AMASHINと戦慄

~STARLESS & AMASHIN BLOG~
日々ブログレッシヴに生きる

GOMA編

2018年04月12日 | 名所ガイド、巡礼記
ディジュリドゥ奏者GOMA氏の個展が今月上旬大阪で開催されてたので初に行ってきた。

今回の個展のテーマは『再生』。
2009年、追突事故に遭い「外傷性脳損傷」と診断を受けた2日後から、突如衝動的に点描画を描き始めたGOMA氏。
事故当時、生死の境をさまよっていたGOMA氏が、意識を失ったままの世界で見た“ひかり”。
彼の描く点描アートは、その臨死体験がもとになっているといわれる。

ディジュリドゥが格別好きな楽器というわけでもなく、点描アートは美しいとは思うが、原画を見たいと思うほど美術に興味を持ってるわけでもない。
ただ、音楽とアートを見事に両立させるミュージシャンには昔から強く魅かれる傾向にあり、まずVOIVODがそうだし、自らアルバムジャケットを描くCoccoと坂本慎太郎にいたっては各々原画展にも足を運んだ。
だから今回も無視することはできなかった。
しかもGOMA氏の場合、「脳損傷」がその画の才能を突如引き出したという特殊なケースで、興味をそそられずにはいられなかった。


PINE BROOKLYNという福島区の辺鄙なところにあるギャラリーで、メチャメチャ迷った。
普段用のない所やからなぁ。



展示期間中GOMA氏が在廊してるとのことだったが、私が訪れた時には不在だった。
女性の方とずっと携帯ゲームやってる女の子が受付にいた。おそらくGOMA氏の妻子だろう。

純白の壁に、GOMA氏の主に「ひかり」をテーマとした点描画が数点展示されてあった。
似たようなものが多かったが、赤、青、ピンクと、色とりどりで見てて飽きることはなかった。

画廊には、GOMA氏奏でるディジュリドゥの仏教的なダブミュージックが流れており、点描の神秘的なアートとのシンクロ感がハンパなく、見事スピリチュアルな空間を演出していた。

この作品のみ撮影OKだったので。これは蓮っぽいからやはり仏教的な何かを感じさせる。



無数の点で描かれたこの神秘的グラデーション感覚は、実物を目の当たりにするとほんと驚異的。
私のような凡人からすると、本当に気の遠くなるような作業でまず真似できるものではない。



そして、今回は『再生』がテーマということで、自分の身を焼いてはまた再生を繰り返す手塚治虫の『火の鳥』を点描で表した作品が数点展示されてあった。



2010年にGOMA氏が初めての個展を東京の青山で開催した時に、ギャラリーに訪れた手塚治虫のご息女るみ子さんと面会し、その出会いが今回の『火の鳥』を描くことに繋がったらしい。
今年2月にNHKのEテレでも放映されていたGOMA氏を特集した『Reborn~再生を描く~』で、るみ子さんがGOMA氏に直接『火の鳥』の作品を依頼するシーンがあって、「手塚治虫のではなく、GOMAさんなりの『火の鳥』、GOMA編を描いて欲しい」というようなことをおっしゃってた気がする。

私はこのシーンを見て、思わず火の鳥の『鳳凰編』で、橘諸兄が茜丸に鳳凰の彫刻を彫るよう依頼(というか命令)するシーンを思い浮かべてしまった。
いや、もちろんこんな横柄なやり取りではないけれど。



GOMA氏自身も、唯一家に全巻そろっている漫画が『火の鳥』だったらしく、事故後読み返してみて、特に『復活編』で、主人公がひかりに導かれるという自分と同じような臨死体験のシーンが出てきて驚いたという。



2482年、主人公のレオナ宮津がエア・カーから墜落死する場面から物語は始まる。
手塚流のサイケなアートタッチでレオナが死の世界をさまようシーンが描かれている。



光はまねくように少年のからだをひきよせた。
それは死の国からの出口だったのだ(『火の鳥 ~復活編~』より)。



画廊のBGMでかかってて、思わずその場で衝動買いしたGOMA氏のソロ作品のベスト盤的なセレクト集?
『YOU ARE BEAUTIFUL』


画廊で聴いてて、タブラのダブがかった音色が非常に気持ちよかったので、これはヒーリングミュージックとしてもとても機能するなと。
シタールやアコギ、エレキギターなどの弦楽器、指ピアノなど、空間をスピリチュアルな雰囲気に彩る音色がフンダンに散りばめられており、特にインドネシアのガムランゴングの音色が楽曲にとてつもない仏教的シャンバリズムを与えている。
GOMA氏のディジュリドゥはそれほど前面に押し出されてはおらず、どちらかというとそれらのサウンドに寄り添うというか、脳髄をやさしくバイブさせるような役割を担っている。
いや、いい作品である。


ちなみに来月のGWは、日比谷野外音楽堂でROVO主催のGOMA & The Jungle Rhythm Section、そして坂本慎太郎氏も出演するMDTフェスなるものに、幸運にも見に行く手筈が調っている。
そういや確かROVOも『火の鳥』をテーマとした曲を演っていたっけ。
こりゃきっとステージ上でとてつもないコスモゾーンが生まれるに違いない!




今日の1曲:『Rainbow Serpent』/ GOMA
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

Jump Around & 嘔吐

2018年04月08日 | コンサート
昨年リリースされたフルレンスに思いのほかハマって、一刻も早い来日公演を待ち望んでやまなかったProphets of Rage(以下Pレイジ)のライブが3月下旬あっけなくも実現した。
もちろん一も二もなくチケットを購入。金曜の晩と日もよかった。

しかし、季節の変わり目のこの時期は体調を崩しやすく、思いのほか急激に気温が上昇したせいもあったのであろう、週初めから風邪をこじらせSweet Leafみたいな咳が止まらずコンディションはすこぶる悪かった。
しかも、ライブ当日の昼頃、1997年のフジロックのときも私を散々苦しめた持病の腹痛がこのタイミングで久々に疼きはじめ、最悪の状況に置かれることを確約せんとしていた。
もう最悪だ!最悪すぎる!

それでも会場のなんばHatchに向かい、いちおうモッシュする予定でいたからとりあえず腹ごしらえはした。
腹が減ってはいくさはできぬ。ホットドッグ一個だけでも・・・・

しかし、そのホットドッグもすぐトイレで吐いた。
この持病はとにかく腹にものを入れるとマズい。
すぐに治まってくれることもあるのだが、この日はそうはいかなかった。
腹の中の病魔は、ジワリジワリと迫ってきていた。

ロッカーに荷物を預ける時、その日は肌寒い日だったので上着はどうしようかと悩んだが、会場入ったらそんなに寒くはないだろうと意を決して半袖一丁でライブに臨んだが、会場内も空調がききすぎてことのほか寒く(風邪ひいてたせいかもしれんが)後ろの壁にもたれて開演までの一時間身体を縮こませながら待機していた。

客層は私より10~15くらい若い世代といった感じだったか。女子は少なめ。
まぁでも、Pレイジの面子からして本当は私ぐらいのがジャストな世代だと思うんだが。もうしんどくて同世代はついていけてないのか。
なんかやたらKORNのTシャツ着てる人多いなと思たら、今回はこれの一環だったのね。




しかし、レイジと比べると、今回はハコの規模が格段に小さい。
なんばHatchは音響システムも素晴らしくていいハコなんだが、Pレイジがやるにはちょっと狭すぎるんじゃ・・・・

という私の心配はどうやら大いに的外れなもので、なんかあんまり客が入ってない様子?
Pレイジって、日本での人気は微妙なのかな・・・・・




それでも開演時間が近づくにつれやはりそれなりにフロアは客で埋まってきた。
予定時間より少し早く暗転し、会場が一気に湧く。私も身体を安静にしてる場合じゃないと立ちあがって前の方へと詰めかけた。

まずは、ウォーミングアップとばかりにDJロードの余興が始まった。
我々のファン層に合わせてか、ブラック・サバス、ニルヴァーナ、ビースティ・ボーイズ、メタリカ、AC/DC・・・・などの今となってはスタンダードなナンバーを矢継ぎ早に凄まじいディスクスクラッチ技でかまして会場を大いに湧かしていた。まぁちょっと長すぎるなとは思ったが。




そして残りのメンバーがゾロゾロ出てきて本編スタート。
まず1曲目はEPから彼らのデビュー曲「Prophets of Rage」。




で、2曲目。この躍動感あるイントロは・・・・・
早くもレイジのナンバー「Testify」が出た!
フロアは一気に盛り上がり、もうジャンプせざるを得ない状況となった。
ちょっと最初から飛ばし過ぎじゃね?

そして3曲目。こ、この緊迫感のあるイントロバスは・・・・・・・
まさかまさかの「Take The Power Back」!!(またレイジ)
過去の2度のレイジのライブ(97年フジロックと2000年のワンマン)でも聴けなかったこの私の念願であったナンバーを・・・・まさか生演奏で聴ける日が来ようとは・・・・
興奮のあまり腹なんて痛がってる場合じゃなかった!
Voがザックじゃない!もうそんなの気にする余裕もなく激しく飛び回った。
その後、急激に暴れまくったことへの当然の報いを受けるハメとなり、激しく吐き気を催した。
なので、次のPレイジの「Living On The 110」の時は休憩タイムと相成った。
別にPレイジの曲がイマイチというわけではない。十分にカッコいい。でもレイジのナンバーの後では思いっきり迫力の差が出てしまうのよ。
それに昨年聴き過ぎて飽きちゃった(なんかポップすぎた)。


トム健在。やっぱウマい!!
ただ、初期のような荒削りなカッコよさはなくなってしまった。
とにかくプレイがものすごく丁寧で流麗。



ティムとブラッドも容姿共に全く衰えを見せぬ分厚いサウンドを刻むまさに鉄壁のリズム隊だ。



露骨なメッセージ。
その前は「もうかりまっか」と描かれたメッセージをギターの裏に貼って掲げていた。
まぁ日本のスタッフがやらせたとしか思えないが。



その後も、「Guerilla Radio」、「Sleep Now In The Fire」、「Bulls On Parade」・・・・と、もうほとんどレイジのライブだ。
一方Pレイジの曲はアルバム前半の曲を4、5曲演った程度。
もうなんか、「君たちが俺達の曲よりレイジの曲を望んでるのはよくわかってるよ」と言わんばかりのセトリであった。
いや、チャックDよ!Bリアルよ!それでいいのか!?なんかずいぶん丸くなったなぁ・・・・




それでもちゃんと彼らのコーナーも設けられてあった。
メドレー方式ではあったが、演奏隊の3人がステージからハケて、そっからはヒップホップタイム。
私がわかったのは「Bring The Noise」、「I Ain't Goin' Out Like That」、「Insane In The Brain」程度。
まぁ少数ながらオーディエンスの中に彼ら目当てのファンもいたみたいで、このコーナーが始まるや前の方にダダーっとかけていく者もいた。
後ろにいた外人も完璧に歌詞を覚えてて一緒にライムをかましていた。
私も生の「Insane In The Brain」が聴けた時は感激を覚えた。
ただ、最後に自分の舎弟のヒットナンバーをカヴァーするのは違うだろうと。




そして今度は元レイジの演奏隊の3人だけがステージに残り、照明が落とされる。
トムがなにやらスピーチをして(ステージでMCをするトムを観るのはこれが初めてだ)演奏を始めた。

なんとヴォーカル不在の「Like a Stone」だ。

海外ではメロウで歌唱力のあるSystem of a DownのVoなどがゲストで歌ったりしてたが、ここ日本ではまさかのインストヴァージョン。
いや、ここで本当は客みんなで合唱するべきところだったんだ。
かすかに歌ってこれに応える者もわずかにいた。でもAudioslaveのこの曲の歌詞を覚えてて歌える者が一体何人いただろうか?
トムさんそれはあまりにも無謀すぎるというものですぜ。日本人の英語力のなさをわかってらっしゃらないかと。
つかたとえ歌詞を完璧に覚えてたとしても、クリス・コーネルのあの高音域の歌はなかなか歌えるもんじゃないですよ。
まぁでもトムは別にオーディエンスに歌わすとかそんな無理強いをしてたつもりでもなく、単にクリスに追悼の意を表してこの名曲を演奏したかっただけかもしれない。

私はこのポッカリとVoの席が空いた「Like a Stone」の生演奏を聴き、それがむしろたまらなく悲しげに思えてしまい、そんなにクリスに思い入れもないのに感極まってハラハラと涙がこぼれ落ちてしまったのであった(歳のせいかな?)。




それからも、私は次から次へと披露される珠玉の楽曲群に歓喜してはジャンプ、モッシュを敢行し、曲が終わると腹痛に悶えエズくを繰り返した。
熱で発せられる汗と腹痛からくる冷や汗を同時にかいていたように思う。まさに地獄の戦場の真っ只中にいる感じだった。




名盤レイジのファーストからの定番曲「Know Your Enemy」、「Pull In The Head」なども惜しげもなく披露。
ピーピピピーピピ、久々にこのトムの後ろ姿見たなぁ・・・・・



トムがダブルネックに持ち替えて披露された曲は、確かサイプレス・ヒルの「How I Could Just Kill a Men」だったかな?
レイジの最後のカヴァーアルバムにも収録されている。
それをサイプレス・ヒルの張本人が歌うんだから、意義深いものになったかと。



そしてラストはもちろん「Killing In The Name」。
最初のイントロでは飛び跳ねたものの、さすがにその後中央のぐっちゃぐちゃのモッシュピットに突入する元気はなかった。
まぁこの時ばかりはオーディエンスのテンションも尋常ではなかったからね。
「Fuck you, I won't do what you tell me!」と「Motherfuckerrrrrr!!」だけは叫んどいた。




いやいや、思えば彼らの今までの全活動を網羅したような、盛り沢山のライブ内容だった。
レイジの定番曲はほとんど演奏されたし、フロアの盛り上がりも上々だった。

それだけに、今回の体調不良はあまりにも歯がゆくもったいなかった!
思いっきりモッシュに身体を委ねることができなかった。
まぁもう若くないから全編ぶっとおしで飛び跳ねてたら、それはそれでエライことなってたとは思うが。
この日のリベンジを果たすべく、また遠くない将来Pレイジの再来日を強く希望する所存である。


ライブ後、終電が来るまで地下なんばCityの便所をハシゴして腹の中のものを嘔吐しまくり、ゲッソリして家に帰った。
翌日風邪がぶり返し、土日とも2日間寝込んだ。


今日の1曲:『Jump Around』/ House of Pain
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする