AMASHINと戦慄

~STARLESS & AMASHIN BLOG~
日々ブログレッシヴに生きる

絵 VS 墓

2012年09月16日 | プログレッシヴ草稿
中古で激安だったので、有名プログレバンドのライブアルバムを2枚同時に入手。

1枚はエマーソン・レイク&パーマー(以下ELP)が、ムソルグスキーの壮大なる組曲を大胆にもカヴァーしたあまりにも有名な『展覧会の絵』の20bitK2盤。
ELPは、私が高校時代にプログレッシヴ・ロックに傾倒していくキッカケとなったバンドでもあり、このライブアルバムも当時むさぼるように聴いておりましたが、やはりなんだかこのクラシックとハードロックの融合には、少なからず違和感を覚えながら聴いておったように思います。
10数年ぶりにいい音質で改めて聴いてみて、ムーグシンセサイザーを駆使しまくりのキースのプレイはそこそこおもしろいとは思うが、グレッグの歌はカッタるいし、プログレ特有のクドクドしさ、大仰しさの典型といったところで、今聴くとちょっとしんどいものがある。

ワイト島でのELP衝撃のデビューライブ。
当時この映像を目撃した時は、さすがにキースのやんちゃっぷりに度肝抜かれた。



もう1枚は第一期キング・クリムゾンの2枚組ライブ音源集『Epitaph ~1969年の追憶~』。
いわゆるオフィシャル・ブートレグというやつで、フリップ翁が海賊盤流出の対抗措置として、ブート音源集を連発していた頃の1つ。
オリジナルメンバーでのライブ音源にはかなり興味はあったんだが、1969年のブート音源なんてどうせロクな音質じゃないだろうし、だいいち4500円は高価すぎるということで今まで手を出さずじまいだった。

Disc-1には、最初のレコーディングとなったBBSスタジオライブの音源が4曲の他、アメリカでの2公演のライブ音源をつなぎ合わせた寄せ集め構成で、音質のバラツキ感はハンパない。
BBSセッションの“クリムゾン・キングの宮殿”と“エピタフ(墓碑銘)”だけが、やたらクリアな音質という。
あとインプロで、ビートルズの“Wild Honey Pie”のアコギフレーズをさりげに挿入してるのが面白い。
Disc-2は、1ヶ所の公演に統一されたもので、オリメンでの最後のライブとなったサンフランシスコ フィルモア・ウェスト公演の音源。音質はDisc-1に比べてはるかに良いものとなっている。
“21世紀の精神異常者”は様々な時代のライブヴァージョンを聴いてきたが、やはりオリメンでの演奏が私には一番シックリくる。この時期のフリージャズ然としたタイトな演奏が素晴らしい。
そして第一期クリムゾンの一番の功労者ともいうべきイアン・マクドナルドの暴れっぷりが耳を惹く。フルート、サックスを自在に弾きこなし、“クリムゾン・キングの宮殿”を名曲たらしめたメロトロンの実に雄大で壮厳なる効果的な奏でっぷりは圧巻というほかない。

あと本作で一番の収穫だったのが、2曲目の“Drop In”。
この曲は“Why don't you just drop in”というタイトルで、クリムゾン前身バンド?Giles,Giles & Flipp時代から演奏されていた曲で(この時はイアンがVoか?)、クリムゾンの4th『Islands』で、“The Letter”というタイトルでボズ・バレルが歌ったのが正式レコーディングされている。
GG&F時代のはちょっとフォーク・ロック寄り過ぎで、ボズの歌うのはいささかダーク過ぎだが、第一期メンバーでのヴァージョンはかなり荒削りな演奏ながら、アヴァンギャル度が濃厚でぶっ飛んでいる。
なんつってもグレッグの歌がいいね。『展覧会の絵』の時のダサヴォーカル加減とは比べるべくもない。

しかし、この時期のライブ音源を聴くにつけても、クリムゾンという音楽集団はやはりその時代、その時のメンバー編成によって独特の輝きを放っている。グレッグの歌ひとつとってもそうだが、クリムゾンの名のものとにメンバーが想定以上の技量を発揮する不可思議な魔力を持つ空前絶後のモンスターバンドなのだ。
いや、クリムゾン自体ロックバンドというより、とてつもない破壊力を内包した一種のエネルギー体というべきか。



今日の1曲:『Drop In』/ King Crimson
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする