上の写真のCDジャケは、1989年にデビューしたアメリカのミネソタ州出身のスラッシュメタルバンドPOWERMADの1stアルバム『ABSOLUTE POWER』である。
見てもらったらわかる通り、スラッシュ史上1、2を争うダサいジャケットの一枚だ。
まぁスラッシュメタルのアルバムジャケットには、他にも数々の粗野で頭の悪そうなジャケットが存在するが、スラッシュってのは、演る側も聴く側も暴力的で下品なジャケほどいい!っていう嗜好があるので、金がないのを逆手にとって安っぽい奇をてらったようなジャケットを起用する傾向が強いのだが、このPOWERMADの謎に満ち溢れたアルバムジャケのダサさ加減は、狙ってできるものじゃないっていうほど群を抜いている。
なんやねん、この浮遊するキューピットちゃんは・・・・
ただその内容は、パワーメタルの流れを汲んだヴォーカルがハイトーンの、演奏もわりとシッカリしている将来性のあるスラッシュメタルを展開していて、スラッシュ好きの間では隠れた名作といわれているが、まぁジャケットがこれなもんだから売れるはずもなく、この一枚を遺してバンドは消滅してしまった。
しかし、日本ではほぼ無名のこのPOWERMADなんであるが、実はデビュー当時はそれなりの脚光を浴びたというか、なかなかの伝説を残したバンドで、まずは下のキャプチャーショットをご覧いただきたい。
とある映画のワンシーンである。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/64/65/5bb4076ed08660e5be2f6e35257f6fdc.jpg)
映画作品名は『ワイルド・アット・ハート』。
デヴィッド・リンチ監督が1989年に撮った作品で、ニコラス・ケイジが主役で、その恋人役に『ジュラシック・パーク』で一躍有名になったローラ・ダーンが繰り広げるトチ狂ったラブロマンスロードムービーである。
この映画の冒頭で、ローラ・ダーン演じるルーラが、服役を終えて刑務所から出てきたニコラス・ケイジ演じるセイラーを車で出迎えるシーンで、ルーラが意気揚々と「ケイプ・フィアーに宿をとったわ。
それとね・・・・『ハリケーン』でパワーマッドの演奏があるの!」と、嬉しそうにセイラーに伝えるのである。
パワーマッドとは、もちろんスラッシュメタルバンドのパワーマッドのことである。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/37/fb/c6a95f9997f046852d7f0285b7495b09.jpg)
デヴィッド・リンチ作品は20代の頃、『ロスト・ハイウェイ』という作品を、30席くらいしかない大阪の場末のボロボロのミニシアターに観にいったことがある。
スクリーンがむちゃくちゃ近くて観づらく、上映中終始ヴヴゥゥゥーーーー・・・というノイズ音が鳴っていて、ほとんど映画に集中できなかった記憶がある。
まぁ映画内容もワケがわからなく、ストーリーはほぼなくて、アート性、トリップ感、狂気みたいなのを最優先に監督がヤクやりながら撮ったとしかいいようのない精神分裂症ぎみのアヴァンギャルドな内容で、友情出演みたいな感じでマリリン・マンソンなんかも出てくるんだが、観終わった後、疲労感がハンパなかったことを記憶している。
ただ、劇中ヤバいシーンのところで、私好みのディストーションリフが刻まれるカッコいい曲が流れた時は「オオっ!」となった。
これが今や大人気のドイツのカルトインダストリアルバンド、ラムシュタインだったのである。
Rammstein - Rammstein
同じ頃に観たデヴィッド・リンチ監督のなんかの映画でも、劇中にどっかのスラッシュメタルバンドが暗闇でひたすら頭を振ってリフを刻んでるシーンがあったように記憶してるが、この監督には以前よりスラッシュ好きの傾向があると見てとっていた。
この『ワイルド・アット・ハート』でもメジャーデビューしたての無名新人スラッシュメタルバンドを起用して、ディスコみたいなところで演奏させるという発想、やっぱりこの監督、ちょっと普通ではない。
モーテルで数年振りに情事を楽しんだ後、セイラーとルーラは町のクラブに出かける。
ステージにはパワーマッド本人らが登場。スラッシングマッドな激しい演奏を繰り広げている。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/63/12/c74e9d81a36e9a11b0faae63c2a6d733.jpg)
パワーマッドの名曲「Slaughterhouse」に合わせて、踊り狂うバカップル。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/4b/be/304ba9e7ece381b50a34bde486782fb6.jpg)
そして、完全に2人だけの世界に入る。なんでやねん!
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/30/68/fe9bfb61653f8ad2ab3d4cf05986639d.jpg)
劇中でパワーマッドとニコラス・ケイジとの絡みもちゃんとある。
他の客とひと悶着あって、セイラーがパワーマッドの演奏をストップさせるのだ。
俺の女にちょっかい出すんじゃねぇみたいな揉め事があって、この白けた場をとりなそうとセイラーがしゃしゃり出る場面である。
一介のスラッシュメタルバンドに向かってこいつ何言うてんのぉ?
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/49/a2/dbf62e88a2290b7517aa3c7bb3699efb.jpg)
挙句の果てにパワーマッドに伴奏をやらせ、エルビスを熱唱。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/70/3c/217222421616b20f4c9ef75490ece3d0.jpg)
そして、再び2人だけの世界に浸るバカップル。アホですわ。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/70/69/4839ec085b1283ee5e986063308ddc33.jpg)
従順にラブソングのバックコーラスを務めるパワーマッドのメンバーが健気。
この時ヴォーカルのジョエルがピアノ弾けることが判明。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/48/67/7fd926e49898fec54814e0858aceb99a.jpg)
ちなみにこの映画『ワイルド・アット・ハート』は、1990年のカンヌ国際映画祭でパルム・ドールを受賞している。
最後に、本作で一番キレた役を演じてた、タイツ越しでも誰だかわかるウィリアム・デフォーのドアップ顔をどうぞ!
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/33/20/6f99b84cd30f371e5ad4da1b93a13666.jpg)
今日の1曲:『Slaughterhouse』/ POWERMAD
見てもらったらわかる通り、スラッシュ史上1、2を争うダサいジャケットの一枚だ。
まぁスラッシュメタルのアルバムジャケットには、他にも数々の粗野で頭の悪そうなジャケットが存在するが、スラッシュってのは、演る側も聴く側も暴力的で下品なジャケほどいい!っていう嗜好があるので、金がないのを逆手にとって安っぽい奇をてらったようなジャケットを起用する傾向が強いのだが、このPOWERMADの謎に満ち溢れたアルバムジャケのダサさ加減は、狙ってできるものじゃないっていうほど群を抜いている。
なんやねん、この浮遊するキューピットちゃんは・・・・
ただその内容は、パワーメタルの流れを汲んだヴォーカルがハイトーンの、演奏もわりとシッカリしている将来性のあるスラッシュメタルを展開していて、スラッシュ好きの間では隠れた名作といわれているが、まぁジャケットがこれなもんだから売れるはずもなく、この一枚を遺してバンドは消滅してしまった。
しかし、日本ではほぼ無名のこのPOWERMADなんであるが、実はデビュー当時はそれなりの脚光を浴びたというか、なかなかの伝説を残したバンドで、まずは下のキャプチャーショットをご覧いただきたい。
とある映画のワンシーンである。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/64/65/5bb4076ed08660e5be2f6e35257f6fdc.jpg)
映画作品名は『ワイルド・アット・ハート』。
デヴィッド・リンチ監督が1989年に撮った作品で、ニコラス・ケイジが主役で、その恋人役に『ジュラシック・パーク』で一躍有名になったローラ・ダーンが繰り広げるトチ狂ったラブロマンスロードムービーである。
この映画の冒頭で、ローラ・ダーン演じるルーラが、服役を終えて刑務所から出てきたニコラス・ケイジ演じるセイラーを車で出迎えるシーンで、ルーラが意気揚々と「ケイプ・フィアーに宿をとったわ。
それとね・・・・『ハリケーン』でパワーマッドの演奏があるの!」と、嬉しそうにセイラーに伝えるのである。
パワーマッドとは、もちろんスラッシュメタルバンドのパワーマッドのことである。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/37/fb/c6a95f9997f046852d7f0285b7495b09.jpg)
デヴィッド・リンチ作品は20代の頃、『ロスト・ハイウェイ』という作品を、30席くらいしかない大阪の場末のボロボロのミニシアターに観にいったことがある。
スクリーンがむちゃくちゃ近くて観づらく、上映中終始ヴヴゥゥゥーーーー・・・というノイズ音が鳴っていて、ほとんど映画に集中できなかった記憶がある。
まぁ映画内容もワケがわからなく、ストーリーはほぼなくて、アート性、トリップ感、狂気みたいなのを最優先に監督がヤクやりながら撮ったとしかいいようのない精神分裂症ぎみのアヴァンギャルドな内容で、友情出演みたいな感じでマリリン・マンソンなんかも出てくるんだが、観終わった後、疲労感がハンパなかったことを記憶している。
ただ、劇中ヤバいシーンのところで、私好みのディストーションリフが刻まれるカッコいい曲が流れた時は「オオっ!」となった。
これが今や大人気のドイツのカルトインダストリアルバンド、ラムシュタインだったのである。
Rammstein - Rammstein
同じ頃に観たデヴィッド・リンチ監督のなんかの映画でも、劇中にどっかのスラッシュメタルバンドが暗闇でひたすら頭を振ってリフを刻んでるシーンがあったように記憶してるが、この監督には以前よりスラッシュ好きの傾向があると見てとっていた。
この『ワイルド・アット・ハート』でもメジャーデビューしたての無名新人スラッシュメタルバンドを起用して、ディスコみたいなところで演奏させるという発想、やっぱりこの監督、ちょっと普通ではない。
モーテルで数年振りに情事を楽しんだ後、セイラーとルーラは町のクラブに出かける。
ステージにはパワーマッド本人らが登場。スラッシングマッドな激しい演奏を繰り広げている。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/63/12/c74e9d81a36e9a11b0faae63c2a6d733.jpg)
パワーマッドの名曲「Slaughterhouse」に合わせて、踊り狂うバカップル。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/4b/be/304ba9e7ece381b50a34bde486782fb6.jpg)
そして、完全に2人だけの世界に入る。なんでやねん!
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/30/68/fe9bfb61653f8ad2ab3d4cf05986639d.jpg)
劇中でパワーマッドとニコラス・ケイジとの絡みもちゃんとある。
他の客とひと悶着あって、セイラーがパワーマッドの演奏をストップさせるのだ。
俺の女にちょっかい出すんじゃねぇみたいな揉め事があって、この白けた場をとりなそうとセイラーがしゃしゃり出る場面である。
一介のスラッシュメタルバンドに向かってこいつ何言うてんのぉ?
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/49/a2/dbf62e88a2290b7517aa3c7bb3699efb.jpg)
挙句の果てにパワーマッドに伴奏をやらせ、エルビスを熱唱。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/70/3c/217222421616b20f4c9ef75490ece3d0.jpg)
そして、再び2人だけの世界に浸るバカップル。アホですわ。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/70/69/4839ec085b1283ee5e986063308ddc33.jpg)
従順にラブソングのバックコーラスを務めるパワーマッドのメンバーが健気。
この時ヴォーカルのジョエルがピアノ弾けることが判明。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/48/67/7fd926e49898fec54814e0858aceb99a.jpg)
ちなみにこの映画『ワイルド・アット・ハート』は、1990年のカンヌ国際映画祭でパルム・ドールを受賞している。
最後に、本作で一番キレた役を演じてた、タイツ越しでも誰だかわかるウィリアム・デフォーのドアップ顔をどうぞ!
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/33/20/6f99b84cd30f371e5ad4da1b93a13666.jpg)
今日の1曲:『Slaughterhouse』/ POWERMAD