星からの物体X』って、クトゥルー神話だったの?」って驚かれた方もいらっしゃると思うが、実はそういうワケではなく、南極大陸が舞台の、悠久の太古に外宇宙から到来した未知の生物との遭遇という設定で、原作が発表されたタイミングからしても、この作品はH.P.ラヴクラフトの長編傑作『狂気の山脈にて』からインスパイアされた物語ではないか?と、クトゥルーシンパ側が勝手に騒いでいるだけというのが実情のようだ。
おそらく作者本人からも、そのような言質はとれてないんだろう。

“狂気の山脈”にて、ミスカトニック大学探検隊が<古のもの>と遭遇する場面。


実は私、映画自体も見たことなくて、この際だからキャンベルJr.の原作読んでみましたけど、うん、旧支配者も出てこないし、『ネクロノミコン』や『無名祭祀書』などの魔道書も参考にされない。
いわゆるパラサイトもので、血清検査とか、生物学的見地に基づいて未知のクリーチャーと対峙するという、わりと論理的で構成のシッカリした物語だった。
夢を介してクリーチャーが人間になんらかの影響を及ぼすというところは、確かにクトゥルー神話に通ずる宇宙的恐怖を感じるものがあったが。

つーかそれがしの本書購入目的は、まぁクトゥルーファンはほとんどがそうだろうけど、ラムジー・キャンベルの未訳作品5編。
なぜ今回の企画にラムジー・キャンベル作品が選ばれたのかと問うならば、単にキャンベル繋がりということだろうか?だったらロバート・キャンベルもいるし、ヴィヴィアン・キャンベルもいるじゃないかって、こいつらは作家じゃねぇか・・・
未読のブリチェスターものが読めるのは我々クトゥルーファンにとっては有難いが、『物体X』ファンからするとおそらく「なんのこっちゃい!?」って気がする。
しかも今回のキャンベル短編諸作品、ブリチェスターが舞台っつーだけで、クトゥルー要素も薄く単なる心霊譚やんって感じのものがほとんどで、正直つまらんかった(ラストの『恐怖の橋』は未読。こいつに期待)。

そして、最後になぜかH.P.ラヴクラフトの代表中篇作『クトゥルフの呼び声』の新訳版が収録されてある。
はぁ?それやったら『狂気の山脈にて』を収録するのが筋ちゃいまっか?
とは思うんだけど、『物体X』ファンの方をクトゥルー世界に取り込むにあたって、いきなりあないなくどい超形容文体で、「未知なるカダス」だの「原形質のかたまり」だの「テケリ・リ!テケリ・リ!」だのと、わけのわからんクトゥルー用語の羅列された長編を読ませられても困惑するばかりだろう。私も学生時代初めて読んだ時はティンプンカンプンやったもんなー
よって、物語としても比較的スマートでわかりやすく、クトゥルー神話の入門書としても最適な『クトゥルフの呼び声』がチョイスされたのだろう。

しかし、カヴァーイラストが『ヴィジュアル版クトゥルー神話FILE』と全く同じなことも含め、この一貫性に欠けたコジツケ感甚だしい今回のアンソロジー企画は、クトゥルーファンとしてもなんだかなー
ま、『遊星からの物体X』の原作に興味おありの方なら、是非本書をオススメしておきましょう。
同時収録の『クトゥルフの呼び声』は、SF怪奇小説としても一読の価値ありの傑作ですので。
私も今度レンタル屋で『遊星からの物体X』をかりてきて見ようかと思う。




今日の1曲:『狂気山脈』/ 人間椅子
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