AMASHINと戦慄

~STARLESS & AMASHIN BLOG~
日々ブログレッシヴに生きる

愛は吐息のように

2022年07月17日 | しねしねシネマ
バブル期の昭和の80年代に幼少期を過ごした私を夢中にさせた、MTVで流れる洋楽のPVや、ハリウッド映画の中で展開される目くるめく華やかな外タレ文化。
もうなにもかもがカッコよくて楽しくて、日本の芸能界とのレベルの違いをまざまざと見せつけられた感じだった。

小学生高学年くらいから洋画観たさに電車に乗って京都市内の映画館(スカラ座や東宝公楽)にもよく足を運ぶようになって、トム・クルーズ主演の『トップガン』もそういった流れで劇場に観に行ったと記憶している。

ハリウッド映画なら何観てもほとんどおもしろかったんだが、ただ、中には子供心に微妙なものもいくつかあった。
『ネバーエンディングストーリー』がそうだったし、シュワちゃんの『コマンドー』もアホすぎるなぁ~って。
そして『トップガン』もその微妙な作品のひとつであった。


で、今年36年ぶりに『トップガン』の続編が公開されるって聞いたときも、ビタ一文心を動かされなかった。
子供の頃につまらないと思った映画の続編がおもろいわけないやろって。


ところが!個人的にYOUTUBEチャンネルを運営してる割と信頼のおけるガチの映画批評家さんらがこぞってこの続編である『トップガン マーヴェリック』を大絶賛しているではないか!




「そんなはずはない!」と思いながらも、そこまで言われるとさすがに気になってくる。
映画ってのはやっぱ、当たり前だけど観てみないとわからないからなぁ~

なので土曜の晩にレイトショーの安いので、まぁ戦闘シーンでちょっとしたアトラクション的な体感が楽しめるだろうというノリで観に行った。


で、どうだったかというと、「時間を無駄にした」という感じ。

まぁどうせ土曜日の晩に家にいてもYOUTUBE映像をダラダラ観てるだけやから一緒やろうと思われるかもしれないが、少なくとも映画代はういた。
つかユーチューバーみたいな連中の煽りを受けて、まんまとこんなドハリウッド映画を観に行ってしまった自分が腹立たしかった。

もちろん本作品は、典型的なハリウッド映画のノリを、頭をカラッポにして観るってのが正しい楽しみ方ってのはわかる。
続編としてもそれなりによくできた作品で、前作で訓練中に亡くなった相棒の息子が出てきたりして、その確執や葛藤なんかもちゃんと描かれている。
まぁ誰が考えてもああいう展開にはなるだろうが。

この映画に全く感銘を受けなかったのは、トムがダメってわけじゃなく、監督がダメってわけでもなく、やっぱ自分自身に問題があるかと。


とにかくこの物語に出てくるのは、西海岸でリア充生活を送ってる金に困らない超エリートばかり。そしてみなスタイリッシュで美男美女。
訓練生の女戦闘機乗りまで美人ときたもんだ。軍人ばかりが集うゴージャスなバーで男どもに交じってワイワイ楽しんでいる。
そのバーを経営してる50くらいのシングルマザーの美魔女が、どうやらトム演じる元エースパイロットのアメリカ海軍軍人マーヴェリックの元カノらしく、離婚した夫からの慰謝料が莫大だったのか、自家用車がポルシェでプライベートヨットまで所有している。
で、マーヴェリックはまたムラムラときて、彼女とよりを戻そうとさりげなく近づいていくんだが、女の方もさりげにかわしながらもモンモンとした様子。
この時点で「アホか」と思ってしまう私はもう心の歪んだ負け犬なんでしょうね。


この映画をつまらないと思った一番の要因としては、私が幼少の頃よりジェット戦闘機というものにあまり興味がないってのがある。
フォルムもそうなんだけど、今回観てても思ったけど高性能すぎてつまらない。
そのことと直結して“死”というものがあまり感じられないのよね。
訓練生たちも始めから終わりまで誰一人死にそうな雰囲気がないし、とにかく緊張感に欠ける。
訓練の一環としてビーチでアメフトって、おバカアメリカン青春ハイスクール映画かよ!

いざ敵機との戦闘シーンでも(どこと闘ってるんだか・・・)米機はどれも一撃では撃墜されないから、被弾してもどうせ椅子ごと脱出して助かるんでしょって感じでほんまにセコい。
敵機にロックオンされて絶体絶命の場面でも、絶対友軍助けにきてくれるパターンは、もうハリウッド映画の伝統芸といったところで安心して観ていられる。
とにかく予想を裏切らない。

まぁミッション的にもやってることは私の大好きなスターウォーズ旧三部作とほとんど一緒なんだけど、なんでこんなに感動できないんだろう?
それはやっぱ敵の顔が見えないからなのかもしれないな・・・敵の脅威というものが全く感じられんのよ。

え?だから、そういう映画じゃないって?
イケメンが敵をコテンパンにやっつけて(イケメンの敵は我々の敵、メリケンの敵も我々の敵)、「カッコいいー!!気持ちいいー!!」っていう映画だからって?
な、成程・・・・


あと、個人的にダメな要因としてあげられるのは、音楽かな。
つか1作目をリアルタイムで観たのは小学生の頃だとずっと思い込んでたんだけど、公開年を見るとどうやらもう中学生になってたわ。
中学生の頃といえば、80年ポップスとはすっかり縁が切れて、メタルにどっぷり浸かっていた時期。
最新作でもためらいもなく冒頭で流れてたケニー・ロギンスが勇ましく歌う「Danger Zone」などの主題歌に心躍らされるわけがない。
もう毎日メタルのことばっかり考えてて、映画自体に興味なくしていた時期でもあったんだよね。

ただ、同じ頃に観た『スタンド・バイ・ミー』は内容も音楽もすごく感動したんだけどね。
スターウォーズにしたってジョン・ウィリアムズによるオーケストレーション効果が絶大で、有無をいわさず心揺さぶられる。
もう『インロック』に載ってるようなポップミュージシャンの軽い音楽が使われてるような映画なんてクサくてダサいってなったんだろうね。

まぁメタルに狂った中二病発症中の中坊なんて、そんなもんですわ。


もういい歳なんだから、そろそろこんなセレブ俳優によるリア充ハッピーハッピームービーでも楽しめる器の大きい人間にならないといけませんよね。
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ククルス・ドアンの島

2022年07月09日 | ミノフスキー粒子

安彦良和先生、『ククルス・ドアンの島』を映画化!!

昨年、この知らせを聞いたほとんどのガンダムファンは、恐らく私と同じことを思ったかと思われる。

「一体なんの冗談だ?」と。




いや、逆にガンダムファンは、ファーストガンダムTVシリーズの珍回も珍回のこの第15話を、一体どう約2時間の劇場大作に仕上げたのか、大変興味そそられチェックせずにはおれない心境に陥ったに違いない!


今回はなんといっても40年ぶりにホワイトベース隊が帰ってきたのだ!

こんなにうれしいことはない・・・・・



ん?でも、ちょっと待てよ・・・・
一番左端にいるのは・・・・スレッガーさんかい?
TV版では確か、ホワイトベースが宇宙に飛び発つ直前に合流するんじゃなかったっけ?
早い、早いよ。
つかリュウさんはすでに死んだことになってる?


公開の数週間前、大河原邦男先生描き下ろしデザインのクリアファイル欲しさにムビチケは購入してた。



さて、今回のリメイク『ククルス・ドアンの島』、果たしてガンダムファンが納得のいくアレンジになっているのかと、不安要素も否めなかった。
正直オリジンシリーズでの安彦先生の大仰すぎる人物描写があまり好きではないので。

ガンダムのレア形態、凶暴な島の子供たちの猛攻(時に火も使う)、アムロのしましまパンツ、MSの丸腰の格闘戦・・・
オリジナルTV版のシーンがどのくらい再現されているのか、非常に気になるところであった。




近所のイオンでも上映されていたが、あえて駐車料金を気にしなくていい職場近くのイオンモールの劇場を選んだ。

今回もやはり、マッドアングラー隊ミリタリーTシャツを装着して映画に臨んだ。



4週目の割にまぁまぁ客が入っていて、若いカップルから初老のおじさんまで客層も幅広く、やっぱ本国のガンダム人気はダテじゃないと。


結論から言うと、なかなかおもしろかった。

もちろんモビルスーツ、戦艦等の作画デザインのクオリティの高さは、オリジナルと比較にならないのは言うまでもない。
特にジオン軍の特殊部隊であるサザンクロス隊が搭乗していたサンドカラーでホバークラフト走行の高機動型ザクがかっこよかった。
それにやっつけ感の甚だしかったこの珍回を、わざわざ映画化する必要があったのかは別として、確かな整合感を以てしてアレンジを加えた話の構成力はなかなかのものだった。




連邦の上層部からいわく付きの無人島の残置諜者掃討の任務を帯びたホワイトベース隊。
アムロが単独でコアファイター一機で乗り込むのではなく、カイ、ハヤト、ジョブ・ジョン等、隊員がMSを積んだガンペリーに乗って島に上陸し、組織化した形で島に乗り込んでいる。

キャラクターの声はアムロとカイだけがオリジナルの声優さんで、他はすでに他界、もしくは引退されてて違う声優さんが担当されていた。
そこがどうしてもファーストファンが気になる点なんだが、まぁセイラさんが全然違うなぁと思ったくらいで、あとは割とオリジナルに寄せてらっしゃってあまり気にはならなかった。


島上陸後はオリジナルの通り、元ジオン兵であったククルス・ドアン(かつては「シャアかドアンか」と謳われる程のエースパイロットという設定)の駆るザクにアムロはあっけなく追い込まれ、ガンダムを奪われ虜囚の身となる。
ドアンは丸腰ではなく、ヒートホーク使ってたけど。
ジオンの優秀なパイロットは、接近戦が強いんだよなぁ~

ちょっとしんどかったのが、オリジナルより島の子供の数が5倍くらい増えており、よってその子供らのわいわい島生活シーンも5倍くらいあって、子供が苦手な私としてはだいぶ辟易した。
まぁ健気な子供たちの無邪気な場面を盛り込みたかったってのはわかるが、∀ガンダムに出てきたロバのドンキーを彷彿とさせる暴れヤギの乳搾りシーンなど、そこまでひっぱるかってくらいかったるかった。
島の子供たちはオリジナルよりかは凶暴ではなく、囚われの身となったアムロもドアンにそれほど敵意を抱いてる感じはなく、意外と無口でおとなしかった。
なのでアムロがけっこう存在感薄かったように思われる。

来場者プレゼント。



アムロ安否不明になってから、ホワイトベース隊は上層部の命令を無視して、スレッガーが中心となってアムロ救出作戦に出る。
ホワイトベース隊が一つになって団結力と絆の深さが特に顕れるいいシーンだ。
(ジムを)上に乗せてくれと頼んできたスレッガーに裏手打ちを見舞ったセイラさんも、コアブースターに乗って出撃する。



ただ、めちゃくちゃ弱かった。
ガンキャノンは島に上陸してすぐに両足を切られ戦闘不能。
スレッガーのジムはルッグンをやったのみで、セイラさんとともに島に不時着し、こっちも戦闘不能。
オマエら何しに来てん!!

結局サザンクロス隊もドアンがほとんどの機をヒートホークのみで撃破しシャアと並ぶ戦闘能力の高さをみせつける。
ラスボスはアムロがやっつけたけど、まぁこれはガンダムの性能のおかげだろ。
しかし、まさか生身のジオン兵をガンダムでぷちっと踏んづけちゃうとは・・・・
悲しいけど、これ戦争なのよねとはいえ、めっちゃひいたわ。


それにしても、新たなアレンジと物語全体の構成は素晴らしかった。
第25話『オデッサの激戦』の要素を巧く掛け合わせ、ラストの予想外のオチに持ってきたのは、見事というほかない。




もちろんオリジナルのラストもちゃんと再現されているので安心して下さい。




ジブリアニメみたいなエンディングで流れてたテーマ曲を担当されたのは、今回も森口博子さん。
LPサイズジャケの限定CD、ちょっと欲しいかも。

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