AMASHINと戦慄

~STARLESS & AMASHIN BLOG~
日々ブログレッシヴに生きる

ボズ・バレル逝く

2006年09月25日 | プログレッシヴ草稿
またしても寝耳に水な訃報DEATH。

キング・クリムゾンの第3期ヴォーカリスト兼ベーシストであったボズ・バレルさんが9月21日に亡くなったそうな・・・
ここ最近シド・バレットやピギーなど、プログレ系のミュージシャン達が相次いで亡くなっているので本当に気が滅入る。
ゆーてもボズさんはクリムゾンのアルバム一枚に参加しただけで、後はアレクシス・コーナーのスネイプスやバッド・カンパニーなど、ブルース系のバンドに席を置いていた期間の方が長く、プログレベーシストを代表する人物というわけではなかったのだけれども。

彼はヴォーカリストとしてクリムゾンのオーディションを受けたのだが、当時内定が決まっていたベースのリック・ケンプが意志をひるがえしたため、急遽ベースをやれと言われ、そのベース未経験のボズに楽器の演奏とリズムの基礎を一から教えたのは、かのロバート・フリップ翁、そして当時のドラマー、イアン・ウォーレス先生だったのだとか。
そんな彼がクリムゾンに唯一参加したスタジオアルバム『ISLANDS』は、クリムゾン作品の中でも一番の異色作であったと私は思っている。いうなれば雰囲気勝負の非常に神秘的でダークな作品だ。
つーか昨日これ流しながらいつのまにか意識を失っておりました。

#1“FORMENTERA LADY”からしてキースの流れるようなピアノにボズの優雅な歌がかぶさり、後半は幽霊の歌声のようなポーリナ・ルーカスさんのソプラノが加わるという、それはまるで中国の云々省の靄がかった霊山を彷徨ってるかのような錯覚に陥る幽玄的なナンバーだ。
切れ目なく続いてお次、この作品の中でもかなりクリムゾンらしさが出ている#2“船乗りの話”では、各プレイヤーのインプロヴィゼーションが炸裂するも流れるようなメロトロンの美しい旋律に統制されていて、後半はフリップ翁のジャラジャラジャラ~~とかき鳴らしまくるギターがとてつもなくカッコいい痛快ジャズロックナンバー。
そして、アルバムの中では一番まともでキャッチーな歌モノ#4“LADIES OF THE ROAD”は、ボズの酔っ払いのような歌い方がとってもおちゃめ。
まぁビートルズの“COME TOGETHER”をモロ意識しているっつーのは否めないが。

この時期のライヴをテープレコーダーで録音したものを集めたブートレグ的なライヴアルバム『EARTHBOUND』もかなり興味深い作品で、#1“21世紀の精神異常者”はもうハチャメチャもいいとこ。このときのボズのヴォーカルがまた凄まじい。扇風機の前で歌っているようなとんでもないエフェクトをかけております。
で、あとはほとんどがインプロヴィゼーション。もう司令塔であるフリップ翁の制御が利かなくなった各プレイヤーたちが暴走しまくり、もう好き勝手やってます。#2なんかほとんどクリムゾンの曲やおまへんで!
音質も劣悪やし、演奏はこれまでにない乱痴気ぶり。けどクリムゾンファンの間では結構人気の高いライヴ音源であったりします。
「この暴力的な投げやりパワーは崩壊寸前のこの時期ならではのクリムゾンマジック!」ってな具合に。
おそらくこのクリオタならではのM気の強い性癖は、他のプログレファンには理解し難いもんでしょうな~(私を含め)。



まぁボズさんにとってこのクリムゾンに在籍していた時期は、まさに彼のターニングポイントとなった重要な期間だったと思われます。
そして『ISLANDS』こそ彼がもっともフィーチャーされている作品だと思うし、彼の死を弔う埋葬曲としてはラスト曲“ISLANDS”が本当にシックリくるのではないでしょうか。


ボズの魂よ、この宇宙に飛んで、永遠に喜びの中に漂いたまえ・・・

ガイアより

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ピストルオペラ

2006年09月24日 | しねしねシネマ
先週オークションで鈴木清順監督作『ピストルオペラ』(コレクターズ・エディション)という邦画のDVDを結構なお手頃価格で競り落としました。
鈴木清順監督の映画は見たことありませんでしたが、78歳の大ベテランで数々の役者たちからリスペクトされているそうですが、まさか自分がこんな前衛的な映画にハマるとは夢にも思ってませんでした。

きっかけはこの映画のテーマソング“野良猫のテーマ”をエゴ・ラッピンのVo中納良江さんと、日本ダブ界の重鎮こだま和文さんとがコラボってたので興味を持ったっちゅーミーハーな動機ですわ。
まぁエゴの歌がからんでいるからといって、そのストーリーが絶対優れてるっちゅーわけではないのは、連続TVドラマ『探偵濱マイク』が証明しとることではありますが、そういう動機でもなければ、なかなかこの辺の邦画には巡り合えんでしょうからね~。そういう意味ではエゴが好きなおかげでこんなぶっ飛んだ映画に出会えたことを非常にラッキーだと思いました。

話は簡単に言うと、殺し屋の巨大組織“ギルド”の内部で、プロの殺し屋たちがランキングナンバー1を争って殺し合うっちゅーものなのだが、いや、これがまた普通のアクション映画じゃない!てかアクションじゃないか。
なんちゅーか舞台演劇を見てる感じで、不条理な舞台設定、アバンギャルドなストーリー展開、戯曲にも似たセリフ回し、もう全てが常軌を逸しているのだ。
ストーリーは行き当たりばったり感が凄まじく、この場面をどう装飾するかとか終始そういうことばっかり撮ってる映画なのです。
殺し屋のキャラ、死に方にしたってそう。冒頭で東京駅の屋根の上でキリストみたいに釣り下がって笑みを浮かべたまま死ぬ沢田研二扮する“昼行灯の萬”、車椅子に座ったまま海岸に入水していく“生活指導の先生”、舞を踊りながら可憐に倒れる“百目”
芝居じみてて大仰と言えば大仰なのだが、この映画ではそうすることが目的みたいな世界なので、見てる側はなぜそういう展開になる?と考える暇もなく、目くるめくこの色彩豊かな映像世界にだんだんと引き込まれていってしまうのである。

そして役者がまたいい!主役の女殺し屋通称“野良猫”の皆月美有紀(レズ)を演じる未納女優江角マキコは、セリフ回しはちとクサいが、黒の和服にブーツというスタイルが見事にハマっていてカッコいい!!オマケにひとりエッチシーンまで見せてくれるという、江角ファンには正にヨダレものの演出なんじゃないか?
この映画初出演でヌードまで披露してしまった撮影当時まだ10才の韓英恵演じる不思議少女小夜子の存在感もいい。あまり感情的な演技を要求されてないあどけないセリフ回しが、この謎めいた少女の雰囲気にピッタリあてはまっている。
あと樹木希林の脇役所もいいし、昔の栄光にすがる哀れな殺し屋を演じる平幹二朗のセリフ回しは秀逸!この映画の中で一番演技力が光ってたんじゃないかな。
最期のストップモーションで「バカーー!!」って叫んで終るシーンが最高!

そして、この映画のもうひとつの魅力となっている必要不可欠な要素はズバリ音楽でしょう!
抜群に洒落てるオープニングタイトルで挿入されるエゴ・ラッピンの“サイコアナルシス”。劇中でもTICOのスティール・パンが場面にとてつもない“和”の雰囲気を与えているし、なんつっても皆月と小夜子がE.T.みたいに人差し指を合わせるシーンで絶妙なタイミングで挿入されるこだま和文のダブナンバーがたまりませんわ。



この映画、まぁタランティーノの『キル・ビル』に近いといえば近いかな。監督の好きなものをひっくるめて映画にブチ込んだといいましょうか、ちょっとエゴのきつい。まぁ本作は『キル・ビル』ほどポップではないし、もっと変態的ですが。
とにかくオーソドックスな映画が好きな人にはとてもじゃないけどススメられない。もうハリウッド映画とかCG映画とかに見飽きた人とか、前衛的な演劇が好きな人向きかもしれません。
つっても私自身は金払って劇場まで劇団四季などを見に行くような趣味はございませんが。

ついでといってはなんですが、この映画のパンフとオフィシャルガイドブックもセット価格500円で競り落としときました。サントラも以前買ったし軽いコレクター趣味に走っています。ハマると追求してしまうクセが出ちまうんですよね。
オフィシャルガイドブックの映画評論家たちの対談を読んだけど、全然参考にはなりませんでした。
ま、この映画に意味とか求めるだけ無駄ってことですわな。

オススメ度:★★★★★

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スラドミ特集最終回~ONSLAUGHT~

2006年09月16日 | やっぱりメタル!!
さて、スラドミ特集もいよいよ最終回となりました。最後は英国産スラッシュメタルバンドONSLAUGHTでしめたいと思います。

私が彼らの作品を初めて聴いたのは高校生の時どっかの中古屋で買った「THE FORCE」という2ndアルバムのアナログ日本盤でした。
今回のスラドミではこの時のヴォーカリストのサイ・キーラーを再起用ということらしいので、このアルバムの予習はしていった方がよいかもしれませんが、実にパッとしないC級スラッシュアルバムで、私自身5回も聴いてないと思います。
この頃の彼らは悪魔崇拝を掲げていたようなバンドで、まぁ初期スレイヤーのできそこないといった感じでしょうか。

メジャーレーベルと契約を交わすためヴォーカルをサイから元グリーム・リーパーのスティーヴ・グリメットに交替させて出来上がった3rdアルバム『IN SEARCH OF SANITY』では「え?ホンマに同じバンドかいな?」ちゅーくらい全くの別モノバンドへと生まれ変わっておりました。
スティーヴの歌声はハイトーンでメロディアス、そこにキレのあるリフがアグレッシヴ且つクリーンに刻まれるという、かなり整合感のある内容でとにかくバンド全体の演奏力、そして楽曲が抜群にレベルアップしている。
ただスラッシュアルバムとしては全体的に整いすぎており、重さがなく軽いサウンドでどちらかといういとパワーメタルより。それに曲構成がワンパターン。かなりレパートリーが乏しかったと思われる。
だからだろうか?AC/DCの“LET THERE BE ROCK”、そしてANGEL WITCHの“CONFUSED”の2曲のカヴァーが収録されている。

まぁしかしシングルカットされた“SHELLSHOCK”は抜群にカッコいいアグレッシヴナンバーだし、AC/DCのカヴァーもオリジナルと言っていいほどセンス抜群のアレンジ。
スラッシュにはタブーな長尺のバラード曲“WELCOME TO DYING”も、これはグリメットのメロウなセンスが良かったのだろう、殆どのスラッシュバラードを好きになれない私が12分という長ったらしさにも関わらず、結構聴き応えを感じさせたのは驚くべき事である。


この3rdアルバムは結構売れたみたいだが、スティーヴはこの一枚に参加しただけで脱退。その後ライオンズハートに加入したのはご周知の通りである。バンド事態もこれをもって解散してしまっている。
今思うのですが、スティーヴ・グリメットちゅーヴォーカリストはいい声してるんやけどバンドに加入してはアルバム一枚で脱退しその後バンド自体も解散してしまうというなんか貧乏神みたいな人でしたね。
あとオンスロートというバンドは主体性がないというか、ポリシーみたいなもんが微塵も感じられない。
1stでリードヴォーカルしてたやつが2ndでベーシストになったり、ヴォーカルだけでも3人交替しているし、サイはメジャーと契約するためクビを切られコケにされたのにも関わらず、再び舞い戻ってくるやなんて、こいつ自身もポリシーのカケラもないやっちゃな~って。
んで今頃になって再結成するって、どういうつもりなのだろうか?こんなバンドにファンが着いてきているとは思えないし、そもそもファンがいるのかどうかすら怪しいとろこである。


VENOMとDRAGONLORDに関してはアルバム一枚も持ってないので省かせて頂きました。あしからず。
てゆーか今日でしたっけ?スラッシュ・ドミネーション1日目。
参加される皆さん、私の分もモッシュしてきておくんなせい!ステージダイヴしてきておくんなせい!ヘッドウォーキングしてきておくんなせい!

THRASH TILL THE DEATH!!(ONSLAUGHT「THE FORCE」より)
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スラドミ特集 第2回~SODOM~

2006年09月14日 | やっぱりメタル!!
さてスラドミ特集第二夜は、お待ちかねジャーマンスラッシュメタル界の重鎮SODOMでございます!
と言っても私SODOMは2枚のアルバムしか聴いたことがなく、全国のソドマニアの皆様からお叱りを受けるかもしれませんが、あの名盤と誉れの高い『AGENT ORANGE』すら持ってなくて全然語れないのですけど・・・

SODOMとの出会いは高校生の時、その頃ちょうどメタルマニアシンジケートなるテイチクのメタル企画が大いに猛威を振るっていた時代で、私もここの会員に加入していた恥かしい過去がある。
そんなある日私がたまたま立ち寄った中古屋で見つけたアルバムが『BETTER OFF DEAD』であった。
このアルバムはヘヴィネスさに重点を置いた明らかにNWOBHM、特にモーターヘッドの影響をもろに受けた、まぁその辺の先輩バンドに敬意を表したオマージュ的な、SODOMの中でも比較的ポップな作品なのではないだろうか?
モーターヘッドの弟分的存在であったTANKの“TURN YOUR HEAD AROUND”や、THIN LIZZYの“COLD SWEAT”をカヴァーしていることからもそれが窺えるし、“THE SAW IS THE LOW”のドロっとした歌い方とグルーヴ感、ラスト曲“STALINOGEL”の出だしのベース音、そしてこの爆走感はモーターヘッドそのもの。トム自身も自分の声がレミー・キルミスターに似てるって言われることに大そうよろこんでいたとかいないとか。

もちろんこのアルバムにはこれぞソドム!!な超スピーディーな曲も存在する。
クリス・ウィッチハンターの疾走するドラミングに、マイケル・ホフマンの印象深いリフがカッコよすぎる“SHELLFIRE DEFENSE”や、トムがあらゆる極悪非道な単語を捲くし立てるイカツさ100%のタイトル曲“BETTER OFF DEAD”はその最たるものであろう。
その他“RESURRECTION”のグルーヴ感と、ラストのコーラスを入れてくるセンスも秀逸で、とにかくこのアルバムは私の中ではあらゆるメタル作品の中でも名盤として今なお輝きを放っている。

その次の作品『TAPPING THE VAIN』は、スピーディーな曲で塗り固められた剛速球アルバムだが、なぜか私の中には全く入ってこなかった。それ以降の作品には全然手をつけずじまい。

私がこれだけ『BETTER OFF DEAD』にハマったのは、やはりNWOBHM趣味とMOTORHEAD嗜好がこのソドムのスラッシュ性にシックリきていると感じたからでしょう。
つーか80年代のスラッシュバンドの殆どがNWOBHMの影響下にあるかと思われるが、それが特に顕著だったのがこのソドムであり、このアルバムだったんじゃないかなぁ~
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スラドミ特集 第1回~DEATH ANGEL~

2006年09月13日 | やっぱりメタル!!
今週末はいよいよTHRASH DOMINATION 2006が開催されますね!
スラッシュ最高!!

そこで今週はスラドミ週刊ということで、今年出演のスラッシュメタルバンドをピックアップしていきたいと思っております。
ちなみに私は今年は不参加とさせていただきます。

まず第一弾としまして、ベイエリアの星DEATH ANGELについてお話しましょうか。
私が彼らの音と出会ったのはやはり中学生の頃、ある日スラッシュ仲間の中でもベイエリアクランチフリークのナガーモが2枚のLPを引っさげてやってきました。
1枚はTESTAMENTの1st『THE LEGACY』、そしてもう1枚はDEATH ANGELの1st『THE ULTRA-VIOLENCE』でした。
今ではどちらも甲乙つけがたいベイエリア屈指の名盤なんですが、当時の私はTESTAMENTよりも断然DEATH ANGELの方が大変お気に召しまして、テープにダビングしたものを繰り返し繰り返し聴いては頭を激しく振りまくって首筋を痛めておりました。
このいかにも「スラッシュしてまっせ!」と言わんばかりの白を基調とした荒廃的ジャケット、暴力的なリズムに荒削りでエッジを利かせたリフワークに、ヴォーカルのヒステリックな絶叫。
正にスラッシャーの、スラッシャーによる、スラッシャーのための、スラッシュメタルアルバムなのです。

当時のメンバー達の平均年齢が18歳というのにも驚かされました。その中でもドラマーのアンディ・ガレオンはこの時まだ14歳!!私と同い年である。一体どういう家庭環境で育ったんだ?

のっけから7分もあるひたすら突っ走るその曲名も#1“THRASHERS”。リードヴォーカルをとるのはベースのデニスとギターのロブ。歌詞カードには「Vocals Dennis and Rob」としか記されてなく、私は最初歌詞だと思って楽曲に合わせてこの一文を歌っていてツレに大爆笑されたのを憶えています。
PVも作成された#3“VORACIOUS SOUL”では、激しくリズムセクションを変則させ、ロブがなんともユニークなギター技をちくいち挿入する。PVではフロントの3人が頭がもげそうなくらい激しくヘドバンし、客席もモッシュの坩堝と化している。スケボーに興じたり、罰当たりにも公共の墓の上とかにメンバーが腰を下ろしていたりと、いろんな意味でショッキングな映像でした。
そしてカーク・ハメットがデモをプロデュースした名スラッシュナンバー#4“KILL AS ONE”。この曲でヴォーカルのマーク・オセグエダが「ンギャアアアアアア~~~~!!!」とブチかます超ド級のヒステリックな金切り声は絶品。ライブではもちろん「KILL!!AS!!ONE!!」の大合唱が起こること間違いなでしょう。
#5は10分にも及ぶ大胆不敵なインストタイトルナンバー。意外とシッカリした構成力を持っており、ここでもロブのギターが暴れまくる。一昨年のスラドミでは1曲目にこの曲のイントロで幕を開けたのには感激しました。
その後もアドレナリンがドバドバと噴出するようなスラッシャー泣かせのナンバーが続き、ラストの2分にも満たないリフ構成のみのインストナンバーまで息つく暇もなく一気になだれ込む。
オチはメンバーのヘンチクリンなラップ(?)で幕を閉じる。

とにかく若さゆえに溢れ出すエネルギー、そして怖いもの知らずな大胆不敵さがこのアルバムをよりスラッシーな名盤に仕立て上げていると思われます。
そして小手技を利かすロブのギターのテクニックとセンスが、各曲にとてつもなく個性的なインパクトを与えておるのです。

ただ、そのロブの幅広い技量と冒険心が災いし、1stであれだけ尖がったスラッシーな名盤を作ったのにもかかわらず、これ以降の作品はどうしようもなく迫力を失った中途半端なミクスチャーファンクメタルと変貌していくのでした。
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超ブルー

2006年09月08日 | まったり邦楽
TSUTAYAのCDレンタルが半額だったので、宇多田ヒカルの4th?『ULTRA BLUE』をかりてみました。

「オイオイ、オッサンスラッシャーが柄にもなく宇多田ヒカルなんか聴くんかい?」という声が聞こえてきそうだが、宇多田ヒカルは約5年くらい前の2nd『Distance』を聴いて結構気に入って、それ以来毎回出るアルバムは一応チェックしている。
もともと耳に心地のよいプログラミング系電子音楽は好きだし、やはりヒッキーの歌声はいい。

ここ数年のヒッキーの活動はどれもパッとしなかった。ニンテンドーの「これおもしろいよ~」とかいう見ていてこっちが恥かしいCMもそうだったし、2年前の海外進出用に作ったアルバムも結局全米で100位以下という結果。ラウドネスの50位は越えられなかった(それでも凄いんだろうけど)。
しかしこの時のマスコミの騒ぎようははアホ過ぎた。
このアルバム日本ではけっこう売れたらしく、「洋楽ランキングでスキャットマン・ジョンに次ぐ大ヒット!」やて・・・
アホか!!これって洋楽なんかい!本人は日本人やんけ!ただ全部歌詞英語なだけやろ!
ほなこのアルバム洋楽コーナーに置いてあるんかい??ただ日本の大人気アーティストの作品が日本で売れただけのこっちゃ!意味分からん持ち上げ方すな!
それに海外進出するにせよ、日本人ならやっぱ日本語で勝負してほしい。なんでこっちが英語圏のやつらに合わせないかんねん。向こうのアーティストが日本で売り出すときにわざわざ日本語で歌いまっか?

で、本作の感想だが、1曲目の出だしはよかったけど、楽曲がどれもいまいち印象に残らない。サウンドはすごくいいんだけど・・・
初期のようなヒップホップ色の強い曲は影を潜め、優雅な歌いっぷりのアダルトな曲調のナンバーがほとんど。大人になったということか。でも歌詞は相変わらず女子高生のようで成長の様子をみせていない。

今回一番よかった曲は#11「Be My Last」っていう曲。
歌詞も哀愁感が楽曲とジャストフィットしていていい。

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ジェシーの屍体は蘇らないけれども・・・

2006年09月04日 | やっぱりメタル!!
さて、今夜も故ジェジー・ピンタード追悼企画として彼の参加作品について熱く語りたいと思います。

彼のバンド経歴を語る上でNAPALM DEATHより忘れてはいけないバンドがある。
それは、そう!あの激速グラインドコアバンド、TERRORIZERである!!
正に衝撃の1stアルバム『WORLD DOWNFALL』はおそらく、グラインドコア史上最高速傑作アルバムといっても過言ではないだろう。
私が彼らの音楽に触れたのは“聴覚刺激”をモットーにしていたレーベルEaracheのコンピレーションアルバムに収録されていた名曲“DEAD SHALL RISE(邦題「蘇る屍体」)”を聴いた時だった。
この曲は正に私の聴覚のツボを鋭利な刃物で突くような衝撃ナンバーだった。そしてメンバーにあのデスメタル界の帝王MORBID ANGELのリズム隊ピート“コマンド”サンドヴァル(dr)そして、デヴィッド・ビンセント(b)が在籍していたという事実を知り、即彼らのフルレンスアルバム購入に踏み切ったのであった。


曲展開は初期ハードコアパンクの流れを汲んでおり、サウンドは実に80年代ガレージパンク的な音色で、ジェシーのギターは疾走感のあるジャキジャキサウンドをひたすら刻んでいる。もちろんソロは皆無。
デヴィッドのベースは図太くブリブリ唸りを上げ、Voのオスカー・ガルシアはどこどこまでも低音なダミ声を発し続ける。
そして圧倒的存在感を放っているのはなんといってもピートの超絶ドラミングである!
MORBID ANGELではマシーンのような非人間的なプレイが彼の特色であるが、ここでは若干人間らしさが具わっており、ハイハットオープンな荒々しいリズム、チャイナシンバルしばきまくりーのそれでいて正確無比かつ超スピーディーな彼のブラストビートには野獣のごとき(まぁそれも非人間的か・・・)獰猛さがみなぎっている。
信じられない事だが、当時ピートはまだツインペダルを習得しておらず、全て片足だけでこのマシンガンバスドラミングを刻んでいるのだとか!!(本人談)
まぁこの逸話は多少眉唾物だが、いずれにせよ彼の足技が凄いことには変わりはない。ちなみに私はどちらかというとモービッドのよりこちらのピートのプレイが好きである。

あとこの作品が優れているのは、全16曲もある楽曲がそれぞれシッカリとした特色を持っているいう奇跡である!
もう1曲目の“After World Obiteration”から曲の半分を占めるイントロでジェシーはこれでもかーちゅーくらいカッコいいリフアレンジを盛り込んでいる。ただただ突っ走るのではなくそこにはちゃんとした、まぁ計算はしていないだろうが、偶発的にせよ絶妙なリズムセクションが存在しているのである。
それが特に顕著なのは典型的なハードコアパンク的展開の#3“Fear of Napalm”、恐らくオールドスラッシュファンにはツボであろう#4“Corporation Pull-In”、ミドルテンポだが印象深い曲調の#9“Enslaved by Propaganda”、そしてグラインドコア史上名曲中の名曲#15“Dead Shall Rise”だ!!

今考えると、このバンドはまさに奇跡のスーパーバンドだったと思う。ジェシーのリフ構成のみでこれほどまで説得力のあるギターセンス、ピート、デヴィッドのリズム隊はどのデスメタルバンドよりも脅威的存在感があった。
80年代だからこそ表現できた加工されすぎないこの生々しいサウンドは貴重だし、どれだけ技術があろうが機材が良かろうが現在のデスメタルバンドでは到底太刀打ちできないアグレッシヴ感とセンスがこの作品にはある!!
とにかくこのアルバムが永遠のマスターピースであることは間違いないだろうし、故ジェシー・ピンタードの最初にして最高傑作品であると私は思うのである。
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JESSE PINTADO逝く

2006年09月02日 | やっぱりメタル!!

またしても偉大なるギタリストが天に召されました・・・

元NAPALM DEATHのメンバーとして知られるグラインド・コア・シーンのパイオニア的ギタリスト、JESSE PINTADOが8月27日、糖尿病の悪化による合併症のためオランダの病院で亡くなった。享年37歳。
彼は1980年代にLAで、NAPALM DEATHにも影響を与えた伝説のグラインド・コア・バンドTERRORIZERのギタリストとして音楽活動を開始。解散後の1989年にはNAPALM DEATHに加入して、2004年に病気を理由に脱退するまでバンドの中心人物として活躍。また、同じくNAPALM DEATHのシェーン・エンバリーと共に別プロジェクト、LOCKUPを結成するなど、シーンの発展に常に貢献してきた。ジェシーは今年に入ってTERRORIZERを再結成、ニュー・アルバム『Darker Days Ahead』をリリースしたばかりで、今後の活躍も期待されただけに今回の訃報は悔やまれます。ご冥福をお祈りします。
(bounce.comより)

というわけで突然の訃報が舞い込んだので、引き続きツェッペリン特集をお送りする予定でしたが、変更してジェシー・ピンタードと、その彼が関わった諸作品について語ることにいたしましょう。
とは言うものの私は彼をギターリストとしてそれほどリスペクトしていた訳ではない。しかし血気盛んだった若かりし学生時代、エクストリーム・ミュージックを追求する上でTERRORIZERの1stはもちろん、彼在籍時のNAPALM DEATH作品だけでも5枚、そしてSSTVを見ていて偶然知った彼の別プロジェクトLOCKUPの作品に至るまで、私の音楽人生に彼のギターサウンドが深く関わってきたのは紛れもない事実なのである。

彼のギターサウンドに初めて触れたのは、NAPLM DEATHのミニアルバム『MASS APPEAL MADNESS』を聴いた時であった。
この作品購入に踏み切ったのは、NAPALM DEATHのアルバムを初めて購入するにあたって、いきなり20曲入りのフルレンスは無謀だと思い、まずは1000円安いミニアルバムでお試ししようと考えたからだ。
しかしこのミニアルバム、4曲入りでトータルタイムが9分をきる!という、シングルCDにも満たない内容量で「な、なんじゃそりゃーー!!」と思いっきりずっこかされたのを覚えている。
しかしそこに詰め込まれた楽曲群はどれも凄まじく、特に私のフェイバリットソングだったのが2ndアルバム『FROM ENSLAVEMENT TO OBLITERATION』収録の“UNCHALLENGED HATE”という曲のリメイクであった。
最初バーニーがミドルテンポな曲調に合わせて「ラ~~イ!!」と雄叫びを上げてるだけなのだが、突如演奏がストップしその後ミックの怒涛のブラスト波状攻撃が展開され、もう一種類のキチガイめいた声(この声はミッチか?)が何語ともつかぬ歌詞を捲くし立てるというバカバカしくも強烈なナンバーなのである。
ジェシーのギターはひたすらニブいリフを刻んでおり、ソロは皆無。だが短い楽曲の中にありったけのリフパターンを詰め込んで、聴き手の脳裏に強烈なインパクトを残す彼ならではの業なのである。
当時は彼の名前すらも認識していなかったが、リフを刻むことに終始するジェシーの一途な姿勢に、私は無意識のうちにとり憑かれていたのかもしれない。

このアルバムは初期のグラインド・コアな要素と、近年のメタル的な要素が同居しているNAPALM DEATHの歴史を約9分間に集約した縮図的名作であると思う。
そして唯一のオリジナルメンバーミック・ハリス最期の作品でもあった。

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