AMASHINと戦慄

~STARLESS & AMASHIN BLOG~
日々ブログレッシヴに生きる

王賀さん

2011年03月31日 | ♪音楽総合♪
最近職場に王賀さんという人がいるのだが、仕事の帰り道なんかでふとその人のことを考えると、無意識のうちにQUEENの2nd『QUEENⅡ』のBlack-Sideの1曲目を鼻ずさんでいる自分に気付く。
そう、“オウガ・バトル”である。

クイーンに関しては、別に特別好きなバンドというわけでもなく、ドラマの主題歌のせいでエアロスミス同様、バンド名を口に出すのもはばかれるほどだ。
ただ、クイーン・グレイテスヒッツのカセットテープぐらいしか持ってなかった私が高校のとき、なんとなくレンタル屋でかりた『QUEENⅡ』はまさに衝撃作であり、テープが擦り切れるくらい何回も何回も再生して聴きまくった作品である。

この作品からベスト盤に収録されているのはラストの“輝ける7つの海”ぐらいなのだが、はっきりいってこのアルバムの魅力はそれ以外の曲にある。
このアルバムの魅力はまず、アナログ盤の場合であるが、ほぼブライアン・メイが主導権を握る“静”のWhite-Sideと、完全フレディが主導権を握る“動”のBlack-Sideとの対比である。
もちろん私もカセットテープ世代なのでそれを体感してきている。A面が終わってB面にオートリバースされる間の待ち時間、そのA面の余韻に浸りながらもB面の心の準備をするというこの緊張感をヤングな君は味わったことがあるだろうか?

White-Sideのハイライトはなんといっても、#3“White Queen(As It Began)”だろう。この物悲しげな弦楽器の音色はシタール?と思ってたら、シタールに近い音をブライアンがギターで作りだしたそうな。職人さんやな~
Black-Sideは逆回転音から始まる“Ogre Battle”からしてすでにテンション高!その勢いのまま“フェアリー・フェラーの神技”へと雪崩れ込む。この目くるめくスピード感溢れる曲展開とコーラス技はハッキリいってボヘミアンを超えているだろう。
“Nevermore”でいったん高揚した心を落ち着かせて、ジワジワと迫り来るロックオペラの最高峰とも言うべき“The March of The Black Queen”のため息漏れんばかりの壮麗なる世界観。「フレディ・マーキュリーは化け物か?!」って思いましたねぇ。


高校の時、ハードロックとかに縁もゆかりもないアニメおたくのクラスメイトに(こういう奴の方が啓蒙しやすいと思って)Black-Sideの一連の楽曲群を挿入したお好み編集テープを渡したことがあるのだが、こいつが高校卒業してから私に「先輩にクイーンってバンド聴かせてもらって気に入ったんやけど知ってる?」と聞いてきたときは「食人鬼オウガに喰われろや!」と思った。



今日の1曲:『Ogre Battle』/ QUEEN
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1.5Terror

2011年03月26日 | 晒しな!日記
買っちゃった
BUFFALOのUSB外付ハードディスク1.5TB。
気になるお値段は・・・

7480えェ~~~ンン・・・・

なおディスク容量は、1GB=1000000000byte、1TB=1000000000000byteで計算されている。


限定5名だったので久々に朝から電器屋に並んだが、客は4人ぐらいしかおらんかった。
私以外は高校生以上の息子がいそうな朴訥な親父さんばかり。
中には空き缶を広い集めてそうなオッサンもいたが、こんな人でも1.5TBも必要なのかと驚いてしまった。
ハードディスクのことでそこにいた連中と、なんだか和気藹々となってしまった。
こんな感覚久しぶりだったなぁ。


買ってから別にそんな容量いらんかったかなーと思ったけど、ようはゆとりですよ。ゆとり。
これで残量を気にせず、古今東西の広範囲に及ぶ様々なカテゴリーの驚異的音源や、世にも珍しい驚愕すべきYOU TUBE映像や、あらゆる時代の普遍的な秘儀を隠す森羅万象そのもののごときデータをおとせるわけだ。


フフフ・・・この大容量のハードディスクさえあれば、ジオンはあと10年は戦える。





今日の1曲:『TERROR ZONE』/ KREATOR

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東北と戦慄

2011年03月23日 | プログレッシヴ草稿
mixiからの情報

キング・クリムゾンのライブ音源保管庫である?DGM Liveは、1995年10月の仙台公演のライヴ音源の売り上を日本赤十字社を通じて東日本大震災の被災者に寄付すると発表したそうな。

http://www.dgmlive.com/archive.htm?artist=8&show=645

これは是非ダウンロードせねば!って思うのだが海外サイトで買物したことがないので、どうやったらいいのかわからん。
今度ツレにやり方を聞こう。


1995年といえば、クリムゾンが90年代最初のアルバム『THRAK』を引っ提げ、日本ツアーを敢行した年であり、私はこの時のライブを見逃している。
メンバーはクリムゾン史上最多の6人編成で、“ダブル・トリオ”といって、ギター2人(ロバート・フリップ、エイドリアン・ブリュー)、ドラム2人(ビル・ブラッフォード、パット・マステロット)、スティック2人(トニー・レヴィン、トレイ・ガン)という前代未聞のアヴァンギャルドな構成をとっている。
パット・マステロットといえば、アメリカの人気グループMr.ミスターでドラムを叩いていた人と言えばピンとくるかと・・・・・・え、こないって?“キリエ”を知らないの?

アルバム『THRAK』は6人編成と銘打った割にはどうしようもなくサウンドに迫力がなく、確かに1曲目“VROOM”などは“RED”の流れを汲む曲構成なんだが、いかんせん破壊力に欠け、妙に整い過ぎている。ブリューがメロウに歌い上げる普通の歌モノが割と多く、「6人でやらんといかんかったんかい?」と問い詰めたくなる内容だ。
だから私はこの時のライブに気乗りがしなくってスルーしてしまった。

その後、WOWOWで放映された中野サンプラザでのライブ“KING CRIMSON LIVE IN JAPAN”の映像をツレがVHSに録画したのをかりて見て、ライブに行かなかったことを激しく激しく激しく激しく激しく激しく後悔したのは言うまでもない。

それまで動くクリムゾンを見たことがなかったので、この映像はかなりショッキングだった。
シンセ音やピアノ音をギターで掻き鳴らすブリューのおちゃめなプレイ。悟りきったかのようなフリップ翁の佇まい。スティックという未知なる楽器から奏でられる高速音。
で、やっぱりビルのシャープなドラミングがカッコよすぎた!
結局この時がクリムゾンでビルが叩く最後のツアーとなったんだよな・・・
“Talking Drum”からの“太陽と戦慄 Pt.2”のリレー式再現を見られた時は「やったぜ!」って思いましたね。

そして、まだまだ若輩者だった私は「クリムゾンはライブバンドである!」っていうことをこの時初めて痛感させられたのだった。この古き良き時代のVHS映像で!

あああ~~~!!時間よー、戻れ!!

LIVE IN JAPAN 1995


P.S.
久々にツレからいまだかりパク中の、このVHS映像を鑑賞してて慄然としたのだが、“RED”演奏時に画面上にWOWOWの速報が流れ、“東北の太平洋側に津波注意報”というテロップが!!
これは、3.11を予言していたのだろうか!?

今日の1曲:『VROOOM VROOOM』/ KING CRIMSON
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HPLの落とし仔その他の恐怖

2011年03月15日 | ルルイエ異本
最近リン・カーター著『クトゥルー神話全書』を読んでて、今日がH.P.ラヴクラフトの命日であることを知った。

1937年3月15日、H.P.ラヴクラフトはプロヴィデンスのジェーン・ブラウン記念病院でブライト病と腸癌の複合症によって、46年と7ヶ月というその短い生涯を閉じた。
本書で紹介されていた、クラーク・アシュトン・スミスが<ウィアード・テイルズ>に送ったラヴクラフトの死を惜しむ挽歌が感動的である。

御身は旅立って行かれた ここよりも旧き流れを探し求めて
魔術たけなわなるアーカムか?
はたまた親しき猫たちと共に 新しき秘密の森を探索しているのか
(中略)
御身はウルタールへ あるいはナスへと帰郷したのか?
朧なるカダスに君臨する いと高き王が 気高く賢き大使を呼び戻したか?
もしくは暗黒神クトゥルーが印を送りたるか

