AMASHINと戦慄

~STARLESS & AMASHIN BLOG~
日々ブログレッシヴに生きる

時空の舞踊

2017年11月26日 | コンサート
今秋もやっぱり原始神母のライブに行ってきました。
今回は、先月Zeppで上映されたデヴィッド・ギルモアの絶響フィルムコンサート『ライブ・アット・ポンペイ』を目撃してちょっと感銘を受けたという、よりによって普段全然ピンク・フロイドを聴かない姉を伴ってのライブ観戦。
会場はお馴染み、神戸チキン・ジョージ。


神戸のスパのフロントには靴磨き屋がいる。なんとなくヒプノシス的?



三宮に着いて腹ごしらえに寄ったスパ内のガストが人手不足で、メシを食い終えた頃には開場時間がとっくに過ぎてしまって急いで会場までかけつけると、すでに長蛇の列。
まぁ整理番号から余裕で座れるだろうと思って入場すると、座席がフロアの半分くらいしか用意されておらず、すでに満席。まさかの立ち見ライブ観戦となってしまいブルーな気持ちになる。
この手のプログレバンドの長丁場のライブで立ち見っつーのは今回が初めてかも。
2年前、初の原始神母のライブでこの神戸チキン・ジョージで見た時は、開場してしばらく経ってから入場しても余裕で座れたのに・・・・・
つまり動員が各段に増えたってことですわな。

にしても、今回はやたら外人が多かったな。
外人は酒飲みだから、ライブ中も何回も私の前を横ぎり酒を補充しにウロつくので鬱陶しいことこの上なかった。
まぁでも程よく盛り上がってくれてるのはいい感じだった。


原始神母第一部は、いきなり『狂気』完全再現でマジかと思った。




イントロダクション「Speak To Me」での狂笑とスクリームは、今回も扇田裕太郎氏、そして今年新たに加わった冨田麗香さんによる実演。
この部分はなんだかいよいよ演劇めいてきたな。

気持ちよさそうに夢心地のフレーズを奏でるシャケ。



初見の方たちにとって、この凝りに凝った神秘的な照明ワークだけでもかなり見応えがあったと思う。

これは「狂ったダイアモンド」サビでの照明。



今回も扇田氏による弾き語り「翼を持った豚」が奏でられた時は少し期待した。
扇田氏は「Comfortably Numb」の冒頭の歌もそうだけど、ロジャーの憂い感を出すのがほんとうに長けている。


そしてこの後、「犬」がくるのか、「豚」がくるのか?「羊」がくるのか?


ンメェェェェ~~~・・・・ンメェェェェェ~~~~・・・・ンメェェェェェ~~~~~


今回も羊かーい!
個人的には犬演ってほしかったな。


「Another Brick In The Wall」では、キーボード2人によるロングバトルも。



正直、今回原始神母マジックはあまり感じられなかった。
それもそのはず私もこれで4回目だ。最初の衝撃、新鮮味は当然薄らいじゃってますよ。
それに今回のセトリは今まで演奏された70'sフロイドの総括的なもので、未聴曲1曲もなかったしね。
大好きな「原子心母」は演ってくれないし。
相変わらずのテンコ盛りセットではあるんだが、+αほしかったな。「SUMMER '68」とか。


まぁ今回が初めてなオーディエンスがかなり来場されてたと思われるが、その人たちの歓声や感激の声は凄まじかった。
そりゃあんだけのもの見せられたらそうなるよ。私も最初はそうやったもん。
「本家ピンク・フロイドよりいいーー!!」なんて叫んでる人もいた。




三国義貴氏が「ピーン!ピーン!ピーン!」というエコー音を鳴らし出すやいなや、「もう最高やーー!!」という歓声があがった。
外人集団も大喜び。



今回もミラーボール回りました(割れなかったけど)。



大団円。



今回物販ではシド・バレットTシャツが新たに追加され、デザインのカッコよさに思わず購入。
ちゃんとクレイジーダイヤモンドになってる。まぁこの日はシドのは1曲も演らなかったけど。



余談であるが、開演前、前回人間椅子のライブをすっぽかした例の酒飲み野郎に遭遇。
原始神母見に来とったんか。
向こうからシレっと声をかけてきて、妙にめかし込んでいたので最初誰だかわからなかった。
ヘタしたらもう二度と会うこともあるまいと思っていたのだが、悪びれた様子もなく普通に接してきたので、まぁその場で許してやった。
(貸し出し中のDVDも返してもらわんといけんしね)


ピザ・バレット。



今日の1曲:『ECHOES Part.1』/ 原始神母
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ヤレヤレヤレヤ

2017年11月19日 | コンサート
今年もやっぱり人間椅子のライブに行って行きました。
最新作『異次元からの咆哮』のレコ発ツアーですわ。

会場は、スナックやガールズバーなどが犇めき合ういかがわしい通りのパークアベニュー堂山にあるumeda TRAD。




まぁこの前まではumeda AKASOという会場名で通っていたのだが、私が最初にこの会場で人間椅子を観た時(『無限の住人』ツアーの頃だったと思う)は、バナナホールという名前で、今回で3回(経営者が?)変わっている。




今回ライブに行こうと思った動機として、珍しくツアーグッズのデザインがカッコよくてそれが欲しいというのがあった。
16時半から物販の先行販売があるという情報をキャッチしていたので、キタのユニオンでさっとCD物色してから念のため時間キッカリに会場に赴いた。
ねぷた絵師の三浦呑龍先生のデザイン画がほどこされたパーカーがどうしても欲しかったのだ。

ところが、会場に着いてみると・・・なんとすでに長蛇の列!!
椅子の先行販売に行ったのは初めてだったが(以前は先行販売なんてものはなかった。そんなものは必要なかったのだ)、最近の人間椅子って凄まじいことになってんのね!
しかし、すでに行われた地方公演に行ったと思しきねぷたパーカーに身を包んだファンが並んでるのはなぜなんだ?それ以上何を買うんだ?
どうやら会計スタッフが一人しかおらず、行列の行進が遅いことこの上なかった。
人間椅子のグッズ買うのに、こんなヤキモキした気持ちになったの初めてだよ!
会場外ではイエスの「ファースト・アルバム」がかかっていたが、もう全然気が安まらなかったよ。
で、やっと私の順番がまわってきて、スタッフに「パーカーMサイズ、あと2着」と言われた時はタマキンが縮む思いでしたよホンマに。
なんやねん!最近の余裕のない人間椅子は・・・

ねぷたパーカーギリギリゲット!カッコいい!


2週間くらい前にチケット発券して整理番号は400番台。昔なら2日前でも二桁台やったけどなぁ。
会場入ったらハコはほぼ客で埋め尽くされていた。どこで見ようかなとウロウロしてたら左側のトイレに行く通路に人がまばらに配置しているのに気づき、そこがなかなかの穴場でけっこう前の方で見ることができた。

今回のライブは新録曲が中心とはいっても8曲くらいと意外と少なく、あとは過去のナンバーが10曲くらいだったか。
まぁ今回は意外性のあるレア曲は少なめで、定番のノリやすい楽曲が中心だったような気がする。
私が奇声を上げて喜んだのは「菊人形の呪い」くらいやったかなぁ。
途中MCで相撲の話をしたり、「今年の夏は暑かったですねぇ」とか言ったり、こっちは「え?相撲の唄やってくれるん!?」「楽しい夏休みキタ!?」て、ぬか喜び何回したか・・・

中盤で和嶋氏は、金が入って今年新調した自身のシグネスチャーモデルSGを得意げに披露。
さそりを思わせる形状に仕上げられ、さそり座の支配星が冥王星であることからモデル名は「冥王~Pluto」と名付けたとか。
私にはアンセムのロゴに見えてしゃーないんやけど。



ポッカリと空いたボディー下部の穴を和嶋氏は「異次元への入り口」と呼んでおり(なるほど、この穴がユゴス星へと繋がってるんだね)、ここから手を出して演奏できるかなコーナーが始まった。
ワジーがパープルの“Smoke On The Water”のイントロを弾きだすと、他の二人もそれにつられて演奏しだし1番だけガッツリと完奏。会場メチャメチャ盛り上がってた。
で、結論「弾きにくい」とのこと。

今回の新作で、鈴木氏が作曲した曲が案外よくて、「痴人のモノローグ」なんかは鈴木氏曰く「和嶋くんに存分に得意のブルースを弾いてもらうために作った」んだそうだ。
確かにさっきギターかなりあやしかったレインボーまがいの「太陽がいっぱい」とは打って変わって、この曲になったら水を得た魚のように気持ちよさそうにギター弾いてたもんな。
鈴木氏グッジョブ!

あと、津軽弁全開のナンバー「月夜の鬼踊り」にいく前の、鈴木氏による「ねぷたの囃子」に関するレクチャーがなかなか興味深かった。
鈴木氏の出身地、弘前市でのねぷた祭りの囃子には、“進む”・“休み”・“戻り”の三種類があるという。
今回演奏された「ねぷたのもんどりこ」や、1st収録の「あやかしの鼓」は“戻り(もんどりこ)”の囃子リズムを採用しており、新録の「月夜の鬼踊り」のサビで使われてるのは“休み”の囃子リズムだという。
“休み”は、ねぷたの行進が詰まってその場に長時間居る時に、観覧者を退屈させないために流される囃子らしい。
ちなみに、「ねぷたのもんどりこ」の歌詞に出てくる「頭割られて飛び出す目玉~♪」というフレーズは、新作のジャケットにも採用されている、鈴木氏が高校生の時から敬愛してやまない呑龍先生の筆によるねぷた絵の構図を歌ったものらしい。



こういうところに、ねぷた祭り大好き人間の鈴木氏のこだわりというか、郷土愛が感じられていい。
パチンコ、地獄シリーズはもうええから、ねぷたシリーズはこれからもどんどんやってほしい。


あと、今回は久々にライブ会場で落ち合う予定の知り合いがおったのだが、家出た時にその人から電話がかかってきて「会場に着いたら当日券何時頃販売するか教えてくれ」と。で、メールで送ってやると、「今から梅田向かいます」と返信がきた。
開演前一応会場入り口で待っていたが一向に現れない。
で、終演後電話しても出ない。ふざけた話である。
はらわたが煮えくりかえる思いで会場を後にしたが、おそらくその時の私の形相は呑龍先生描くねぷた絵の武者そのものであったかと。
まぁだいたい見当はついていたのだが、別件で酔い潰れて家に帰ったらしい。F**K Off!and Die!
これやから酒飲みはきらいやねん。こういう手合いと付き合ってると、こっちが馬鹿をみることがあまりにも多すぎるのだ。
だから私はワジーとも、おそらくプライベートでは付き合えないだろう。
もうその日は腹の虫が治まらなくて、馴染みのメタルバー寄ってヤケ酒ですよ!ったく・・・(ヨギパイン一杯だけやけど)

まぁ鈴木氏の使用済みのピック拾ったので良しとすることにする。




今日の1曲:『ねぷたのもんどりこ』/ 人間椅子
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犬獣戯画

2017年11月12日 | まったり邦楽
前々回より『鳥獣戯画』のこと書いてたら、ふとあるバンドのことを思い出して、ほんま久々にCDを棚から取り出して観賞していた。

そう、日本のオルタナバンド、54-71のメジャーデビュー作『enClorox』である。

結成は1995年ぐらいらしいが、遅咲きで2002年にメジャーデビュー。
その頃はうちもまだケーブルテレビに加入していて、SSTVなどの音楽番組で洋邦の新人バンドをよくチェックしていた。
ある日SSTVだかM on TVだかで『鳥獣戯画』をパロった54-71のユニークなPV(ここではブルドッグが主役だが)が流れたのを目撃した時は、ちょっとした衝撃があった。
一筋縄ではいかない、なかなかおもしろいサウンド作りをしているなと。

結成年代的には、レッチリ、レイジ・アゲインスト・ザ・マシーン、べック、ビースティ・ボーイズ、ロリンズ・バンドなどが台頭していたオルタネイティヴ・ロック全盛期。
なので最初聴いた時はその辺の影響下の匂いがプンプンした。
ただ、それらのできあがった外タレバンドより、54-71の音楽性にはなにか実験的であらゆる可能性を秘めてる、のびしろのある得体の知れない雰囲気があった。
日本でもその辺の外タレの真似ごとのような、やたらチョッパーをかましてるだけのいちびったバンドが持てはやされていたが、54-71はそういう時代の影響下の中でも、それらとは明らかに一線を画す独創性と知性を秘めているような気がした。




まぁポップ性、大衆性は皆無。
贅肉を極限までそぎ落とした彼らの生々しくもドライなサウンドは、最初かなり難解な印象を受ける。
しかし、これが脳髄にグリグリと響くとてつもない独特の空間を作り出してるように思う。
キック、スネア、ハイハットのみのシンプルなセットのタイトなドラムに、無機質な音のベース。
佐藤Bingoの肉体的でエモーショナルなヴォーカリゼーションは、ヘタな日本語英語っぽさが否めないが、これが逆に独特の個性となってて、まぁレッチリとか聴いてる女子には理解しがたいだろうが、レイジやロリンズ・バンドなどを愛聴する“男気”を求めてやまない男子にとっては感じ得るものがあるのではないかと。
そしてクセ者なのが、“Scum Grinder”という異名を持つ高田憲明の生々しいひしゃげたようなギター。
彼の奏でるどこか情緒不安定な旋律は、聴き手に眩惑的な陶酔感をもたらすと同時に、楽曲全体にとてつもない緊張感をも与えている。

などと、デビュー当時から彼らの良さをわかってたようなことを書いているが、実は当時はそんなにこの作品聴いてなかった。
その時の私には楽曲がなんかシンプル過ぎたというか、難解だった。
だからこのアルバム以降のは持ってないし、以前のインディーズの頃のも持ってない。
で、今回改めてジックリと聴いてみて「やっぱカッコええやん!!」となってこれから作品集める気になった。

当時の日本の音楽シーンでもそれほどもてはやされていたという記憶はない。やっぱりアヴァンギャルドすぎたんだと思う。まぁ女子には人気ないだろうねぇ。
おそらくミュージシャン間や、いわゆる通なリスナーの間だけで支持されていたかと。まぁそういところもカッコいいね。
現在は活動休止してるみたいだが、一度でいいからライブを拝みたいなと思った。


そんな54-71の魅力に再び気づかせてくれたのも『鳥獣戯画』のおかげといってよいかも。
私が先週高山寺くんだりまでのこのこ出かけたのも、あながちムダではなかったかと。

明雲先生ありがとう。




今日の1曲:『Life』/ 54-71
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治虫戯画

2017年11月11日 | 名所ガイド、巡礼記
さて、私の大きなカン違いのおかげで、パンパンになった足をひきずりつつ神護寺の険しい石段をいちもくさんで駆け下り、JRバスに飛び乗って京都駅ビルのジェイアール伊勢丹の3階まで馳せ参じたわけでありますが。


ここでは、『鳥獣人物戯画 meets グラマラス京都』なる京都伊勢丹と高山寺のコラボ企画が展開されていた。
鳥獣人物戯画グッズの品揃えは圧倒的にここの方が多かった。
両者かぶってるグッズがほとんどなく(缶バッヂくらいか)、それぞれの限定グッズにそれぞれの魅力があったかと。

御朱印帳などは、伊勢丹で売られてるやつの方がデザインがよかった。
つか仏閣巡りとか朱印集めに興味なしなしの私がこれを買ってどうする?



しかし、確かに『鳥獣人物戯画』はユニークで魅力的な画だとはいえ、カン違いして京都北の高雄山くんだりまでのこのこ出かけていくほどそんなに鳥獣戯画グッズが欲しかったのかと。
まぁ下の写真見ていただければ、みなさんの「なるほどね」「やっぱりか」「死ぬまでやっとれ!」という納得の言葉が頂けるかと。

そう、私が求めてやまなかったものとは、このデザインの鳥獣戯画グッズにほかならなかった!



高山寺を散策している時に、すれ違った参拝客の中で「鳥獣戯画の作者って誰なん?」みたいな会話をしているのが聞こえてきた。
それを聞いた瞬間、「なんだ、この人たち手塚治虫先生の『火の鳥』を読んだことないのか?」と、情けない気持ちになってしまった。
最近は教養のない人間が増えたものだと。




手塚治虫のライフワークでもあった壮大なスケールで描かれた超傑作『火の鳥 ~乱世編〈上〉~』。
実はこの作品の中に『鳥獣戯画』が描かれているのである。

時は平清盛率いる平家が国を治める平安時代末期。
そこに、都一の文化人と謳われた天台座主・明雲という僧が登場する。
彼は学侶・衆徒のみならず、武家や公家からも敬われており、詩人であり、そしてすばらしい画家でもあったそうな。
その他、哲学者、評論家、タレント・・・・と、あらゆる分野の文化人であった。










生前、手塚先生はやはりこの“日本最古のマンガ”である『鳥獣戯画』というものに、強い憧れというか、感心を示しておられた。
これほど独創的でユーモアにあふれたナウな技法を有するマンガ家が、700年前の日本にすでに存在したことに、やはり同じマンガ家として強い衝撃とジェラシーを感じていらっしゃったみたいだ。

NHK『鳥獣戯画』特番に出演した手塚治虫。1982年
「ぼくにも描けますよ」と言いたげな表情ですな。



で、今回はりきって伊勢丹に乗り込んだわりには、『手塚治虫 × 鳥獣戯画』コラボグッズは2点しか購入しなかった。
ステッカーとかポストカードもあったけど、イラストが一種類しかなかったし。
手塚先生が生前描いた鳥獣戯画ってこれだけなん?W3とかとコラボってるやつとか、もっとあるのかと思ってた。


またしても私のカン違いで、缶バッヂだと思って購入したマグネットセット。



それにしても・・・

700年以上前に、どっかのイラストレーター(手塚先生は仏画の大家だと推測している)が遊びで書いたようなマンガに色目を変えて飛びつき、限定グッズ欲しさに山寺や百貨店へと奔走する人間の浅ましさときたら・・・・
寺院の聖職者たちは、その物欲者の愚かな行動心理を最大限に利用し、入山料や拝観料をとって文化財の敷地内でべらぼうな値段をふっかけてグッズを売りさばく。
人間のやることなすことはけだものや鳥とまったくかわらん。
なぜ人間が万物の霊長なのか?ばかばかしいおもいあがりじゃと。


今日の1曲:『動物らしく』/ 坂本慎太郎
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ケアレスウィスパー

2017年11月08日 | 名所ガイド、巡礼記
秋もやうやう深まってまいりまして・・・・・ヘエヘエ。

この三連休、東京は吉祥寺で、3年前より毎年開催されている『手塚治虫文化祭2017(キチムシ17)』(11月3日は手塚先生の誕生日なのだ)に、今年こそは参加しようと東京遠征を計画していたんだが、このイベントだけのためにけっこうな交通費と時間をかけてまで参加するのは果たして割に合ってるだろうか?もうひとつ何か欲しいなぁ、などとあれこれ考えてるうちに意気消沈してしまい、今回はもう京都に留まって、ある目的の為、お気にの『火の鳥』フジロックTシャツにめかし込んで、北の栂尾山にある高山寺に2時間かけて行ってやろうかと思い立ったのは、私の大きな間違いカン違いであった。




べつにボチボチ赤らんできた紅葉だとか、そんなものはどうでもよかったのだ。




日本最古の茶園なんて、興味もなかったし。




世界遺産だとか、国宝だとか、そんなものもどうでもよかったのだ。




苔むす鐘撞堂などどうでもよかった。




しかし、まさかこの石水院に、私の求めていたものがないなどとは、夢にも思わなかった・・・



ここ高山寺は、そう、日本でも人気絶頂の“最古のマンガ”と言われている『鳥獣人物戯画』でも有名な寺院。
国宝とされているこの石水院に、その『鳥獣人物戯画』の現物が保蔵されているのかしらんが、さっき入山料500円払ってんのにここの拝観料も800円って、ボリすぎやろ。
とにかく拝観はせず、グッズだけを買い求めにこの石水院にあがり込んだのであるが・・・・
いくら探しても私の目的のものは見あたらなかった。


これじゃない!これじゃないんだ!(でも和紙でできたクリアファイルなんて珍しいので思わず購入)



で、ここの院を管理してるオヤジから、それは京都駅ビルのジェイアール伊勢丹の3階で売られているという情報を聞かされた時は、ボーゼン自失状態となった。
四条烏丸から1時間に1本しかない高雄山行きのバスに乗り1時間もかけてくる必要などなかったのだ!!

いや・・・・・私が悪かったのだ。
全て私のカン違いだったのだ。


まぁでも、せっかくここまできたのだから、紅葉の季節のわりにはリア充度(最近この言葉の意味がわかって使い勝手がいいのでよく使ってる)もそんなに高くないところだし、ついでにほかの山寺も拝んで帰ろうかと、軽い気持ちでさらに高所にある神護寺まで赴いたのは、私の大きな間違いであった。

石段ハンパやなかった!着いた頃にはもう疲労困憊。しかも中には入らず。
拝観料が惜しかったし、私には時間がなかった。



いしやきいもなんてどうでもよかったのだ!



さっさとバスで山を下りて、京都駅の伊勢丹へと急行した。


なーんや!メッチャ展開しとるやんけ!!
なにがおこしやすや!こっちは足パンパンや!!


上のうさぎのパネルの構図が、その時の私の心境をよく表していた。


いや、全て私が悪かったのだ。
全て私のカン違いだったのだ・・・・・


今日の1曲:『Careless Whisper』/ WHAM!!
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悪魔祈禱書

2017年11月04日 | 本わか図書室
人間椅子の20枚目の新作『異次元からの咆哮』、みなさんいかがでござんしたでしょうか?
タイトルからして、暗黒神話好きの心を騒がせる宇宙的な雰囲気が漂っており、ジャケットもねぷた絵師の三浦呑龍先生の筆による力強いアーティスチックなデザインが採用され、これは今回は久々にいいアンバイの作風に仕上がったのではないかと。ヘエヘエ。

しかし、フタを開けてみますと、「もののけフィーバー」とか、「宇宙のシンフォニー」とか、特にヒドいのが「地獄のヘビーライダー」(人間椅子史上最低かもね)など、もう曲タイトルからしてネタ切れ感満載の知性に欠けるものがズラリと並んでおり、これは今回もダメかと・・・ヘエ。
だいたい人間椅子の曲は、タイトル見たらどんな曲なのかわかりますからね。
まぁ実際アルバム通して聴いてみて、オッサンが無理してる感甚だしいギリギリ歌唱、使い古しの曲展開、タンパクで無神経なフィルとノリ・・・
楽曲がもうほとんどアルバムタイトル負け、ジャケット負けしてしまっている感があり、最初聴いたときは、モウ残念でなりやせんでしたよ。
初期、中期の頃のような、あのネットリ湿った質感の情緒に満ち溢れた人間椅子はいったいいづこへ・・・・・?
(とは言うものの、2、3周したらこれがけっこうハマってきていたりするんでげすがね、ヘエヘエ)


ところで、人間椅子の楽曲には、夢野久作の作品タイトルを拝借したものが過去にもちょくちょく存在しやす。
「あやかしの鼓」、「木霊」、「少女地獄」等。
今回の最新作にも久々に久作モノの楽曲が登場するんですが、これがわたしが唯一本作に期待できるタイトルだったわけなんですが。ヘエ。

そう、あの恐るべき『悪魔祈禱書』でげすよ。

『悪魔祈禱書』は、英国の耶蘇教僧侶、デュッコ・シュレーカーが著したもので、世界にタッタ一冊しかないという悪魔の聖書と言われており、原題は“BOOK OF DEVIL PRAYER”。




本書では、古本屋の店主が『外道祈禱書』と呼称して、1626年に英国でできた筆写本として店の一番暗い所の棚に所蔵していたわけなんですが。
店主の話によると、その写本は(昔の)百円札みたいなネットリした紙に筆写されており、黒い線に青と赤の絵具を使った挿絵まで入っているというたいそうな珍本だという。
表紙はズット大型の黒い豚だか牛だかの皮表紙で、“HOLY・BIBLE”と金文字の刻印が打ち込んであって、頑丈な生皮のケースに突っ込んであった。

そのケースの見返しの中央に“MICHAEL SHIRO”と読める朱墨と、黒い墨の細かい組み合わせの紋章みたいなものが残っているそうな。
店主の推測では、これはミカエル四郎なる日本人が秘蔵していたものであり、そのミカエル四郎こそ、あの天草一揆(島原の乱)で幕府に蜂起したキリシタンであった天草四郎ではないかしらんと。

その筆写本には、シュレーカーが己の信仰する悪魔の道を世界中に宣伝する文句が、細かい唐草模様の花文字でしたためられていたという。
そのキチガイめいた内容からいって、この耶蘇教の僧侶さんはたぶん精神異状者かなにかだったのではないかと店主は推測している。

その内容とは、以下のようなものであった。

「われ聖徒となりて父の業を継ぎ、神学を学ぶうちに、聖書の内容に疑いを抱き、医薬化学の研究に転向してより、宇宙万物は物質の集団浮動にすぎず、人間の精神なるものもまた、諸元素の化学作用にほかならざるを知り、したがって、宗教、もしくは信仰なるものが、その出発点よりして甚だしく卑怯なる智者の、愚者に対する瞞着、詐欺取財手段になるを認め、地上において最真実なるものはただ一つ、血も涙も、良心も、信仰もなき科学の精神を精神とする所謂、悪魔精神なることを信じて疑わざるにいたれり」

「全人類よ。皆、虚偽の聖書を棄てて、この真実の外道祈禱書をいだけ。われは悪魔道のキリストなり。弱き者、貧しき者、悲しむ者は皆われに従え」

「世界の最初には物質あり。物質以外には何物もなし。物質は欲望とともにあり。
欲望はまた、悪魔とともにあり、欲望、物質は悪魔の生まれ変わりなり。
ゆえに物質と欲望にもっとも忠実なるものは強者となりて栄え、それらをもっとも軽蔑するものは弱者となり、神とともに亡ぶ。
ゆえに神と良心を無視し、黄金と肉欲を崇拝する者は強者なり。支配者なり」

「強者、支配者は地上の錬金術師なり。かれらの手を触るる者は悉く黄金となり、黄金となす能わざる者は悉く灰となる」

「黄金を作る者は地上の悪魔なり。かれらの触るる異性は悉く肉欲の奴隷と化し、肉欲の奴隷と化し能わざる異性は悉く血泥と化る」

というようなアンバイである。


そして、この筆写本の後半では、「人類悪」の発達史みたようなことが、これでもかとばかりに書きたててあるという。

たとえば・・・・・・
「ペルシャ王ダリオスの戦争の目的は領地でもなければ名誉でもなく、捕虜にしてきた敵国の人間に対する淫虐と虐殺の楽しみ以外の何物でもなかった」とか、「アレキサンドル大王はアラビヤ人を亡ぼすために、黒死病患者の屍体を人夫に運ばせ、メッカの辻々でその人夫らを斬倒させたという遣り口は、極端な悪魔的な精神において近代の戦争の遣り口をリード、あるいは超越していた」とか、「露西亜のピョートル大帝が、和蘭に行って造船術を習ったと歴史に書いてあるのは真っ赤な偽りで、実は堕胎術と毒薬の製法を研究しに行ったのであり、そうして得た魔力を大帝から授かったスラブ族が、その科学知識でもって六十幾つもの人種を統一して大露西亜帝国を作った」など。

さらには、「ユダヤ人が人類の全部をナマケモノにしてコッソリと亡ぼしてしまおうと画策して考え出したのが、サイコロだのルーレットだのトランプだの将棋といった遊びであり、この目的のために発明して世界中に宣伝しようとこころみた最後のものがキリスト教である」と、ここまでくるとイヨイヨ呆れてモノが言えない。

ただ、この項目の下りでは(三十行削除)、その後の筆者が師と仰ぐのはキリストではなく、悪魔に魂を売った独逸の魔法使いファウストだとする下りでは(四十七行削除)という注釈でもってハショられてるんだから、ほんとうすら寒いことこの上ないわけでございますよ。




で、するていと、人間椅子の和嶋氏が作詞作曲した今回の「悪魔祈禱書」ってェ曲は、さぞかし禍々しく恐ろしい内容なんだとお思いになられるかと・・・・ヘエ。
ところが、これが意外と最近歳古りてスッカリ丸くなってしまった和嶋氏の聖人のようなこころが顕れたかのような・・・・例えるなら、映画『タクシードライバー』でロバート・デ・ニーロが演じた主人公のような、正義感に満ち溢れた真面目な歌詞内容だったりするんでがすよ。ヘエヘエ。
まぁサビの部分では、「アブラカタブラ」などという、たいそう物騒でベタな呪文も飛び出すんですがね。

曲調は・・・・そうですね、7th収録の「菊人形の呪い」あるいは、ブラック・サバスの「レディ・イーヴル」タイプの、のんべんだらりとした感じですかね・・・・ヘエ。

まぁ、人間椅子は昔からよく、江戸川乱歩、芥川龍之介、谷崎潤一郎、太宰治、伊藤政則など、著名な作家の著書のタイトルをまんま拝借して曲タイトルに採用するんでガスが、その歌詞内容はというと、実はそんなにその著書の内容とは関係のないものであったりすることが、マァお家芸みたいなもんでしてねぇ・・・・ヘエヘエ。





今日の1曲:『悪魔祈禱書』/ 人間椅子
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