AMASHINと戦慄

~STARLESS & AMASHIN BLOG~
日々ブログレッシヴに生きる

絵金と人間椅子

2023年06月18日 | やっぱりメタル!!
前記事のあべのハルカス美術館での『絵金展』レポでも触れた、人間椅子の1991年の2ndアルバム『桜の森の満開の下』。


そう、この9マス折りの歌詞カードを広げると、絵金の残酷絵「伊達競阿国戯場 累」の図が現れるのだ。




特典の栞も絵金



まぁこの『桜の森の満開の下』という作品と、絵金の絵にどういう意味合いが込められているのかと問われると、別にこれといった深い意味はなく、歌詞に血しぶきが飛び、生首がころがる人間椅子のおどろおどろな世界観と絵金の残酷絵とのイメージがピッタリ合うということで、当時のスタッフがジャケットに丁度いいんじゃないかと見つけてきたのだろう。

『桜の森の満開の下』というタイトルは、1stのラストに収録された曲のタイトルから拝借したもので、当時のメンバーのインタビュー記事で、「レッド・ツェッペリンがそういうことをしてたので(おそらく『聖なる館』)ちょっと真似してみた」みたいなことを言っていたのを記憶している。


70年代ハードロック嗜好の古ぼけたサウンドと、多少難解な土着的世界観の1st『人間失格』に比べ、2ndは随分と垢抜けたと申しますか、サウンド的にもカチッとしていて、クッキリと分かりやすい楽曲が増えたなと。
冒頭の反戦メッセージ的な歌詞内容の「爆弾行進曲」や、スラッシーな「心の家事」なんかはほんとにストレートでわかりやすい。

「遺言状放送」なんてほんとキャッチーでポップ。

初の映像作品『遺言状放送』より



本作からは、和の耽美的な世界観を見事表した名曲「夜叉ヶ池」なんていう、初のシングルカット曲も生まれた。
カップリングの「人面瘡」も秀逸。

このジャケットも絵金の「伊達競阿国戯場 累」の一部を切り取ってデザインされたものか?



当時ぴあに掲載されたシングル『夜叉ヶ池』の広告。



アーティスティックでお金かかってそうな、かなり攻めた(今じゃアウト?)MVも作製された。



個人的に当時お気に入りだったのが、「憂鬱時代」と「盗人賛歌」。
「憂鬱時代」のどんよりとした曲調と中間の和嶋氏のアコギソロにとてつもない哀愁が感じ取れたし、「盗人賛歌」の前半の”静”と後半の“動”の絶妙な展開は、ほんとうに人間椅子のただならぬ情緒深さを見出すことができる。

「相撲の唄」など、相撲の取り組みと男女の関係を掛けてそのまま歌ったわかりやすい内容の曲でも、後半の圧巻のプログレ展開は目を見張るものがあるし、ラストのサバス節全開の「太陽黒点」では、和嶋氏のワウがこれでもかと暴れまくる珠玉の名曲である。

まぁとにかく、どの楽曲にもそれぞれの創意工夫や情緒深さがあり、この2ndも間違いなく初期の名作のひとつに数えられる。


そして、九州から北海道へと北上するという全国規模の「桜前線ツアー」も展開され、渋谷公会堂のライブ模様は初の映像作品『遺言状放送』に一部収録されている。




ツアーパンフ。



ところで、昨年発売されたアナログ盤には、絵金の絵は付いていたのか?



さて、あべのハルカス美術館での『絵金展』は本日最終日。

会場には、中村七之助さんのナビゲーションによる音声ガイド貸出サービスなどもございますが、この人間椅子の2ndをスマートフォンで聴きながら、絵金のおどろ絵を堪能するのも一興かもしれません。


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黄金の夜明け

2023年01月11日 | やっぱりメタル!!
あけましておめでとうございます。


詳しくは述べませんが、元旦の朝、ふと目覚めたらなにやら警察沙汰になっているという、今までにないトンデモ新年を迎えるハメとあいなりまして。

まぁでも、数年ぶりに見事な初日の出も拝めて、それはまるで大越孝太郎先生の描く「黄金の夜明け」が到来したような、幸先良い予感のする眺めでした。


実は先日、欲しかったブツが届きやして、まぁそれは昨年12月にリリースされた、待望の人間椅子初のアルバムアナログ盤でございやして。

今回は初期5作品がアナログレコード化され、とりあえず4th『羅生門』と、これはもう大盤で是非とも欲しかった3rd『黄金の夜明け』の2枚を入手。




もちろん5枚全部欲しかったが、最近のアナログ事情ってどうなってるのかよく知らないんだけど、『羅生門』を除いてなぜか2枚組になっていて、各6200円と昔じゃ考えられんくらい高価。とてもじゃないけど手が出ない。

盤1枚3100円ってこと?
『黄金の夜明け』はトータル60分あるので2枚組にするのはギリ理解できるんやけど、初期の2枚は50分テープに余裕で収まっていた。
余裕で盤1枚に収まると思うんやけど・・・




まぁ高音質収録ということで、2枚分の容量になるんやろうけどね。
それは理解せんといかんのやろうけど、レコード主流の時代をリアルタイムで過ごした人間から言わしてもらうと、今回の人間椅子のアナログ盤シリーズはレコード美学というものがことごとく無視されており、とても残念な仕上がりになったと言わざるを得ない。

帯がないとか、見開きジャケットでないとか、そこまで言う気はない(言いたいが)。

初期の人間椅子のアルバムって、CDでもA面とB面を意識して作っているこだわりが見て取れたんだよね。
ちゃんとした区切りがあったというか、A面の最後には、A面の最後っぽい感じの曲(「天国に結ぶ恋」、「夜叉が池」、「水没都市」)。
B面の1曲目は、B面の1曲目っぽい感じの曲(「悪魔の手毬唄」、「東京ボンテージ」、「幸福のねじ」)。
こういうところに、人間椅子の1枚の作品としての情緒というものが感じとれた。

幸いにも1枚組の『羅生門』は無神経な分離を免れたが、『黄金の夜明け』はちょっとヒドい!

2枚目の裏面。ナニコレ!?
申し訳程度に人間椅子のロゴが盤にプリントされてあるけれども・・・



で、レーベルも5作品全部これですか?
やっつけ仕事も甚だしくない?



昔の人間椅子はCD盤のデザインにしろ、歌詞カードにしろ、物凄く美的センスとこだわりがあったよなぁ。
それだけでワクワクしたもん。




せっかくの念願の高価なアルバム初レコード化なんだから、もうちょっと丁寧にちゃんとしたもの作ろうという気概にならなかったのかね?
つかメンバーたちよくこんなの納得できたなぁ・・・


追記:

今回ディスクユニオン特典の人間椅子クリアファイルは付いてきたが、発売日にゲットした人たちがSNSで自慢げに写真アップしていたメンバー直筆サイン入りジャケットピンナップはなかった。
まぁあれはクラウン徳間ミュージックショップ限定の予約特典だったのね。

くやしいので、当時『黄金の夜明け』CDをライブ会場で購入したら付いてきたサイン色紙を見せびらかすという大人げない行動に出る。
まぁ今みたいなユニークな書体ではなく、名前の殴り書きだが、これこそが『黄金の夜明け』の正当なサインなのであると。

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シン・ヴォイヴォド

2022年12月25日 | やっぱりメタル!!
今朝起きたら、枕元に・・・・・・


サンタってやっぱりいたんですね。


私の大好きなカナダのメタルバンドVOIVODが、メンバーが幼い頃によく観ていたというウルトラマンにインスパイアされて、その初代ウルトラマンのオープニング曲「ウルトラマンの歌」を、今年初めにリリースしたアルバム『Synchro Anarchy』のセッションの合間にカヴァーして録音したものを、無邪気にもEPでリリースしてくれた。

海外では先月すでに12インチアナログとデジタル配信のみでリリースしており、もうこれはファンとしてはブツをゲットするしかないでしょう!!ってことで、タワレコのオンラインで扱ってたので即予約注文。

で、クリスマスのこの季節にようやく私の元に届けられたってわけなんです。

もうほんとうに最高のクリスマスプレゼントって感じ。


さっそくアナログプレーヤーで聴いてみましたが、けっこうマジメに演っております。
過去にバットマンのテーマをサイバーパンク風にカヴァーしていて、これはけっこうおふざけ感があったけど、今回のウルトラマンのカヴァーはなんだか並々ならぬ敬意の念を感じずにはいられませんでした。


初来日時もスペシウム光線を出すポーズをとっていた、元VOIVODベーシストのブラッキー。



私も幼稚園とか小学生低学年の頃に円谷プロダクションの特撮シリーズは夢中になって観てて、オリジナルの怪獣百科とか自作してたくらいなので、ウルトラマンのアナログレコードくらい家にあったと思うのですが、オリジナルフル音源なんかを聴いていた記憶は全くございません。




今回ヴォイヴォドは、このEPのA面で、3ヴァージョンのウルトラマンの歌を収録しており、M1は日本語&フランス語&英語を交えてのヴァージョン。

で、びっくりしたのがM2。日本語フルヴァージョンで、なんと!私もあずかり知らない2番、3番もしっかり日本語で歌っているではないか!
聞くところによると、日本語パートは日本語堪能&日本大好きのチューウィーが歌っているんだとか。それにしても巧すぎるぜ。
このヴァージョンはデジタル配信されてないらしく、聴きたいファンは是非アナログ盤を!




このカヴァーが実に優れているのは、私も幼少の頃に興奮したあのウルトラマンと怪獣が闘う時の劇中音楽を巧みに挿入しているところ。
そして変身する時の音とか、カラータイマーの効果音なども盛り込んでて、実に遊び心に溢れてて楽しい。
M3はカラオケヴァージョンね。




今回のカヴァー曲を聴いてみて、確かにこのウルトラマンの歌の場面場面を想像させる起承転結なわかりやすいドラマ性は、16分にもおよぶVOIVODのプログレ大作「Jack Luminous」の楽曲などに通ずる部分があるかもしれない。


なお、B面は、2018年のVOIVOD35周年記念公演『Return To Morgoth 』のライブ音源が収録されている。


お正月は、親戚で集まって、このVOIVODの新作EPをかけながら、昔ジャパンで買ったウルトラマンの花めくりに興じるのもいいかもしれませんね。

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R.I.P.

2022年08月23日 | やっぱりメタル!!
本日は、80年代初頭の黎明期から、TROUBLE、The Skullなどで活躍したドゥームメタル界屈指の名ヴォーカリスト、エリック・ワグナーの一周忌。


昨年2021年の夏、エリックは忌むべき新型コロナウイルスに感染し、肺炎をこじらせ、そのまま帰らぬ人となってしまった。享年62歳。
昨年の8月までThe Skullでライブを演っていたらしく、活動中での急逝ということなのだろう。
まぁエリックは筋金入りのジャンキーで見るからに不健康そうだったので、コロナにかかったらタダでは済まんだろうなぁという懸念はあった。


私は不覚にもこの悲しいニュースを今年に入ってから知るという。
約5ヶ月遅れでひとりで「ええーーっ!!」ってショック受けてた。

で、一周忌の今日の日を機会にエリックを追悼する運びとなってしまったことをご了承下さい。


The Skullに関しては一枚も所持してないんだが(まぁTROUBLEの延長線的なバンドやろうけど)、TROUBLEはドゥーム系の中では一番と言ってもいいくらい大好きなメタルバンドで、エリックが2007年まで在籍していたアルバムは大体所持している。
カテドラルの連中や、Foo Fightersのデイヴ・グロールなんかもかなり影響を受けたとか。
TROUBLEはリフもカッコいいけど、なんといっても低音とハスキーな高音を使い分ける不安定気味なエリックのヴォーカリゼーションが魅力。




昔いきつけの大阪のメタルバーで、やたら業界に詳しいバンドマンの客がたまたま隣に座っていて、その人から「ドゥーム系で好きなバンドは何?」なんて質問をされて、正直ドゥーム系メタルバンドはそんなに知ってるわけではなかったんだが、なんとなしに「TROUBLE」と答えたら、「TROUBLE知ってはるの!!」とめちゃくちゃ感激されて、彼が組んでるドゥームメタルバンドに入らないかと激しく勧誘され、丁重にお断りした思い出がある。

まぁTROUBLEは日本のメタルシーンではあまり人気がないので、一度も来日が叶わずずっと歯がゆい思いを抱いていた。
大学の時、一緒にバンド組んでたやつらに一番ポップな『Manic Frustration』を聴かせてもまったく無反応という苦い思い出もある。
ヴォーカルのやつはガンズ大好き人間だったけど、エリックのヴォーカルスタイルは、割とアクセル・ローズと系統が似ていると思うんやけどなぁ。






そして、エリックの遺作となったソロ・アルバム『IN THE LONELY LIGHT OF MOURNING』が、今年3月にリリースされた。
まぁどうせトラブルの延長線的な内容だろうと想像はつくが、もうこれは香典がわりに購入するしかないだろう。




レコーディングメンバーには、元TROUBLEのロン・ホルツナー(b)、チャック・ロビンソン(g)、デイヴ・スナイダー(d)らが参加しているほか(まぁやっぱり殆どTROUBLEのアルバムみたいなもん)、元PENTAGRAMのヴィクター・グリフィン(g)がタイトル曲のソロを弾いているとか。





全8曲、全体的に意外と充実した湿っぽさ満開の内容で、まぁTROUBLEファンなら納得の出来かと思われる。
エリックのヴォーカルも、多少の衰えは感じさせるものの、高音域の声もちゃんと出ており、この齢まで十分安定感のある歌声を保っていたことがわかる。
多少の音痴さはまぁ昔からだし、そのB級グルメ感がエリックの味であり魅力でもある。


一度でいいから、生でライブをみたかった。


R.I.P. Eric Wagner.


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ぶっちゃけヴォイヴォド

2022年04月03日 | やっぱりメタル!!
今年2月に、バンドロゴも一新、新体制になってからのVOIVODの第二弾作『SYNCHRO ANARCHY』がリリースされ、最近ようやくしっくり耳に馴染んできたので、遅ればせながら紹介しようかと思う。


まぁ一言で言えば、前作、前々作の延長線的な内容。
正直最初聴いた時は、またも同じようなサウンドと内容にウンザリ感が否めなかった。

VOIVODの救世主といって差し支えないダニエル“チューイー”モングレインが加入し、今となってはバンドの主導権を彼がほぼ掌握していることは、本作を聴いてもわかることと思う。
とにかく、今回もチューイーの変態的なギターが縦横無尽に暴れまくっているといったところ。

ただ、いよいよテクニカルな技法を惜しみなく繰り出してくるチューイーの楽曲に対して、オリジナルメンバーの2人との格差が顕著になったように感じられる。
スネイクのヴォーカリゼーションは、VOIVODの個性としては十分に存在感はあるが、アウェイのドラミングはもうほとんどリズムマシーン程度の役割しか果たしていないように思われる。
まぁもともとそれほどテクニカルなドラマーではないんだけど、初期の頃はそこそこ派手なフィルインもぶち込めてたし、ここぞというところでカッコいいアクセントも見られた。
もう最近ではツーバスやフィルインがずっとドコドコドコドコ鳴ってる印象しかない。

ただ、アウェイはVOIVODにずっと在籍し続けている唯一のメンバーで、バンドロゴやジャケットワークなど、VOIVODの異質なる世界観の要素の1つであるアート面での役割をずっと担ってきた人物でもある。
よって、彼無くしてVOIVODはあり得ないし、ずっとバンドに居続けてほしいという、長年のファンとして温かい気持ちで応援したい所存ではある。

ただ、そのアートワークも、ここ最近単調なものが続き、ネタ切れ感と言うか、イマジネーションの枯渇が否めないんだけれど・・・・



アニメーションにするととても楽しいが。



それにしても、本作を聴いて、改めてチューイーのギターテク、アイデア満載の楽曲アレンジの巧みさに瞠目せざるを得ない。
ピギーの時のようなトリップ感やサイケデリック感は多少減退したものの、VOIVODしかあり得ない曲展開、無機質感、変態性、SF感はそのままに、そこに自身のテクニカルな技を溶け込ませることに見事成功しており、従来のVOIVODファンも納得の、ツボを押さえた作品に仕上げている。
いや~、聴けば聴くほどクセになってくるこの感じ・・・まさにVOIVODである。




で、今回もまた苦言を呈したいことが1つ。
前回も言ったけど、日本盤で出してくれるのは大変ありがたいし、ボーナスディスク付けてちょっと値段を上げて買ってもらおうとするのは全然かまわない。
ただ、約1年前に単体でライブ盤が出てんのに、同じ時期の同じようなセットリストのライブ盤を付けるって、我々VOIVODファンをなめてるとしか思えんのよ。

ライブアルバム『LOST MACHINE』出した時も思ったんだけど、どうせならライブ映像のDVD(もしくはBlu-ray)を付けてくれ。
なんなら単体で出してくれてもいい。

サイケ感施した映像もあるんだからさぁ。
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炎の伝説

2021年11月16日 | やっぱりメタル!!
人前でQEENSRYCHEの事を話すとき、思わず「クイーンズライチ」と発音したら歳がバレますよとはよく言うが、私が彼らの音楽に出会ったのは、メタルを聴き始めてまだ1年も経ってない中学1年生の頃だったと記憶している。

その頃初めて購入したのが2nd『RAGE FOR ORDER ~炎の伝説~』だった。
確かB!誌での評価が高く、彼らのシンボルマークがデーーン!とあしらわれたいかにもメタル!って感じのジャケットのカッコよさにも魅かれ、「きっと素晴らしいメタルアルバムに違いない」と、もうワクワクして最寄りのワルツ堂で買った記憶がある。




ただ、1曲目の「Walk In The Shadows」こそオーソドックスなメタルナンバーではあったが、メタル歴1年足らずだった中坊の私にはこの作品の楽曲は難解というか、クセの強い展開の曲が多くてなんだかピンとくるものがなかった。ジェフ・テイトの凄まじいハイトーンも、まだウブだった頃の私にはちょっとアクが強すぎた。

メタル吸収意欲旺盛な頃だったのでそれなりに聴き込んだが、3曲目の「The Whisper」はいいなと思ったくらいで(今聴くとこれもリズムのとり方がかなり変)ジェフが湿っぽく歌うバラード曲もなんだか苦手で、同じ時期にメタル姉が買ってきたデヴィッド・リー・ロスの底抜けに能天気な『SONRISA SALVAJE』を聴いて一発でハマりもうそっちに夢中で、姉と交渉してこのクイーンズライチのアルバムとトレードまでしてしまった。

その2年後にリリースされた彼らの最高傑作と謳われた完成度の高い見事なコンセプトアルバム『OPERATION:MINDCRIME』は展開も分かりやすくスマートな内容で私もハマった。
ま、正直クイーンズライチのアルバムはこの3rdくらいしか聴いてこなかったと言っても過言ではない。


で、最近久しぶりに梅田のユニオンに寄って盤漁りしてたら、2nd『炎の伝説』のリマスター盤が安くで売ってたので思わず購入してしまった。
この作品はもう数10年くらい聴いてなかったと思われるが、久々に聴いてみて思ったのが、あの時代に彼らはすでにモノ凄く実験的でプログレッシヴな高水準のメタルをやっていたんだなって。
私の当時の反応は、ファーストガンダムの初回放送を見さされた小学生低学年のガキの反応みたいなものだったのだ。


まず、ジェフ・テイトの含みを持ったハイトーンには他の追随を許さない格調の高さと、並々ならぬ美意識を感じないではいられない。
それは、ブルース・ディッキンソン、ロブ・ハルフォードの比ではなく、わりと系統の近いマイケル・キスクやジェームズ・ラブリエなんかよりもレベルが高い。
3rdでもハイレベルなハイトーンを駆使し、見事な歌唱力でアルバム全体を表現しきっていたが、そこには若干の落ち着きも備わっていた。

が、この2ndではもうジェフのハイトーンが常軌を逸する程に爆発しているのだ。
ただただ(頭の悪そうな80年代初期みたいな)ハイトーンっていうのではなく、そこには確かな技術と知性とが備わっている。

もうジェフのこの佇まいからして、ハイトーン王たるただならぬ威厳さに満ち溢れているではないか!



私の苦手とするメタルバラード曲も、この頃のジェフの抒情性に富んだロマンティシズム溢れる歌唱で歌われると、もう陶酔するほかない。
特にラストの口笛なんかも挿入される「I Will Remember」は、中間のメランコリックなアコギソロも含め完成度が非常に高く、珠玉の名メタルバラードナンバーと言っていいだろう。


ところで、このアルバムが当時私を当惑させ、あまりにも特殊だったのは、随所に大胆なデジタルサンプリングを施している点にその要因があったと思われる。
それが特に顕著なのが、ほぼサンプリングで構成された「Gonna Get Close To You」。

なんかニューウェイヴっぽい。これは中坊の頃の私が困惑したのも無理はない。



本作を改めて聴き直して、デジタルの絶妙な効果が発揮された曲で、雰囲気といい、特に感銘を受けたのが、「Neue Regel」であろうか。
イントロからして次作収録の「Suite Sister Mary」の元ネタ的な雰囲気があり、ジェフのハイトーンにさらにエフェクトをかけて高次元のヴォイス感を醸し、機械的なリズム音が曲全体を支配するという。アウトロのピクハモの異様なループがたまらない。
クライマックス曲ともいうべきSF映画のような雰囲気の、その名も「Screaming In Digital」のベースラインをデジタルビートで並走させるというスリリング効果も絶大。


「Gonna Get Close To You」に関しては当時7インチEPも出ており、これがなんと2枚組!
各面に1曲ずつの計4曲。



上記の3曲はデジタルアレンジが比較的顕著な例で、他「Surgical Strike」、「Chemical Youth」等、全体的にはイギリス由来の伝統的な様式美を引き継ぐ割と普通にカッコいいメタルナンバーが殆ど。
そこへ随所に効果的なデジタルサウンドを切り込むこの絶妙なバランス感が素晴らしい。




この『炎の伝説』におけるメタルとデジタルの実験的融合は、曲の表現力を拡げ、作品をよりプログレッシヴで上質なものに高めることに成功した特異な試みだと思う。
それでいて、決してメタルアルバムとしての本分を失っていないのがこの作品の凄いところだ。
この作品の特殊性やインパクトは、当時ドリーム・シアターの連中にも大いに影響を与えたであろうことも十分想像できる。


う~む、このアルバムはひょっとしたら『OPERATION:MINDCRIME』よりも重要で、メタル史に語り継がれるべき問題作かもしれない。


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GoToトラブル

2021年01月31日 | やっぱりメタル!!
知る人ぞ知るアメリカのドゥーム/ストーナー系メタルバンドTROUBLEの、リック・ルービンが設立したDef Americanからリリースされた比較的キャッチ―な2枚、4th『TROUBLE(4)』と5th『MANIC FRUSTRATION』は、日本盤輸入盤共々長年の間入手困難状態となっておって、5thはともかく4thの旧規格盤は音質がかなりよくないので「いい加減リマスターで再発してくれ」と、ずっと歯がゆい思いを抱いていたのであるが、ここ数年の内にこの2枚における不可解で紆余曲折な再発劇に、私は振り回され続けていた。




まず、2019年にブラジルのHelion Recordsとかいう得体の知れないレーベルからこの2枚が再発されていたらしく「きた!!」と思ったのだが、これを購入した方の感想を読むと、「旧規格より音質が悪くなった」という信じがたい惨状が告げられていた。
「なーーんやそれ!」と思いながらも、内容は素晴らしいので持ってない人は是非購入してほしいなと思っていたのだが、昨年末にまたしても再発の知らせが舞い込んできて、今度はなんとユニバーサルミュージックから最近よくやってる「入手困難盤復活!!HM/HR1000」シリーズにその2枚がTREATやらSTRYPERなどのアルバムと共に選出されたらしく、1000円というお手頃価格で日本盤で手に入れられるということでこれは喜ばしいことだと思ってたら、これまたリマスター盤ではないという(まぁこのシリーズはそのパターンのが多い)。
「なんでそーなるんだよ!」と地団駄を踏みながらも、ずっと欲しかった人や聴く耳のある若いメタラー達にこの2枚の素晴らしさが伝わればそれでいいかと。

ところが!もうその直後くらいにまたしてもオランダのHammerheart Recordsというところからもこの2枚が再発されるというではないか!
オランダといえば、彼らが大好きなアレが合法で一時移り住んでたという(今も?)TROUBLE所縁の国。
で、今度こそ間違いなくリマスターされているとの信頼できる情報を得て、狂喜乱舞した私はそらもう一も二もなく即予約ですわ。




そして、なんやかんやと予定日の約1ヵ月遅れで、まず最初に私の手元に届けられたのが5th『MANIC FRUSTRATION』。
本作は私が最初に聴いたTROUBLEの1992年リリースのアルバムで、確かB!誌のレビューで90点超えをマークしていたと記憶している。
そのレビューではサバス、ツェッペリンの名前はもちろん、曲ごとにキング・クリムゾンや、はたまたジョン・レノンの名前まで引き合いに出されて大絶賛されていた。
10代の後半はそこらへんのバンドを盛んに探求しておって、その頃はまだまだB!誌のレビューに影響されていた時代だったので、このいささか誇張宣伝ぎみの評価にまんまと飛び付いたわけだ。

まぁエリック・ワグナーのヴォーカルは確かにロバート・プラントをハスキーにしたような声だし、リック・ワーテルとブルース・フランクリンの両者が織りなす鉄壁の分厚いリフワークはサバス直系のものだ。
ただ、M4 「FEAR」のエフェクトを通しただけのヴォーカリゼーションをクリムゾンの「21世紀」に例えたり、M5 「RAIN」のメランコリックなバラードソングをジョン・レノンみたいだなどと例えるのはちょっと安直過ぎるにもほどがあるかと。

まぁそんな誇大宣伝に関係なく、本作が実に完成度の高い作品であることは紛れもない事実であった。
おそらく、SLAYERの『REIGN IN BLOOD』、RED HOT CHILI PEPPERSの『BLOOD SUGER SEX MAGIC』などと並び称賛されるべきリック・ルービンの名プロデュース力が発揮された傑作の一枚かと。
って、私もちょっと誇張が過ぎてる?
本来バンド側が持ってる特性を十二分に引き出し、一発でリスナーの頭に入ってくる絶妙なリックのアレンジ力はさすがと言わざるを得ない。

この曲なんかはキャッチ―ながらも、どこかマリファナの香りが漂ってきそうな彼ららしいサイケ感も醸し出している。



ただ、個人的には、極上のサウンドプロダクションに、ストレートかつキャッチーな楽曲群と、TROUBLE史上最も垢抜けに垢抜けた、いささか洗練されすぎた作品に仕上がってしまったかなと。
私にとって(この手のバンドで)アルバム1枚にバラード2曲は多すぎるし、前半はバラエティに富み流れも物凄くよかったのに対し、後半はギターアレンジとか凄くカッコいいんだけど、ちょっとシンプル構成過ぎる単調な楽曲が連続したかなと。
バンド側もちょっと自分たちらしくないとか、ルービンやりすぎだろと思ったか、あるいは、これだけキャッチ―で完成度の高いもの作ったのに売り上げが芳しくなかったことに嫌気がさしたのか、次作では再び湿っぽいアンダーグラウンドなサウンドに戻ってしまった。


学生時代、この作品を聴いていたく感銘を受けた私は、さっそく当時MR.BIGとかガンズとかやらされてたバンドのメンバーにウォークマンでTROUBLEの曲を聴かせ、「バンドでコピーせえへんけ?」と持ちかけたところ、全く相手にされなかったという悲しい思い出がある。
まぁでも今考えたら、当時のヴォーカルがこんなハイトーンでハスキーな声が出るハズないんよな。若い頃は他のパートのことなんか全然考えてないから。
ヴォーカルも「To Be With You」やりたいとか、ドラムのことなんか全然考えてなかったし。


私のやりたかった曲。
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サバス出戻りサバス

2020年11月08日 | やっぱりメタル!!
先日キタのユニオンで、タバコ臭難アリというだけで中々のお手頃価格で入手したブラック・サバスの『Dehumanizer』の紙ジャケ2枚組デラックスエディション。
(確かに開封したらヤニ臭けっこうきつかった)


1992年にロニー・ジェイムス・ディオとヴィニー・アピスが再びサバスに合流して『悪魔の掟』以来の強力ラインナップで制作された渾身の話題作だったが、当時サバス作品とも思えぬB級スラッシュメタルバンドみたいな幼稚くさいジャケットにピンとこず、見向きもしなかった。
ていうか、その頃は大御所のバンドが何をリリースしようが興味が持てなかったというか、まだ全盛期の名盤も把握しきれてない有様だったので気が回らなかったというか。

1981年のラインナップ。1992年に再び集結。



80年代に出したロニー期のブラック・サバスのアルバムは2枚ともすでに聴いていた。
ただ、ロニー期のサバスはクラシカルな様式美が混在していてカッコいい曲もあるんだけど、なんかオーソドックス過ぎて退屈な曲もわりとあって、それほどハマってはいなかった。
実をいうと、私ロニー期のレインボーもそれほどハマってなかったんよねー。なんか歌唱が暑苦しすぎるというか。
ようはロニーにハマってなかったのかもしれない。

ジャケットはめちゃくちゃカッコいい。『悪魔の掟』なんか、ほんと冒涜的でサイコー。



で、ロニー復活作である90年代サバスの音源はどうだったかというと・・・・・


いやいやどうして!めちゃくちゃカッコええーーやないですか!!
も~~、何で誰も教えてくれなかったの~~??
いや、これは、ロニー期の最高傑作なんじゃないだろうか??

本作は、タイトなリズムに徹底してダーク且つヘヴィ。
1曲目「Computer God」の冒頭からして重量感のあるヴィニ―のドラムが打ち鳴らされ、ロニーが厳めしいビブラートで歌い出す。
もうのっけから展開の激しい曲で、中盤のアルペジオからのアップテンポ展開。ここでのトニーのギターソロが「きた!これぞサバス!」って感じでもう最高。

2曲目「After All (The Dead)」はモダンでスローなドゥームナンバーで、「ロニーにこういう曲を歌わすか!」とかなり意表をつかれたと同時に、ロニーの適応力にも驚いた。いや、いままでで一番表現力の広がったロニーの歌を聴いた気がした。

3曲目「TV Crimes」はシングル曲でPVも存在する。「Symptom Of The Universe」を想起させる疾走スラッシュナンバーで、そこにいつものロニー節がのっかる感じ。

80年代を引きずった安っぽいこの典型的ダサメタルPVはなんとかならなかったのか。



そして、「Master Of Insanity」はロニーの力量が遺憾なく発揮された本作のハイライトともいうべき名曲かと。
ギーザーの歪んだベースがフィーチャーされた、節々に見られるプログレッシヴ展開も絶妙。

まぁ「Children Of The Sea」、「南十字星」らと並べるとチト聴き劣りするけど、「Too Late」のような、ロニーのあの透き通るようなクリスタルヴォイスでの様式美ナンバーも健在。

とにかく、全編通して捨て曲というものが見当たらなく、メタルが失速、迷走し始めたこの頃の作品にしては、堅実にして非常に完成度の高いヘヴィメタル作品であり、元祖ドゥーム/ストーナーバンドの貫録というものを見事に見せつけている。


ロニーが「Too Late~♪」と歌うように、本当に聴くのが遅すぎた・・・・
「28年も経ってから、今さら何興奮してるの??」と、メタラーの方たちから嘲られても仕方がない。
あの頃の私は本当に、サバスを、ロニーを侮りすぎていた。猛反省。

思えば、1992年はCathedralの出現により、ドゥーム/ストーナー系メタルの気運が一気に高まりつつあった時代ではなかったか。
この年、Cathedralは『この森の静寂の中で』、Troubleは『Manic Frustration』、人間椅子は『黄金の夜明け』と、いずれも超傑作アルバムを続々とリリースしていた。



私も上記のサバス直径のこれらの作品群を聴きまくってた時期だったのにも関わらず、同じ年に出してた大御所様の作品をスルーしていたとは・・・・・愚鈍にもほどがあるというものです。


これだけの強力な作品を完成させたのにも関わらず、この時期のラインナップは残念ながらこの1枚で終了。
ロニーはまたソロに戻ってしまったのであるが・・・

ライナノーツに掲載されていたトニー・アイオミのインタビューによると、サバス在籍時のロニーは中々難アリの人物だったらしく、歌詞を書かせても虹のことばっか書いてるっていうレインボーに未練タラタラな奴だったらしい(「虹を見~れば思い出す~~♪」みたいな?)。
あと、『Dehumanizer』制作時、最初レコーディングに参加していたコージー・パウエルともだいぶ確執があったらしく、交代で入ったヴィニ―ともウマが合わなかったとか。
トニーも苦労してたんやな。


思えば14年前のラウドパークで初にディオのライブを観た翌年、Heaven And Hell名義でまたこの時のラインナップで集結して来日したんだっけな。
その時もこの『Dehumanizer』から何曲か演ったと聞いている。
このライブを見逃したのはほんと不覚だった。
ヘタしたら14年前のディオのライブの時も、こっから演ってたかもしれない。
知らない曲は全部ディオのソロ曲だと思っていたので。


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ニコニコギター

2020年10月11日 | やっぱりメタル!!
10月7日、NHKの朝っぱらからの報道番組で、突如VAN HALENのニュースが流れた時は、「え?なんで?!」となった。

そして、それはあまりにもショッキングなニュースだった。


エディ・ヴァン・ヘイレン死去。


私を含め、メタル、ハードロックを愛聴する者の殆どがこの訃報にはショックを受けただろうし、ツイッター上でも朝から大変な騒ぎで、音楽ライターや全世界中のミュージシャンから嵐のような追悼ツイートが続々寄せられていた。

まぁでもハードロックや音楽に興味ない若者にとっては「エディ・ヴァン・ヘイレンて誰?」ってなった人も少なくなかったのではないだろうか?
「まぁ有名なミュージシャンなんだろうな」ってぐらいで軽く流されていたのだろう。

おそらく一番馴染みどころではこの曲のシンセフレーズをつくった人ってことでピンとくるかと。



「なんだキーボード上手い人だったのか」と早合点してはいけない。中間のエディがニコニコとした余裕の笑顔で弾きまくるギターソロシーンを見てほしい。
今の若者の感覚ではどってことないと思われるかもしれないが、この右指で弦を高速でハジくという“ライトハンド”というギター奏法を世に広めた人物こそ、このエディだったのです。
まぁ左利きの人がこの奏法をやったら“レフトハンド”になるので、このピックを使わず指でハジく弾き方を総じてタッピング奏法と呼んでおります。

「Jump」はヴァン・ヘイレンの大ヒットアルバム『1984』に収録されていますが、当時私はまだ小学生で洋楽にハマりだした頃だったとはいえ、このバンドには認識がなく「Jump」はよく耳にしていたとは思うけど、それほどひっかかる曲でもなかったんだと思います。




まぁエディの関わった曲として、一般的に最も有名なのがマイケル・ジャクソンのこの曲かと。
中間の切れ味鋭いギターソロを弾いているのがエディ。




中学に入学すると同時にメタル狂時代に突入し、そこでようやくエディの存在を認識します。
ヴァン・ヘイレンの作品で最初にリアルタイムで聴いたのは、ヴォーカルがサミー・ヘイガーに交代してからの作品『5150』で、まずそのダイナミックなサウンドに興奮したのを覚えています。
ちなみに、この『5150』というタイトルの由来は、エディ家の裏庭にあるスタジオの名前からきてるもので、まぁエディのトレードナンバーみたいなもので、車を運転しててもし「5150」のナンバープレートの車を見かけたら、その運転手は99.9%ヴァン・ヘイレンのファンで、車中では「Good Enough」が爆音でかかっているんだなと思ってもらって全然かまいません。
YAZAWAステッカーばりにけっこう見かけますんで、日本でもエディがいかに愛されてるかが窺い知れようというものです。




ただ、私がエディのギターの魅力に初めて気づいたのは、「Hot For Teacher」のPTAの親御さんらが観たら激怒すること間違いなしの、80'sアメリカンバカな(但し完成度はすこぶる高い)破廉恥PVをMTVで目撃した時でした。
同時に観た「Panama」での強弱のサジ加減の絶妙なエディのプレイも秀逸だったが、「Hot For Teacher」の冒頭からのド派手なライトハンド奏法に、中坊のメタル少年であった私は一発でノックアウトされたのでした。




このPVを見て興奮した私は、「サミーもいいけど、やっぱヴァン・ヘイレンはデイヴ時代だな」と、『5150』以前の作品全部を集める決意を胸に中古レコード屋に赴きたまたま安くで見つけたのが3rdアルバム『Woman and Children First(暗黒の掟)』だったのでした。




まぁこの作品確かに「Loss of Control」みたいな疾走感のある派手な曲も存在するんですが(この曲はパンテラのあの曲の元ネタとか)、全体的になんか地味な作風で最初「ん?」てなったが、「Fools」、「Take Your Whiskey Home」など、なんだか渋くてクセになってくる曲も多く、今なお愛聴してるスルメアルバム。
ただ、アナログ時代に意気込んで購入したのは結局この1枚だけで、あとは中古CDと、レンタルで何枚かかりたくらいに留まってしまった。
それほどヴァン・ヘイレンにはハマらなかったってことです。


スイマセン、あんまリスペクト&追悼記事になってませんね。
エディがいかに世界中のギタリストや日本のギター小僧たちに影響を与えたか、エディのギタープレイがいかに別格であるかは、他の大勢の人たちが散々語ってくれていると思いますので、ググってみて下さい。

以前にも紹介したと思うのですが、個人的にエディのギターテクニックの凄さが集約されてる映像がこれだと思うのですが。

途中ちょっと失敗してる?



最後に7年前、大阪市中央体育館で見た最初で最後のエディの雄姿の写真を貼っておきます。




R.I.P. Edward Van Halen ......
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狂気のスラッシュ感染 T T エフ

2020年02月22日 | やっぱりメタル!!
とどまることを知らないこのたびのコロナウィルスの猛威。

相次ぐイベント事の中止。

そして、昨年から心より楽しみにしていた大阪での一大イベントまでにも影響が・・・・・




念願だったVIO-LENCEの初来日が決定した時は、もう歓喜した。
まさか日本で彼らのライブを拝める日が来ようとは・・・・・
TTFの主催者さんには、もう本当に感謝しかなかった。
初めて二日間の通し券を購入することを決意し、もうワクワクでいっぱいだった。
昨年の秋頃から車ん中でこれらをガンガンかけては、この曲のこの展開で江坂MUSEのフロアでモッシュが沸き起こる様を想像してはトリハダを立たせていた。




そして先月はこんなビックリクリクリニュースまで!



風貌はだいぶ変わってしまって、よくいるアメリカのバイク野郎みたいなヤンキーになっちまったが。
OVERKILLの初来日が終わってすぐぐらいにバンドを脱退しているので、彼が日本の地に上陸するのは実に30年ぶりということになる。
私はクローゼットからこのTシャツをそっと取り出し、TTF当日は絶対こいつを着ていくんだと心に決めていた。




だが、そのワクワクも一瞬にして泡と消えてしまった。
キャンセルの知らせを聞いたときは、本当にショックで愕然として力が抜けた。
しかももう片っ方のヘッドライナーであったSacred Reichまでもが来ないという・・・・
いずれもアメリカのバンドだ。
いったい何が起こってるんだ?
じゃあ誰を見ればいいのか?


そこで浮上したのが、今回TTFでシークレットバンドとして最終ラインナップで発表されたこのバンド。



てかMINDWARSて誰やねん!!て思たら、なんと元HOLY TERRORのギタリストさんの最近のバンドらしいですね。
HOLY TERRORの2ndアルバムのタイトルをバンド名に冠してることから、その路線のスラッシュメタルを奏でているかと思われる。

HOLY TERRORは高校の時レンタルでかりてダビングしたテープをまだ所持してた。
ただ、今の今までほとんど聴いてなかったんだよねー。



なので急遽ネットでHOLY TERRORの1stと2ndの2枚組セットのCDをネットで取り寄せて、改めて聴いてみると・・・・・

なんやなんや、けっこうカッコええやないですか!
RAGEとかを彷彿とさせるちょっとパワーメタルよりの音楽性だが、80~90年代スラッシュ特有のバカっぽい獰猛さや疾走感もあって、Voのトチ狂った歌い方もいい感じ。
今回HOLY TERRORの楽曲からも数曲やってくれるとのことなので、もうこのバンドで楽しむしかない!!


と思っていた矢先、さらなる悲報が・・・・・・



急遽ピンチヒッターでかけつけてくれようとしていたAT WARも都合がつかずで・・・・
なんと米スラッシュメタルバンド勢が全滅!!
なーーーーんやそれ!!

「イカつい面してイカつい音楽やってて、コロナウィルスにビビったかこの腰抜けメリケン野郎ども!!」
と、怒りを露わにしてる方もいるかと思いますし、私自身一瞬米勢にただならぬ怒りがこみ上げてきました。

でも今回アメリカのバンドばかりがビザの都合がつかなかったとなると、これはもう国が動いたとしか思えないんですよね。
確かに感染性の強い悪質のウィルスが蔓延してる日本にヘタに渡航して、人の大勢集まるイベントに参加して帰国されたら、もし菌を体内に持って帰ってきたとなると、これは本人だけの問題じゃあすみませんからね。
だいたいロンゲやし感染率もすこぶる高い!
このたびの日本における忌々しき事態のことを考えたら、イベント事は中止、少なくとも延期するというのが妥当なのかと。


それにしても、今回のことで一番悲痛な思いをされたのは間違いなくTTFの主催者さんですよね。
それはもう最初の文面を読めば、それがヒシヒシと伝わってきます。
大阪の一介のメタル専門のレコード屋さんが、自腹で毎回開催してくれてはるイベントですからねぇ。
これだけ準備するのも大変だったと思うし、今回もなんとかしようとギリギリまでアーティスト側と交渉してくれたそうです。

まぁRivergeの方がアップされたコメントをここに添付しておきましょう。


今やマンネリ化したThrash Dominationより何倍も価値のあるスラッシュフェスとなったTTF。
全国、いや全世界各地から筋金入りのスラッシャー達が大阪へと遠征してくる。

このフェスが開催されるまで、Possessed、Assassin、Razor、Whiplash、Sacrifice、Blood Feast...etcなどのレアなスラッシュメタルバンドを日本で拝めるなんて誰が思った?
毎年秋頃になると、今年のTTFはどんなビックリなバンドを呼んでくれるんだろうって、ワクワクしながらRock Stakkの情報をチェックしていた。

昨年は海外にまで(ドイツ)進出したTTF。



こんなステキなイベントがもうなくなってしまうのかと思うと、残念で仕方がありません。
主催者さんの気持ちを思うと、「やめないで続けて!!」なんて勝手なお願いするのはちょっと無理な気もいたします。

今回のTTF、正直みたいバンドがほとんどなくなってしまいましたが(つか知らんバンドばっかり)、行きます。
二日間とも。どうせヒマなんで。

もう行ってヤミクモにモッシュするしかないでしょ!
あと,、東西のスラッシャーさんたちとワイワイダベる。
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いまさらTANK

2019年07月14日 | やっぱりメタル!!
MOTORHEADのエディ・クラークに見出され、NWOBHMの重鎮的存在であったTANKのまさかの来日の知らせを聞いたときはビックラこいた。
と同時に、TANKの現在のやるせない実情を聞かされ、かなり残念な気持ちにもなった。

現在のTANKは、83年、84年に加入したミック・タッカー(Gt)とクリフ・エヴァンス(Gt)を中心としたTANKと、オリジナルメンバーであるアルジー・ワード(Vo/B)による同名のTANKに分裂しそれぞれ活動中なんだとか。

で、今回来日するのは、じゃない方TANKと申しますか、ミックとクリフによるTANKの方であり、ボーカルはPINK CREAM 69のデイヴィッド・リードマンが担当しているとのこと。
今年このメンバーでTANKの往年の楽曲をセリフカヴァーしているアルバムも出しており、TANK大好きのSODOMのトム・エンジェルリッパーもゲストで参加しているそうな。
ヨウツベの方でその音源を視聴してみたけど・・・・これはいりませんかね。


とか四の五の言ってますが、自分実はTANKそれほど好きっだったわけではないんですよね。
ハッキリいってドがつくにわかです。


TANKは中坊の時、ドハマリ中だったMOTORHEADの弟分ということで興味を抱き、京都のメタル中古レコード屋アビスで4th『血まみれの栄光』のレコードを発見して、期待に胸を膨らませて購入したのが最初だった。



ただ、レコードの針を落としスピーカーから繰り出されたそのサウンドは、自分が期待していたものとは随分違ったものだった。
確かに1曲目「The War Drags Ever On」なんかはMOTORHEAD直系の爆走メタルナンバーだ。
しかし、当時私が求めていたようなソリッドな感じのリフではなく、ちょっと鈍り気のあるサウンドでなんだか迫力に欠ける。
そしてアルジー・ワードのもっさりとした男くさ~いヴォーカル。
確かにレミーと同じ系統の、喉の調子が常に悪そうな感じのダミ声ヴォーカルなんだが、レミーほどの極悪強烈さは感じられず、なんかスゲー音痴やなぁ~ってのがファーストインプレッション。
バックコーラスもあんま迫力ないし(とくにラストの「KILL!!」のコーラス)。

で、TANKはこの1枚だけで、それ以上追及することなくメタル中学時代を終えた。
高校の時、SODOMのポップなアルバム『Better Off Dead』を購入し、その中に収録されていたTANKのカヴァー曲「Turn Your Head Around」がメチャクチャカッコよくて、どうやら『Filth Hounds Hades』てアルバムに収録されてるらしいが、その頃はメタル以外のいろんな音楽を探求していたこともあって、TANKの初期作品まで気がまわらず、そのうちメタルにも興味をなくしちまって・・・・

そして歳月が流れ、TANK諸作品は時々ひっそり再発とかされてたらしいが、現在まで長年入手困難な状態にあった。


で、この度の来日興行に乗じて、ひょっとしたら・・・ひょっとしたら・・・って思っていたら・・・・


キターーーーーーーーっ!!!!

TANK 『1981-1987 5CD-BOX Set』日本盤リマスタ&紙ジャケで再発!!

紙ジャケっすよ!紙ジャケ!

TANKマニアの店長が経営してる大阪のメタル専門店ROCK STAKKがいち早く予約を受付。
7月中旬頃といっていたが、なんとかTANK来日前に届けてくれた。感謝!!(すでにソールドアウト)



それにしても、我ながら思い切った買い物をしたもんだ。
正直1枚聴いただけで見限ったにわかの私が、この豪華で高価なBOXセットを躊躇することなく購入に踏み切ったのは、おこがましくいささか勇み足が過ぎたかなと。
当初TANKは初期作品1枚か2枚入手できるくらいでいいと思ってたんやけど。

まぁTANK初期作品はまた当分手に入らんと思うし、一瞬で売り切れ廃盤になることは必至やったので。


今回大阪公演のみ、ROCK STAKKさんの計らいで枚数限定のステキなTANKロゴデニム柄仕様チケットも販売された。
私はこのチケットが欲しかっただけなのかもしれない。


 
で、やっぱり初期作品はカッコいい!!
『Filth Hounds Hades』もいいけど、個人的には2nd『反逆の戦士』がツボだった。
なんか70年代B級ハードロック感があってすごい自分好み。シャリシャリ感のあるチープなリフで、シンプルながら実にカッコいいフレーズがバンバン繰り出される。
で、今更このアルジー・ワードの音痴ぎみのもっさりとしたヴォーカルの味というものがとてつもなくカッコよく感じられてきた!

4th『血まみれの栄光』も、聴くのはヘタしたら中学以来になるのかな、いやいやどうしてめっさカッコええやないですか!!
男くさいメタルをやる中でも、シンセとかメロいコーラスとか導入してドラマティックさを加えることによって、初期のようなモタヘクリソツ路線からの脱却を図っているようでもある。当時はそこが気に食わなかったのかも。
でも、曲の展開とかけっこう覚えていて、なんだかんだ当時よく聴いてたんだなって。


いやいや、TANK作品はどれも素晴らしい!
もう今までないがしろにしてきた己の浅はかさを恥じるしかない。
特に初期2作品のトリオバンドらしいチープなサウンドが好き。ハッキリいってこの楽曲やるのに5人もいらん!
アルジーのVoもTANKには欠かせない要素だと思う。

それだけに、この度のアルジー不在のTANKは、期待しろっていう方が無理かもしれない。
でも往年の名曲でなんとか盛り上がろうかと思う。


Tank - Turn Your Head Around (HQ audio)
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絶対ヴォイヴォド。

2019年01月14日 | やっぱりメタル!!
今週いよいよVOIVOD初の単独来日公演。

みなさん、心の準備はできてますか?
気持ちをサイバーパンクモードに切り替えられてますか?

こちとら正月休み明けてから、職場でいろいろあって、ヴォイヴォド休暇取るのに若干のてんやわんやがございましてねぇ。
ライブ日に勝手に講習の予定を入れられてたりと「何さらしてくれとんじゃ!」という感じでした。
まぁなんとか金曜の休暇は確保できたんですが、今週土曜出勤だったことに気づかず、誤魔化しを塗り重ねてかなり気まずい雰囲気となりました。
でもヴォイヴォドのライブを観ることを考えると、そんなこたぁ気にしてられんワケでございます。
VOIVODが最優先!VOIVOD第一!VOIVOD OR DIE!当たり前のことです。


さて、VOIVOD初単独来日に向けて、何か語ろうかと思ったんですが、まぁ当ブログでヴォイヴォドのことは散々書いてきておりますので、今更語ることは何もないんですよね。

ヴォイヴォド最高!それだけです。

なのでトップ写真にもすでにだいぶ滲み出ておりますが、私の自慢のVOIVOD思い出アイテムを見せびかしながら、是非押さえておきたいマスト作品群でも紹介していこうかと。


まずは、私が中坊の頃初めて入手したVOIVODのアルバム『KILLING TECHNOLOGY』



当時MTVでこの奇抜でパンキッシュなPVとの運命的な出会いをしてからはもうVOIVODにゾッコン。
さっそく自転車こいで近場のワルツ堂に行って、上のVOIVODの3rdアルバムを取り寄せたのでした。



3rd『Killing Technology』と、個人的最高傑作の4th『Dimention Hatross』は、2年前にリマスター音源が各々ライブCD+ライブDVD付きの3枚組で再発している。
この2枚から演奏される曲は多いと思うので、要チェケラッチョ。



これは中学生の時にダビングしたアナログ音源のテープ。
ラベルにアウェイの考案したオリジナル書体を一生懸命コピーして曲名を書いた。
学校に行っては毎日のようにクラスのスラッシュ友達とヴォイヴォドのPVなどについて語り合っていた。
この頃はとにかく毎日が充実していた。



あと、廃盤になって久しかったあの90年代VOIVODプログレ三部作も、昨年ユニバーサルの「入手困難復活HR/HM1000」という企画で1000円という廉価盤で再発している。
最新作『THE WAKE』のプログレッシヴ感が気に入った方は、是非入手することをオススメしておきます。
テクニカル云々とかではなく、革新的(=プログレッシヴ)っていうのはこういうことなんだぞ!っていうのをこの3作が教えてくれています。



さぁ、いよいよ人肉喰戦士集団の日本襲来だ。

ガスマスクを装着して待て!




今日の1曲:『Warriors of Ice』/ VOIVOD
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やっぱりヴォイヴォド。

2018年11月10日 | やっぱりメタル!!
VOIVOD三度目の来日公演が決定した。
そう、今年はVOIVOD35周年という節目の年。まぁ日本ライブは来年1月やけど。
しかも今回は初の単独ライブ!!
こんなにうれしいことはない・・・・・・・
http://www.marquee.co.jp/live/voivod2019.html

インタビューでは単独で大阪にも行ってみたいとほのめかしていたが・・・
今のところ渋谷はTSUTAYA O-WESTの1公演のみ。
確かに今の関西のメタルシーンはショボすぎるからなぁ・・・
まぁVOIVOD観るため東京まで遠征するのも仕方ないさ。
全国大勢のVOIVODフリークたちと共にワイワイ盛り上がるほうが絶対楽しいと思うし。


さて、2016年に予告編的なミニアルバム『POST SOCIETY』をリリースしたっきり音沙汰のなかったVOIVODであったが、通算14作目となる待望のフルレンスアルバム『THE WAKE』が私の手術中、自宅に届けられた。



5年前“故ピギーの意志を受け継ぐ者”チューイーことダニエル・モングレイが正式加入し、全面的にVOIVODの異質な楽曲作りに携わるようになったが、その第一弾『TARGET EARTH』は、「ピギーという絶対的なオリジネイターを無くしてVOIVODの存続はありえない」と失望感に打ちひしがれてた我々VOIVODフリークたちを驚愕歓喜させるほど上々のデキであった。

メンバーのみならず、従来ファンの絶対信頼を得たチューイー加入後の第二弾『THE WAKE』であるが、今回のデキも実に素晴らしい。
まぁVOIVOD好きならハマらないことはないであろうVOIVODフリークスのツボを見事についてくるフレーズが目白押しとなっおり、悶絶必死である。
つまりダニエル・モングレインという男はそういうツボをちゃんと熟知している野郎なのだ。にくいねこの!
巷では7th『THE OUTER LIMITS』以来の傑作!と褒め称えられているが、個人的には物語の見えてくるわかりやすいあの作品ほどのイマジネーションは感じられなかったが、今回も一応VOIVODお得意のSFサイバーコンセプトアルバムに仕上がっている。

今回も全曲にアウェイ画伯によるステキな挿絵がついている。



まぁVOIVODのあまりにも個性的で唯一無二の特異な音楽性は、通常のメタルリスナーにとっては難解かもしれないが、やはりチューイーの演奏技術的にテクニカルな要素は、初期のVOIVODの楽曲に比べて幾分かとっつきやすいものになっているかと。
複雑怪奇な楽曲が並ぶ中でも、アルバム中最もストレートでメロウな1曲目「Obsolete Beings」などは、チューイーの流麗なギターソロも冴えていて初心者の方でもいけるんじゃないかと。




2曲目「The End Of Dormancy」の怪しくムードある雰囲気からの怒濤のプログレ展開は、フロイドの長編アルバム『THE WALL』にも通ずるものがあり、摩訶不思議VOIVODワールドが約7分間で一気に体感できるといったような見事な構成。この時点でVOIVODフリークスはすでにノックアウトだろう。
3曲目「Orb Confusion」は、メタルヴォーカルの常識から全くかけ離れた独特の表現力を持つスネイクの奔放でパンキッシュなヴォーカリゼーションが映える、改めて彼の存在の重要さを知らしめるナンバーだ。

そして、本作のハイライトといってもいいのが4曲目「Iconspiracy」であろう。
『RRROOOAAARRRR』や『KILLING TECHNOLOGY』あたりの楽曲を彷彿とさせるサイバーパンキッシュなザクザクとしたリフがベースとなっているが、学校で音楽教師をしているというこのチューウィーという男、やはり一筋縄ではいかなく、彼の人脈で今回弦楽器奏者をレコーディングに招き、なんと自ら指揮をとってオーケストレーションを楽曲の中に導入してしまうという、VOIVOD史上前代未聞の試みを敢行している。まぁこれはちょっとした味付けでVOIVODファンは最初ギョッとさせられるかもしれないが、それほど違和感はなくなかなかの演出効果をもたらしている。
それよりこの楽曲のスリリングさが素晴らしい!もうこの最高すぎるアニメーションPV共々VOIVODのSFサイバーパンク趣向が見事に爆発した至極のナンバーだ。




以降も、VOIVODしか創り得ないサイケデリックで混沌とした個性的な楽曲が並び、まぁ捨て曲というものがない。
ラストの12分に及ぶ長編曲「Sonic Mycelium」のデキも素晴らしいんだが、それまでの楽曲がアイデア満載の秀逸曲だらけなもんだから、ちょっと物足りなく感じてしまうほどだ。

まぁチューウィーはピギーの作曲論法を研究しつくしていて、VOIVOD従来のリフや曲展開をかなり踏襲してはいるんだが、ピギーと違う所といえばやっぱサウンドのクリーンさとギターソロだろうか。
ピギーはやっぱ感覚的なサウンド作りが特徴で、ソロなんかも手グセが効いているのに対して、チューウィーのソロは実にテクニカルでメロディアスで流麗である。
そのチューウィーのテクニカルな要素とアイデアは、VOIVODにまた新たなる科学反応を起こさせ、進化をもたらしたといっていいだろう。


この素晴らしい内容の作品に水を差すようだが、苦言を呈したいことがひとつ。
VOIVODの作品がいまだ日本盤でリリースされることは大変ありがたいし、だからこそ実現した今回の単独来日だと思う。
ただ、日本盤に付いてくる二枚目のボーナスディスクの内容であるが、2年前にリリースされたミニアルバム『POST SOCIETY』全曲をまんま収録するってのはいかがなものかと。
重複もええところやんけ!まぁ申し訳程度に6曲ものライブ音源が収録されてるので値段的には妥当かと思われるが。
前回未掲載だった「FALL」と「SILVER MACHINE」の挿絵も付いてきたしよしとしよう。




今日の1曲:『Event Horizon』 / VOIVOD
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テクノスラッシュ

2018年07月01日 | やっぱりメタル!!
届かない。
またしても、届かない。

CORONERが届かない。

メタル途上国スイスのメタルバンドといえば、KROKUSやCELTIC FROSTがよく名を知られてると思われるが、そのスイスメタル界の秘密兵器とされたのが、彼らの少し後に出現したCORONERだ。
つか彼らは元々CELTIC FROSTのローディーだったんだけど、まぁここらへんの関係は当時の狭いスイスメタル界ならではの実情が窺い知れる。

そのCORONERの初期3作、及びインターバルを置いて後期の2作品も続々と初リマスタで再発されるという奇跡がこの度実現した。
CORONERの諸作品は長年入手困難となっており、まぁ全国のスラッシュ好きは歓喜したかと思われる。
そらアンタ、一も二もなくオンラインで即予約ですよ!

ただ、初期3作は最初最安値のTレコードで予約してたんだが、発売予定日2週間を過ぎても届けられる気配がなく、「こらアカン」と思い急遽Tレコードの予約はキャンセルし、ディスクユニオンのオンライン発注に切り替えた。
いやだって、この手の再発盤はプレス数も少なく、このまま40日間くらい入荷のメドが立たず、即品切れ廃盤になる可能が大いにありうるからだ。
そうなったらアンタ、悔やんでも悔やみきれまへんで。


まぁCORONERの初期3作は一応日本盤で所持してはいた。
MEGADETHが“インテレクチュアルスラッシュ”というメタル形態を打ち出す中、当時CORONERは同じような方向性で“テクノスラッシュ”なんて呼称されてたらしいけど、スラッシュブームだったとはいえ、そんな呼び名日本では全く浸透していなかった程にCORONERの存在は知られてなかったと思う。

CORONERに出会ったのは中学生の頃、京都市内のじっちゃんが住んでた家の近くのレンタルレコード屋の処分品の棚で1st『R.I.P』を見っけて購入したのが最初だった。
セルティックの弟分ということでけっこう期待してたんだが、中坊の頃の私には、このいわゆる“テクノスラッシュ”なCORONERの音楽は少々難解だった。



一発目の「Reborn Through Hate」のイントロこそゾクゾクするほどカッコいい名リフで始まるが、とにかく曲構成がムダに複雑で確実にセルティックよりは演奏テクニックは長けているのだが、表現力や曲の完成度は低かったように思う。
そしてこのバンドのウィークポイントとしては、ヴォーカルの弱さ。
まぁベースのロン・ロイスが兼任しているという形だが、なんだかハッキリしないダミ声を発してる感じで、演奏にかき消されそうなほどに弱いのだ。
そして、ギターのトミー・T・バロンの露骨なネオクラ趣味。
とにかく弾きまくりギタリストで、インスト曲「Nosferatu」などはイングベイの1stに入ってそうなナンバーでなんだかなーという感じ。
1stは何回か聴いたんだが、1曲目をのぞきあまりピンとこないままレコードプレイヤーが壊れてそれっきり聴けてなかった。


その後しばらくCORONERには全く関知してなかったが、高校卒業後くらいに「仮面のジャッカル」のPVを目撃し、「そういえばCORONERってバンドのアルバム持ってたなぁ」みたいな感じで思いだし、ビクターから発売された2ndと3rdのカップリングCDをどっかの中古屋で発見しもう一度チャレンジしてみる気になった。

1988年作2nd『PUNISHMENT FOR DECADENCE』は、まぁ相変わらずというか、1stの延長線上的な仕上がりで、まだまだトミーのネオクラ趣味が濃厚。
ただ、楽曲は相変わらず無理にこねくり回したようなものが多く、音質も悪いし疲労感がハンパないが、スラッシャーのツボをつくリフ展開も増えてきた。
最後の蛇足的なジミヘンのカヴァーはこの時代ならではのご愛敬。




そして1989年、満を持して発表された『NO MORE COLOR』であるが、まぁハッキリ言ってCORONERの最高傑作にして、スラッシュメタル史上に残る大名盤と言ってもいいだろう。

もう1曲目のドロドロドロドロドロ・・・・とフェイドインしてくるイントロドラムからしてたまらない!
ヨーロピアンスラッシュ特有の寒冷地帯そのままの独特の冷たさ、そして曲構成の複雑さはそのままに、絶妙すぎるほどにクオリティの高い曲展開、ザックザクで粘着質な名リフの応酬、そしてスラッシュメタルバンドたる獰猛な疾走感・・・・・
本作には全編に渡ってそういった極上の要素が詰めに詰め込まれている。

トミーはようやく己のネオクラ趣味のクサさに気づいたのか、弾きまくるギターソロにも知性が備わり、名実ともに“インテレクチュアルスラッシュ”の極意を極めた感がある。
そこにロンのベースが絡むユニゾンはもう絶品である。

ヴォーカルは相変わらず弱い。が、もうそんなことは気にならないほどに各楽曲のクオリティが高い。
まぁメタラーの中にもいまだ歌はメロディやサビがないとダメとか、ガテラル、ダミ声に拒絶反応を示す不寛容な方がけっこういて、そういうヴォーカルの要素もひとつの“音”としてとらえ、本質的な意味で音楽を楽しめる素質がないと、DOOM、VOIVOD、そしてCORONERのような異質でアヴァンギャルドなメタルバンドの良さはなかなか理解してもらえない(まぁ結局は嗜好の問題かもしれないが)。

近年では機材スペックも上がり、演奏テクニックも著しく優れたプログレッシヴデスメタルみたいなバンドがゴロゴロ存在する時代になったけど、彼らはそういった先進的すぎることを機材もレコーディング環境も悪かった90年代以前からやっていたのだから時代が彼らに追いついてなかったというか、早すぎた先鋭部隊と言わざるを得ない。




で、CORONER第二弾リマスタシリーズ、『MENTAL VORTEX』と『GRIN』の2枚を最安値だったHMVで予約していたのだが、発売予定日を過ぎて、やはり届かないという憂き目にあっている。
ディスクユニオンHPでは、この2作の発売予定すら掲載されてない。
どういう状況で出荷遅延が発生しているのか?世界中から注文が殺到し、日本では商品が確保できない状況なのか?
いずれにせよ、ほんまにもどかしいったらありゃしない。
なぜにCORONERの音源を入手するのに、これほどの困難がつきまとうのか?

思えばリリース当時、この2作はビクターより日本盤が出てるんだから、CORONERにはなかなか寛容だったんよなぁ、日本。

あと、残るラストアルバム『CORONER』の再発の見込みはいかほどか?
そしてスラッシュファン待望の初来日の可能性は?


今日の1曲:『Mistress Of Deception』/ CORONER
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ウジャアー

2018年02月10日 | やっぱりメタル!!
さて、大阪名物TTF前夜となった今宵。
もうなにも書くつもりはなかったんやけど、BLOOD FEASTの1987年作の1st『KILL FOR PLEASURE』聴いてたらなんか無性に言及したくなってきて。


とにかく見てよ。この「おじゃましまんのやわぁ~~あああ」みたいな頭の悪そうなジャケット。
安心して下さい。本当にこのジャケまんまの音楽性ですので。
まぁ当時のB!誌なら軽く20点、いや、10点以下の評価でこき下ろされてたことは想像に難くない。

曲名も見てよ。

「Cannibal」、「Vampire」、「The Evil」と、小学生低学年レベルのネーミングですよね。

サウンドは劣悪そのもの。
シャリシャリのギターリフ、おまけになにも考えていないようなギターソロ。ドタドタしたドラム。ベースはニブく歪んでいる。
ヴォーカルも粗暴そのものだが、エクソダスのポール・バーロフとスティーヴ・ゼトロ・スーザを足して2で割った感じにも聞こえる(まぁポールほどトチ狂ってはいないが)。
そして全編にわたって暴虐性剥き出しでわめきちらしている。




ただ、不思議なもので、この頭の悪そうな感じがだんだんとクセになってくる。
少なくとも、最近のポップになったTANKARDの作品や、ゴリゴリになったSACRIFICEの作品よか聴いててよっぽど楽しめる。

あと、カップリングの88年のミニアルバム『FACE FATE』になるととたんにサウンド、演奏共にクッキリかつシッカリしてて聴きやすくなっている。
1stからの数曲をリメイクしているが、演奏面ではほぼアレンジなし。B級感はそのままに。




BLOOD FEASTは3年前にもTRUE THRASH FESTに出演しており今回は2度目。
その初来日公演、TTFに参加したクサれスラッシュマニアどもの間ではなかなかの評判を得ていたと聞いている。
だから私もなんとなく大本命のSACRIFICEよりも期待していたりする。


明日のライブ、江坂ミューズのモッシュピットでこんなねーちゃんと一緒に盛り上がれたらなぁと。



今日の1曲:『BLOOD LUST』/ BLOOD FEAST
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