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AMASHINと戦慄

~STARLESS & AMASHIN BLOG~
日々ブログレッシヴに生きる

メースの不思議

2013年12月03日 | やっぱりメタル!!
土曜日の晩、いつものメタルバーでのメタルDJイベントに久方ぶりにDJ参加。
最近はもうあんまし回し甲斐を感じられなくなり、約一年ほど参加してなかったのだが、今回はエントリーが中々集まらないということで、「そろそろわての出番かいな?」と、頼まれてもいないのについ名乗りをあげてしまった。

ただ、私はもうメタルネタ尽きていたので、今回は以前から構想を温めていたクロスオーヴァー(ハードコア・パンク+α)特集をぶちかますことにした。
もちろん総スカンは覚悟の上ではあったが、序盤はそれなりにウケを意識していた。案の定、LARDに食いついてくれた方が数名いらした。90年代の象徴的ガールズ・ハードコア・バンド、SUPER JUNKY MONKEYもウケはまぁまぁだったかな。
中盤の頭三文字シャレコーナーはほとんど自己満足で終わってしまった。
C.O.C.→G.B.H.→D.RI.→M.O.D.→S.O.D.→SxOxBと・・・・
こんなコーナー誰も聴いちゃいねーよ!
いや、私も満足なんかしていない!!だってM.O.D.のCDが、DJマシーンがボロいせいか、CDがバッタもんだったのか、なかなか読みとらず、かなり時間がおしてしまったのだ。ほんとに自己満足どころか、事故不満足だよ!
うーむ、この私の渾身のシャレですら、誰も聴いちゃいねぇ・・・・・
で、後半戦で勝負をかけて一気に盛り返そうとしたが、先ほどの事故のせいでオーディエンスはもうダレ気味になっていて、誰も聴いちゃいねーっつの。
ま、SMジャズ・グラインド・コアのNAKED CITYをかけたのは、少々ヤンチャが過ぎたなと思ったが、まさかMACEに反応する者が一人もおらんとは予想外も甚だしかった。



MACEの2nd『THE EVIL IN GOOD』は、80年代クロスオーバー史に残る名盤中の名盤。
MACEの作品は、1stアルバムがB!誌で異例の高得点をマークしたおかげで日本では輸入盤でかなりの売り上げを伸ばしたのだそうだ。1stのレビューは残念ながら拝見していないが、2ndは確かB!誌で一番マトモなメタル評論家のさこたはつみさんが担当していて、80点後半くらいつけてたと思う。
私も中学生当時、この音源を聴いたときはぶっとばされたもんだ。そのハードコア・パンク的カッコよさと、その異質さにだ!

冒頭は、チェーンソーか何かで内臓を切り裂いているようなSEで始まりオゲレツ感がハンパないが、その直後超強力なベース音がブリブリと弾き出され、楽曲全体をグイグイと引っぱっていく。そこにハチャメチャでメタリックなギターが炸裂する(ちなみにギター担当のデイヴ・ヒリスは超イケメン)。その破壊力たるや凄まじいの一言。ドラムはやたらと乱れ打ちするタイプだが、この音ってひょっとして電子ドラム??

Gutripper


ヴォーカルタイプからして完全にパンク路線なんだが、やたらと弾きまくるメタルギターに、時折見せるヘンチクリンな曲展開とリズム感。
この時代、パンクとスラッシュのクロスオーヴァー化は盛んに行われていた時期ではあったが、ここまで異質な音楽性をブチ放ったバンドは、MACE以外お目にかかっていない。
私の中学時代のスラッシュ仲間の間でも、MACEはかなり特別視されていてかなりもてはやされていた。
ちなみに、このインパクト抜群のセンスいいジャケットは、ベースのヴァーン・ホワイトが描いているそうな。二分の天才だな。

これだけカッコいいアルバム作ってんのに知名度が低いってのも不思議だが、MACE七不思議のうち最も不思議なのは、2ndのアナログ盤の裏面になんと、邦題がクレジットされてあること。もちろん日本盤は出ていない。



ファンクラブの案内まで!!「メース」って!


これは1stアルバムが日本でバカ売れしたことに対する、彼らなりの意識の顕れだったのか?いまだに謎である。
昨年、奇跡の再結成をしたとか噂で聞いたけど、誰かメンバーに話訊いてきてはくれまいか?


ちなみに、8年くらい前に1st『PROCESS OF ELIMINATION』と2nd『THE EVIL IN GOOD』は、2 in 1で一瞬だけCD化されている。
その時は、喜び勇んでディスクユニオンに注文したが、これがノイズだらけの劣悪板起こし盤。
しかも、裏面の曲目に、5曲目“WAR”がクレジットされてないというマヌケぶり。

このぞんざい極まりない対応といい、いったいどういうつもりでCD化にふみきったのか?で、売れたのか?
ちなみに、販売元はアナログ当時BLACK DRAGON RECORDSであったのが、CDはBLACK COBRA RECORDSに変わっている。
同じ会社で改名したのか?

謎は深まるばかりである。


MACE





今日の1曲:『戦争』/ MACE
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きゅっきゅきゅー、きゅっきゅきゅー

2013年10月13日 | やっぱりメタル!!
8月初旬にディスクユニオンで購入した人間椅子の最新作『萬燈籠』を今更ながらレビュー。
今回ディスクユニオンで購入した理由は、特典にTシャツ(写真上)が付いていたからであるが、もうひとつの特典『インストアイベント参加券』は当然のことながら無駄になった。まぁTシャツも今後着る機会はなかなかなさそうだが。



本作は、今年5月に行われたOzzfestの反響の煽りを受け、その勢いそのままで作り上げていったといってよい。まぁ和嶋氏本人もかなり意識したと、各インタビューで述べていらっしゃる。
http://www.qetic.jp/interview/ningen-isu-130812/102724/
だから最初本作を聴いた時は、ドゥーミーな楽曲もあまりなく、こじんまりとしたものばかりで、サウンドもやけにモダンになったし、こりゃ完全に新参のファンに迎合した作品になってもーとるなぁ、と少し残念な気持ちになった。
しかし、今回メタルバンドとしての意識が高まっていることも事実で、そのモチベーションの高さが飽和状態にあった最近の人間椅子の作品に比べて一歩抜きん出た形となって、聴き応えは十分であった。1曲1曲の特性もクッキリしており、2、3回聴けばスッと頭に入ってくる馴染みやすい内容となっている。

