AMASHINと戦慄

~STARLESS & AMASHIN BLOG~
日々ブログレッシヴに生きる

栞と紙魚子の生首事件

2008年04月30日 | 二酸化マンガ
早速、諸星大二郎著の『栞と紙魚子の生首事件』を購入して熟読。
この手のマンガはやはりヴィレッジ・ヴァンガードとかにしか置いてませんね。
しかし久しぶりに定価でマンガ本を買ってしまった。
部屋に入ってきた姉がこのマンガが私の机に置いてあるのを見てギョッとしておりましたが。

絵のタッチからして、つのだじろうや楳図かずお系列だと思われますが、あまりこの手のホラーマンガは嗜んでこなかったので、読む前はどないやろか?と不安でした。
グロテスクながらどこか間の抜けた画風がとても個性的である。キャラクターの表情もどこか微妙で緊迫感を意図的に外したような感じ。
ホラーマンガとしては怖くもなんとも無いんですが、胃の頭町で繰り広げられるこの珍妙奇天烈世界はどこか異次元めいていて不可思議な感触がある。

キャラクター設定はドラマと若干違っておりました。
まず古本屋の娘、紙魚子の古書マニア振りがいい。怪奇な事件に巻き込まれても、案外冷静で変なハウ・ツー本をひっぱり出してきて、事件をサクサク解決します。
ミスカトニック大学付属図書館さながらの古本屋の本棚には、『生首の正しい飼い方』とか、『自殺のススメ』とか、『邪馬台国は火星にあった』などの奇書が並べられており、よくみると『ネクロノミコン』なんかもさりげに置かれていたりします。
栞の方はどちらかというと、紙魚子の変な趣味に翻弄されている感じですが、たまにぼけたことを言って紙魚子につっこまれるという。生首を拾ってきたりと好奇心は旺盛なようです。

クトルーちゃんは「ボリスの獲物」の巻で登場し、異界のママさんの故郷から連れて来たヨグという得体の知れないトカゲめいたペットを飼っています。
「くとるーちゃん」の巻では、怪奇小説家の段一知(だんいっち)先生の一家がそろって登場し、私の闇黒神話的な好奇心を大いに満足させてくれました。
段先生は家族思いのやさしい性格で、異界の奥さんのことを「うちのヤツはいろいろ何があれでねぇ」とか「外国人だから少し変わってる」と、毎回トボけた説明で済ませてしまっている。
段夫人も姿こそ謎ですが、ものすごくおしとやかでいい母親でもあり、専業主婦に徹しておられる。
この妙なギャップが諸星ホラーワールドの味なのかもしれません。

栞の飼い猫のボリスはヨグとは対立関係にあり、「ヨグの逆襲」の巻ではかなりの死闘を繰り広げております。
思うにボリスはおそらくウルタールの猫でしょう。
ウルタールでは何人も猫を殺してはいけません。

『栞と紙魚子』シリーズは全5巻出ており、全巻買い揃えようかと思ってるのですが、A5判のため一冊約800円もするので中々手が出ないっす。

今日の2曲:『Inner combustion』/ VOIVOD
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「テケリ・リ!テケリ・リ!」を聞いた!!

2008年04月28日 | ルルイエ異本
あの広範囲に響きわたる慄然たる笛を吹くような「テケリ・リ!テケリ・リ!」という声・・・
クトゥルー信者の間ではあの声がどのようなものなのか、ずっと謎に包まれたままでしたよね。
実はあの名状し難い声の音声化に成功したTV番組が日本にあったんですよ!!

怪奇漫画家の諸星大二郎・著の『栞と紙魚子』シリーズを日テレ系列が連続TVドラマ化して『栞と紙魚子の怪奇事件簿』というタイトルで今年1月から放映していたことはご存知でしょうか?




女子高生2人が怪奇事件をユル~く解決していくおバカセンス溢れるホラーコメディドラマなんですが、脇役にはけっこう有名俳優が出ております。
その中に井上順演じる怪奇小説家・段一知(だんいっち)先生という人物が登場するのですが、顔の大きさが尋常でない異界(外国人で通っている)の奥さんとの間に生まれた女の子の名前がクトルーちゃんといい、機嫌がいい時は「テケリ・リ!テケリ・リ!」と奇声を発しながらスキップします(悍)。

段一知先生。都合の悪いことが起こると、フリーズするクセがあります。


『栞と紙魚子の怪奇事件簿』公式サイト

こちらの公式サイトで全13話を全て視聴可能です(現在は配信終了しております)。
クトルーちゃんは第10話「ボリスVSクトルー」に登場しております。
イア~、これはクトゥルー信者は必見でございます!!

クトルーちゃん役はなぜかキラ・バーバという白人の女の子が演じております。


いままでどんな声なのか謎だった慄然たる「テケリ・リ!テケリ・リ!」を、是非このドラマでご堪能下さい。
(ダンフォースのように発狂はいたしませんのでご安心を)


あと、このドラマの主人公の紙魚子役には、いまをときめく前田敦子(AKB48)が演じていることを追記しておく。

今日の1曲:『赤い胃の頭ブルース』/ eastern youth(←主題歌もカッコいい!!)
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胎内巡り

2008年04月18日 | 名所ガイド、巡礼記
来週26日に行われる長野聖火リレーで出発地点に指定されていた善光寺が辞退を表明したとのこと。ブラボー!!
http://sankei.jp.msn.com/affairs/crime/080418/crm0804181337011-n1.htm

今回は若い僧の方たちが上層部にだいぶ働きかけたそうです。IOCにも通さず中国から直に辞退せぬようかなり激しい圧力がかかってきていたようですが、それにも負げずによう頑張りはった!!
平和の祭典と謳いながらも現在も人権蹂躙、チベット仏教の文化的虐殺を推し進めている中国当局が企画した血塗られた聖火リレー。
そんなものを両手を挙げて迎え入れ、こともあろうにその出発地点に仏教の聖地である善光寺を提供するなど長野市だけでなく、日本そのものが人権意識の薄い低級国家として世界中のもの笑いになること必至なのは誰でもわかることでしょう。

 
善光寺の僧侶たちによる今回の武力弾圧により亡くなったチベット僧侶たちを弔うキャンドルツアー

実は私の生まれも長野でして、AMASHINの“SHIN”も信濃の“信”からとったものだと母親から窺っております。名づけ親の私の祖父母も生前長野市に住んでおり、幼い頃よく善光寺にも連れて行ってもらいました。
この寺の名物といえばやはり「お戒壇巡り」でございましょう。
本堂の真下に地下通路があり、そこを階段で降りていくとその中は正に漆黒の暗闇!腰の高さで壁を手探りで通路を練り歩かねばならないのですが、中に「極楽の錠前」というのがあり、それに触れれば極楽に行けるのだそうです。
もちろん私も何度か体験しましたが、なんとも言い知れぬ不可思議な闇のスリルがあって、冥界に入ったような心地になり闇憑きになること必死でございます。
「お戒壇巡り」は「擬死・再生の体験」「母の子宮の暗喩」などといわれ、京都清水寺の「胎内めぐり」でも有名な擬死再生の体験は、普遍的な救いのイメージに繋がります。
また暗闇は、本質的に恐怖という感情を呼び覚ましたり、子宮の中への想像など、深く根源的な思いが湧き出るようです。
         
夢野久作の日本最大の眩魔怪奇長編小説『ドグラ・マグラ』の巻頭歌「胎児の夢」 の一節に、

“胎児よ 胎児よ 何故踊る 母親の心がわかって おそろしいのか”

というのがあります。これは進化の過程で行ってきた人類の様々な罪業の記憶を、胎児が母親の胎内にいる間夢の中で見るために、おびえ、苦しがってビクリビクリと手足を動かしているのだと言う。そして心地よい胎内から未知の外界へと飛び出す恐怖のために、出産時の赤ん坊は「オギャー」と泣くのだということが、この奇書の中でほのめかされております。

また、人間椅子の『頽廃芸術展』というアルバムの中に、仏教世界を恐ろしくドゥーミーに表現した“胎内巡り”という曲があり、ラストに「仏道無上誓願成~♪」などという仏教の四弘誓願コーラスまでとびだす、正に暗闇を彷徨うかのような名仏教ナンバーであります。

このサビの歌詞に

「善男善女は出られるが~ 悪人悪女は犬になる~♪」

というフレーズがあり、この胎内巡りの闇道を通って無事人間の姿で出てこられた者は善人で、もし悪人であったなら犬の姿になって出てくるということが歌われております。

みなさんも善光寺へお立ち寄りの際は、是非この胎内巡りをご体験下さい。
はたしてあなたは人間の姿で出てこれるか?!

『頽廃芸術展』/ 人間椅子
 

今日の1曲:『胎内巡り』/ 人間椅子
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上原ひろみさんのSONICBLOOM

2008年04月13日 | ♪音楽総合♪
TSUTAYAの更新時の無料レンタルを利用してHIROMI'S SONICBLOOM『TIME CONTROL』をレンタル。
上原ひろみさんの音楽に関しては、今まで全くといっていいほど触れてこなかったのだが、今回のプロジェクトには私の敬愛する元SCREAMING HEADLESS TORSOSのギタリスト、デヴィッド“FUZE”フュージンスキーが参加しているということで興味が沸いたわけです。

1曲目の“TIME DIFFERENCE”からして、かなりプログレッシヴな感触がありなかなかの手応えを感じたが、全体的にはアヴァンギャルドなジャズ、フュージョンアルバムといったところか。
この手の全編インストアルバムに嗜みがない私としては少々敷居の高さを感じたが、クセのあるフレットレスギターや幻惑的なエフェクト効果をふんだんに切り込ませてくる馴染み深いFUZEのギタープレイを聴くとやはり胸躍ってくる。
上原ひろみさんのピアノの特性については、もう少し聴き込まないとなんともいえませんが、ロックに対する造詣もかなり深いようで、ピアノとキーボードを適材適所交互に弾きこなすこの卓越したプレイは、やはりタダ者ではない。

今んところのお気に入りは#2“TIME OUT”で、この各プレイヤーがリラックスムードで音の会話を楽しむようなアンサンブルがたまらない。
この曲のライブ映像をYOU TUBEで拝見したのだが、上原ひろみさんのレコーディングより凄いことなってる後半のソロワークに脱帽!
うーむ、上原さんはライブを見てナンボのアーティストなのかも。



今日の1曲:『TIME OUT』 / Hiromi's SONICBLOOM
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ピンク・フロイドの道 

2008年04月11日 | プログレッシヴ草稿

昨日近所のブックオフにふと立ち寄ってみたらビックラこいた!!
私の大好物である紙ジャケCDが大量に売りさばかれとるやないですか!!
しかもプログレ系が多く、EL&P初期の4枚、ピンク・フロイド約4枚、ジェスロ・タル約8枚、PFM約5枚、フォーカス3枚、そしてイエスなんか黄金期の名盤含め10数枚がズラリと並んでいた!!おしっこチビりかけました。

悔しいことに昨年年末にほぼ定価の値段でヤフオクで購入した10ccの紙ジャケシリーズが結構な安価で売られていたこと。
まぁスティーリー・ダンの紙ジャケが1枚も置いてなかったのが救いではあったが。
1月にやっとほぼ定価で全部買い集めたばっかやしね。
他にストーンズとかブラフォード・アースワーク、ザ・フー、ジェフ・ベック、スモール・フェイセズとかいっぱいありました。

値段は600円~800円くらい安いだけだが、ほぼ新品で生産限定盤なので買っても損はないとは思うが、持ってるヤツをまた買い直すのはやはり気が引ける・・・
しかし忌々しいね~、ブックオフの分際で・・・
どーせどっか潰れたレコード屋から安価で回収したに決まっとる。
その日はピンク・フロイドのアルバムを1枚だけ紙ジャケ買いしました。
ここの店員、紙ジャケモノを裸のまま袋に入れようとしたので「ジャケット入れるビニルシートかなんかないの?」と言ったら奥からいそいそ取り出してきやりました。
はじめっからそうせんかい!

今回買ったのは、まだ所持してなかった初期レア音源集『ピンク・フロイドの道』でございます。
ジャケは再発CD盤の模型の写真のやつではなく、アナログ・レコード盤の方を再現したイラストのやつで紙ジャケ好きの私にはたまらない一品!
なんとこのイラストアートはドラマーのニック・メイスンの筆によるものだとか!さすが建築科出身!ドラム以上の才能を感じちゃいました。

アルバム内容はフロイドが60年代に発表した5枚のシングルのAB面曲を中心に編集したレア音源集。
実は60年代サイケフロイドはちょっと苦手でして、このアルバム収録曲も半分くらい知っている曲だったので今までなかなか購入に踏み切らなかったわけです。
で、フロイドのシングル音源というものを今回初めて耳にしたのですが、牧歌的な#5“絵の具箱”が特に気に入りました。なんか“SUMMER '68”みたいでいかにもリック・ライトの曲っぽくてグーです。
サザン・オールスターズがタイトルをパクッたという#6“夢に消えるジュリア”もなかなかの味があります。
#10“BIDING MY TIME”のフロイドらしからぬ後半の、どブルース調のひねりの無さ加減は逆に新鮮で面白かったです。
スタジオ盤“ユージン、斧に気をつけろ”も怪しすぎてグーググー!

そしてピンク・フロイドがまた4人で復活!!なんてニュースが飛び込んで参りましたよ。
http://www.contactmusic.com/news.nsf/article/mason%20pink%20floyd%20will%20play%20together%20again_1064627
ニック・メイスンが「慈善活動のもと、我々が再び一緒にプレイするだろうと確信をもっている。」的な事をコメントしているそうです。
シドが亡くなった時にも再結成の噂はありましたが、まぁ日本公演がないのであれば、正直どっちでもいいかな。



今日の1曲:『ユージン、斧に気をつけろ』 / PINK FLOYD
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特集チベタン・フリーダム SHAMBALA

2008年04月06日 | ♪音楽総合♪
先月のラサでのチベット人デモに対しての中国共産党による武力弾圧(虐殺)に対して世界各国で北京五輪ボイコットの気運が高まりつつありますね。
フランスのサルコジ大統領が開会式欠席を示唆、サッカーのインド代表チームの主将選手は既に聖火ランナーを辞退しております。
映画界ではスティーヴン・スピルバーグ監督が五輪での芸術顧問を辞退し、俳優のリチャード・ギア氏は北京五輪をボイコットすべきだと呼びかけ、それが原因で中国市場に配慮した日産がCM起用をドタキャン。
日産 苦渋の選択“リチャード・ギアよりも中国が大事”』(ゲンダイネットより)

音楽界ではビョークがラサ騒動前に上海コンサートで「チベット、チベット」と叫んだのは先日ブログでお伝えした通りだが、10年以上前、すでに海外音楽界ではこういった「チベタン・フリーダム・ムーブメント」が活発化し出していたことをご存知だろうか?

1996年、アメリカのヒップ・ホップ・グループBEASTIE BOYS主催のもと、サンフランシスコで『チベタン・フリーダム・コンサート』開催された。
このフェスティバルに参加したアーティストには、BEASTIE BOYSの他、SMASHING PUMPUKINS、FOO FIGHTERS、CIBO MATTO、RED HOT CHILI PEPPERS、RAGE AGAINST THE MACHINE、SONIC YOUTH、BECK、BJORK、DE LA SOUL、FUGEES、SKATALITES、YOKO ONOなど、そうそうたるアーティストが参加。
10万人以上の音楽ファンがコンサートにつめかけその収益金80万ドルが、1994年にビースティーズのメンバーアダム・ヤウチが自らチベット民族のサポート、チベット問題の広報活動のために非営利団体として立ち上げた“ミラレパ基金(The Milarepa Fund)” に寄付された。

私自身、ビースティ・ボーイズの音楽は大好きで、特にスノーボードにハマっていた20代前半にヤウチのライフスタイルに少なからず影響された時期がございました。彼自身筋金入りのスノーボーダーで、音楽活動よりも年がら年中雪山にこもる事の多い彼は、ネパール旅行の際、そこのチベット人の難民に出会い、中国政府のチベット人に対する惨たらしい弾圧の実態を知ることになったのだそうだ。

私が昔中古屋で購入したビースティのVHSで『SABOTAGE』というのがある。
最近久々に鑑賞したのだが、本作には彼らが一番脂に乗っていた3rd、4thリリース時のレア映像が収められており、様々なミュージシャンとのコラボレコーディング風景、サイプレス・ヒル等とのジョイントライヴシーンや、名曲“SABOTAGE”のPV撮影シーンのおふざけコント、さらにはハードコア・ナンバーでのスケーターPVなども収められており、特に“MULLETHEAD”のインストゥルメンタルがバックで流れる中、(ヤウチ本人が?)雪山をスノボーで滑走するPVはマジかっこ良過ぎる!

beastie boys - mullethead (instr.version) MCA gets wild!


テープの巻末には、チベット僧侶たちの伝統舞踊シーン、『ダライ・ラマと中国共産党チベット侵略の歴史』が紹介されている。
エンディングでは、チベット仏教の読経のサンプリングを駆使したナンバー“SHAMBALA”が流れるのだが、輸入盤だったので、このときテロップにチベットの悲惨な現状や、チベット救済支援をビースティが呼びかけていたということを、当時私は全く気づいてなかった。
彼らが当時いかに真剣にチベット問題に取り組んでいたかが窺い知れる。



今日の1曲:『BODHISATTVA VOW』 / BEASTIE BOYS
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