AMASHINと戦慄

~STARLESS & AMASHIN BLOG~
日々ブログレッシヴに生きる

林檎 VS のっち

2024年06月02日 | まったり邦楽
あんだって!?

リンゴとノッチがタイマン張っただと?




真相はこうだった。

「椎名林檎さんのニューアルバム『放生会』(ほうじょうや)にPerfumeのっちが参加決定!!
かねてから椎名のファンであることを公言していたのっち。ストーリーズでは、「恐れ多くも参加させていただきました! こんな夢より夢みたいなことありますか!!!?? 大好きな林檎さんに狙い撃ちお誘いいただきました。嬉しい」とオファーをもらったことに大興奮。」




「Perfumeメンバーがソロで音楽活動することは結成25周年目を迎えたグループ活動の歴史の中でも初となり、「わたしひとりで参加するなんてこと林檎さんじゃなきゃなかったです。借りてきたのっちを是非お楽しみください」と椎名からのオファーだからこそと明かした。」

確かにのっちは2007年、ちょうど「ポリリズム」がリリースされた頃から、九州のローカル音楽番組で椎名林檎の熱烈なファンであることを公言していた。
あの時は「もう共演なんてしたら、死んじゃいます!」って無邪気にはしゃいでたな~

2007年、福岡深夜音楽番組『チャートバスターズR!』にて。


ところで、林檎の方はPerfumeには、いつからどのような印象を持っていたのだろうか?
SNSから拾ってきた彼女のライナーのコメントによると・・・

「のっちにはほんとうにこの20年くらい、事あるごとにアプローチし続けてきました。私のプログラムを聴いてくださっていると伺っていたものの、私のほうがよほどあきらかにしつこくしてきている・・・」

20年前からってマジか?
その頃って、Perfumeまだインディーズ時代で、「モノクロームエフェクト」とか、「ビタミンドロップ」とかやってた頃だぞ。

ちなみに林檎に関しては、20代の頃はそれなりに聴いていて、CDも何枚か持ってる。



で、直前まで情報が伏せられていて、林檎とのっちのコラボが実現したというビックリニュースが発表された時は、林檎の姐御一体なにが狙いだ?まさかプロディジーにおけるリロイ・ソーンヒルみたいな立ち位置の参加じゃないだろうなぁ~・・・なんて思いつつも、楽しみに待ってた。

そしてその2日後、アルバムリリースと同時にYOUTUBEにて公開されたMVを試聴したわけだが・・・・


正直「初KO勝ち」って曲タイトルはピンとこなかったが・・・

アヴァンギャルド、オルタナ、博多弁、サブカル要素フンダンのアクの強い、見事なコテコテの林檎ソングである。
いや、バック演奏もスキのないスタイリッシュさだし、想定以上にカッコいい!

MVは、映画『ファイトクラブ』、あるいは『スナッチ』での闇ボクシングの様相を呈した、いかにも林檎らしいゴージャスでアヴァンギャルドな内容となっている。


初めの歌い出しは、「林檎?」と思いきや、なんとのっちである。
林檎ファンの方とか、「ポリリズム」「チョコレートディスコ」くらいしか知らない人とかは、ディーバに歌い上げるのっちの歌声に驚いたかもしれないが、長年Perfumeを聴き続け、エフェクト掛かってても3人の歌を聞き分けられる(ライブでは生歌も聴いている)自分ですら普段より拡張されたのっちのこの歌声にはビックリして、逆に「林檎め、のっちの声になにを仕込んだんだ?」と訝しむくらいであった。

まぁでも林檎が歌い出すと、その野太く響く歌唱テクニックは圧倒的である。
掛け合いの方式を採っているが、正直林檎ひとりで歌っても十分に成立する楽曲だなと。
歌詞内容からなんとなく読み取れるのは、林檎ののっちへの熱い思いとか、熱烈なアプローチそのまま。この人ほんとにのっちのことが好きなんだなって。
歌の冒頭、そして最後のフレーズものっちのリードで終わらせる辺り、粋な計らいというか、わざとらしいくらいにのっちに花を持たせている。


それにしても、自己主張しない、洗練された3人の調和で成り立っているPerfumeからひとり離れ、真逆といってもいい自己主張の激しいアクの強い林檎の楽曲を、いつもと違ってディーバに歌い上げるという行為は、のっちにとってはとても勇気のいることだったと思うし、一歩間違えればとてもカッコ悪く恥ずかしいデキに成りかねない恐れもあった。
でも、そんな杞憂や違和感を全く感じさせない、のっちの歌がすんなり溶け込むスタイリッシュな楽曲に仕上がっていて、さすが林檎の姐さんと感服した次第である。


今回のコラボ、のっちにとって、憧れ続けていたアーティストとレコーディングしたり、MV撮ったりと、ほんと刺激的で夢みたいな経験だったと思う。
畑の違う林檎と共演するなんて、恐れ多くて夢にも思ってなかったことだろう。
それが、まさか林檎姐さんの方からの熱烈なラブコールである。
Perfumeファンの間でも、容姿端麗、ダンスのキレの良さがカッコいいと定評ののっち(もちろん歌が上手いらしいことも以前から知っている)。
「いや、私がプロデュースすれば、もっとのっちのカッコよさが引き出せる!」「アンタ、そんなもんじゃないだろ!」という、なかばスケバンめいた林檎のゴリ押しといったところなんじゃないだろうか。
本人もTV番組などでのっちとすれ違う度に、「ソロ活動しないのか?」「ヤスタカ以外の曲は歌わないのか?」と、野暮ったいことを投げかけていたと公言している。
事務所からそんなことを言われても、のっちは首を縦に振らないだろう。
う~ん、憧れのアーティストであったが、ちょっとタチの悪い姐御大先輩に目をつけられたって感じ?


まぁ、のっちをプロデュースしたのが、つ♂くとか秋元とか小諸とかではなく、林檎でよかったとは思う。
この曲は後でいいからシングルCDとして出してほしいな。
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空洞です

2024年04月14日 | まったり邦楽
今週、ゆらゆら帝国のベーシストであった亀川千代さんが亡くなったことがSNS上で知らされた時、かなりのショックを受けたのは、なにも私ばかりではなかった。

その日(4/9)、SNS上は想定以上に騒然となっていた。




90年代後半、突如メジャーに躍り出たゆらゆら帝国は爆発的人気を博していたが、同時代のTHEE MICHELLE GUN ELEPHANTやBLANKEY JET CITYのように、華やかな舞台とは無縁といってもよかった。
ロックフェスにわざわざ足を運ぶような人間でなければ、バンドの存在さえ知らない人も少なくないかと。
テレビなどの露出も少なく、十分集客見込めるのにも関わらず、大きくてZeppクラスの箱でしかライブを演らない(だからチケットなかなかとれない)。

ゆらゆら帝国は、14年前の2010年に解散しているが、今回の亀川氏の訃報を受け、SNSではまるで今回が本当のゆらゆら帝国の終わりであるかのような騒ぎであった。
ゆら帝のライブの思い出話や、各々の思い入れのある曲のMV、ライブ映像を貼り付けたりと。
「一度だけでもゆらゆら帝国のライブに行きたかった・・・」っていう、おそらく現役時代のゆら帝を知らない若い世代にもファンはけっこういると思われる。

ミッシェルやブランキーのような、酒、タバコ、タトゥーといった男気溢れるスタイリッシュなカッコよさとはまた違う、なにかしらヤバい麻薬のようなサイケでイビツ感溢れる異次元のカッコよさ・・・

亀川氏の、ベースプレイはもちろん、あのどこか他者を寄せつけない異様な存在感は、ゆらゆら帝国の突出した音楽性において、なくてはならない要素だったのは間違いない。



私が初めてゆらゆら帝国の音に触れたのは、確か社会人になって1年目の頃であったろうか。
それまで洋楽かぶれだった私は、SSTVで突如流れたこのMVを観て、脳天をぶっ飛ばされたような衝撃を受けることになる。
え!?日本でこんな音出すバンドがいたのか!!と。

今でもあのちゃんのラジオのオープニングで流れてるんだって。


もちろん坂本くんの足の動きも気になったが、ぐるんぐるんとうねりまくるベースラインを弾き出す亀川千代氏の存在感も目を見張るものがあった。
細身長身で黒づくめの衣装、そして前髪ぱっつんのサラサラロングヘアー(姫カット)。
私はしばらくの間、亀川氏のことをずっと女だと思い込んでいました。


ゆらゆら帝国の単独ライブは、なかなかチケットがとれず、私がようやく最初に観たライブは、1999年の大阪市立大学の学園祭“銀杏祭”でだった。




『太陽の白い粉』を発売した時だったかな。「すべるバー」とか演ってたっけ。
この時は端の方だったが、亀川氏のプレイを至近距離で拝むことができた。
最後、亀川氏がベースを思いっきりバゴーーンっ!!って鳴らさはったので、スピーカー付近にいた私は軽く音風に煽られたのはいい思い出です。





そして、坂本慎太郎くんのシンプルだけど、心に沁みる哀悼の言葉。



ゆらゆら帝国に亀川氏が加入した当時、坂本くんは「水木しげるの漫画のキャラクターに出てきそう」って、喜んでいたのだとか。


坂本くんの描いた亀川千代。



実はゆらゆら帝国解散後の亀川氏のその後の活動を全く知らなかった。
すみません・・・

冬苺、不失者、The Stars・・・etc.といったバンドでベースを弾いていたそうです。




ご冥福をお祈りします。



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環境と心理

2023年06月29日 | まったり邦楽
70~80年代にかけて世界を席巻したテクノポップユニットYMO。

今年始め、そのドラマーを務め、数々のバンドやユニットで活躍したミュージシャンの高橋幸宏氏が逝去。
続けて3月下旬に同じく元YMOの坂本龍一氏も、その後を追うようにお亡くなりになるという。


まぁ自分、YMOに関してはベスト盤くらいしか持ってなく、彼らのユニットを含め全くといっていいほど聴いてこなかった訳ですが(すみません)、高橋幸宏氏が2015年辺りに発足したユニットMETAFIVEの、昨年秋頃にリリースされた2ndにしてラストアルバムと銘打たれた『METAATEM』を今更ながら購入。


METAFIVEは高橋幸宏氏が、小山田圭吾、砂原良徳、TOWA TEI、ゴンドウトモヒコ、LEO今井と共に結成した、まぁスーパーユニットと言っていい程の超豪華な音楽ユニット。




METAFIVEの存在を知るキッカケとなったのが、昨年15年ぶりに観に行った大阪泉大津での野外フェスOTODAMA 2022。
その時元電気グルーヴのまりんこと砂原良徳氏が参加しているTESTSETというユニットが気になってて、そのライブを目撃して想定以上にカッコよかったのでYOUTUBEで色々動画を調べてると、出てきたのがこのMETAFIVEのライブ映像だった。

METAFIVE - The Paramedics (Live at METALIVE 2021)


上の曲は、昨年のOTODAMAでのTESTSETのライブでも披露されていた。それはバックスクリーンのアヴァンギャルドな映像も含め記憶している。
TESTSETでは、まりんの他、LEO今井、相対性理論のギタリストの永井聖一、GREAT3のドラマー白根賢一が加わっている。
そん時もすげーカッコいいなと興奮したが、やっぱ小山田氏のギターが入るとより楽曲が引き締まっている。

このTESTSETの面子で、実は2021年のフジロックにMETAFIVEとして出演しており、この頃はちょうど小山田氏が偽善良な世間と偏向マスメディアから猛烈リンチを受けていた時期で、高橋氏も病状が芳しくなく復帰が難しかった。
この年に発売予定だった本作『METAATEM』も、日本の愚かなキャンセルカルチャーによって発売中止になっている。
この年の主要メンバーが欠けた上でのMETAFIVEフジロック出演と、新ユニットTESTSETの結成は、理不尽な扱いを受けたMETAFIVEの楽曲群を埋もれさせたくないという、残されたメンバーの意地でもあったのだろう。


ところで、私にとって一番謎(というか未知)だったのがリードヴォーカル(?)LEO今井氏の存在。
名前や顔の骨格からいっておそらくハーフ。そして若い。
ルックスとヴォーカルスタイルからしてなんかヤンチャ系というか、ラウドな音楽をやっていそう。
高橋氏、小山田氏、まりん、TEIと、この4名はなんとなく接点が分かるんだが、LEO今井氏に関しては歳も他と比べてかなり若めだし、どういう経緯でこのMETAFIVEに参加することになったのかと。

意外にも人間椅子と繋がりがあったりして、なんとあの人間椅子の津軽弁全開の名曲「どだればち」を自身の(メタル?)バンドでカヴァーして、正式アルバムに収録している。
人間椅子の曲をプロのミュージシャンが取り上げたのって初めてじゃない?

LEO今井 × 鈴木研一 対談。



さて、本作『METAATEM』でありますが、まぁ正直めちゃくちゃハマりはしなかった。
全体的にいい音色でスタイリッシュな楽曲が並び、老若男女楽しめるアルバムだと思う。
今井氏がほとんどの曲でリードヴォーカルを務めていると思われるが、小山田氏、高橋氏も数曲歌っている。

本作で特に感銘を受けたのが、2020年に配信のみで発表された「環境と心理」。
冒頭は小山田氏が歌っていて、この切ないメロディーラインとトーン、この曲で初めてっていうくらい小山田氏の歌声が私の心情にシックリときた。
2番から高橋氏が歌を引き継ぎ、こちらもまた憂い感がハンパなく、渋くて切ない。




この歌詞とMV・・・


小山田氏の失脚と復帰、高橋氏の死を経てから聴くと、本当に心に沁みる。
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テクノポップ解脱

2022年10月01日 | まったり邦楽
今現在、Perfumeは『PLASMA Tour』の真っ最中で、西日本を巡ってもう折り返し地点なのかな?
そんな折、今年7月に発売された約4年ぶりのニューアルバム『PLASMA 』について今頃レビューしていこうかと。


それにしても、大ブレイクしてから14年、いや15年か?こんな息の長いガールズユニットもなかなかいないんじゃないか?
彼女たちももう三十云歳。私がPerfumeを初めて聴いた頃の齢になっちゃってるじゃないか!
彼女たちは一体、どこまで走り続けるつもりなのか?




今ではPerfumeをアイドルとするのは間違いかもしれないが、少なくとも出だしはアイドルとしてのユニットだった。
今でも続いてる集団的アイドルにしろ、少人数アイドルにしろ(アイドルバンドでもいい)、オリジナルメンバーのままであるグループってのはほとんどいないどころか、オリジナルメンバーがひとりも残ってないっていう、いわゆるナパーム・デス状態のグループもあるわけで。
ある程度資金がたまって、本人が「やりたいことがあるから」といって卒業という名の離脱が繰り返される。あるいは寿脱退。その後、ソロ歌手、役者ってのがだいたいのパターン。ていうか、これはもうシステムである。
元々事務所の方針で集められたタレントユニットなので、いつまでも言われるがままやりたくないことをやってられないってのがあるのだろう。
まぁ色々な縛りから「解放されたい!」ってのがデカいと思う。

Perfumeは当時事務所の社長からよく「君たちはキャンディーズのようだ」と言われたそうだが、それは3人組ってだけで全然見当がハズれていたように思う。
だって彼女たちはいまだ、「普通の女の子に戻る」気などさらさらないのだから。
事務所側が辞めさせないのではなく、彼女たち本人がPerfumeを辞められないのだ。
そう、彼女たちがやりたいことってのは、やっぱりPerfumeなのだ。


まぁ個人的に最近ではかつてと比べてだいぶPerfume熱が冷めてきてるとはいえ、今回の作品もネットで予約してキッチリ発売日に入手。
ただ、今回は珍しく通常盤。いや、もうYOUTUBEでも観られるMVが収録されてるだけの特典DVDはいらんかなって。だいたい一度観て聴いて終わりやし。
ジャケットも通常盤が一番マシだった。


冒頭のタイトルイントロダクション「PLASMA」は、聴き手に程よい緊張感をもたらす効果抜群のプロローグチューン。
そして、間髪入れずに始まる「Time Warp」は絶妙な流れではあるんだが、この曲はシングルで出た当初からあまり馴染めず(キーの高い歌がどうもダメ)。
その後、まぁいつものことではあるが「ポリゴンウェイヴ」、「再生」と、既出ナンバーが連続するのはちょっとつまらない。

で、本作で中田氏一番の自信作と思われるリードナンバー「Spinning World」。
MVがこれまでにないくらいにアート性に富み、3人の無機質なゼンマイ仕掛けのからくり人形パフォーマンスが真に迫りすぎていて、ヤバい&ちょっとコワい(特にのっち)。
今回のジャケットやアー写は、このMV撮影時のが使われたんだな。




それにしても、また一段とオシャンティなサウンドになったもんだ。アダルティーなオシャレ感というか。
この曲は4分の曲としては後半のインストが長く、しかもそのままフェードアウトしていくってのは、Perfumeの楽曲としては珍しく、そういう曲の構成も含めて、私はなんだかドナルド・フェイゲンの「I.G.Y.」を彷彿とさせるなと思ってしまった。
AOR感のある曲としては、「Drive'n The Rain」も今までにないくらい上質で上品なナンバー。
スラッピーなベースラインにオシャレなエレピの調べ、途中ホーンの味付けなんかも加味される。
昨年の『ポリゴンウェイヴ ライブ』でラストに初披露され、謎の新曲とされていた「マワルカガミ」こそ、エレクトロ特有の厳かで緊張感あるイントロで始まるが、歌は最後まで平坦でハジけない。

これは、容姿も言動もすっかり大人になったPerfumeの必然的な進化といえよう(つまりこれが第4形態?)。
私自身、こういうアダルティーでエレガンスなPerfumeの進化を望んでいたところもあったし、この中田ヤスタカ氏、MIKIKO先生、MVを手掛ける諸監督らの芸術的ワークス、そしてそれを歌とヴィジュアル、ダンスで見事に表現する3人による総合ポップアートともいうべきクオリティの高いPerfumeの作品をもっと楽しめてもいいハズなのに・・・・

なぜかかつてのように響かんのだ。
まぁこれは個人的な感性の衰えが原因と思われる。前作の時点ですでにその兆候はあった。
そう、Perfumeマジックが解けてしまったのだ。

昨年リリースのEPに収録されてた「∞ループ」も「アンドロイド&」も結局全部入れちゃったんだね。じゃあもうあのEPいらないよねって感じなんだけど、この2曲が本作の中で一番テンション上がったりする。
ラストのアルバム『JPN』にこういう曲入ってなかった?っていう、なんか聴いたことあるような「さよならプラスティックワールド」の、この軽快なポップ感もすごくいい。

総合的にはほんと粒揃いの内容だし全然悪くない。
ただ、かつての中毒性は感じれなくなった。

私はもう終わりかもしれない。

それでもPerfumeの活動は引き続き見守っていこうかと思う。


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何もしたくない。

2022年08月15日 | まったり邦楽
盆休み、今年もほとんど寝て過ごしてしまった。
だって何もしたくないし、行きたいところもないから。

とりあえずブログ記事のひとつくらいアップしておこうかと、坂本慎太郎くんの6年ぶりの新作『物語のように』を2ヵ月遅れでレビュー。


しかし、これをどう評してよいものかと。
相変わらずの良作だし、文句のつけどころがない。
いつものセンス抜群のポップな内容だ。以前と何が変わったのかとかもない。
慎太郎くんによるジャケットアートも素晴らしい。
レコーディングメンバーも、ドラムに菅沼雄太氏、ベース&コーラスはAYAさん、そしてサックス&フルートには西内徹氏と、以前と変わらぬ鉄壁の布陣。
ゆえに感想に困る。


まぁタイトル曲にみられるように、多少ハワイアンなムードが増したかな?
でもそれも以前からそういうのあったような。

Like A Fable / Shintaro Sakamoto (Official Music Video)



「悲しい用事」などを聴いてると、ゆら帝時代の楽曲を彷彿とさせたりもする。


坂本くんがまだゆらゆら帝国で尖がったサウンドを響かせていた時代、私がまだ20代後半の頃によく聴いていた、エゴラッピンなどをはじめとするレトロでオシャレなムードの、いわゆる”昭和歌謡”的な邦楽ってのがある。
今ではもうそういうの全然聴かなくなってしまったけど。
この手のバンドのライブに足しげく通っていた頃、なんか場違いな疎外感を感じていた自分がいた。
なんか服装からしてみんなオシャレで、見に来てる客はみんなバンドの身内みたいな感じもあって。
吹奏楽器者が何人もいて、楽曲はだいたい裏打ちで、みんなオシャレなハットかぶって。
そういうカッコつけた型にハマったスタイルにだんだん嫌気がさしてきて。


そういうスカした連中が演ってたような曲を、坂本くんは自分流にサラリとシンプルにオシャレにやってしまう。
歌詞なんか聴くと、キザっぽくもあるのだが、そこには鼻につく気取りやイヤミなんかもない。
「愛のふとさ」を聴いたとき、ふとそう思った。





今秋にはツアーも開始される。
私はチケット先行で、神戸のクラブ月世界でのライブに見事当選した。

今から楽しみ。


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みどりの日

2022年05月04日 | まったり邦楽
GW前、どうしようかなと迷ってたけど、明日開催のOTODAMAに1日だけ参戦することを決意しました。

もちろんCoccoが出演するってのもあるんだけど、今月ワンマン行くしそれだけが決め手だったワケではなく、Little Creatures、TESTSETのステージなんかも興味深いし、そして、昨年約20年ぶりに再集結したAJICOが出演するっていうのがデカかった。

なので、10数年振りくらいにAJICO唯一のアルバム『深緑』をクローゼット奥の棚から引っ張り出してきて鑑賞。


AJICOは、UAと元BLANKEY JET CITYの浅井健一を中心とした男女4人で構成され、リズム隊には、近年はGOMA & The Jungle Rhythm SectionやCoccoのサポートなどでその卓越したプレイをよく拝見している椎野恭一氏、RIZEに在籍していたアップライトベースの使い手TOKIEという、いわゆるスーパーユニットバンド。




あの時代、90年代に名を馳せた日本のロックバンドが次々と解散していって、その後、そのイケてるモン同士がバンド組むっていう、スーパーバンド現象が流行ってたような気がする。
ROSSO、LOSALIOSとか、、あと特撮、東京事変は・・・・ちょっと違うか。

まぁ自分はこの頃、もうちょっと違う方面のジャンルの邦楽にハマっていた時期で、この辺のユニットの音源はあまり把握できてなかったんであるが、この現象は90年代初頭に流行った、外タレスーパーメタルバンド現象(Blue Murder、Damn Yankees、Badlands、Bad English...etc.)になんとなく似ているなぁ~なんて思っていた。


実はブランキーはベスト盤とか一応所持してるんだけど、数曲カッコいいなと思うもなんかあまりハマらなくて、UAもよく聴いてたのは『うたううあ』くらい。
ベンジーはソロの時のステージも観てて、とにかく凄くカッコいいギターを弾くなぁ~って一目置いてて、UAはSalyuと同系統の声質で割りと自分好み。
それぞれの要素は好きなんだけど、楽曲がピンとこなかったというか。

AJICOのアルバム『深緑』は、当時その両者が合わさったらどうなるのかと興味持って手を出したんだと思う。
で、アルバム全体的にけっこう気に入って、よく聴いてた記憶がある。
ただ、ちょっと全体を通して暗すぎるきらいがあり、聴いてて気が滅入ってきてなんかその内全然聴かなくなってしまった。


今回改めてじっくり聴いてみて、やっぱこのウェット感とオルタナ感はカッコいいなと。
80年代の歌謡曲、90年代初頭に流行った邦楽とは明らかに一線を画す意識の高さが、サウンド面や楽曲に表われている。




楽曲ごとにリード、コーラスが入れ替わるヴォーカル2人のローテーションの絶妙さもさることながら、バックのリズム隊も素晴らしい。
ゴーストノートをフンダンに効かした椎野氏のシャッフルビート、そしてTOKIEさんのフレットレス感バリバリの卓越したアップライトベースが楽曲全体を格調高いものにしている。
もちろんベンジーのラフで病んだギターも炸裂している。


いやいや、ほんまにスーパー。イケてるユニットってこういう人たちのことを言うんだな。
ちょっと長年こんないい作品放置し過ぎたことを猛反省。


昨年出した新曲は・・・ちょっとEDM入ってる?
これも2008年からの影響なのか。

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ガンバレルーヤ

2022年04月29日 | まったり邦楽
誰か彼女を止めてくれ!
ハイペース過ぎるやろ!70年代のハードロックバンドちゃうぞ!

そうか、今年はデビューから25周年という節目の年だからか。
以前まで周年作品といったらベスト盤だったが、ちゃんとオリジナル作品をこしらえてきたのはエラい!と言うべきか・・・


というワケで、先月下旬にリリースされたCoccoの12枚目のアルバム『プロム』、ちゃんと購入いたしました。
しかも今回は、2525個限定の<25周年ニコニコセット>とかいうちぇー万円超えの缶BOXのやつを思い切って。

Cocco缶。ゴールド仕様。なんかメタリ缶を思い出すなぁ・・・


まぁ前回の20周年の時は、人生初の入院とかいろいろあってちゃんと祝えなかったので(武道館行きたかった・・・)、25周年くらいはと思いまして。
来月のワンマンもチケット確保しとります。


ビニールを剥がし、おそるおそる缶のフタを開けると・・・・

なんや、このショットそのままジャケットやったんか!プロモ写真や思てた。
プロム写真やったんね。



特典25周年タオル。目ぇ回るわ。



TシャツはLサイズのみだったが、それなりにフィットした。



今回のCoccoの作品は、まぁいわゆる企画モノといったところ。
25周年ということで、以前とは違ったこと、なんか特別なことをやろうとして作ったのだろう。

そのテーマの1つとして、“参加型”というのが挙げられる。
なんだろう、もうなんでもひとりでやるのが疲れたのか、今回のジャケットはCoccoがSNSで一般公募で募った中から選んだものっていうのには驚いた。
小林望美さんというアーティストの作品が選ばれたんだが、Coccoがアルバムジャケットを自分で手掛けなかったのは、今回が初めてだろう。
Coccoが写りこんだジャケというのも初めて。

歌詞カード内部にも、SNSで募ったアーティストさんが描いたと思わしきアートワークがページごとに散りばめられている。
いろんな画風の作品があって、どれも秀逸。ちょっとしたアート集の趣があっておもしろい。




私も昔Coccoジャケットアート考案したんだけどなぁ、応募すればよかった?
Tシャツのデザインにどうですか?




そして音楽方面では、有名どころを含む様々なアーティスト陣との“コラボ”。
私の知ってるのでは、スガ シカオ、ハマ・オカモト(OKAMOTO’S)、BEGIN、亀田誠治、根岸孝旨・・・くらいか。




まず、Coccoのエフェクトラップとダウンタウン浜ちゃんの倅ハマ・オカモト氏とのスラップをきかせたファンキーなコラボナンバー「コバルト」は、今までにない変わり種といった感じ。
Coccoと同郷の辺土名直子さんのピアノ伴奏による沖縄民謡「てぃんさぐぬ花」は、編曲も素晴らしいし、Coccoの歌唱と絶妙にフィットした心洗われる相性の良さを感じとれた。

あとは、聴いてて普通にいいし、全然悪くないんだけど、なんだか全体的に弱い。
心揺さぶるようなフレーズもあまりなくて。
とにかくスガ シカオにしろ、BEGINにしろ、今更Coccoが著名なアーティストとコラボする事の意義があまり感じられんのよ。必要性がないというか。
25周年だから、やりたかったからやっただけと考えるしかない。Coccoの意志だからそれは仕方ないと。
4曲目とかはコラボ云々以前に、個人的にアウト&スキップ。
相変わらず昭和歌謡めいた曲も入ってるし、そこに沖縄民謡と・・・最近のCoccoのパターンやな。


「結い」は2年前、YOUTUBEで自粛生活・おうちdemoとしてすでに公開されていた曲ってのはすぐに気がついた。
映像内容から、コロナ禍で結婚した妹さんに捧げられた曲だと推測してるが。
なるほど、ブライダルソングということでスガ氏との男女デュオという形をとったのかな。
妹といえば、「ウナイ」って曲も秀逸なんだよな。あの凄まじい抱擁感。Coccoの家族愛が痛烈に感じられるというか。




今回初と思われるタイトル曲というものも入ってる。
それが「PROM」なんであるが(英語表記なのでそうじゃない?)。
この歌詞内容が今までにないくらいストレート過ぎて・・・・これを我々に言いたくてアルバム出したのか?
ロキノンジャパンでのインタビューは予め読みかじってて、そこで言うてたことそのままやないかと。
まぁこの人は永遠に辞める辞める詐欺を止めるつもりがないらしいので、正直もういちいち相手してられないって感じ。

亀田誠治氏編曲の「星の子ら」も英詩の崇高でステキな曲なんだけど、途中なんで日本国民の殆どが強制的に暗記させられた『平家物語』の冒頭のフレーズを挿入したの?(ガーゴイルかよ)
意味があるにせよ、こんなベタなフレーズぶっ込まれて台無し感ハンパなかった。このセンスって、亀田氏の?Coccoの?

ラストを飾る根岸孝旨氏編曲のヘヴィなオルタナナンバー「嵐ヶ丘」はいい感じ。さすがネギさん。
「Rockstar」に続き、最近英詩のちょっと語尾を強調する歌い方に快感を覚えたのかな?
ライブでどんだけCoccoが拡張するか、今から非常に楽しみ。


ところで、復帰してからのCoccoの作品って、最初は戸惑うんだけど、何回か聴くうちによくなってくる性質がある。
ただ、活動中止前の作品と明らかに違うのは、賞味期限がある点。
前作もしばらく凄く気に入っててヘヴィロってたのに、ある日突然味が薄れて全く聴かなくなってしまった。
今回の作品も、今のところ新鮮な気持ちで曲を楽しめてはいるが、今後どうだろう・・・





特典Blu-rayも付属しており、その内容が今までのMV+最新MV40曲分をギッシリ詰め込んだもの。
う~ん、正直言っていらんかなって感じ。
どうせならライブ映像にしてくれ!Coccoはライブが凄いんだから(前作の特典ライブ映像は最高だった!)。
しかもアルバム発売日に、それらのMV映像をYOUTUBEの公式チャンネルで一気に放出しやがった。
それやったらBlu-rayもういらんし。


あと、最近のCoccoって、SNS上で(というか、あんだけネット嫌いだったCoccoがSNSやってるってのも驚きだが)首をかしげるようなことをよく口走るようになって辟易している。
例えば、今までファンが喜ぶと思って音楽番組に無理して出演してたけど、本当にイヤなので、もうこれ以上出演しないことを決断したとか。
いや、こちとら長年Coccoファンやってるけど、別にあんな大衆向けの茶番組にもっと出てくれなんて切望した覚えはないんやけど・・・
認知度を上げたければテレビ出演が効果的やと思うが、今はYOUTUBEもあるし、アイドルやないねんから好きなファンはちゃんとアルバム買って聴くし、ライブにも足を運ぶから。
顔を隠して出るとか、逆に痛々しいからやめてほしい。
そこまでしてテレビに出てくれとは誰も言ってないと思う。

新作出したのに、結局「強く儚い者たち」を歌わせられる・・・みたいな愚痴も。
いや、復帰後もそれなりに新曲歌わしてもらえてたやん?
世間一般的に一番印象に残ってる曲が「強く儚い者たち」であって、やっぱ後世に残る名曲だし、大衆向け音楽番組っていう性質上それは仕方ないんじゃないって。
だったら「強く儚い者たち」と同水準の名曲を作るしかないって思うんだけど、ここ20年間作った曲で、そんな名曲ある?


25周年アニバーサリーver.のMVとかも自ら出してるやん。
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コ・コ・コ

2022年02月14日 | まったり邦楽
Perfumeの楽曲の中で、今となっては世間一般的に一番よく知られている楽曲といえば、おそらく「チョコレイト・ディスコ」なのではないかと。

バレンタインデー特集とか、チョコレートなどのスイーツが番組で紹介されると、未だBGMで流れる確率が一番高いナンバーといっても過言ではない。

この楽曲がリリースされたのは、今から15年前のバレンタインデーと、思えば随分と時が経っている。

実はこのナンバー、Perfumeが大ブレイクするキッカケとなった「ポリリズム」より先にリリースされており、一聴したら一発で頭に入ってくる、テーマもはっきりしてて、これだけわかりやすくポップでキャッチーなナンバーであるにもかかわらず、発売当時それほど売れてなかったってのは信じ難い話である。




その要因として、レコード会社の売り方がヘタクソすぎたとしか考えられんのです。

まず、マキシシングルなのに、「チョコレイト・ディスコ」でもない『Fan Service [sweet]』とかいうわけのわからんタイトル。
これには楽曲の作り手である中田氏も出来あがったものを見てビックリしたという。
なんや、売れてないアイドルの一握りのファンのためだけに向けられた限定アイテム?って感じで、これで知らん人がこの得体の知れない白いものにどうやって興味を示すと言うのか?

まぁ世間一般的にも、この白い外装の箱型のものが「チョコレイト・ディスコ」のシングルであることを知ってる人は少ないであろうし、ブックオフなどでもほとんど見かけることはない。
実際生産枚数も少なく、再プレスもされずで、Perfumeのメジャー作品の中ではおそらく一番入手困難なアイテムであるかと。

バレンタインのギフトボックスをイメージしたケースなのかな?
CDとDVDが一枚ずつトールケースに収められてある。フォトブック付。



収録曲は「チョコレイト・ディスコ」と「Twinkle Snow Powdery Snow」。
DVDにはそれぞれのビデオクリップが収められてある。 



Perfumeは前年に、それまでのシングルを全網羅した、一応1stアルバムである『Complete Best』を発表しているが、いきなり「ベスト」ということで、関係者やファンの間ではもうこれで活動中止になるのでは!?という不穏な空気が流れていたという。

そういった状況にも関わらず、楽曲そのものは売れる可能性を十二分に秘めているというのに、リード曲のタイトルも冠さず、こんなベールに包むようなパッケージで、当時のスタッフは本当にPerfumeを売り込む気があったのかと、疑問を禁じ得ない。


「チョコレイト・ディスコ」のビデオクリップを、たまたま木村カエラが目撃してなかったら?
彼女がラジオでガンガンかけまくってなかったら?
NHKのCM制作の担当者がそのラジオを聴いてなかったら?


そう考えると、ほんとうに運命というのは、アイアンバタフライエフェクトのようなものだなぁ。
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EP

2021年09月27日 | まったり邦楽
たまたま観てたNHKの音楽番組でお披露目してて、楽曲のクールさとおしゃポップなエレクトロサウンドに久々にビビっときたPerfumeの新曲「ポリゴンウェイヴ 」。

1曲だけじゃ滅多に動かない私が、今回Perfume の新作購入に踏み切ったのは、『ポリゴンウェイヴ EP』というタイトルの通り、今回のはPerfume初のEP作品だというこで、そこそこ内容が充実してるんじゃないかと。
値段の方は3500円とフルアルバムと同じくらい、いやちょっと高いくらいの設定なのは、昨年Perfume結成20周年を記念して行われたオンラインライブの映像がガッツリ入ったDVD付の限定盤だからである。


MVはなんか自動運転システム導入車のCMっぽいなぁ。



しかし、この内容ってどうなんだろう?これを本当に「EP」って呼んでいいのかと。

まず冒頭の1~4曲はタイトル曲のそれぞれミックス違い。
M2なんてアマゾンオリジナル番組仕様のあまり変わり映えのないミックスだし、M3はそれなりのクールなミックスが施されてはいるが、私としては全然違う曲やん!てくらいの大胆なミックスを期待していただけにちょっともの足りない残念な印象を受けた。
M4はいわゆるカラオケ。いや、EPにカラオケヴァージョンを入れるのはいかがなものかと。そういうのはシングルですることだろうと。

その他の新曲は一応3曲用意されていて、M5 「∞ループ」、M6「アンドロイド&」はEPの曲らしい肩の力の抜けたクールでおしゃれなポップナンバーだが、ラストM7「フォーリブート」は今年の夏に開催されたライブのオープニングテーマに使用されたというほとんどインストナンバーで、EPとして成立させるための水増し感が甚だしく収録する必要性の全く感じられない楽曲。
よって、前半は同じ曲を連続で聴いてられるタチではないのでほとんど飛ばしてしまうし、ラストもいらんって感じで1つのEP作品としてはとてもフルで楽しめる内容ではない。

とまぁ「初のEP作品!!」と鼻息荒く打ち出したわりに、開けてみればシングルにちょっと毛が生えた程度で、DVDを除いたら1000円くらいの内容だったかなと。


とは言うものの、EPの定義ってのは今では実に曖昧なものとなっており、それを示すものは時代によって異なり、媒体によっても大きく違ってくるものだということ。

もともとEP盤というものは、レコードが主流だった時代に生まれたもので、直径12インチのLP盤=「Long Play」に対し、EP盤=「Extended Play」は直径7インチのレコードを示すものだったそう。
「Extended」とは「伸ばす」「広げる」という意味で、ドーナツ型の7インチシングル盤が1~2曲しか収録できないのを数分延長させて(ようは真ん中のでっかい穴を埋めたんだな)、片面に5分~8分ほど録音することができて、3~5曲収録されるようになったものがEP盤となったんだとか。
で、これらをレコードプレイヤーで再生する際には、回転速度を45回転に切り替えなけらばならないということは、レコードを所持していたことがある人ならご存知であるかと。




ただ、私が初めてEPなるものに触れたのは、1987年にリリースされたメタリカのカヴァー集『THE $5.98 E.P. / GARAGE DAYS RE-REVISITED』である。
この作品は「EP」と銘打っているものの、12インチサイズで33回転再生。
もうこの頃の時点で元のEPの定義からは大きくズレており、メタリカはミニアルバム的な意味合いでEPという言葉を使っているフシがある。
なので私も今までEP=ミニアルバムという思い込みがあった。




だから、今回のシングルにちょっと毛が生えた程度の内容のPerfuemの新譜が「EP」であるということに納得がいかなかったのだ。


ただ、CD主流の時代になると「EP」の定義ってのはいよいよ曖昧なものになってくる。
まぁ単に名残りとしての呼び方ですわな。

8cmCDがほぼ消滅して、サイズどうのこうのという概念はすでに無くなっており、まぁCDの世界には何回転かという区別すら元からない。
なので、こっからはもう何を「EP」と呼ぶかは、アーティスト側、あるいはレコード会社側の各自の判断に委ねるということになったっぽい。
そもそもCDの時代になってから「EP」とカテゴライズしてリリースされた作品ってそんなになかったように思う。

だいたいがシングル的なポジションでEPをリリースしている場合と、ミニアルバム的なポジションでEPをリリースする場合の二通りのパターンだと思われるんだが、今回のPerfumeのEPは、シングルとミニアルバムの中間的なニュアンスが強いように思われる。


まぁ私みたいないちゃもんクソ野郎に四の五の言われないよう、堂々と胸張って「EPリリース!!」と言いたいのなら、せめて7インチのアナログ盤の形でリリースするのがよいかと思われます。
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Rockstar

2021年03月14日 | まったり邦楽
2019年11月のスターシャンク全国ツアーライブ終了直後くらいに、Coccoは早くもビッグサプライズなツアーを2020年春に敢行すると発表した。

それが、「Cocco Live Tour 2020 みなみのしまのはなのいろ~ダークサイドクイーン初訪の地、近隣住民近う寄れ~」というタイトルのツアーで、今までCoccoが訪れたことのない県のライブハウスを巡るという垂涎ものの企画で(後に「再訪の地、リクエストにお応えして」と題して東京、北海道公演も追加された)、なんと奈良公園・・・じゃなくて、奈良公演も含まれており狂喜乱舞した。
私は一応京都の人間ではあるが、奈良市街には車で15分で行ける所に住んでいるので。




まぁやはり抽選はあえなく外れたけど、チケット譲って下さる方をなんとか見つけ、もうそれはそれは楽しみにライブ日を待っていたのだが・・・・
無慈悲にもコロナ禍の波が全国に押し寄せ、ライブは7月に延期、そして、中止。

そこでCoccoはやむなく振替配信ライブという手段に切り替える。
ずっとライブ日に合わせてメンタルを調整し続けてきて、もうこれ以上気持ちを維持できないとの判断だったとか。




実は生配信日は残業してて見れなかった。てか配信ライブという形式にちょっと抵抗もあるというのがあって、アーカイブも見てなかったんですが・・・


そして、昨年末にその生配信ライブのダイジェスト映像が公開され、もうこれは円盤化の予告みたいなもんだった。




で、先月、ニューアルバム『クチナシ』の初回限定盤にそのフルライブ映像DVDが抱き合わせという願ってもない形でリリースされ、無観客とはいえ、ライブハウスでのCoccoの初のフルライブ映像ということで、正直アルバムにそれほど期待してなかった私としては、DVDが大本命だったりした。


まぁライブ配信後、セトリを見たらなんだか自分が思ってたのと随分と違っていて、「 濡れた揺籃」や「ドレミ」にテンション上がったものの、前作『スターシャンク』からの楽曲が中心で、初期の楽曲もほとんどなく、なんだかプレミアム感のない、それほどときめかないセトリだなぁなんて思ってたんだけど。




ところが、フタを開けてみたら、これが凄まじいことになっていた!
Coccoが昨年我々に見せたかったのは、これだったんだと!!
もう「してやられた!!」という感じだった。

@LIQUIDROOM 2020.8.31



本ライブは、Cocco(Vo)、根岸孝宗(B)、堀越信泰(E.G)、椎野恭一(Dr)の4人体制で繰り広げられる、究極の楽曲アレンジ大会の様相を呈した、今までとは随分とテイストの異なる実験的ともいえるまさに怒濤のプレミアムなライブだった。
曲が演奏されるごとに、もう「そうきたか!」のオンパレード!


一発目の「花爛」こそ、前ツアーの時くらいのアレンジで普通だったんだけど、2曲目「2.24」で歌が始まらないと何の曲かわからないほど大胆なアレンジが加えられ、歌の途中「三村エレジー」のフレーズをさりげに挟むというサブリミナルな絡め技に「え?」となる。

このあたかもレッド・ツェッペリンの「How Many More Times」における間奏部の「The Hunter」ぶっ込み技を彷彿とさせるこの手法は、その後もちょくちょく出てきて、特にマイナースケールにアレンジされた「願い叶えば」の後半部で「Rose Letter」(『クムイウタ』より)のフレーズが大胆にも挿入された時はほんとうに興奮を禁じ得なかった。

初期のナンバーでは「強く儚い者たち」のアレンジはちょっとアレで、個人的にはオリジナルでやって欲しかったなぁと思ったが、「濡れた揺籃」でのCoccoのピアニカの乱れ弾きは狂気さが際立つ演出だった。




本ライブはとにかく、前アルバム『スターシャンク』からの楽曲の大胆なアレンジ、拡張度合いがハンパなかった。
「Gracy Grapes」の、ビートルズの「Dear Prudens」を彷彿とさせるサイケな高揚感はレコーディングのとは比較にならない別次元のものになってたし、「Ho-Ho-Ho」なんてほぼ別物の曲になってて、2回目観たときに「ああ、これ新曲じゃなかったのか」とやっと気づいたくらい。

ネギさんスティック弾いてはる!!



そして、闇黒のドゥームナンバー「Come To Me」でのCoccoの妖艶な歌いっぷしは、さすが今回自らを“ダークサイドクイーン”と呼称するだけあって慄然たる魔性的な迫力があり、これもし客入りのライブだったならCoccoの魔力でみな石化したかのように会場全体が凍りついたんじゃないかなぁ。
それにしても、終演後の客の歓声があがらないのがなんとも寂しい。

Coccoの狂ったリコーダーインプロがヤバい。



Coccoが本格的にピアノ弾き語りを披露したのは驚きだった(今回専任奏者いないからなぁ)。
中盤ちょっとリズムが怪しくなるものの、6年前にComing' KOBEで無謀にもそれに挑まはったときとは比べものにならないほど上手くなってる。
なんせそのチャレンジ精神と度胸に驚かされる。




ラストは怒濤のヘヴィナンバー「インディゴブルー」、そして最新作より「Rockstar」の2連発で完膚なきまでに打ちのめされることになる。
久々に首筋が痛くなっちまったぜ。

こん時の初期のツアーメンバーである堀越氏(最新作では7曲参加)のギターの切り込みが冴えまくっている。
まじカッコよすぎ!!



Coccoの「ワン、ツー、スリー、GO!!」は一度生で聴いた方がよい。



まぁ近年外タレのベテランバンドによる予め「この曲やります」的なアルバム完全再現(厳密に言うとあまり再現されていない)や懐メロ大会みたいなライブが目立つが、ま、それも安心して楽しめていいんだけど、Coccoの今回のライブのように、本番まで手の内を明かさない、そしてこの意表をついた想定外の演目内容のものこそ、ライブの本当の、そして究極の醍醐味かと思われる。
Coccoはそういうことを本能的に知っている節があり、はっきりいってその外タレベテラン勢とはちょっと次元の違う存在であり、彼女こそがいまだ進化し続ける生粋のロックシンガーであるといっていいだろう。
つか、よく考えたらこの4人、全員40超に60近い人らでっせ!

それを昨年、全国のライブハウスで我々に披露できなかったのは、Cocco自身ほんとうに悔しかったと思うし、DVD化してくれたことはほんとうに感謝に堪えないが、我々もこの映像を観て、これをライブハウスという至近距離で目撃できなかったことが、よけい悔やまれるのである。


FUCK COVID!!


奈良 EVANS CASTLE。いつかここで観れる日が来ればいいね。
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背高のっぽのおしゃべりは

2021年03月07日 | まったり邦楽
早くもCoccoの新譜が我々のもとに届けられた。
つかこないだ出したばっかじゃなかったっけ?
前作は3年くらいブランクあったのに。
ともかく、Coccoの創作意欲というものはいまだ計り知れない。


昨年のコロナ禍期間中において、CoccoはYOU TUBEやSNSなどで「 自粛生活・おうちdemoトラック」と題して数週間ペースでオリジナル動画をあしらって惜しげもなく新曲を配信していた。

ちょっとピアノ弾いて作ってみました的なものから始まり、Cocco画のアニメーション、過去のMV
や家族写真らしきものを軽く編集したものから、本格的なオシャレMVみたいなのもあったり、お子様に向けたお絵かき教室みたいなものまであって、Coccoのユーモアセンスや芸術性がフンダンに盛り込まれた内容。
大半がコロナ禍で困窮に追い込まれてる人や自分の家族などに向けたメッセージ動画的なものだったと思う。

昨年からのコロナ禍の現状を風刺したアニメーション。



まぁ、このデモトラック動画作りが今回のアルバム制作のキッカケになったことは言うまでもないだろうが、聞くところによると、昨年の6月にすでにレコーディングが始まっていたのだという。
ただ、Coccoが突如音程がとれなくなるというスランプに陥り、一時中断していたのだとか。