まず、前作のツアーから出囃子で使用されていた“此岸御詠歌”が今回冒頭に収録されているのがうれしい。このチリ~ン、チリ~ンという行脚僧が鳴らすような鈴の音色は、「これから人間椅子の冥界への扉を開く心の準備はいいですかな?」という、新参の方に対しての期待と不安を煽る効果としても絶大である。
しかし、今回のワジー、#2“黒百合日記”から気合入ってるね。最近ここまで変調の激しい楽曲はなかったな。この曲の時点で人間椅子の魅力が50%くらい盛り込まれているといっていい。で、本作中これが最も長尺の曲となっている。



津軽三味線奏法が炸裂する#4“桜爛漫”も、和嶋氏の和風ギター技が光る良曲だが、歌のキーの高さ的にナカジマノブ氏が歌いそうな曲だな。ノブ氏は今回#8“蜘蛛の糸”でリードVoをとっているが。
にしても、今回はますますワジーのギターが全編を通して冴え渡っている。
#5“ねぷたのもんどりこ”にしても#6“新調きゅらきゅきゅ節”にしても、コーラスパートなど、明らかにライブで盛り上がることを想定した作風であるが、そんな勢いだけかと思われる楽曲でも和嶋氏の卓越したアイデアがキラリと光っている。
特に“ねぷたのもんどりこ”でみせるファズギターソロは、ねぷた祭りでの笛の音色をイメージしたもの。
笛の音色ギターといえば、5th『踊る一寸法師』収録の“モスラ”でも、原住民の笛の音色を自作のファズで再現したことが思い出される。この人はほんと平成のブライアン・メイだと思う。
語り歌の#9“十三世紀の花嫁”は、どう聴いても“世界に花束を”の二番煎じソングでちょっと気恥ずかしさすら覚えたが、和嶋氏の夢の中に登場した寺山修二が歌っていた歌からヒントを得たという経緯などを聞くにつけ、だんだんと味わい深くなってくるものがある。

しかし、和嶋氏のギタリストとしての衰えを知らぬ職人的技術、そして彼の広範囲に及ぶ豊富な知識とイマジネーションから成る無尽蔵の楽曲センスには毎回舌を巻く。人間椅子はタダの和製ロックバンドではない。それは楽曲を一聴すればわかる人にはわかる。正直、人間椅子を聴いて「なんかお経みたい」などと、その辺の流行のヒット曲しか聴かない人みたいな感想しか出てこない人には情緒というものが欠如しているのだと思う。とにかくセンス・オブ・ユーモアを解せない人間は、イカ天の司会者を務めてた三宅裕司みたいにヘラヘラ笑うしかないだろう。
テクニックばかりが先行するプログレメタルバンドなんぞ、今の時代掃いて捨てるほど存在するが、人間椅子みたいな楽曲センスと情緒ある世界観を持ったメタルバンドは、世界中探してもなかなかいないだろう。


最後に、私が今回最も注目を寄せていた“狂気山脈”、“ダンウィッチの怪”に続く久方ぶりのクトゥルー神話曲#11“時間からの影”について言及すると、う~ん、イントロからそれなりに宇宙的な雰囲気も醸し出されているし、激しく変調もするのだけれど、なんだか小さくまとめられた感じで先の名2曲と比べるとずいぶんと中途半端な気がする。
ま、これはアーサー・ブルック・ウィンタース=ホール牧師の断片的な『エルトダウン』の粘土板を表したものと考えればいいかもしれないが。チープな歌詞内容になっても、せめて<大いなる種族>や、“忌むべきトゥチョ=トゥチョ人の精神”などのキーワードを盛り込んで欲しかったかと。
『時間からの影』に関しては、『ラヴクラフト全集 3』(創元推理文庫)に収録されていますので、この曲に感銘を受けた方は是非お読みになることをオススメいたします。
超銀河からやってきた、精神だけで時空を移動する恐るべき<イースの大いなる種族>の脅威についての物語で、ラヴクラフト作品の中でもかなり特殊な部類となっており、これを最高傑作にあげるラヴクラフティアンも決して少なくありません。<イースの大いなる種族>に関しては、本ブログでも何回か取り上げておりますが、アホと思われそうなので読まれないことをオススメいたします。

イースの大いなる種族(仮住)
        


今日の1曲:『黒百合日記』/ 人間椅子
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おまえは最高

2013年06月13日 | やっぱりメタル!!
もういくつ寝ると、ヴァン・ヘイレン。
てか、2週間後だ。
デイヴ時代のアルバムは全てコンプリートしているが、予習復習が思うようにはかどらない。
なんか聴く気がおきんのだ。てか、わ、そんなにヴァン・ヘイレン好きじゃないかも。
じゃあなんでライブ行くのかっていうと、やっぱデイヴ様の姿が拝みたいから。
少年時代、ちょっとした憧れの人だったから。でもよく聴いたのは、『Crazy From The Beat』と『Eat 'em and Smile(Sonrisa Salvaje)』の2枚くらい。
ヴァン・ヘイレンは知らなかったけど、デイヴは小学生の時にMTVで「California Girls」の刺激的なPVを見て以来、そのエンターテイメント性に一目おいていた。

California Girls - David Lee Roth



思えば、王道のハード・ロック/ヘヴィ・メタルに傾倒していたのは、せいぜい中学最初の1、2年程度だ。
スラッシュメタル・ムーブメント到来により、王道はほとんど聴かなくなった。
だから、中学に入学して「メタルサイコーー!!」っていうノリの多感期に、意欲的に集中して聴いた王道系やLAメタルのアルバムは、今でもそれなりに思い入れがある。
ヴァン・ヘイレンなら『炎の導火線』、『暗黒の掟』、『1984』の3枚。
んでもって、今らさ『伝説の爆撃機』やら『戒厳令』を一生懸命聴いたところで、頭に入ってこんわけです。
ま、うちのヴァン・ヘイレン・フリークに言わせると、『戒厳令』や『ダイバー・ダウン』にエディのギタープレイの技がつまってるらしいが、もともとスーパーギタリストに傾倒する習性がないもんで、ピンとこないのも致し方ない。

ま、ライブ当日は、「Ain't Talkin' 'Bout Love」でデイヴと一緒に「ヘイ!ヘイ!ヘイ!」を合唱できればよいかなと。


でも、この映像なんか見たら、ギターキッズがエディに熱狂するのもわからんではない。



今日の1曲:『叶わぬ賭け』/ VAN HALEN
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この死体、汝の墓

2013年06月09日 | やっぱりメタル!!
「死に際に原点回帰!初期のドゥーム感が戻った!」と、えらい評判がよかったので、昨年惜しまれつつも長年に渡る音楽活動に終止符を打ったカテドラルのプロローグ作『THE LAST SPIRE ~終焉~』をタワレコのオンラインでポチリンコ。

カテドラルに関しては、デビュー当時からその圧倒的な耽美性とダークな世界観に熱狂し、バンド仲間と“Midnight Mountain”なんかもコピーするくらいハマっていた時期があったが、アルバム発表ごとに音楽性がゆるく散漫になっていき、『SUPER NATURAL BIRTH MACHINE』の時点で見限ってしまった。
だからカテドラルのアルバムを買ったのは実に17年ぶりとなる。

で、どうだったかというと、これまでのカテドラルの音楽を総括したような(って、初期4枚くらいしか聴いていない私が言うのもなんだが)、いかにも最期らしいよくできた作品ではあるとは思うが、「無難な作品」ってところ。

1stの曲調を意識しているのはなんとなくわかるが、やはり『IN MEMORIAM』、『この森の静寂の中で』で打ち出したあの鬱屈したドゥーミーな世界観には残念ながら及んではいない。まぁ今のカテドラルにあの頃の音を求めること自体ヤボであったかと。
てか、リー・ドリアンはもう、納骨堂から聞こえてきそうな、オバケじみた呻き声ともいえるあのヴォーカリゼーションは再現できないのかな?




まぁ2nd以降の作品は、「それ“モビー・ディック”のフレーズまんまパクってるだけやんけ!!」ってつっこみたくなるような単なる70年代ごっこ的ニュアンスのものが目立つようになってきて、ストーナーロックとしてはその姿勢は間違ってはいないけれど、ドゥームメタルとしては軟い以外のなにものでもなくなって、人間椅子や、後に聴いたCELTIC FROSTの作品などの方がよっぽどドゥーミーなサウンドを確立していたと思われる。

ただ、スピードを極端にまで押し殺した、メタルファンですら首をかしげるような、およそ健全な精神の持ち主が聴く音楽ではない“ドゥームメタル”なるものを、メインストリートに押し上げたカテドラルの功績はデカいといえる。
私とて2nd『ETERNAL MIRROR』のとっつきやすさがキッカケでカテドラルにハマった口だ。
ブラック・サバスのフォロワーというだけにとどまらず、70年代ハード・ロックやプログレッシヴ・ロックへの飽くなき憧憬のもと、どんどんドゥームメタルの可能性を広げていったその意欲には敬意を払いたい。
本作でも、大々的にキーボードやメロトロンがフィーチャーされた“監視眼”などは、ドゥーミーなポテンシャルを維持しつつ、完全なるプログレ志向に根差した大作に仕上がっている。

ジャケットはミニアルバム『SOUL SACRIFICE』のアートワークを意識したかと思われるが、正直『STATIC MAGIC』以来のショボさ加減である。
歌詞カードを広げると、カテドラル専属画家デイヴ・パチェット描くあの魑魅魍魎のアートワークが広がっていたのが救い。
中央のカリメロみたいなクリーチャーがカテドラル(大司教)ってことでOK?





初期の陶酔感はないが、非の打ちどころのない唯一無二の典型的カテドラルソング。
ギャリーの年季の入った粘着質なギターワークが秀逸。
これがカテドラル最後の映像となってしまうのか?



最期にR.I.P.といいたいが、およそ安らかに眠れそうな音楽ではない。


今日の1曲:『沈黙の塔』/ CATHEDRAL
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妖怪ドアからニョロリ

2013年04月28日 | やっぱりメタル!!
ストーム・トーガソン追悼に連動して、レインボーの後期の作品について言及しようかと。
そういえば、今まで当ブログでレインボーのこと取り上げたことなかったっけ。

後期レインボーといえば、先月「VOICE OF RAINBOW」企画で来日したジョー・リン・ターナー(ちなみに、バックバンドでドラムを担当したのは、人間椅子のナカジマノブ氏)。
私にとってのレインボー初体験曲が、ラジオから流れてきた“Death Early Driver”だったこともあるのだろうが、3人の名だたるヴォーカリストの中でも、ジョーリン時代には特に思い入れが強かったりする。
ジョー・リン・ターナー期三部作といえば、ヒプノシスジャケ三部作でもあるわけで。
中でも最終章『BENT OUT OF SHAPE』がトータル的に一番好きなアルバムで、ジャケットのわけのわからなさも一番ヒプノシスっぽい。
にしても、これまたなんとも形容しがたい不条理きわまりない構図で、ロニー時代の華やかで様式美なレインボーと比べても、随分と毛色が違う。まず、ジャケ買いはしないだろう。
少し卑猥な意味合いも感じとれる。

そういえば、寺沢武一先生のマンガ『コブラ』に、これとよく似たゴム人間みたいな女サイボーグがでてきたな。



で、ロジャー・グローヴァーがベースとプロデュースを兼任したこの作品、先月刊行された『METALLION』にいわせると、メロディアス・ハードの部類に入るらしい。
確かに、楽曲はいたってキャッチーかつポップで、全体的にもジョー・リン・ターナーの歌メロを全面に出すことを意識した曲作りが窺える。リッチー・ブラックモアのギターもフォリナータイプの#1“Stranded”からしてあんま弾きまくっておらず、妙に渋めのフレーズを奏で、ソロもいたって短め。
#2“Can't Let You Go”のイントロでは、厳かで壮大なパイプオルガンが鳴り響くも、歌が始まればいたってシンプルなポップソングが展開する。これもソロは短め。一応PVもあるけど、これなら作らんかったほうがマシな内容。



とはいっても、#5“Anybody There”や、♯9“Snowman”など、厳かなシンセサイザーをバックに、リッチーが泣きのソロを奏でまくるやけに幻惑的なインストゥルメンタルが2曲収録されており、ちゃんとそれなりに見せ場を作っている。
この作品では、アルバムの邦題にもなってる最もポップな“Street Of Dreams”がよく取り上げられているが、個人的には、デイヴ・ローゼンタールのキーボードが前面にフィーチャーされた疾走ナンバー#4“Fire Dance”なんか、レインボーの中でも1、2を争う名曲だと思うんだけど。いまいち迫力に欠ける歌唱力のジョーが頑張ってシャウトしまくるハードナンバー#8“Drinking With The Devil”も合わせて、従来のリッチーらしいハードなソロも炸裂している。

結果、この作品は地味でポップな印象でありながら、アグレッシヴな面もそこそこ備わっており、けっこうバラエティに富んだ楽曲が揃っている充実の内容だということ。
サウンドプロダクションが以前の作品と比べて著しく向上しており(この辺はロジャーのプロデュース能力の凄さ?)、全体的にも格調高い仕上がりで、そこがレインボーの作品の中でも異質だと思わせる部分なのかもしれない。
クラシカル成分ももちろん含まれているが、これみよがしではなく、飽くまで自然に溶け込ませた感じで、まったくクサ味がないところが、私が中学生の頃からいまだにこの作品を愛聴し続けている理由かもしれない。



今日の1曲:『Fire Dance』/ RAINBOW
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THE Young Person's Guide to 人間椅子

2013年03月28日 | やっぱりメタル!!
なんと、人間椅子のOzzfest参加が決定した!
しかも5月12日、BLACK SABBATHが出演するのと同日だ。
まさか海外企画のフェス(?)の大ステージに、しかもサバスと同じ舞台に人間椅子が立つ日がこようとは・・・・
いや、考えれば、日本のバンドで人間椅子ほどこのフェスの舞台にふさわしいバンドもいないのではないか!

正直この度のOzzfest Japanのラインナップは、悲劇的にトンチンカンであると言わざるをえない。無論、V系目当ての女子や、ホルモンとか、マン・ウィズ・ナントカ目当ての若いキッズには、サバスが大トリを務めるメタルフェスのなんたるかを説明したところで鬱陶しがられるのがオチだろう。
そこへ、今回人間椅子の参加が決まったことは、このフェスにとって大いに救いとなったのではないだろうか?

思えば、人間椅子は実に幸薄きバンドであった。唯一無二の実力を誇っているバンドでありながら、日本のメタル専門雑誌B!誌をはじめ、各音楽雑誌に長年シカトされ続け、ラウドパークにも呼ばれたことがない。
従来のジャパメタバンドとは明らかに性質の違うスタイルで、ブラック・サバスをはじめ、レッド・ツェッペリン、キング・クリムゾンなど、70年代ブリティッシュハードロックの精神を受け継ぎながらも、それをあえて土着民的な日本語歌詞で表現してしまう前人未踏のこの奇想天外なオリジナルセンス!
まぁ当時の偏狭なメタル論者は、その外見、そしていか天出身というだけで“色モノ”のレッテルを貼り、理解しようとも思わなかったのだろう。この長年に渡るマスコミの罪は大きい。いや、彼らはハイトーンやグロウルを使わない人間椅子の独特のヴォーカリゼーションの奥ゆかしさが理解できなかったのかもしれない。
確かに、人間椅子の音楽性は知的で難解な要素が多い。保守的で型にハマったスタイルが好きな彼らには、センス・オブ・ユーモアというものを解す感性に欠けていたのだと。

しかし、人間椅子のライブ会場での客層を見ていると、他の古株のバンドと比べて老若男女、実にファン層が幅広いのだ。なので、ハードコアもアイドルもクラブミュージックも受け入れてしまう最近の若い子の寛容な耳にこそ、人間椅子の音楽は受け入れられるのではないかと。
そして、どう見ても異質の存在感を放つ人間椅子のヴィジュアルにもV系好きの女の子には、十二分に刺激的かもしれない。

そこで、デビュー当時からファンを務めるこのオッサンの私が、5月のOzzfestに参加される予定の、まだ人間椅子を知らないっていうヤングな紳士淑女のために(あと4月のARABAKI ROCK FEST参加の方にも)、軽くその人間椅子の歩み及び魅力を紹介しようかと。
まぁ当ブログで散々人間椅子のことは書いてきているので、重複する部分はご了承願いたい。


まず、人間椅子が青森県出身の同級生だった和嶋慎治(G,Vo)と鈴木研一(B,Vo)のふたりが長年支え続けてきたバンドであるということ。
そして、バンドブーム真っ盛りだった90年代初頭に「いかすバンド天国(いか天)」というバンド勝ち抜きバトル番組(関西ではやってなかった)に出演したのがキッカケで世に降臨したバンドであったということである。(他には、Blanky Jet City、BEGINなどもいか天出身)

テレビ初登場の貴重映像。ほとんど色モノ扱いされているフシもあるが、審査員の中にはその演奏力や、コンセプトの凄さを正当に評価している者もいて、いろんな意味でお茶の間に衝撃を与えていたと予想される。

人間椅子イカ天初登場シーン『陰獣』



1990年メルダックよりアルバム『人間失格』で正式デビューを果たす。この頃の笑っていいとものテレフォンショッキングでCharがゲストで出演していた時、タモリが「最近いいバンドとかいる?」という質問に、Charが「人間椅子はいいね」と発言して、タモリがリアクションに困っているところを、私はテレビで偶然目撃している。

翌年には2nd『桜の森の満開の下』が発売。その中から『夜叉ヶ池』というシングルCDが発売される。
この曲のPVを見た当時はほんと衝撃だった!
和の耽美性とメタルとが見事に掛け合わさった楽曲のクオリティの高さもさることながら、さらにこれほど妖艶で官能的なアート性溢れる映像を制作しちまうとは!まぁバブル期だったこともあったのだろうが、このPVの作り込みようを見るにつけ、いかに周りのスタッフが人間椅子に惚れ込み本気だったってことが窺い知れるというものである(今の徳間の扱いとはえらい違いだ)。
もうこの時点で人間椅子は、日本ハードロックバンドとしては、前人未到のオリジナリティ溢れる世界観を確立していたといえる。

「夜叉ヶ池」 R-15指定。よい子はみちゃいけません!
(人間椅子初映像作品『遺言状放送』より)



バンドブームが過ぎ去り、初代ドラマー上館徳芳氏も脱退。レコード会社からもドロップアウトされてしまい、一旦インディーズに身を落としてからも、人間椅子は勢力的にライブをこなし、コンスタントに秀逸作を作り続ける。インディーズレーベルから発売された5th『踊る一寸法師』などは秀逸曲ぞろいで、ライブでもいまだここから演奏される曲は多い。

地道な活動を続けていた成果もあってか、各分野にも支持者が多く、人間椅子の熱烈なファンであった漫画家の沙村広明氏に、講談社『アフタヌーン』で連載されていた人気マンガ『無限の住人』のイメージアルバムの制作を依頼されたりもしている。



そして人間椅子には、ひそかに海外からの支持者も少なくない。
まず元OPETHのキーボーディスト、ペル・ヴィベリは熱烈な人間椅子ファンらしく、全作品所持しているそうだ。
あと、元CARCASS、ARCH ENEMYのマイケル・アモットがB!誌に投稿しているコラムのコーナーで、人間椅子の12thアルバム『三悪道中膝栗毛』を大絶賛していたとかいないとか。

この時点で、現在の3人のラインナップが固まる。



そして、デビューから23年経った今でも、驚異的なパワーとクオリティを保持し続けているのが人間椅子の凄いところだ。和嶋慎冶氏などは、そのギタープレイにますます磨きがかかっている。
2011年に発売された人間椅子初のライブアルバム『疾風怒濤~人間椅子ライブ!ライブ!』でも、その衰えを知らぬ強靭なプレイが確認できる。

「深淵」( DVD『疾風怒濤~人間椅子ライブ!ライブ!』より)



人間椅子に関しては、後藤マスヒロ(ex頭脳警察、GERALD)という凄腕ドラマーが在籍していた頃のプログレ中期など、語りたいことは山ほどあるが、イオンにタダ水汲みにもいかんとあかんので、今回はここで筆を置くことにする。あとは各自YOU TUBE視聴してみたり、アルバム買ったりして下さい。
まぁ、ツィッターでもけっこう話題騒然となっとるから、こんな誇大宣伝しなくてもいいのかもな。

今日の1曲:『黄金の夜明け』/ 人間椅子
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帰ってきた不思議カナディアンズ

2013年02月07日 | やっぱりメタル!!
2009年に最終作として『INFINE』をリリースし、長年の創作活動にピリオドを打ったと思われたVOIVODが、復帰作『TARGET EARTH』を引っ提げ現世に帰ってきた!
中学ん時、『Killing Technology』をワルツ堂で注文したときもそうだったが、今回もオンラインで注文してからだいぶ待たされた。しかもクレジットカード払いにしたつもりが、代引になってて不可解このうえない。箱開けたら、進化型Korgullステッカーが封入?!かと思ったが、なんだか違うみたい。

某雑誌のレビューでは、『Dimension Hatröss』、『Nothing Face』を想起させる充実の内容なんて、VOIVODフリークの喜びそうなこと書いてたけど、んなことは半分も信じてなくて、だいいち『Dimension~』のような奇跡の化学反応と、あの時代のザラついた質感を再現することなど、現在では不可能に等しい。
だから、期待半分で本作に臨んだわけであるが・・・・・
うん。見事なまでに唯一無二のVOIVODワールドが展開されている。そりゃ~もう、これでもか!と言わんばかりに。

4年前、THRASH DOMINATION 08での初来日公演で、VOIVODファンの心を鷲掴みにした伏兵ギタリスト、ダニエル・モングレン(今回VOIVOD正式加入に伴ない、“チューウィー”というミドルネームを授かっている)が、今回中心となって曲を書いてるみたいだが、故ピギーの奇想天外なコード進行、作曲法を研究しつくしてる筋金入りのVOIVODマニアだけあって、随所にそれらしいフレーズが散りばめられており、奇抜なプログレッシヴ展開や、混沌としたスペーシーな演出もそれなりの雰囲気が出ている。ソロパートなんかでは、持ち前のメタリックなテクニカルさもちょこっと垣間見せてはいるが、モングレンは遠慮せずもちっと自分のカラーを主張したらば、もっと進化したVOIVODサウンドが打ち出せたんじゃないかと。
今回は、オリメンのブラッキーことジャン・イヴ・テリオールも完全復帰し、あの重く歪んだベース音をブリブリとかき鳴らしてくれていて嬉しいかぎり。

最初聴いたときは、『Killing Technology』を想起させる殺伐としたテクノロジカルな雰囲気をビシビシと感じたが、全体的なサウンドは『The Outer Limits』のそれに近く、『Nothing Face』の無機質さ、『RRROOOAAARRR』のパンキッシュな疾走感と、あらゆる歴代アルバムの要素をやみくもにねじ込んだごった煮感があり、少し散漫としてまとまりのなさを感じた。個人的には♯6“Resistance”が一番まとまりがあってシックリきた。
でも、CDを通して最も興奮させられるのが、ボートラのライブ音源2曲(“Tribal Convictions”、“Nothing Face”)だったりする。やっぱピギーの楽曲センス(そこには、イマジネーションに富んだストーリーが見えるんだよね)と、あの混沌とした時代ならではのマジックを改めて痛感させられちまう。モングレンもそれをライブで忠実に再現してくれていて、VOIVODファンとして感謝に堪えない。

なので、一刻も早い再来日を祈願してやまないのである。




今日の1曲:『Kluskap』/ VOIVOD
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キップ・ウィンガー待望論

2013年01月11日 | やっぱりメタル!!
晦日にNHK総合で放映されていた、Perfumeの昨年行われたアジアツアーのドキュメント番組を見てたのだが、台湾でのリハーサル場面で、のっちの着てる黒のTシャツのバックにデフ・レパードのロゴみたいな字体で「CAN'T GET ENUFF」って文字がデカデカとプリントされてるのに「おや?」となって、次の場面でのっちが着てたのが、なんとWINGERの2ndアルバム『IN THE HEART OF THE YOUNG』のメタルTシャツであることが判明してア然となってしまった。
なんだ、バッド・カンパニーの方じゃなかったんだ。



しかし、まさか彼女がウィンガーファンだったとはね・・・・

ただ、私自身ウィンガーといったら、ジョージ・マイケルみたいなベーシストが、インカムつけて歌ってるぐらいのイメージしか持ちあわせてなくて、音源も所持していない。
こないだB!誌の整理をしてて、このアルバムが“今月のピック・アップ・アルバム”としてレビューされている号を発見したのだが、そこでの総合評価は芳しくないですね。ただ、レビュー者がこぞって言ってるのが「聴きやすいサウンドでありながら実は凄いコトをやっている」ということだった。
昔ちょっとだけバンド組んでたベーシストが(こいつなぜだかドリムシの「メトロポリス」のギターソロだけ完コピしとった)確かキップ・ウィンガーの崇拝者だったのを覚えているほか、午後連のJ氏がレブ・ビーチをやたらリスペクトしてたような気がする。噂によれば、ジョージ・リンチばりのテクニシャンなのだとか。J氏が熱中するわけだ。

あと、レコード屋で配布していたウィンガーステッカーは(私はタダならなんでももらう)いまだ大切に保存している。




ちなみに“CAN'T GET ENUFF”はこんな感じの曲。


なるほど、私が興味を持たなかったわけだ。

でも、のっちが好きだっていうんなら、私も今度アルバム聴いてみようかと思う。
だってのっちがいいって言うんなら、いいに決まってる!
のっちの好きなものを俺も共有したい!

的なこと書いたら、今度J氏に会うときマジで持ってきよるな・・・・
なら、私も彼に『Perfume Global Compilation』を持っていこう。



今日の1曲:『FAKE IT』/ Perfume
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拷問デジタル

2012年11月03日 | やっぱりメタル!!
元NAPALM DEATHのギタリスト、ジャスティン・ブロードリックが88年に結成したのが、このインダストリアル・バンドGODFLESH。
ちなみにジャスティンは、NAPALM DEATHでは1st『SCUM』のA面のみのレコーディング参加で、あのトータルタイム2秒で有名な“YOU SUFFER”のギターを弾いてる張本人である。
このGODFLESHが、今月まさかの初来日って聞いたときはビックラこいた。


GODFLESHのサウンドに出会った当時は、まだロック一直線の頃で打ち込み系にはほとんど免疫がなかったんだが、冷酷なまでに打ち出される無機質なドラムマシーンの連打に、重くのしかかるヘヴィリフ、そして不穏に渦巻くこのノイズギターの不協和音に、言いしれぬ不健全なケミストリーを感じ、こういうのもアリだなと思った。
まぁ情緒不安や体調の優れぬときに聴くと、ストレスの溜まる音の責め苦以外のなにものでもない音楽だが、残忍非道な気分に浸りたいときや、献血で血を抜いて気持ち良くなったときなどに聴くと、この拷問めいたデジタルビートのジワジワ感と、神経を逆撫でにするノイズギターのカオティックさにだんだん恍惚感を覚えること請け合いである。



思えば、PANTERAや『ブラック・アルバム』を引き金に、メタルが暗黒時代に向かわんとしていたあの頃、“聴覚刺激”をモットーとするイヤーエイクは、実に多種多様なバンドを次々世に送り出していた。
特にNAPALM DEATHからの卒業生による新プロジェクトにはユニークなものが多く、各々が極端なまでに異質なサウンドを追求していた。ビル・スティアの残虐ゴア・バンドCARCASS、ミック・ハリスのインプロヴィゼーション・ユニットのPAINKILLERなど。
リー・ドリアンのCATHEDRALなんかもそうだが、スピードを極限まで極めた者が挙句の果に行き着いたのが、超スローで息苦しいほどのダークさであるっていうのもおもしろい。GODFLESHもそのダークさ加減ではCATHEDRALに退けをとっておらず、ドラムマシーンを導入してまで徹底したヘヴィさを追求するそのなりふりかまわぬ姿勢がカッコいいなと思った。


当初はシアトルを発祥としたグランジなどのダークでヘヴィなサウンドがもてはやされていた時代だが、米産のはどこか垢抜けていてカチっとしたまとまりがあってなんか馴染めなかった。やはり土地柄のせいであろうか。
GODFLESHは「MINISTRYへのイギリスからの回答」なんて言われていたが、MINISTRYほどの人気が出なかったのは、やはり健全な心の者が聴くにはあまりにも病的なカオティックさと、女子供を寄せつけぬ過酷さがそのサウンドに内在していたからであろう。
本質的なものは、NAPALM DEATHの頃からちっとも変わっていないのである。





今日の1曲:『Tiny Tears』/ GODFLESH
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今から学ぶデス。

2012年10月07日 | やっぱりメタル!!
毎日毎晩紙ジャケリマスター三昧!

さて本日の紙ジャケは、個人的にDEATHのアルバムの中で長年鬼門となっていた5th『INDIVIDUAL THOUGHT PATTERNS』。

1991年に3rd『SPIRITUAL HEALING』ですでに日本盤デビューを果たしていたDEATHだが、次作『HUMAN』で再び輸入盤のみのリリースとなり、本作もリリース当時は同様の扱いであった。
しかし、B!誌レビューの影響か、デスメタルの認知度が上がったせいか、日本で『INDIVIDUAL~』に対する評価が徐々に高まり、DEATHの認知度もグッと上がって、本作は「DEATHの最高傑作!」「テクニカル・デスメタルの最高峰」とまで称されるようになり、後にめでたく日本盤化も実現した。

まぁメンバー編成をみても、KING DIAMONDのアンディ・ラロック(g)、元DARK ANGELのジーン・ホグラン(dr)、SADUSのスティーヴ・ディジョルジオ(b)という、アメリカのその道の猛者どもが集結した、いわゆるスーパー・バンドの様相を呈している。
全10曲でトータルタイムが40分にも満たないが、そこに詰め込まれた情報量は膨大で、息もつかせぬほどの目まぐるしい展開と、溢れんばかりの演奏力が注ぎ込まれている。




ただ、そんな世間の評判にもかかわらず、なぜか私は本作に馴染むことができず長年忌避しつづけてきた。
本作は、とにかく全体的に音のバランスが悪いように思えた。
ジーンのツーバスがやたらと全面に打ち出され、流れに関係なく暴走しているように聴こえ、自由奔放なディジョルジオのフレットレスベース音が真水に注いだ油のように浮いており、全く楽曲に溶け込んでないように感じた。
よって楽曲の輪郭というものが全く頭に入ってこず、何をやっとんのかいな?と理解に苦しんだ。
ま、小生がまだ初期のオドロオドロとしたDEATHの感覚を引きずっておって、ますますテクニカル指向に突き進むDEATHの変革についていけてなかったというのもある。

今回のリマスター処理によって、本作品のバランス面での欠点が見事に改善され、楽曲の輪郭が頭に入ってくるようになった。そして「相変わらずディジョルジオの自己主張が激し過ぎるな」と思いつつも、「DEATHの作品に駄作なし!」という確信に至った。
やはり耳を惹くのは、複雑でテクニカルな楽曲の中でもキラリと光るチャックの理にかなった流麗なるメロディセンスである。楽曲をドラマティックに彩るシンセ効果や、この叙情的なメロディ運びはやはり日本人好みなのかもしれない(但し、決してメロデスとは違う)。

といったワケで現在、今さらながらこの作品を非常に楽しんでいる。


DEATHを好きで本当によかった。

DEATHに会えて本当によかった。


って、J-POPの歌詞によく出てくる安っぽいフレーズでしめくくってしまい、誠に面目ない。


最後のチャックの爽やかな笑顔がなんかいい・・・・


今日の1曲:『The Philosopher』/ DEATH
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ポゼストファッション

2012年05月27日 | やっぱりメタル!!
2年くらい前にオープンした壁にサイケなスプレーアートが施されたオシャレなアパレルショップの前を車で通ったら、その店員らとオシャレな仲間たちが外でたむろして談笑してるのを横目で見やり、「ケっ、スカした連中どもが。関係あらへんわ」と思いながら通り過ぎようとしたのだが、そのメンバーのひとりがポゼストのロゴTシャツを着ているのに思わず二度見してしまい、危うくハンドル操作を誤りかけた。


こういう連中が聴く音楽といえば、気取ったヒップホップとかアバズレチックなR&Bの類と相場が決まっているのだが、まさか悪魔主義的なポゼストの音源をipodに常駐させているなど、ちょっと想像ができない。
それともポゼストのバンドロゴもSUICIDAL TENDENCIESと同様、こういったカジュアルファッションブランドの一部として最近リバイバルされてるのだろうか?


POSSESSEDは1985年にデビューし、その時点で既にデスメタル的なスタイルを打ち出していたパイオニア的スラッシュメタルバンド。




何をかくそう、1stアルバム『SEVEN CHURCHS』には“DEATH METAL”ってタイトルの曲が収録されていたりして、おそらく彼らが最初に“デスメタル”なる言葉を発言したのではないかと。
まぁ最近のブラストビート多用の演奏技術の具わったカチッとしたサウンドのデスメタルではもちろんなく、この時全員高校生ってこともあって演奏は粗暴以外のなにものでもなくテンポも悪いが、そのサウンドはもうはちきれんばかりの暴虐性に溢れており、現代のデスメタルなんかより何倍もの破壊力がある。
「666ーーー!!」とか、「セイターーン!!」などの背徳的なフレーズを吐き散らし、“ジ・エクソシスト”とか“ペンタグラム”とか“サタンズ・カース”とか、楽曲タイトルからしてヒネリもクソもない中学生レベルの発想力で、決して頭が良さそうではない。
ただ、ベース兼任で加入したヴォーカル(初代ヴォーカリストは彼女の目の前でピストル自殺したらしい)のジェフ・ベセーラの凶悪なヴォーカリゼーションはかなり注目に値するものがある。

いや、亡きDEATHのチャック・シュルディナーにも影響を与えたというのだから、彼こそがグロウルヴォイスの原点というべき存在なのかもしれない。
数年前のヴァッケンフェスでの復活ステージでは車椅子姿で登場したらしいけど、彼が現在どういう状況なのか、私も詳しいことは知らない。

ちなみにギターのラリー・ラロンデは実はかなりのテクニックの持ち主で、後にテクニカルミクスチャーバンドPRIMUSで活躍している。



今日の1曲:『DEATH METAL』/ POSSESSED
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2012年04月11日 | やっぱりメタル!!
たまには、フィンランド産のメタルも聴かなきゃね。
ってことで、STONEの1990年作の3rdアルバム『COLOURS』を紹介。

まず、貞子の目みたいなジャケットがおっかないですね。
このSTONEには、かつてみんなの大好きなCHILDREN OF BOTTOMのルーペ・ラトヴァラ、元AMORPHISのペッカ・カサリが在籍していたバンドなんですが、この頃は真っ当なスラッシュメタルをやってはりました。

モーターヘッド、タンクばりの男くさいヴォーカルに、小気味よいクリーンなリフ&ギターソロで演奏力はかなりテクニカルで安定している。
全体的には地味な印象もうけるが、曲構成もかなり複雑怪奇ながら柔軟性に富み、やはりヨーロッパ特有のダークさが漂っている。
とにかく、ベースヴォーカルのジェネの作曲センスが良すぎるというほかない。




ラストにレッド・ツェッペリンのカヴァーで“FRIENDS”を取り上げてるところなんか、なかなかの変化球で攻めてくる。しかもこのアレンジがまたセンス抜群!!
#3“WHITE WORMS”でのストリングス効果など、この辺りからもツェッペリンに影響を受けている懐の深さが窺える。


Stone - Friends (Led Zeppelin cover)


今日の1曲:『Spring』/ STONE
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まさかまさかの

2012年03月07日 | やっぱりメタル!!
あのマサカーの『FROM BEYOND』(1991)が、マサカマサカの再発!!
EP『INHUMAN CONDITION』もカップリング収録。
しかし、なんとも名状しがたい醜怪ジャケやなぁ~


故チャック・シュルディナーと共に、DEATHの前身バンドMANTASでヴォーカルとドラムを兼任していたカム・リーと、ギターのリック・ロッツ(ちなみにリックはDEATHの2ndにも参加)、そしてDEATH初期の安定したリズム隊を担った2ndと3rd参加のテリー・バトラー(b)とビル・アンドリュース(dr)らが85年に結成したのがこのMASSACREだ。(結成当時はOBITUARYのアレン・ウェストも在籍していたとか)
ようはチャックに引き抜かれ、使い捨てにされた者たちの寄せ集めバンドといったところですな。
本作はDEATH脱退後、再び結集し正式デビューを果たしたマサカーの初作品。


音楽性は初期DEATHからチャックを引いた感じそのまんまといったところ。
カム・リーのマーク・バーニ風のイカついデスヴォーカルに、この時代特有のストレートに突き進む典型的なデスメタルを展開している。
リック・ロッツはレパートリーが少なく、2nd『Leprosy』の使い回しみたいなギターを弾いている。
まぁ、いかにチャックがソングライターとして優れていたかが本作を聴いていてもよくわかる。DEATHのさらなるレベルアップのためにチャックに切り捨てられたのも仕方がなかったのかと。
ただ、彼らが初期DEATHのオドロオドロしさの部分を担っていたんだということも、本作を通して感ずるところではある。
彼らの放つ容赦ない一本調子の演奏力は、技術うんぬんでは説明できないとてつもない邪悪さが漲っている。




ところで、ドラマーのビル・アンドリュースさんは大の日本好きで有名。
当時からひとりで日本に遊びに来ては、レコード屋でJ-POPを買い漁っていたのだとか。
で、とうとう日本に住みついてしまって、現在はディスクヘブン名古屋店で働いておられます。
私も一回会いに行って私の大好きなDEATHの3rdアルバム『Spiritual Healing』のジャケットにサインしてもらいました。


で、傑作なのがこのマサカーの歌詞カード最後のビルの“Special Thanx”のリストにOUTRAGEらのメンバーの他、なんとプリンセスプリンセスの名前がクレジットされてある!(笑笑笑)


ちょっとページをまたぎますが、“PRINCESS PRINCESS”の名前が!
この人相当ですよ。



てゆーかプリプリと面識あったのかな?(いや、ないだろう)
浜田麻里さんの名前なんかも見受けられます。



こんなステキなポスターまでついてきます。
EP『INHUMAN CONDITION』ジャケ画。ちなみに裏が『FROM BEYOND』の絵柄の両面タイプ。

(左から3番目がビル・アンドリュースさん)




今日の1曲:『FROM BEYOND』/ MASSACRE
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ババババババギャー

2012年02月20日 | やっぱりメタル!!
明日は大阪でいよいよNUCLEAR ASSAULTのライブである。

実はうちの姉貴は見たことあるのに私は見たことないんですよ!
まぁ、ダン・リルカはBRUTAL TRUTHとS.O.D.の時に拝見してはいるんだけど。
ニュークリアは死ぬまでには一度見ときたいバンドの1つだった。


今宵は久方ぶりに4th『OUT OF ORDER』をひっぱり出して聴いてた。
このアルバムはあんま評価されてない気もするが。
うん、ハードコアメタリックないいアルバムだ。
相変わらずのダンのガリガリベースにグレンの弾丸ドラム。絶品である。
まぁ各プレイヤーの演奏力も安定し、落ち着きが具わった分若干攻撃性が減じた感は否めないが、その分実に聴かせどころも多く、楽曲の展開などに創意工夫が見られて非常におもしろい。
特にアンソニー・ブラマンテがかなり弾きまくっているね。
インストナンバー“SAVE THE PLANET”では大胆にもシンセサイザーソロまで導入しているのにはちょっと驚かされるが。
ジョンのニヒルな歌いっぷりも最高。
こんな個性的なヴォーカリストがガテラルヴォイス主流の現代にいるかっちゅー話ですわ。




しかし、活発に活動しているような噂も聞いてなくて、このタイミングで再来日とは、一体彼らの現在のモチベーションはどんな状態なのか非常に気がかりである。
だって、2007年のスラッシュ・ドミネーションではトリを務めたものの、かなり評判悪かったし。
ジョン・コネリーはしばらくこの業界から足を洗ってて国語の教師してたんでしょ?
スラドミん時も会場をかなりシラケたムードにさせてたっていうし・・・

ま、あとは関西のオーディエンスの盛り上がり如何にかかっているのではないかと。
しかし大丈夫かなぁ~・・・・集客率。




今日の1曲:『To Young To Die』/ Nuclear Assault
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アダルト・オリエンテッド・メタル

2011年12月30日 | やっぱりメタル!!

カナダ出身のスリーピースバンドといえば、RUSH、EXCITERだけじゃない。
このTRIUMPHもまた、カナダを代表するスリーピースバンドのひとつだ。




つーか私が産業ロック臭漂うトライアンフなんて聴いてるって、なんか意外でしょ?
うん、自分でも意外。

まぁ中学生の時なにげなくアナログで買った『THUNDER SEVEN』には全くハマらんかったけど。
しかし、このアダルト・テイストな楽曲の多い3rd『JUST A GAME』に関してはどこかピンとくるもんがあった。




トライアンフっていうと、『メタル同盟』なんて邦題のアルバムをリリースしてるぐらいだがら、一応ジャンル的にはヘヴィ・メタルに属すかと思われますが、リーダーのリック・エメットはもともとプログレッシヴなロックに傾倒していて、バンドを立ち上げた当初はELP+ザ・フーみたいなバンドを目指していたとかいないとか。
まぁトリオっつーだけでどこがELPやねんって感じなんですが、リックの音楽的教養の深さと振り幅の広さは確かなもので、プログレ・ハードな音楽性の中にキラリと光る知的センスも兼ね備えたメロディアスハードロックバンドといったところじゃないでしょうか。

『JUST A GAME』は、プログレというよりはAOR的アプローチが強く、バリエーションに富みながらも楽曲それぞれがとても洗練された仕上がりとなっている。
ブリティッシュ・ブルース・テイストたっぷりな“Young Enough To Cry”や、コーラスを効果的に配したバラード曲“Just A Game”の哀愁感は秀逸。



普通にクラシックのアルバムに入ってそうなアコースティック・インスト小曲“Fantasy Serenade”なんか聴くと、エリックのギタリストしての懐の深さが垣間見れる。
ラストの“Suitcase Blues”もカクテル片手に夜景でも眺めてるかのような、メタルバンドとは思えないとてつもなくオシャレムードナンバーで、なんだか美女にカクテルでもおごってあげたいジゴロな気分になる。
(私の宇宙的な説明にピンとこない人は、エクストリームの“When I First Kissed You”、もしくはザ・ポリスの“Murder By Numbers”を思い浮かべてみてちょ)



今回この作品をまたしても紙ジャケリマスターで買い直した訳だが、ついでに2nd『炎の勝利者』も購入したんだが・・・
こっちはなんちゅーか、ツェッペリンとかパープルとかクイーンとかに影響受けまくりなヤンチャプログレハードアルバムといったところ。
まだ聴き込んでないので、このアルバムの感想はまたいつか。

ELPのトリロジー感。



今日の1曲:『野生の叫び』/ TRIUMPH
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