本書は『クトゥルー神話全書』と銘打ってはいるが、初心者向けのガイドブックというより、ラヴクラフトという作家のひととなり、いかにしてクトゥルー神話が体系化していったかなど、周辺作家宛の書簡や興味深いエピソードなどを交えて綴られた、いわゆるクトゥルーマニア、リン・カーターの研究書である。
まぁ散々クトゥルー神話ガイド的な著書を読んできている私としては、それほど目新しい話題はなかったが、それでも難解用語や、書物にまつわる新たな事実などを知るにつけ、心躍らされずにはおれなかった。
“自家薬籠中”とか“折衷的(「模倣的」を婉曲に言い表したもの)”とか、“サイコポンポス”など、普段使わんような単語を新たな知識として吸収できることもよい。
「物議を醸すエルトダウン断片」は、ラヴクラフトの知己だったフランクリン・ライトの創造書だったとか。ウィンタース=ホール牧師じゃなかったの?
あと、訳者が注釈でリン・カーターの間違った記述にいちいち突っ込んでるところもウケた。

本書には巻末に詳細なクトゥルー神話作品目録の他、クトゥルー神話固有名詞比較表が収録されているのは今後のクトゥルー研究に大いに役立つのではないかと。
クトゥルー本は訳者によって表記がコロコロ変わりますからね~
例えば、クトゥルー(Cthulhu)の表記だけでもこれだけある。

クルウルウ、クトゥルフ、ク・リトル・リトル、クスルウー、クートウリュウ、ク・ス=ルー、ク・スルフ、クトルット・ルットルトル・トゥゲザー・・・・・


ところで、純粋な幻想怪奇小説ファンは別として、クトゥルー神話ってみなさんどのような入り口から興味を持たれるようになるのだろうか?
テーブルトークRPG?TVゲーム?マンガ?不可解な自分の先祖にまつわる調査?旧支配者からの託宣?

私は間違いなくメタル・ミュージックの影響だ。
クトゥルーナンバーとしてはMETALLICAの“クトゥルーの呼び声”が有名だが、私の場合は人間椅子の“狂気山脈”がクトゥルー神話を意識した最初の曲だった。
そして同時期にハマっていたMORBID ANGELの背徳的ナンバー“ANGEL OF DISEASE”のサビで唱えられる、あまりにもおぞましいシュブ=ニグラス召喚の呪文!
今では音楽以上にクトゥルー神話にのめりこむハメとなってしまったが・・・

人気ヘヴィ・メタル・バンドIRON MAIDENの『死霊復活』のジャケットには、エディの墓標にアラビアの狂詩人アブドゥル・アルハザードの4行連句とH.P.ラヴクラフトの名前が刻まれている。



そういえばリン・カーターは本書で、1968年頃に活躍したシカゴのロックバンドH.P.LOVECRAFT(なんというヒネリのなさ!)についても言及している。
このグループの会社名が「ダニッチ・プロダクション」であることも興味深い。



今日の1曲:『白い帆船』/ H.P.LOVECRAFT
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踏破あたわざる・・・

2011年03月10日 | ルルイエ異本
横のニンギジッダ通信にも報告した通り、ジェームズ・キャメロン監督製作総指揮/ギレルモ・デル・トロ監督の、H・P・ラヴクラフトの原作を映画化する暗黒神話『狂気の山脈にて』の製作中止を、ユニバーサル映画が正式に決定したそうだ。

倫理規定による年齢にもとづいた視聴制限の対象となり得る、観客の幅が限定されかねないホラー映画なのに、物語のスケールがあまりにもデカ過ぎるため、多額の製作費を要し、ビジネス的にも成立し辛いと判断してのことらしいが・・・
ナサニエル・ダービー・ピックマン財団からの援助金は受けられなかったんかい?

しかしここまで盛り上げといて中止って、そりゃないぜセニョール!!
ユニバーサルのアホー!

『狂気の山脈にて』Trailer



もう、こんな予告編見せられたら楽しみすぎて心躍らされるんも仕方ないっしょ!
私がこの映画化の噂を聞いて、これまで様々な慄然たる冒涜的シーンに思いを巡らしたことは言うまでもない。

ミスカトニック大学付属図書館で、ダンフォースが禁断の魔道書『ネクロノミコン』を冷や汗タラタラで読み耽るシーンや、ウミユリ状の頭部をそなえた<いにしえのもの>のCG再現。
眼のない白色変種の巨大ペンギン。
そして、『ナコト写本』にほのめかされている、凍てつく荒野の未知なるカダス・・・・

そして、あの広範囲に響きわたる、慄然たる笛を吹くような音・・・
そう、あの「テケリ・リ!テケリ・リ!」をどんな風に音声化するのか、非常に楽しみにしていたのに・・・

しかし、この作品3D映画になる予定だったらしいが、スクリーンからテケリ・リ!テケリ・リ!と飛び出してくるショゴスなんか見せられた日にゃ、発狂確実だろうな。


ユニバーサル・スタジオ・ジャパンは、この映画が上映されたあかつきに新設予定していたであろう、絶叫アトラクション「狂気山脈ワールド~ショゴスに乗って未知なるカダスへ行こう~」を断念せざるをえなくなってしまったな。
園内を闊歩する<いにしえのもの>がUSJの新マスコットとなり、彼らと共にウッドペッカー狩りを楽しんだ後、ツーショットを撮ってもらうのが私のひそかな夢だったのに・・・

いにしえのもの



ついでに、人間椅子以外で『狂気山脈』のことについて歌っているけったいなメタルバンドを発見。



PVはほとんどギャグ。バンドは貧乏くささ全開。
ひょっとして、妙な突起物を前に付けた黒いドレスのガニ股女がショゴス?!
まぁ確かにショゴスは必要に応じて任意の形態、器官を構成することが可能なクリーチャーではあるけど・・・

まぁ最近はこういった女性Voを擁したシンフォニック・デスが流行ってるんですね。
正直この手のバンドは門外漢なんだが、このバンドはちょっと初期セルティック・フロストっぽいチープさがあってけっこう好きかも。

今日の1曲:『At The Mountains Of Madness』/ Orphanage
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のほ本

2011年03月05日 | 本わか図書室
クトゥルー本を切らしていたので、去年の秋頃にブックオフの105円コーナーで見つけてまだ読んでなかった大槻ケンヂ著の『大槻ケンヂのお蔵出し~帰ってきたのほほんレア・トラックス~』というのを読んだ。
高校の頃ファンだったとはいえ、今更オーケンのエッセイなんてあんまし興味わかなかったんだが、表紙カバーがおもろかったので思わずレジに持っていってしまった。いわゆるジャケ買いってやつだ。

内容は、アウトテイク集というか、いわゆる企画モノというやつかな。
オーケンがライブで即興で語った歌詞を文字に起こした「絶叫詩集」(“いくじなし”、“高円寺心中”など)。これは読んでてかなりダルかった。
女性ファンが泣いてよろこぶオーケンのレアな写真集も満載。

そして今まで単行本に収録されなかった「お蔵出しエッセイ連発!」。
これも大半がプロレスネタで、格闘技にほとんど興味がない私としては退屈極まりなかったが、超常現象ネタでのオーケンの考察がなかなか興味深かった。
アブダクティー(宇宙人にさらわれたと主張する人々)は、性的欲求に満たされていない女性が多く、「宇宙人にさらわれて身体検査された」というのは彼女たちの性的妄想の表れなのであるという。
悪魔にとりつかれた女性が突如卑猥な言葉を吐き散らすという現象も、自分の性欲を悪魔のせいにして責任転嫁しているだけなのではないかというのである。
この話は、以前私が「イースの大いなる種族」ネタで書いたものとなんとなく似通っていたので妙に納得してしまった。

「ちょっとそこの貴女、オーケン愛の相談室」は投稿してきた女性の悩みにオーケンが応えるというものだったが、これもなかなか鋭いというか、けっこう説得力のあるアドバイスをしてらっしゃって感心してしまった。単なるウケ狙いより、こういったマジメな話の方が上手いと思うなこの人。
あと、オーケンがドリュー・バリモアに対する恋心を綴った「ラブレター」は傑作だった。

しかし、この本の前の持ち主・・・
この人の人生の参考書だったのか、この本にそうとう入れ込んでたらしく、波線引きまくりやし。
「寺山修司」についてのエッセイんところの最後のページには、なんかこの人の切実な思いが書きなぐってあった。



オーケンとAV監督代々木忠との対談のページにさしかかると波線率が激しくなり、外で読んでて他人に見られたら恥ずかしいやないか!みたいな箇所ばかりにチェックしておって、体で本を覆い隠す姿勢で読まなければならなかった。

と、私の死後、この本を見られたら体裁悪いのでここに証言しておく。



今日の1曲:『暴いておやりよドルバッキー』/ 筋肉少女帯
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3

2011年03月03日 | まったり邦楽
ロックバンドのアルバムあるあるで、3rdアルバムにまんま「3」とタイトルつけるパターンが多い気がする。
ま、単にタイトル考えるのが面倒くさいだけなんだろうけど。
例えば、有名どころで『LED ZEPPELIN 3』、『ゆらゆら帝国 3』(インディーズ作品は含まない)。最近ではPORTISHEADも『THIRD』と、まんまのタイトル・・・・・・・

「え、それだけ?」と言われそうだが今思いつくのはその程度なんであとは皆さんで探してみてください。
あ、なんで「3」の話をしだしたかと言うと、今日が3月3日だからです。念のため。

まぁ古今東西「3」という数字は、神秘的であり、万物において重要な意味合いを持つナンバーであると言われてますが、その事例をあげていくのもまた面倒くさいので、皆さん各自で調べてもらうとして、そろそろ本題に入らせてください。

今日ご紹介するのは堀込兄弟ユニット、キリンジの2000年作のサードアルバムその名もズバリ『3』!!
本作はキリンジにとっても転機となった作品で、シングル“エイリアンズ”などのヒットソングも生まれている。
聴きやすくて軽やかなポップ面と、プログレハードに展開するロック面とが富田恵一氏による卓越したアレンジで絶妙に融合し、バランスのとれた見事な作品に仕上がっており、当時私もそのあまりの完成度の高さに舌を巻いたものだ。
もとは当時SSTVで偶然流れた“牡牛座ラプソディ”の、なんとも不可思議なPVを見て興味を持ち出したのがキッカケで、一見小田和正風の歌メロJポップロックなんだが、キリンジの楽曲にはどこかヒネた一筋縄ではいかぬ不可思議な魅力があった。

『アルカディア』 ユニークなPVもキリンジの魅力のひとつだろう。彼らの無表情さが笑える。


とにかく有名タレントにも楽曲を提供している才能溢れた兄弟が、各々作曲した楽曲をそれぞれ比較してみると、影響された音楽の背景がなんとなく垣間見れて面白い。
どこか冷めていて、メロウな高音ヴォイスが持ち味の泰行(弟)の曲は、ポップだがどこか70~80年代ハードロックからの影響を匂わせている。
一方、普段はコーラスを担当しているが、時にフワっとした浮力を持ったリードヴォーカルを聴かせる高樹(兄)の曲は、スティーリー・ダンなどのAOR的雰囲気を強く感じさせるものがある。
整形して変わり果てた元恋人のことを歌った#11“メスとコスメ”のリズムセクションなどはその最たるものだろう。

そういった外来のロック要素が全面に出ているせいか、やはりキリンジには70年代プログレファンや、80年代ロックファンからの支持者(今となっては中年連中)が多いようだ。
そういえば油ギッシュなジャケットもなんかヒプノシスっぽくない?

#12“サイレンの歌”は、フロイドのようなゆったりとしたテンポに哀愁漂わすコーラス、終盤「クリムゾン・キングの宮殿」でのメロトロンを髣髴とさせる壮大なストリングスが絶大な効果を発揮しており、プログレファンは心奪われること間違いないだろう。
そして、ラストを飾る#13“千年紀末に降る雪は”の、金原千恵子カルテットによる優美なるストリングスを導入した、どんなクリスマスソングより温かみのあるこの暖炉部屋のような雰囲気・・・
歌詞内容共にキリンジの真骨頂ともいうべき名曲である。



今日の1曲:『サイレンの歌』/ キリンジ
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