で、音程取り戻すために思いつきで繰り返していたのが、この曲の冒頭のフレーズだったという。




この「ひとひら」のMVに今回のアルバムの要素がだいたい詰まっている感じで、まずCoccoが頭にかぶっているのはおそらくアルバムタイトルである『クチナシ』の花。
MVの中でCoccoがオール漕いでイカダみたいに乗っているのが、今回アルバムジャケットにもなっているクチナシヴィーナス(モナリザ?)。
Coccoが絵具で段ボールの上に描いたもので、ペーパークラフトの花などが散りばめられていて、いかにもDIY的かつCoccoらしくてナイスなアート。
復活してから出したアルバムカヴァーの中(5th~)で一番いいかも。
つか、ジャケットの絵を段ボールに描くなんてミュージシャンは、VOIVODのアウェイ以来じゃないか!?(まぁあれは単に金が無かったかららしいが)




口を花でふさがれたモナリザという構図と、『クチナシ』というタイトルがなかなか意味深で、MVのカチャーシーを取り入れたかのような妖艶な振り付けといい、これは米軍基地移設など、様々な問題を抱える沖縄を想うCoccoの政治的メッセージも内包されている感じがしてならない。

初回限定盤には段ボール製のスリーブケース付きという凝りよう。



正直前作から1年ちょいで作られたCoccoの作品に対する期待値はすこぶる低かった。
15曲も収録されているということで、また『きらきら』のようなクズっぽい曲が詰め込まれてるような予感がしていたいので。

一週目聴いたときは、1曲目いきなり美しいハープの調べの英詩ナンバー「White dress」でハッとさせられたものの、昭和歌謡、緩急の雑なオルタナナンバー、沖縄民謡と、色々な要素をやみくもに詰め込んだとり散らかったような内容だなと、イマイチな印象だったが、2回、3回と聴いていくとやっぱいいんだなこれが。
今回は音楽的に実に巧みというか、計算されてないようで計算しつくされてるような、なんだか頭を捻らせられる内容で、それはCoccoの持つ感覚的で芸術的な構成力の成せる業なのかもしれない。
クレジットとかみてたら、Coccoは最近音楽ツールを使ってプログラミングもやってるらしいのが驚き。


Coccoのキレッキレの捲し立て歌唱とオシャレなストリングスの「ダンシャリアン」、ピアノ伴奏で合唱団らとコラボした「え?菅野よう子作曲?」と思うほどに洗練された合唱曲「青葉」のマジメさ加減には驚かされるし(なぜNHKからお声がかからないのか?)、Cocco、根岸、椎野、堀越のカルテットで昨年のライブハウスツアーで演奏することを想定したと思しき「Rockstar」。まぁこれは「way out」を健全かつスタイリッシュにアレンジしたようなロックナンバーで、ベタベタな感じもするが語尾をいつも以上に強調したCoccoの歌いっぷしがカッコいい。
Coccoが三線弾きながら歌うウチナーグチ詩の(Coccoの父親が翻訳してくれたんだとか)小曲「想い事」の素朴感といい、とにかく今まで以上にバラエティ豊かさに満ち溢れてて非常に楽しめる飽きのこない作品に仕上がっている。


で、今回一番驚き、感銘を受けたのが、ラスト曲の「真白の帆」。
神妙な演奏で、Coccoが物語るように歌う壮大かつシリアスな曲で4分足らずで終わる・・・・

と思いきや、約1分間のインターバルをおいて、さっきとは全く違う雰囲気の抱擁感に満ち溢れた歌が始まるのだ。
Coccoがこういうシークレットトラック的なことをするのも驚きなんだが、このギミックにはいったいどういう意図があるのかと。

ただ、この後半の歌の詩は、なぜか歌詞カードには記載されていない。

実はこの部分は昨年のけっこう早い時期にdemoトラックでアップされていた。


アルバムに収録されているヴァージョンではラスト、ウチナーグチ詩の歌で締めくくられ、さらに崇高さが増している。
歌詞内容は全くわからないし、この後半部を同じ曲の続きと捉えていいのかさえわからないままだ。


ちなみに“真白”は、岩井俊二監督の2016年の映画『リップヴァンウィンクルの花嫁』において、Coccoが演じた人物の名前と同一である。
その真白と関連性があるのかどうかも、やはりわからない。


アルバムジャケットから、曲構成、そしてトラックタイトルと、一大探偵推理小説のような実にミステリアスなこの謎解きアルバムのような本作を、私は今回とても気に入っている。



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涙のリクエストベスト

2020年11月03日 | まったり邦楽
Cocco の3回目のベストアルバム『20周年リクエストベスト+レアトラックス』をようやくゲット。
3CD+1DVDの4枚組で、それに豪華フォトブックが付属した限定BOXセットである。


とにかく寿感がハンパない。



パッケージに沖縄伝統衣装に身を包んだ幼少の頃のCoccoの大写しが掲載されるなど、この20周年を祝さんがゆえの出血大サービスぶり。
まぁこれは彼女自身のための記念盤であるという趣が強い。



フォトブックの内容はなかなかよかった。



シングルジャケットのアナザーショットが満載されていたのはうれしかった。



本作がリリースされた3年前に購入することを躊躇したのは、その当時も言ったと思うが、音源を殆ど持っていたからである。
とにかくベストアルバムというものは、元々ファンである者にとっては殆どメリットのないシロモノであるし、今回のはファン投票で選ばれたベスト盤ということだったが、それこそいよいよ興味が沸かない。

レアトラックスがあるぢゃないか!と思われるかも知れないが、まぁCoccoが活動中止を発表した2000年以降当初は、それこそ熱心にCoccoの動向を注視していた中々のストーカー野郎だったので、絵本を出してそれに付属されたCDなどはもちろん、沖縄限定のVHS+シングルCD『風化風葬』、『ジュゴンの見える丘』沖縄限定盤などはわざわざ琉球レコードの通販で取り寄せたし、ゴミゼロ大作戦のDVD『Heaven's Hell』付属のCD(まぁ参加したからね)、塚本晋也監督の映画『ヴィタール』の主題歌「blue bird」が収録された8cmCDももちろん持ってる(今回収録されてないけど)。
松田聖子、尾崎豊の一連のトリビュートアルバムに参加したときのカヴァー曲もレンタルでかりて音源は保存してある(まぁこれらはレアだけど、いらんよなぁ)。
今回目新しかったレア曲は、これも沖縄民謡のカヴァー曲?「オジー自慢のオリオンビール」くらいか。




まぁせっかくなので、Disc1から順に曲目を見ずに聴いていきました。
聴いてて思ったのが、「え?これってCoccoのベスト盤しか持ってない人たちばっかが投票したの?」っていうくらいシングル曲、PV曲オンパの定番セレクション。
2、3曲そうじゃない曲もあるけど、「おお、これが入選したか!」みたいな意外性は殆ど感じられなかった。
意外といえば、Coccoが3年前のインタビューで、投票の結果「手の鳴る方へ」が1位だったって言っててこれは意外やなぁとは思ったけど、正直「はぁ?」て感じ(個人の感想です)。
あとレアトラックス枠なのか、くるりとのコラボバンドSINGER SONGERの楽曲を入れるのはちがうんじゃないかと思うんだが、でもこれもCoccoの20年間の音楽活動の内のひとつなのでアリということか。
まぁ久々(10年ぶりくらい?)に聴いた「ジュゴンの見える丘」や「箱舟」などの、ちょっと忘れかけていた楽曲の秀逸さを再確認できたのはよかったかな。


などと、投票にも参加してないクセに、ここまで散々コアなファン特有の捻じ曲がった能書きたれときながらも、なぜこのベスト盤を入手したのかというと、もうおわかりですね?

そう、本作には、活動中止前最後のライブとなった、2000年10月6日に行われた日本武道館でのツアーファイナルの全プログラム映像が収められたDVDが付いていたからに他ならない。




この2000年の武道館ライブ映像は、Coccoが活動中止を新聞の一面で発表した後、SSTVで放映されたもので、当時VHSに録画してテープすりきれるくらい何回も観たものさ。
このライブ映像がいつDVD化され、正式に映像作品として市販されるのかと、20年も前からずっと切望し続け待っていたんだが。
まさか、こんな形でのDVD化になるとはね。


で、先週の土曜の晩、家族の者が寝静まってからリヴィングで明かりを消して、野菜ジュースを片手にフラットテレビで鑑賞。

思ってたより画質も音質も悪くて、ちょっと残念な気分になってしまった。
まぁ20年前撮られた映像だからなぁ・・・元々のマスターが今と比べてそんなに良くはないのだろう。
ライブ始まる前に、オープニングで流れてた緊張感高まる壮大なADIEMUSの「魂の歌」も版権の都合かハショられてた。




いや、しかし、この映像も10数年ぶりに観たけど、やっぱこの頃のCoccoは凄い。
この歳になって、久々に20代の頃のようにお茶の間でひとり憚りもなく興奮しちまったい。
(だから家族が寝静まるのを待ったんだ)

もちろん今のCoccoもライブでは凄い迫力だ。常に全力投球だし。
でもやっぱプロらしくなったというか、昔と比べて余裕があり、もの凄く丁寧に歌いあげてるし、ちょっとした歌唱テクも使うようになった。
まぁそりゃ20年間も歌手やってりゃこなれてもくるよ。

しかし、この頃のCoccoは、荒削りと言うか、やみくもと言うか、余裕というものがなく、歌唱も不安定でとにかく無心に歌い続けるといった野性的な本能のみに依ってオーディエンスを圧倒する破壊力があった。
もう目がどことなくイッてるし、観客とも壁を作ってて一体感などもってのほかという感じ。




音楽的な教養もなく、元々歌手など目指してなかったCoccoは、ズブの素人からデビューした類稀なる天然のロックシンガーだ。
メチャクチャ声量があるというわけでもなく、ビブラートをきかせるといったテクニックもない。なのに、多くの人が彼女の歌に魅了されるのはなぜだろう。
もちろん毒がありながら、とてつもなく美しい言葉でサラっと綴る詞の魅力もある。
Coccoの歌声には、音楽理論上では説明の難しい人智を超えた原始的なパワーというか、とてつもないエナジーが内包されていると思うのだ。
理論的な音楽雑誌がCoccoを取り上げないのは、そういうところがあるからかもしれない。




この頃のCoccoは大のライブ嫌いで、ツアー回りがイヤでイヤで仕方がなかったらしい。
ただ、一度覚悟を決めて「やる!」となったときの爆発力が、この人は凄いのだと思う。
張り詰めた緊張感の中、愛憎、煩悩、そして沖縄への想い・・・・
Coccoの色んな感情が魂の叫びとなって発信され、超ド級のライブ感を伴ってオーディエンスに響いてくるのだ!




この時のツアーのライブは、私も大阪城ホールで初に観てるんだが、かなり後ろの方の席だったにも関わらず、ステージから放たれてくるCoccoの鬼気迫るライブ感はほんとうに凄まじかった。
長い髪を振り乱しながら全身を使ってヘッドバングする彼女の姿には度肝抜かれたものさ。




この頃のバックバンドもまた良かった。ほとんどレコーディングメンバーだけど。
向山テツ氏の大振りのボンゾばりのドラミングに、ハウリングぎみにCoccoの感情を掻き立てるかのようにかき鳴らす、堀越&長田氏両者のギターワーク。地味に壮大な演出を担当する柴田氏。ときにギター以上に効果的な音色を奏でる武藤氏のヴァイオリン(特に「ポロメリア」でのアレンジ、「カウントダウン」、「星に願いを」でのソロワークが秀逸)。
そして、バンマスでもあり、Coccoを最強のロックシンガーに仕立て上げた張本人と言ってもいいベースの(時折バックコーラスも務める)根岸宗孝氏。

公表前だったが、もうみんなこれがCoccoの最後のライブになるとわかっているので、この時の演奏にはサポートバンド以上の、まるで長年やってきた1つのバンドさながらの一体感というものが生まれているように思う。
ラスト曲「羽根」でCoccoがバレリーナ式のお辞儀をして、マイクを置いてステージから走り去った後の、その感動の余韻を引きずるかのように残されたメンバーでの演奏の感情の入り方も凄まじいし、根岸氏などは感極まれりといった感じで、最後雄叫びを上げているのがかすかに聞きとることができる。




本DVDを観終えて思ったのが、「あ、そうか。このDVDこそが私にとってのリスエストベストなのだ!」と。

このライブ映像のDVD化は長年待ち望んでいたことだし、このツアーは3rd『ラプンツェル』リリース時のツアーなので、3rdから中心のセトリでまさに私のドストライクなセトリになるのは必至であり、「濡れた揺籃」、「眠れる森の王子様 ~春・夏・秋・冬~」などの初期のヘドバンキラーチューンも演奏されるわ、まだ未発表曲だった「風化風葬」、「荊」、「羽根」、そしてCoccoが出来たてホヤホヤソングとしてはにかみながらあどけないアカペラで歌いだした「歌姫」(なぜかパッケージにはクレジットされていない)などの名曲の数々も演奏されている。


いや、近年ちょっとこのライブ映像を超える内容の作品には、なかなかお目にかかれてない気がするなぁ。


ところで、このライブの時、根岸氏が着てたTシャツって、レイジ・アゲインスト・ザ・マシーンのバンドTかな?

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おどけたミュージック50

2020年09月30日 | まったり邦楽
家庭内事情により、最近休日になると近所のサテンにモーニングを食いに行くという習慣がついてしまった。
先日は古さびた感じの昭和風のコーヒーハウスへとモーニングを食いに赴いたんだが、しばらく時間を潰すのに手頃な読み物がなかったので、久々に『ミュージック・マガジン』を購入してから入店した。




今回の『ミュージック・マガジン』を購入したのはほかでもない、本誌に特集Perfumeベスト・ソングス50が掲載されていたからであるが。
正直他の記事はわからなすぎてPerfumeの記事以外は興味がなく、それで880円は高いなとは思ったが、表紙もいい感じだし、50曲全部に解説が付いていて読みごたえもありそうだったので購入に踏み切った。


Perfumeは、このコロナ禍という残念な状況化ではあったけど、今月の21日で結成20周年(メジャーデビュー15周年)を迎えた。
ミューマガは2008年の大ブレイク以降、Perfumeをちょくちょく特集し続けている音楽雑誌で、最初の数年間はアルバム出すごとに特集組んでは全曲解説とかやってたと思う。
スタッフの中に中毒者が続出したんだと思われるが、幅広い嗜好のマニアック(但し多分アンチメタル)な音楽ライター陣が綴るものだから、音楽的に「なぜ人はPerfumeに魅かれるのか」などの鋭い考察がなかなか興味深くて説得力があって面白い。
まぁ若干その入れ込みように気持ち悪くなるところも否めないが、今回のPerfume特集は20周年を祝いたかったのもあるのだろう、そんな筋金入りのプロの音楽愛好家たち16人の選ぶPerfumeソングス50選がどんな結果になったのか、チェックせずにはおれまい。




今回は16人のライターさんたちがそれぞれのベスト25曲を選び、それを統計して上位50曲を選出したものだそうで。

まず第1位がまぁ異論の余地はないであろう「ポリリズム」。
そして2位が「チョコレイトディスコ」で、個人的には50位圏外の曲ではあるが、これもしごく妥当。
3位が「エレクトロ・ワールド」と、もうこの辺はPerfumeファンの総意とも言える鉄壁の順位かと。
「GAME」「マカロニ」「Baby cruising Love」など、やはり一番勢いづいていた頃に満を持して発表された衝撃のアルバム『GAME』からの楽曲が上位を占めるのはみんな同じなんだと。
ただ、10位に突如「FUSION」?いや、確かにクールでクオリティの高い曲だけれども・・・・・
これ以降の順位、選出曲があんまりピンとこなくなりだした。

まず一番驚いたのが、私のフェイバリットナンバー「Take me Take me」が50位から外れていたこと!
え?正気ですか?と。
まぁ「Perfumeで一番好きな曲は?」と訊かれて「Take me Take me」と答えて共感されたことは一度もないけど・・・・
でもね、アルバム『GAME』リリース当時のインタビュー映像で、かしゆかがこの曲を一番のお気に入り曲に挙げてたのを見たときは、テクノのこと全然わかってないような言動をしていながら、このインストじみた曲をチョイスするとは、なんて渋いんだって一目置くと同時に勝手に彼女に親近感を抱いたものです。

あとチケットを譲ってくれたドミニクちゃんもライブで演ってほしい曲に挙げてた「Hurly Burly」(前回のライブで披露されたんだってね)にいたっては、16人誰一人チョイスしていない。
ひょっとしたらこの曲の存在を忘れてたか知らないのかもしれませんね。




アルバム『JPN』からの曲がだいたい選出されていたのもかなりの感覚のズレを感じるものがあるし、やっぱミューマガのスタッフとは合わないなと。
個別のランキング25位や選評を読んでも、「今ライブで聴きたい曲」とか、意図的に「上位入りの曲はなるべく避けた」とか、「楽曲と彼女たちとファンたちとの関係を踏まえて」選んだとか、なんかあんまり楽曲そのものの良さで純粋に好きな曲を選んだ感じがしない。
まぁドルオタの性癖濃厚の某氏のブレイクする前から好きだったアピール感の強い偏ったセレクトなどは合うはずもないし、最新アルバム『Future Pop』がついに『GAME』を超えた!とか、正気とは思えないことを書いているライターまで混じっている。
これはメタリカの『メタル・ジャスティス』がついに『メタル・マスター』を超えた!と言っているに等しい。
そりゃ今回のベスト結果にピンとこないのも無理はない。

「好みは人それぞれ違うのは仕方ないだろ!!つかオマエ文句ばっか言ってんな!!」
て言われてるかも知れないけど、880円も払ってんだから文句ぐらい言わせてくれ。


で、こうなりゃ私も自身の「Perfumeベストソングス50」をやるしかないと。
てかオマエはじめからそれを発表したくてタラタラ能書きたれてたんだろ!!と思われるかもしれないが、確かにそれは否めない。
でもみんなこういうの興味あるでしょ?ない?
まぁ私のブログに訪れる人って、だいたいメタル野郎かクトゥルー神話好きくらいだからなぁ・・・

彼女たちのライブパフォーマンスやヴィジュアル、そして3人の関係性や人間性、バラエティにおけるエンターテイメント性ももちろん大好きだ。
ただ、私の場合はそういうのを切り離して、歌詞内容とかもあまり重要視してなくて、振り付けとか視覚的なものも一切度外視してセレクトしたつもり。
(ちなみに振り付けなら「だいじょばない」が1位かな)
私がPerfumeの楽曲を一番楽しめてるのは、夜中に車の中で爆音でかけてる時なので。


今回もiPodでプレイリストを作成してスクショしたものを貼りつけました。
順位は割とテキトーですが、上から上位~下位と思ってくれてかまわないです。










26位以下はこんな感じ。こっからかなりテキトー。

・Take off・Butterfly・レーザービーム・スパイス・無限未来・不自然なガール・MY COLOR・Spring of Life・1mm・Party Maker・Dream Land・Spending all my time・宝石の雨・FUSION・Tiny Baby・いじわるなハロー・Everyday・イミテーションワールド・コンピューターシティ・Baby Face・引力・コミュニケーション・ジェニーはご機嫌ななめ・Sweet Refrain・GLITTER


ちなみにトップ写真の画は、私が大阪ミナミの道頓堀まで赴き、戎橋からパリピの類やら水商売の連中をなんとかかわしながら実際撮ったものです。
東京、そして米NYのタイムズ・スクエアでもこの街頭広告が流れたそうで。

今月約2年振りに発売されたニューシングル『Time Warp』も、初回限定盤にはなんとカセットテープが付いてるなど、まだまだ攻めてるPerfumeであるが、まぁよくも20年も3人一緒に続けてこれたもんだ。
私自身、よくも12年も一応彼女たちのファンでい続けれたものです。

いやいや、本当におめでとう!

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2020年06月14日 | まったり邦楽
紅白歌合戦やうたコンなどの大衆音楽番組にはビタ一文興味が持てないが、NHKってのは、観ててなかなかいい音楽を採用するなぁって思う事がよくある。

音楽関連の教育番組なんかは、たまたまテレビつけてそれが始まると、音楽もいいし、つい見入ってしまう時がある。
それはやはり他の民放ではなかなか出てこない、流行り廃れに関係なく、洗練された質の高いミュージシャンの音楽を採用してるからだと思われる。
以前Eテレで放映してたUAの民謡歌番組「うたううあ」なんかでは、バックにLittle Tempoなどのダブ系ミュージシャンを起用したりなど、なかなか興味深い攻めた音楽番組を制作してたし、最近の「ムジカピッコリーナ」という音楽番組では、アイアン・メイデンの「Aces High」なんかを題材に取り上げてたりもしてた。
そういえば、最近人間椅子のメンバーも早朝のEテレに出演してたとか。


10年くらい前からEテレで放映され始めた『デザインあ』のバックで流れてる音楽も、かなり心騒がされるものがあった。

それもそのはず、音楽を担当しているのがコーネリアスこと小山田圭吾氏だからにほかならない。




「デザインあ」は、大人が観ても(というか大人向け?)おもしろい番組で、アニメーションのユニークさや、デザインの美しさなども、映像作家のセンスが光っているというか、とても目を楽しませてくれるもので、そこにコーネリアスの立体感のあるオシャレでユニークな音像とが絶妙にマッチングするのである。
笑い飯のふたりが声を務めてたりもして、ちょっとしたユルさもよい。
M-1の時、西田氏から発せられた名言「思ってたんと違う」コーナーなんかもあったりして。


こうなりゃサントラというか、音源も当然欲しくなってくるわけですよ。
で、ポチったらスゲー盤がむき出しのものが送られてきた。
ペーパークラフト教室で作ったかのような特殊ジャケがいかにも教育番組っぽくてグー。




全25曲で、素材集というか、ほとんど3分にも満たない効果音集的な作品ではあるが、やっぱ小山田氏が作るものなので聴きものとしてちゃんと成り立っている。
とにかくサウンドミックスはやはり極上でオシャレで、耳にとても心地いい。まぁ一種のヒーリングミュージック作品であるかと。

オープニングの「デザインあのテーマ」で歌を務めるショコラをはじめ、嶺川 貴子、相対性理論のやくしまるえつこ、Buffalo Daughterの大野由美子などの選りすぐりの清涼系ヴォーカリスト陣の歌モノも数曲あって、決して聴き手を飽きさせない。

あと「解散!」や「Sound of Composition」を聴いてもらったらわかるかと思うが、ちょうど同じ時期くらいに進められていたコーネリアスとSalyuとのコラボプロジェクト、Salyu × Salyuの楽曲とまったく同じ曲調の楽曲も存在する。
本作でもSalyuの歌で「カラーマジック」というSalyu × Salyuのアルバムに未収録のナンバーが収録されているのがうれしい。


Salyuが「デザインあ」のパイロット版を見て小山田氏にアプローチしたのか、NHKのプロデューサがSalyu × Salyuの音を聴いて番組の企画を思いついたのか、どちらが先だったのかは知らないけど、どちらも楽器の伴奏があってメロウな歌を歌うことだけが音楽ではなく、音を楽しむと書いて音楽、人の歌声、生活環境の音、そして電子音など、様々な“音”を素材として、それを音楽として構築することに長けた小山田氏の面目躍如たる画期的なプロジェクトであったかと。
その音楽と映像編集の絶妙なハーモニーがどちらも素晴らしい。

salyu × salyu "話したいあなたと"
 


ということで、『デザインあ』の音源に感銘を受けた方は、こちらのSalyu × Salyu作品も是非。



まぁ約10年くらい続いてる番組だから、やっぱそこそこ人気があるのだろう。
アルバムもいつの間にか、2弾、3弾と出ており、チボマット、ハナレグミ、原田郁子、環ROY × 鎮座DOPENESS(!)、中納良恵など、多彩で豪華なゲストアーティスト陣が参加してるらしい。

教育にいいか悪いかは別として、これらも是非聴いてみたいと思う。
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イヤンなっちゃう

2020年03月30日 | まったり邦楽
サザエさんやドラえもん同様、いつの世代の子供たちにも愛され続けてる国民的アニメのひとつ、『ゲゲゲの鬼太郎』の第6期の放映が昨日終了したそうで。

1年か2年前のとある日曜の朝にテレビをつけたら、なにやら深夜にやってそうなタッチのアニメーションが放映されていて、朝からなんやねんと思たら・・・



はぁ?こ、これが『ゲゲゲの鬼太郎』!?!?と愕然としたことを覚えている。

ほんま最近の日本の義務教育はどうなっているんだと。


まぁ自分の子供時代の価値観で今の子供たちの流行りの画風を批判したところで老害発言以外のなにものでもないし、それに私が幼少期の頃『ゲゲゲの鬼太郎』(第3期)のアニメをそんなに熱心に観てたわけでもないので文句を言う資格なんぞない。


ところで、私が子供の頃に放映されてた『ゲゲゲの鬼太郎』の主題歌を担当していたのは確か吉幾三氏だったと思うが、私がすでに成人してから放映された第4期『ゲゲゲの鬼太郎』の主題歌を担当してたのが、なにを隠そう大阪のブルースバンド憂歌団であった。

んで、7年前に憂歌団が15年ぶりに再始動して、その記念としてリリースされたのが上写真のCDである。
水木しげる先生が書き下ろした鬼太郎妖怪軍団と憂歌団メンバーの素敵すぎるコラボ紙ジャケットで、べつに憂歌団がめちゃめちゃ好きなわけでもないくせにこれは買わずにはおれなかった。

このイラストは、実は神戸のライブハウス、チキンジョージにも同じものが飾られてあったのを見ていて、とても気になっていたのだ。




さらに、この記念企画盤には、第4期『ゲゲゲの鬼太郎』の第33話が収録されたDVDが付属している。




なんでこの第33話が収録されてあるのかというと、それはこの話に憂歌団のメンバーが出演してるからに他ならない。
もちろん声も本人ら其々が担当している。



ヒット曲が出ずに悩んでいたブルースバンド憂歌団は、小さなライブハウスで演奏しては酒を飲む毎日を送っていた。
そこへ彼らの歌の巧さを見込んだねずみ男が、妖怪さら小僧の歌を盗み聴きしに行って、それを憂歌団の曲として売り込むという儲け話を彼らに持ちかけるのだ。




そのさら小僧が歌っていた歌が「ぺったら ぺたらこ」という歌で、憂歌団はその歌詞と譜面をねずみ男から手に入れ、それを自分たちの曲としてレコード会社に売り込み、見事に大ヒットを飛ばす。




いいとものテレホンショッキングにも出演するほどの人気ぶり。



だが、自分の歌を盗作されることをことさらに嫌うさら小僧にそのことがバレてしまい、そこからさら小僧の恐ろしい?復讐が始まる。



いったん誘拐され、さら小僧の住処に監禁されながらも鬼太郎やねずみ男の協力で、なんとか命からがら逃げ延びた憂歌団であったが、さら小僧の復讐は執念深かった。

紅白夏の歌合戦に出場した憂歌団は、「ぺったら ぺたらこ」を国民の前で演奏。
しかし、この歌には歌えばこの世の終わりが来ると言われている「禁断の4番」が存在していた。
さら小僧はその4番を憂歌団に歌わせるべく、彼らに忍び寄るのであった!




なお、この憂歌団による恐ろしい「禁断の4番」を聴きたい方は、この憂歌団の企画盤を購入するか、レンタルで第4期シリーズのDVDでもかりて視聴してみて下さい。


憂歌団に関しては、ハスキーなダミ声の木村氏の歌のアクの強さにちょっと苦手意識があって音源を所持してなかったが、本作を聴くとやっぱ彼らは日本ブルースの第一人者たる実力バンドなんだってことを改めて痛感させられる。

大阪特有のドロ臭い哀愁感のあるブルース。
本作では、アコギのスライドやタイトな弦の爪弾き加減で、水木妖怪ワールドの妖気漂うあやかしのムードをうまく自分たちのブルース感で表現している。
特にお気に入りなのは、第4期『ゲゲゲの鬼太郎』の後期エンディングテーマになった「イヤンなっちゃう節」。
近代社会に住む妖怪の哀愁を歌ったもので、木村氏の自由奔放なスキャット、そしてホーンの音色が絶妙。





この度の、悪性ウィルスの世界的蔓延による相次ぐイベント自粛で、ミュージシャンのライブ活動、そしてライブハウス経営などが大打撃を受け死活問題に発展している今の現状に、ほんとうに胸が苦しくなってくる。
私も今月観に行くハズだったライブが2つほどなくなってしまった。
これこそほんま「イヤンなっちゃう!!」ですわ。

憂歌団もライブハウスで演奏してナンボのブルースバンド。
ほんとうにもどかしく口惜しく思っておられることでしょう。




なので、水木先生が点描で描かれた、“疫病退散の神”といわれるこの神々しいアマビエ様の写し絵を貼っておきます。

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