AMASHINと戦慄

~STARLESS & AMASHIN BLOG~
日々ブログレッシヴに生きる

モヴェ

2013年02月22日 | ♪音楽総合♪
とどまることを知らない上原ひろみ率いる、アンソニー・ジャクソンとサイモン・フィリップスとの最強トリオプロジェクトの昨年リリースされた第二弾『MOVE』を、やっとこさゲットして鑑賞。一応AMASHINレコード大賞2012のノミネート候補にも挙がっとったんだが、未聴のまま年を越してしまった。
ケバいジャケットに関しては・・・・・・何も言いません。

一聴したときは、前作『VOICE』の延長上的な作品だなという印象を受けた。
ユニークな目覚まし音の連打で始まる1曲目“MOVE”は、なんとも掴みにくい難解なリズムと、複雑な音階で構成されたダイナミックな楽曲だが、まぁ“VOICE”の二番煎じ感は否めない。“Now Or Never”っぽいジャムナンバー♯3“ENDEAVOR”もしかり。
バンドとしてのまとまりは以前より俄然強固なものとなっており、演奏力にも磨きがかかり、よりスケールアップしたかと見受けられる。
まぁアンソニー・ジャクソンの存在感が影を潜めたような気がしないでもない。上原シゴキによる疲労からか、なんとなくモチベーションが下がっているような・・・・
しかしその分、前作ではツーバスドコドコ、チャイナシャンシャンに走りがちだったサイモン・フィリップスのドラミングが今回凄まじいことになっていて、上原との掛け合いが前作と比べられないくらい絶妙にマッチングしている。

ただ、楽曲一つ一つのインパクトというものが前作と比べてかなり弱く、なかなかツボにはまるメロディラインが見あたらない。単に聴き込みが足りないのと、私のレベルでは感性が追いついてないだけかもしれないが、個人的には前作の情熱的な高揚感と、心揺さぶられるような流麗なメロディが欲しかった。
♯5“REALITY”でのフリージャズ展開も、前作“Flashback”ほどの絶妙さは感じられなかったし。とにかく、彼女の前作からの勢いにまかせた溢れんばかりの創作意欲と、飽くなき向上心だけが先行して、その分楽曲全体としての整合感に欠けてしまったような気がするのだ。
確かに彼女の鬼のような鍵盤さばきは全編に渡って耳を惹くのだが(特に♯8“MARGARITA!”終盤での指回しは驚異的である)、聴き終わった後、それほど心に残らないのはどうしたもんだろう。

彼女の超絶なるピアノワークに恍惚、悶絶するファンも多いだろう。ただ、私には今回そのエクスタシーはさほど感じられなかった。
ちょっとコンセプトや曲構成に懲りすぎて、温かみが足りないというか。
技巧派プログレイーターにはウケがいいかもしれない。


ライブでは、ヒートアップしていくその凄まじさがよくわかる。


今日の1曲:『MOVE』 / Hiromi The Trio Project
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

大阪名物TTF

2013年02月11日 | コンサート
ROCK STAKK RECORDS/RIVERGE主催の、関西限定B級スラッシュメタルの祭典「TRUE THRASH FEST 2013」にようやく初参戦。
いや、今までドストライクなバンドがなかなかなかったもんで、近場であるにも関わらず、ずっと参加を見送っていたが、TTFリピーターの知り合いからは、「そんなん関係なくライブ来たら絶対楽しいから!」と何度も誘われていたので、いつかは参加せねばとは思っとったんです。
今回は、クトゥルー愛好家であり、モッシャーでもあられるメタル夫妻が関東からかけつけられるとのことだったので、これはいい機会だと思って社会勉強も兼ねて江坂まで馳せ参じたわけで、まぁ関西の知り合いも何人かおるだろうと。
江坂に着いてから気づいたんだが、江坂MUSEつったら、二十歳の時に※ツレのバンドのライブで一度訪れたっきりで、場所を全く把握してなかった。でもTTFのチラシを持参していたことにふと気付き、そこにちゃんと地図が載ってたので助かった。
とりあえず腹ごしらえしにマクドに入ると、メタルロゴパッチをコラージュしたデニムベストを身にまとった外人軍団が店の中央を陣取っているのに遭遇。
ひとり、2メートルはあろうかと思われるレスラーみたいな長身の男がいて、店を出るとき自動ドアのところで頭をかがめていたのには愕然とさせられた。この時はVIOLATORのメンバーかなと思っていたんだけど。

会場入りすると、今回ドタキャンしたマレーシアのバンドNIGHTWOLFの代替えとして、急遽来日したオーストラリアのスラッシュメタルバンドHELLBRINGERのライブがちょうど始まろうとしていた。
んでステージを見やると、さっきマクドで遭遇したノッポがおるではないか!ステージ上でも一際目立っており、レスポールがウクレレにしか見えないという(しかもサウスポー)。
こんなマイナーなスラッシュバンドではなく、バスケの選手かレスラーを目指していたなら、それなりの成功を収めていたのではないかと。どこでどう道を誤ったのか?つかスカウトされなかったんかな?

HELLBRINGER。中央にいる人物はメンバーではなく、ステージダイバー。


ただ、今回出演バンドの中では個人的に一番のお気に入りバンドで、初期SLAYER、あるいはDESTRUCTION直系の悪魔主義的スラッシュスタイルを踏襲しており、まさにドストライク。この坦々とした曲運び、はっきりいって今のDESTRUCTIONよりも好み。今度アルバム買おうかな。


そして出ました日本の女帝スラッシュバンドJURASSIC JADE。


実はHIZUMIさんのまだスリムだった頃のステージを学生の頃に目撃している。その頃のジュラシックは結構人気があって、HIZUMIさんも活きのいい姐ちゃんという感じでライブもけっこうワッショイワッショイ盛り上がっていたように記憶している。現在のHIZUMIさんは、妖しい占い師か魔女みたいな落ち着いた雰囲気が備わっており、妖気漂う独特の空気を会場にもたらしていた。最後に演奏された“鏡よ鏡”は、今フェスの中で私が唯一知っている曲だった。


ブラジルの狂犬VIOLATOR。今回2度目のTTF出演である。


まぁこのバンドが、マイナースラッシュフェス的には一番趣旨に合ってるバンドであろう。盛り上がりも物凄くて、モッシュも一番激しかったと思われる。
演奏そのものは、デタラメ感が否めなくメリハリもクソもなくてひたすら突っ走り続ける。でもTTFリピーターにとっては、こういうのが一番たまらないんだろうね。これぞTRUE THRASH!!てな感じ。しかし、ヴォーカルの謝辞の言葉がやたら多かったな。


スラッシュのフェスには、こういったガスマスク野郎なんかも跋扈する。ボヤ騒ぎになっても安心だね。



そして、オオトリのカナダのメタボリック親父バンド、EXCITERの登場。


オリジナルメンバーはすでにひとりしかいないようだが、それでも辞めずに約30年もの長きに渡ってオールドスタイルの漢メタルを貫いているこのひたむきさは、同郷のANVILと重なるものがある。
「メタルなんちゃら!」「ヘヴィー・メタール、なんちゃら!」って感じのまったりナンバーが多く、スラッシュフェス的にはアレだが、さすがベテランだけあって演奏には燻し銀の安定感があり、ここまでどメタルなバンドのライブを拝めるのも、そうそうあることではない。
舞台袖で見学していた若手バンドの連中も物珍しげに見ていらして、最後EXCITERのメンバーに無理矢理ひっぱり出されて「いや、この曲知らないんだけど」てな感じで戸惑いながらも、とてもわかりやすいサビの部分を一緒に歌ってらっしゃいました。


どうです?とっても楽しそうでしょ?
全国のスラッシャーの皆様も、来年はぜひ、大阪江坂においでやす~?


【注】
※「ツレ」というのは、関西では「友達」のことを意味します。今回、関東から来た方と話をしていて、危うく私がモーホーであると誤解を受けそうになったので、一応。
しかし、今まで関東の人が当ブログの記事を読んで、私に対してそういう印象を持たれていたのかと思うと・・・・・ハズカシーーイ!ピヨピヨっ。



今日の1曲:『Hellbringer』/ Hellbringer
コメント (4)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

帰ってきた不思議カナディアンズ

2013年02月07日 | やっぱりメタル!!
2009年に最終作として『INFINE』をリリースし、長年の創作活動にピリオドを打ったと思われたVOIVODが、復帰作『TARGET EARTH』を引っ提げ現世に帰ってきた!
中学ん時、『Killing Technology』をワルツ堂で注文したときもそうだったが、今回もオンラインで注文してからだいぶ待たされた。しかもクレジットカード払いにしたつもりが、代引になってて不可解このうえない。箱開けたら、進化型Korgullステッカーが封入?!かと思ったが、なんだか違うみたい。

某雑誌のレビューでは、『Dimension Hatröss』、『Nothing Face』を想起させる充実の内容なんて、VOIVODフリークの喜びそうなこと書いてたけど、んなことは半分も信じてなくて、だいいち『Dimension~』のような奇跡の化学反応と、あの時代のザラついた質感を再現することなど、現在では不可能に等しい。
だから、期待半分で本作に臨んだわけであるが・・・・・
うん。見事なまでに唯一無二のVOIVODワールドが展開されている。そりゃ~もう、これでもか!と言わんばかりに。

4年前、THRASH DOMINATION 08での初来日公演で、VOIVODファンの心を鷲掴みにした伏兵ギタリスト、ダニエル・モングレン(今回VOIVOD正式加入に伴ない、“チューウィー”というミドルネームを授かっている)が、今回中心となって曲を書いてるみたいだが、故ピギーの奇想天外なコード進行、作曲法を研究しつくしてる筋金入りのVOIVODマニアだけあって、随所にそれらしいフレーズが散りばめられており、奇抜なプログレッシヴ展開や、混沌としたスペーシーな演出もそれなりの雰囲気が出ている。ソロパートなんかでは、持ち前のメタリックなテクニカルさもちょこっと垣間見せてはいるが、モングレンは遠慮せずもちっと自分のカラーを主張したらば、もっと進化したVOIVODサウンドが打ち出せたんじゃないかと。
今回は、オリメンのブラッキーことジャン・イヴ・テリオールも完全復帰し、あの重く歪んだベース音をブリブリとかき鳴らしてくれていて嬉しいかぎり。

最初聴いたときは、『Killing Technology』を想起させる殺伐としたテクノロジカルな雰囲気をビシビシと感じたが、全体的なサウンドは『The Outer Limits』のそれに近く、『Nothing Face』の無機質さ、『RRROOOAAARRR』のパンキッシュな疾走感と、あらゆる歴代アルバムの要素をやみくもにねじ込んだごった煮感があり、少し散漫としてまとまりのなさを感じた。個人的には♯6“Resistance”が一番まとまりがあってシックリきた。
でも、CDを通して最も興奮させられるのが、ボートラのライブ音源2曲(“Tribal Convictions”、“Nothing Face”)だったりする。やっぱピギーの楽曲センス(そこには、イマジネーションに富んだストーリーが見えるんだよね)と、あの混沌とした時代ならではのマジックを改めて痛感させられちまう。モングレンもそれをライブで忠実に再現してくれていて、VOIVODファンとして感謝に堪えない。

なので、一刻も早い再来日を祈願してやまないのである。




今日の1曲:『Kluskap』/ VOIVOD
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする