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AMASHINと戦慄

~STARLESS & AMASHIN BLOG~
日々ブログレッシヴに生きる

あの“ゴーストバスターズ”の女優も出てる

2009年01月07日 | しねしねシネマ
さて、その日鑑賞2本目となりました『僕らのミライへ逆回転』は私の好きなPV監督ミシェル・ゴンドリーさんの最新作ですが、昨年いつのまにやら公開されていたのを全然知りませんでした。
ジャック・ブラックやダニー・グローバーなど、結構有名な役者が出ているにもかかわらず、ほとんど話題にならなかったのはこの邦題のマズさからだろうか?



ジャック・ブラックのキャラは『スクール・オブ・ロック』とほぼ一緒。
最初の感電シーンで『ショッカー』みたいに時空を旅する荒唐無稽な話かと思いきや、おバカ2人組みがダンボールやガラクタなどを使って有名映画作品をチープに手作りリメイクする過程が延々と映し出されるといったコント仕立ての展開。
CGばっかに頼らない手作り感のあるカラクリ映像を作り出すのがゴンドリー作品の素晴らしいところなんだけど、今作はそれを極限まで突き詰めた形といったところなんでしょうか?

私も最初の『ゴーストバスターズ』の撮影シーンは個人的に思い入れのある作品なので大いに笑えたんだけど、『ラッシュアワー2』とか『ロボコップ』とかになってくると段々飽きてきて全然笑えなくなった。
しかし隣のオバちゃん2人組みは終始腹抱えて笑ってたなぁ~、どっかの外人かと思った。そんなにおもろいか??
ラストのどっかの有名黒人ピアニストをテーマにした作品のメイキングシーンになるともうほとんど欽ちゃんの仮装大会ですよ。

まだVHS主流だった頃の、温かみのある映像時代を懐かしむハートウォーミングな話ではあるんやけど、今回はなんか悪ノリしすぎとちゃいますやろか、ミッシェルさん?
ちょっと最近のゴンドリー作品にはついていけないなぁ~、やっぱ彼はPV撮らせてる方がよいかと。


最後に、正月早々ナンバに呼び出して、2本も映画に付き合わせてしまった私の友人に感謝。

オススメ度:★★★



今日の1曲:『Let Forever Be』/ The Chemical Brothers
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あの“灰色の脳細胞”の人も出てる

2009年01月05日 | しねしねシネマ
昨年の締めの記事で、「ほとほと映画には興味を失いました」とボヤいておきながら、年明け早々大阪まで連続2本の映画作品を見に行ってるって「どないやねん!」と自分につっこみたくなる。

その2本は昨年から目をつけていた作品で、1つはイギリス映画『バンク・ジョブ』、それとミッシェル・ゴンドリー監督作『僕らのミライへ逆回転』
2本とも同じ映画館でやっていて、その日はその映画館のサービスデーだったので、久々に2本観に挑戦してみようかと。

まず一本目の『バンク・ジョブ』は、1971年に実際起こった英国犯罪史上最大の銀行強盗事件を題材にしているということでそれなりには期待してたんですが、いやいや、新年早々当たりくじを引いた感じで、大吉とまではいかないけれど、まぁ中吉といったところでしょうか?
クライムサスペンスは元々好きなジャンルやし、ハゲカッコいいジェイソン・ステイサムが主役とくりゃあ~そこそこ見応えがあるのは当然かと。

ストーリーはまぁよくある話で、中古車経営者の男が組織から借金して追い込まれてて、いっちょ銀行強盗でもやって一括返済したろかしらんと仲間を集い、銀行の貸金庫の金品を地下から穴掘って見事盗み出すことに成功するといったほんとありふれたものです。
だから強奪シーンそのものには別にハラハラドキドキするようなことはなかったですね。なんか軽いノリやったし。
でも貸金庫から盗み出したものの中に、マフィアの裏帳簿やら、王室のスキャンダル写真やらが混じってて、強奪後いろんな裏組織やら英国諜報機関やらの魔の手が迫ってくるという展開はこれまたありふれてはいるんですけど、ここから緊張感が一気に高まり激しく興奮させられちゃいましたねぇ。
特にマフィアに仲間を殺されてから、逃げることをやめ、諜報機関や警察などの組織と駆け引きしながら、武器なしで見事な反撃に打って出るジェイソンの勇姿が超クールでカッチョいい!!



ありふれた話でありながらこれだけ私が惹きつけられたのは、やっぱ古めかしい70年代のイギリスが舞台だったからでしょう。
登場人物のヘアスタイルや服装もどこかレトロでおシャレだし、映像もなんとなく70~80年代を感じさせる質感がモロ私好み。
邦画やハリウッド映画とかみてたら、脇役でも「また、こいつか・・・他にもっとおるやろ!」ってウンザリさせられることがしばしばですが、本作はジェイソン・ステイサム以外普段あまり馴染みのないイギリス人俳優が脇を固めてるって点でなんか新鮮味を感じるんですね。しかもみんなとってもいい顔してる!
裏社会のボス役の人は実はTVシリーズの『名探偵ポアロ』でお馴染み、デヴィッド・スーシェだったりするんですけどね、ムッシュウ。
通信手段もケータイじゃなくってトランシーバーで、泥棒仲間とのやり取りをどっかの盗聴マニアに傍受されちゃってたりして、それがラジオで全国に流されちゃうというのはやっぱり実話に基づいた話なんでしょうかねぇ。
この素人泥棒集団の決して安心して観てられないアブなっかしさが、余計にスリル感を味あわせてくれちゃってんですよね~


エセ黒人活動家“マイケルX”と親交があったと噂されるジョン・レノンとオノ・ヨーコらしき人物が劇中のどこかに映ってるみたいなので、これから観に行こうと思ってる人は探してみてください。

いやー新年早々久々にいい映画観たなぁ~、こりゃ幸先良いでよ!

『僕らのミライ~』の感想文は次回にて。


今日の1曲:『Five Fathoms』/ Everything But The Girl
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必聴!怪人二十面相

2008年12月29日 | しねしねシネマ

今年はほんま心から面白いと思った映画をひとつもみてない気がしますが、お正月映画は結構注目に値する作品が多いかと。

先週から上映されてる金城武主演映画『K-20』もかなり気になる作品の1つ。皆さんもうご覧になられたでしょうか?




『K-20』とかイチビったタイトルつけてますが、言うまでもなく江戸川乱歩が子供向けに書いた少年探偵団シリーズの泣く子も黙る“怪人二十面相”のことで、アラフォーな方なら知らない人はいないかと思います。
私自身、幼少の頃、小学校の図書室で胸躍らせながらこの少年探偵シリーズを時間も忘れて読み耽ったという思い出があるかと申しますと、実はさにあらずだったりします。
いや、その頃はルブランのアルセーヌ・ルパンものに夢中だったもので・・・
乱歩作品にまで気がまわらなくて実は少年探偵ものは全くと言っていいほど読んだことがなかったりします。
まぁもともと怪人二十面相自体、アルセーヌ・ルパンがモデルということですし、どっちかでよかったんじゃないかと。
あ、そうそう、怪人二十面相の映画化を記念して、ポプラ社よりあの少年探偵シリーズの文庫本が当時の山川惣治画のあのオドロオドロしい劇画カバー表紙+挿絵で復刻しておりますね!
本屋に並べてあるの見ただけで、ほとんど読んだこともないくせにノスタルジックな気持ちになってなんかワクワクしちゃいました。


まぁアラツェンーな若い世代の人で怪人二十面相と聞いてもピンとこない方もいらっしゃると思います。
そこで今日は映画『K-20』を20倍楽しむための必須アイテムともいうべき音楽作品をみなさんに紹介したいと思います。

それは乱歩世界をロックで表現させれば右に出るものはおらぬといわれる日本最大のロックバンド、人間椅子の9作目にあたる、タイトルがズバリ『怪人二十面相』という作品でございます。




まぁ乱歩ファンの方なら殆どの方が所持してらっしゃるんじゃないでしょうか?
タイトルが示す通り、乱歩の『怪人二十面相』をテーマとしたストレートなコンセプトアルバムで、メンバーの3人が怪人二十面相、明智小五郎、小林少年に扮し、昭和の帝都を舞台に大活劇を繰り広げるかのような怪奇溢れる傑作に仕上がっております。




まず1曲目を飾るタイトル曲“怪人二十面相”は、正にオープニングを飾るのに相応しい神出鬼没のワクワクするようなハードロックナンバー。なんつっても間奏での怪しげな和嶋氏のスライドギターがヤバいくらいカッコいい!
そして少年探偵シリーズお馴染み(知らんけど)#3“蛭田博士の発明”では、ドゥーミーなサウンドにのって、マッドサイエンティストの狂気を鈴木氏がオドロオドロしげに怪しく歌い上げております。
諸外国を放浪の末、お洒落に変貌を遂げた明智小五郎のイメージを、和嶋氏がまんま歌い上げた#8“名探偵登場”はちょっとユル~い感じのご機嫌ナンバー。
そしてこのアルバムの締めを飾るのが、これまたストレートなタイトルの“大団円”。前半の妖気漂う怪しげな雰囲気から一転して、役者達の終演ご挨拶のようなフィナーレを想定した和やかな展開を見事ロック的に演出しているのはさすが!

もちろんこのアルバムには大人向けのディープな乱歩作品曲もございます!
その中でも秀逸なのは、椅子史上最も陰鬱な乱歩趣味が顕れた怪作#9“芋虫”でありましょう!
もうそのどんよりしたベース音からして手足をもがれた主人公の鬱々とした自己嫌悪観、悲壮観が全面に滲み出ており、これまたワジーのブルージーにむせび泣くギターが圧巻であります。

NINGEN ISU / The Caterpillar(人間椅子 / 芋虫)


#11“地獄風景”なんていう3・3・7拍子のスラッシュナンバーもございますが、私はこれよりセンス・オブ・ユーモア溢れるスピードナンバー#10“楽しい夏休み”の方をオススメしますがね。
ワジーの小学生の絵日記のような歌は少々イってますが、プログレドラマーマスヒロ兄のバカテクスティックさばきが大爆発した凄まじい曲展開の、椅子史上最高の傑作スラッシュナンバーでございましょう。

ジャケット絵を手掛けたのはお馴染み大越孝太郎先生。
アルバムリリースに伴いPV(下映像参照)が収録されたVHSも発売されており、なんとオマケとして怪人二十面相の変装お面が付いてきちゃうんです!
ブルーレイの時代ではございますが、これはもう買うしかありませんね。




とにかくこの作品は怪人二十面相の非公式サントラと呼ぶべき濃厚な内容となっておりますので、映画をご覧になってない方はもちろん、既にご覧になった方にも、二十面相の魅力をよりいっそう深めるにはもってこいのアイテムでありましょう。


来年、ケータイ電話など放り出して、BDバッジを胸につけ、トランシーバーを片手に携えた小学生が、街のあちこちで目撃されるような予感がするのは私だけでしょうか?



今日の1曲:『怪人二十面相』/ 人間椅子
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サントラ・ブロック

2008年12月11日 | しねしねシネマ
クリスマス前のこの時期にタイトル的にピッタリな映画といえば、『ナイトメアー・ビフォア・クリスマス』なんてのがあります。
ティム・バートン監督のストップモーション・アニメーションという技法を駆使した人形劇のようなファンタジーアニメ映画。
ヴィジュアル面は凄くよく出来た作品で、キャラデザインもユニークだし、CG全開のアニメよりかは温かみを感じます。
私も昔このブキミにかわいいキャラクターデザインが好きでして、ゲーセンのUFOキャッチャーで浅はかにもこのキャラクターグッズばかりを必死のパッチでとりまくってた時代なんかもございました。
でも劇中におけるキャラ設定はずいぶんとイケてなく、主人公の骸骨男ジャックはただのお調子者ののいらんことしぃやし、そんな骨男を健気に慕うツギハギ女のサリーは見ていてイライラするほど女々しい。
ミュージカル式っつーのも面倒くさいし、主人公の単なるひとりよがりの思いつきでの大騒動劇で、見てる側としては全く感情移入できない。
まぁ所詮お子ちゃま向け映画ですね。家族団らんでどんぞ~って感じ。

『スリーピー・ホロウ』もそうやったけど、ティム・バートン監督作品は、私のかつての闇雲にダークでブキミなものを追い求めるという盲目的な性癖を改めさせるキッカケとなったかもしれません。
バートン監督の映画を見てからはゴシック色の強いファンタジー映画には特に警戒心を持つようになり、しまいにはそのコテコテしたヴィジュアル自体が嫌いになってしまった。


私の暗黒趣味は、中世の黒魔術や錬金術などの神秘性に惹かれるところが大きいと思うんですが、中世ヨーロッパのファッションを特徴とするいわゆるゴシック・ファッションには全然興味ないし、そういうコスチュームに身を包んでいる女性Voのいるゴシック・メタル系の音楽もなんか敬遠しがち。
あっそうそうゴスロリってゴシック・ロリータの略語だったことを最近知りました。あの辺の趣味もオッサンには理解不能。
ゴシックなんちゃらって“中世ごっこ”みたいなヴィジュアル系の稚拙さが自分には受けつけ難いものなのかもしれん。

このまま書くとゴシック批判をダラダラやってしまい、また多勢から反感をかうハメになりそうなので話を元に戻そう。





『ナイトメアー・ビフォア・クリスマス』のサントラの2ディスク・スペシャル・エディションには、マリリン・マンソンの他、私の敬愛するフィオナ・アップルが歌う「Sally's Song」ってのが収録されているという情報を最近になって知った。
本曲は、いつものブルース、ジャズ傾向の強い楽曲と違い、かなりゴシック色の強い異色のフィオナ・ソングが聴けます。
耽美的かつ壮麗なオーケストレーションの調べにのって、優雅でダークネスに溢れるフィオナの歌声に、身も心も漆黒の暗黒世界へといざなわれてゆきます。



私がゴシック・メタル方面にいかなかったのは、先にフィオナの歌に出会っていたからかもしれません(セルティック・フロストでピークに達してしまったという説もある)。

フィオナの歌声に、心の奥底にわだかまる真の“闇”を見たような気がします。


よっしゃ、今年のクリスマスはフィオナでダークネスに乗り切るぞ!


今日の1曲:『Sally's Song』/ Fiona Apple
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チラシズム

2008年11月30日 | しねしねシネマ
音楽、映画関係のチラシがたまってきてたので、整理しようかとダイソーにクリアファイルを買いに行きました。
ほんで帰ってきていざチラシを入れてみると・・・

なんと上の部分がはみ出やがるやないかい!!

店で15分ほどその場にしゃがみこみ入念に観察してビニールの透明度の高いのを選んで買ったつもりが、これは思わぬ盲点であった。
私がなぜクリアファイルに神経質になっているのかというと、過去にビニール面の粗いザラザラした最悪の商品を購入してしまったからである。
あの時はほんとブルーな気持ちになった。
ヒドいのはクリアファイルばかりではない!写真立てなんかもたまにガラス面が虹色を滲ませた油っこいやつとかがある。本当にダイソーは油断のならない店なのだ。
みなさんも百金で物買う時は、安いからってポイっとカゴに入れてしまう前に、ちゃんとその商品を吟味しておかないと帰ってからムキー!となることになることになることになりますから。
あと、お菓子なんかはスーパーで買ったほうが安い場合もあるので、その辺もお気をつけ下さい。


なんの話でしたっけ?あ、そうそうクリアファイル。
もちろん翌々日ダイソーに赴いてサイズが小さいとゴネに行きましたよ。
返品を断られるのを考慮して、わざわざB5サイズの紙をはさんではみ出とることを示しといたのだが、そんなものには目もくれずにあっさり商品交換してくれはったのでなんだか拍子抜け。私の当初の猛り立った意気込みを返せ!


それにしても、長年蓄積してきたこの映画のチラシ群ですが、見返してみるとホンマいらんやついっぱい持って帰ってきてますわ。
まぁ私も3、4年前まではミニシアターなどによく出没するチラシ漁リーターの1人でしたから。
画的に気になるもんがあったらとりあえず2枚はゲットしておく。お気に入りのやつなどヒドい時は8枚くらいパクってきている。『キル・ビル』とか『ダンサー・イン・ザ・ダーク』とか『スターウォーズ』はアホほどストックありましたね(でもチラシは一人一枚ね!)。
しかし、そんなにとってきてどうするつもりだったのか?将来チラシ屋でも開くつもりやったんやろか?オークションに出すとか?
まぁそんな金にならんもんを手間隙かけてバラで売りさばくほど私は小マメな人間とちがいますんで。
じゃあ捨てれば?って話なんですが、これがまた捨てられない性分でしてね~、いつまでたっても整理できません!
それに今度はこのクリアファイルを置く場所に困っているという始末。
「知るか!」「一生やっとれ!」「氏ね!」という皆様からの温かいお声が聞こえてきそうですが・・・




まぁ中途半端にコレクターな私の悲しい性を笑ってやって下さい。そして新しい住居でも恵んでやって下さい。
最近はなるべくチラシを取ってこないようにしております。


それしかないんですよー!(それしかないんですよー、それしかないんですよー)




今日の1曲:『Across 110th Street』/ Bobby Womack
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プログレ映画

2008年08月06日 | しねしねシネマ
毎月恒例の午後の旧練の会合が、なんやかんやとたこ焼きパーティーという展開になり、先日ツレ夫婦の自宅に招かれて行ってきました。
このツレ夫婦はけっこうな映画好きで、しかも男の方はかなりのプログレ野郎だったので、私は彼に一度『バッファロー’66』を見せてやらねばなるまいと常々思っていたので、当日この映画のDVDを持参していきました。
というのはこの『バッファロー’66』は、キング・クリムゾンやイエスなどの超有名曲が劇中に絶妙なタイミングで流れるという、プログレファン必見のプログレ映画なのだ。

この『バッファロー’66』のDVDは、私のDVDコレクションの中でもかなりのお宝品で、小粋なお洒落ケースに収められていて、しかも中にはあのクリスティーナ・リッチがお茶目な顔で写っている照明写真の4カットシーンのピンナップが封入されているという超豪華版であることを自慢しておこう。
この映画はマルチな才能を持つヴィンセント・ギャロが監督・脚本・主演、そして音楽まで全てこなした初作品ですが、私はこれほどおもしろいラヴ・ストーリー映画を後にも先にも観たことがありません。彼は本当に天才やと思いましたね!

まぁストーリー自体は、ムショから出てきた男が行きずりの女を拉致してその女が男の時折見せる優しさやナイーヴさに母性本能をくすぐられて好きになっていくというありがちな話なんですが、場面場面がとても凝っており、要所要所かなりトリッキーな画の撮り方がされており、登場人物の性格なんかもひとりひとりクセがあって、そういったところが非常に丁寧に描かれている。私は特にグーンがお気に入り。
凝っているんだけど、それが全然わざとらしく感じないんですな。何かこう、グッと惹き込まれるんですよ。
それに彼自身はかなりプログレ好きだと聞いてますが、音楽の使い方も非常に上手いですね~
ボーリング場でクリスティーナにスポットライトが当てられ、クリムゾンの“MOONCHILD”の曲に会わせてタップダンスを踊るシーン。ライドシンバルのチキチンチン音からこのシーンの着想を得たのでしょうか?
ラストのストリップ小屋での修羅場シーンではイエスファンお待ちかね、“燃える朝やけ”が流れますが、私この曲は長ったらしくてそれほど好きじゃなかったんですが、なるほど、こういうシーンで流れるとクリス・スクワイヤーのスリリングなベース音がとてつもない緊迫感を効果的にもたらしておるのがわかりますな~
プログレとか抜きにしても、私がこの映画を好きなのは、数々のトラウマを抱えた主人公の複雑な心境とか、あのナイーヴさにかなり共感を覚えたというのがありますね。私もオシッコしてる最中に横に並ばれたら尿意喪失するくらいナイーヴだし・・・

しかしこの日、結局みんながこの映画の上映中テレビ画面を振り返ったのは、プログレ曲がかかるシーンぐらいだったんですけどね。
まぁたこ焼きパーティーでワイワイやっとる最中で、途中JOURNEYのライヴDVDにすげかえられたりしたというのもあり、とても映画を集中して観るという環境ではありませんでしたしね。
私自身もたこ焼きに入れられたとろけるチーズの賞味期限が半年を過ぎていたことが後で判明して、「ここの家庭の食い物どないなっとんや!」と、気が気でありませんでしたけど。

オススメ度:★★★★★



今日の1曲:『Moon Child』 / King Crimson
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数で殺そう ワン・ツー・スリー

2008年02月12日 | しねしねシネマ

『セブン』を観て衝撃を受け、やたらサイコサスペンスもんにハマっていたヤバい時期があります。

『コピーキャット』もそういう時期に見た映画で、好きな作品のひとつです。

「ヒルサイド絞殺魔ビアンキとヴォーノ」や「ミルウォーキーの喰人鬼ジェフリー・ダーマー」など、過去の歴史的サイコ殺人鬼達の手口を周到な緻密さで模倣する連続殺人魔(コピーキャット)の話。
犯罪心理学者ヘレン博士を演じるシガニー・ウィーバーの体をはった野外恐怖症のパニクった演技もかなり見ものでしたが(紙袋をスーハー吸ったり、最期には「プルプルー!!」とか言ってました)、やはり女刑事モナハンを演じるホリー・ハンターのチビで地味な雰囲気に、キュートなアヒル声で捜査をタンタンと推し進めていく姿が実に印象的でした。ハンサムな相棒ともデキてるのかデキてないのか、微妙な距離を置いて接しているところなんかもクールでいい。
あとカリスマ殺人鬼役をサックスプレイヤーのハリー・コニックJr.がサイコに演じております。
2回目に観たらわかることですが、実は犯人が最初の講演会の場面や、警察署内におるのがわかります。
それとラストのトイレの修羅場の場面で犯人がどこにおるのかがすぐわかってしまいました。私の勘が冴えていたのか、カメラワークが甘かったのかわかりませんが、ナイスなトリックだったと思います。
この作品には妙にどんよりとしたダークな雰囲気があって、たとえば事件とは全然関係ないところで相棒が殉職してしまうところなんかはかなりダークブルーな気分にさせられます。
あと犯罪予告に犯人が送りつけたPCの動画加工ソフトを駆使した猟奇的なメール内容などはかなり気色悪さを醸し出しておりました。

それと洒落てるなと思ったのが、犯人が殺人現場に残したメモが出てくるのですが、そこにはザ・ポリスの曲“MURDER BY NUMBERS”の歌詞が引用されており、モナハン刑事はこの曲を会議室で流し、犯人のメッセージを嗅ぎとろうと試みます。
エンドロールにもこのポリスの曲が流れ、この映画を締めくくる正に雰囲気ピッタリの演出だなぁ~と感心させられました。




そしてこの曲のジャジーなサウンドがいたく気に入った私は、たいして好きでもないくせにアルバム『SYNCHRONICITY』を中古屋で購入してしまったのでした。
全然聴いてないけど・・・




ま、ポリス来日公演中に便乗して、軽く言及しておきました。
最期にその引用された歌詞の一部を以下に紹介しておきましょうか。


殺すことを心に決めた
まずハートを石にしろ
手が殺したいと言っていたら
殺人は芸術になる

数で殺そう ワン ツー スリー
ABCを覚えるくらい 簡単でやさしい



オススメ度:★★★★



今日の1曲:『MURDER BY NUMBERS』/ THE POLICE
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ウディ・アレンのタロットカード殺人事件

2008年02月04日 | しねしねシネマ

久々に映画館で映画を見ました。
ウディ・アレン脚本・監督の『タロットカード殺人事件』

オカルト趣味を盛り込んだコテコテの犯人当て推理モノかと期待したのですが、最初に真相の鍵を握ったまま殺された新聞記者の亡霊が節操なく登場し、犯人の名前をペラペラしゃべってしまいよった段階でその期待は脆くも崩されました(その後も頻繁に出没し、事件の鍵となるキーワードをペラペラとしゃべります)。
観ている内に、老いぼれマジシャン役のウディ・アレンとジャーナリスト志望の女学生スカーレット・ヨハンソンのデコボココンビが繰り広げる掛け合い漫才をヒューチャリングしたコメディ映画なのだと分かりました。

今作品の一番の見所。やはり水着の色もスカーレット?



しかしこの女主人公のキャラの軽薄さは一体なんなん?
唯一の武器はお色気のみの単なる野心家の尻軽女ですやん。

スカーレットの演技は『ゴースト・ワールド』での脇役しか見たことなかったけど、全く演技に魅力がなく、モデル活動だけしてれば?という感じ。
冒頭の10分ぐらいこのキャラを観て「この映画ハズレかも・・・」って予感しましたもん。
ウディのおとぼけキャラはそこそこ面白いのだが、突っ込みがそのボケを見事なまでに殺してしまっている。
これはM-1に出てた関西出身のあのお笑いコンビのつっこみ役を髣髴とさせている。

極めつけは犯人役のヒュー・ジャックマン・・・・
女主人公が「最初から貴方が犯人だと思って気を引いてお近づきになった」と告白してんのに、最初のプールでも溺れる演技をしてたことを見抜けないなんて・・・アホ過ぎるでしょ!それともこれがウディ流のボケというやつか?

まぁ探偵推理モノとしては最低だが、『タロットカード殺人事件』というタイトルということで絵札と登場人物を当てはめたと考えると、一応「死神」そのものは出てきたし、犯人役のヒューは「愚者」で、最初に殺された亡霊記者は「吊るされた男」?ウディの役は言うまでも無く「奇術師」でしょう。女学生役のスカーレットについては該当無し。


ところで「奇術師」というカードは逆位置の場合「ペテン師」という意味になるのですが、原題は「SCOOP」というタイトルなのに「タロットカード殺人事件」という邦題につられて、滋賀の大津くんだりのミニシアターまでガソリン焚いてのこのこと出かけて行き、駐車料金まで払ってこのつまらない映画を鑑賞し、スカクジを引いた思いを味わった私こそがウディのペテンにかけられた「愚者」だったのかもしれません。(まぁウディ自身は騙してないけど)


ウディ・アレンの映画を観たのは今回が初めてだったのですが、もう彼の監督作品は二度と観ないと思います。
ウディ流というのが私には多分理解できないと思うんで。

オススメ度:★★

今日の1曲:『TENDERLOIN』/ BLUE OYSTER CULT
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ラブソングができるまで

2007年12月15日 | しねしねシネマ
友人2人があまりに絶賛するもので、柄にもなく『ラブソングができるまで』という恋愛映画を80円レンタルでかりてみました。

確かに冒頭の80年代洋楽ポップス全開のPVには笑いました。あれは完全ワム!のスタイルを参考にしておりますな。曲そのものはリック・アストリーテイストが漂っておりましたが。
まぁでもジャーニーの“SEPARATE WAYS”のPVには遥か及びませんが。

内容は展開まるわかりの典型的なラブストーリー。私もこういうわかりやすくて気楽に楽しめるラブコメは大好きです。
洋楽ポップを聴いていた小学生時代によく耳にしたアーティスト名とかも出てきたりして(REOスピードワゴンとか)笑えます。
ただ、この映画でヒュー・グラントはアンドリュー・リッジリーみたいな役だったのか知りませんが、『アバウト・ア・ボーイ』の時のキャラとモロ被り。ラストの展開なんかも『アバウト・ア・ボーイ』となんとなく似てるし。ひょっとして同じ脚本家?
しかし、なぜ私の友人らが興奮して会話の中で「バリュー・ドリモア」と言い間違えたり、本作を3回も観てしまうほどオススメなのかはちょっとわかりません。
彼らは趣味で作曲とかしてる連中なので、おそらく映画のテーマそのものに感銘を受けたのだと思います。

ドリュー演じる作詞家ソフィーが「メロディーは外見で歌詞は中身」と言っていましたが、私の場合はアレックスの言っていた「歌詞は二の次」という言葉の方に共感を覚えてしまった。
名曲というのは必ずしも歌詞とメロディー両方兼ね備えているとは限らないと思います。
Coccoみたいに歌詞とメロディーが同時に絶妙な形で自然と思い浮かぶ天才シンガーソングライターなどはごく稀におりますが、楽曲が良いからといってその歌詞内容が優れている曲には中々お目にかかれないです。
最近ハマった木村カエラの“TREE CLIMBERS”は最高にイカした楽曲ではありますが、歌詞を読んであまりの詩的センス皆無な内容にスカし屁をもらしてしまいました。このショボい歌詞であのようなカッコいい曲を作ってしまった作曲者がスゴい!!

私の場合は楽曲がよければ全てよしなんです。
逆にメロディーはいいのに歌詞のショボさに聴いてられなくなる時があります。特にJヒップホップやJレゲエのリリックは聴くに耐えない。
だから昔は歌詞内容がわかってしまう邦楽なんかは殆ど聴いてませんでした。
ソフィーの論説からいくと、JEFF BECKの“SCATTERBRAIN”や、METALLICAの“ORION”のようなインストナンバーは「外見だけかい!」ということになります。
まぁ極論ですが。


この映画で外見がよかったのはブリトニー(というよりホリー・バランス)をイメージしたエロカワ歌姫コーラ役のヘイリー・ベネット。
友人たちはひょっとしたらラストの彼女のエロエロステージシーンに興奮していたのかもしれません。
それなら3回も見てしまったのにも納得がいきます。
まぁでもおもしろかった。

オススメ度:★★★★



今日の1曲:『ウキウキ・ウェイク・ミー・アップ』/ WHAM!
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トランスフォーマー

2007年09月18日 | しねしねシネマ
「この映画観た後CG映画なんてアホらしゅうて観てられませんで。」
などとぬかしときながら今日『トランスフォーマー』観にいっとる私はアホです。
いやいやワーナーのタダ券が今週で期限切れになるんで、今やってるので大スクリーン映えするもんといったらこの映画くらいしかなかったんですわ~
という私の必死の言い訳はおいといて・・・

国辱的ハナクソ映画『パールハーバー』を観て、この監督の作品は二度と観るまいと思っていたマイケル・ベイの今作品・・・
相変わらず『アルマゲドン』の頃からの軽薄なノリはいまだ健全ですなぁ~
ヒロインがだいたいブルネットのアバズレっぽいねーちゃんなのはこの監督の趣味か?安モンの俳優ばっか使てからに。
相変わらずおちゃらけ場面を盛り込んで笑いを欲しがってますが、劇場では誰ひとり笑ってませんでしたねぇ。
CG技術は確かに凄い。車がヘリが戦車がジェット機がケータイが万歩計がロボットにトランスフォームして激闘を繰り広げるのは大スクリーンで観ていて最初凄く楽しかったです。私のお気に入りはラジカセロボですね。

小学生の頃トランスフォーマーのアニメがテレビでやっててそれをよく見ており、機関車型でロボットがただ前屈してるだけの変形超合金を所持していたくらい好きだったのを覚えています。
このアニメを見ていて善ロボと悪ロボの区別がつきにくく、悪ロボの方は声に水中でしゃべってるみたいなエフェクターがかけられており、それが判断要素となっておりました。
今回の映画版もラストの市街戦ではどっちがどっちやねんみたいな状態でした。CGでゴチャゴチャに塗りつぶした映像も見慣れてくるとだんだん飽きてきて嫌になってきます。まぁ『スパイダーマン』と一緒ですね。
あとには何も残りません。
エンディングがしょうもないインダストリアルなへヴィロックゆうのもウンザリ。タランティーノと違って選曲センスはゼロですね。

主人公の車のカーステから突如THE CARSの名曲“ドライブ”がかかったのは嬉しかったけど。

オススメ度:★★★



今日の1曲:『Drive』/ THE CARS
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デス・プルーフ キルキル!!

2007年09月15日 | しねしねシネマ
橿原イオンにあるTOHOシネマまでタランティーノ『デス・プルーフ in グラインドハウス』を観にいってまいりました。

せっかくワーナーマイカルのタダ券あるのに近所のイオンにあるショボいシネコンワーナーではやっとらへんのですわ。
タランティーノ作品でっせ!マジで橿原のTOHOと入れ替えて欲しいです。

TOHOは10周年記念で毎月14日は1000円キャンペーンを展開しておりまして、レイトショーにもかかわらずチケット売り場には結構客が並んではりました。
まぁほとんどの人が『HERO』とかいう映画目的の方々と見受けられましたが。
対して『デス・プルーフ』の館には、観客約7~8名。

さて仕事帰りで居眠り運転するほどの寝不足状態で、このタランティーノの最新作に臨んだわけですが、もう初っ端のフィルムの痛み演出やBGMの古臭さからしてタランティーノのB級映画趣味が全開しとりやす。
映像がとんだり、ぶれたりと「どこまで編集遊びしとるねん!館のスタッフにいいつけたろか!」って思いましたね。
贅沢な環境で高ギャラの俳優使ってB級映画を撮るっていうタランティーノのやりたい放題の娯楽三昧映画といったところか。



前半、ギャル達の車の中やバーで展開される他愛もないしゃべくりにはちょっとついていけなくて寝そうになりましたが、このタランティーノ独特のシックな映像がかろうじて私の集中力を持続させるカフェイン的な興奮剤となって作用しておりました。
あとは音楽でしょうか。ジュークボックスから流れるこジャレたBGMに合わせてギャルがケツをフリフリラップダンスを踊るシーンなどはかなりよい刺激となりました。
で、いよいよスタントマンがシボレーの改造殺人マシーンでギャル達を死に追い詰めていくシリアルキラームービーへと発展していくわけですが、正直私この手の映画って別に好きじゃないんです。
コワいのキライ!とかじゃなく、痛々しいのが苦手なんですね。
それとなんの映画のオマージュとか無知な私にとってはどうでもええことやし。

このまま『激突』みたいな展開やったら今回のタランティーノ作品は失敗したかなぁ~と、ちょっと不安な気分で2組目の獲物となるギャル達の話を観ておりました。
これも最初はさっきと同じで、車内やレストランでギャル達の下品極まりないガールズトークが展開しており、「一緒かい!」と少々ゲンナリ失望モードに入っておりましたが、後半のヴィンテージ車同士のカーチェイス劇が始まるやいなや、一気に目が覚めちゃいました!

実は私カーチェイスものがメッチャ好きでして、このCGを一切使わないこのド迫力カーアクション劇には、ほんまアドレナリンが吹き出まくりでございました。
このギャル組の中で一人浮いている長身のパツ金姉ちゃんがおったのですが、この人実はゾーイ・ベルっていう『キル・ビル』でもユマの代役をやった実際のスタントウーマンさんだったんですね!




彼女が猛スピードのダッジのボンネット上で繰り広げる、ひとつ誤れば死にまっせなスタント劇はマジ興奮モノだった。
いつ落ちるねんとハラハラして見ておりましたけど、落ちるどころかまさかこの後ギャル達のいささかやり過ぎの猛反撃が繰り広げられようとは、全く予想もつかんかったなぁ。
ラストシーンには思わず「ファスター・プッシー・キャット・キルキルかい!」と、見たこともないくせに心の中でつっこんじゃいました。
エンディングテーマ曲も超クールだし、どこまでセンスがいいんだこの映画!





いや~やっぱタランティーノ作品はハズレがない!
スタントマンをそのまま女優として起用するなんて、彼しか思いつかない発想や思います。
確かに近所のショボい田舎のシネコンでやるような内容ではありませんな。
この映画観た後、CG映画なんてアホらしゅうて観てられませんで。


P.S.
帰りの車の中で、たままたBGMで流していた人間椅子の「閻魔帳」という曲がやけにフライデーナイトの夜道にマッチしており、さっき観た映画で興奮状態になっていた私は、前のノロノロ運転車に「ケツにブチ込んでやろうか!」などと悪態つきながら、ちょっと煽りぎみの運転をしてしまいました。
ほんと、お恥ずかしい限りである。
だからこの映画は車で観に行かないことをオススメします。

オススメ度:★★★★★




今日の1曲:『Don't Change that Song』/ FASTER PUSSY CAT
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街のあかり

2007年09月02日 | しねしねシネマ
予告通り、アキ・カウリスマキ監督最新作『街のあかり』を京都のミニシアターまで観にいってまいりました。

この日は昼間一回きりの上映だったが見事に寝坊。
道は多少の混雑を見せてはいたが、なんとかギリギリ上映時間までには間に合いそうだった。
ただ、8台くらいしか停めれない駐車場が果たして空いているのか?満席にはなっていないだろうか?という不安感をおもくそ抱えながら車を猛スピードで走らせていた。
幸運にも駐車場は1台分だけ空いておりました。普段からここはなんか満車にならないので不思議である。みんな電車で来はるんやなぁ~、感心感心。エコだね。


さて、このフィンランドのアキ・カウリスマキ監督待望の最新作『街のあかり』は、『浮き雲』、『過去のない男』に続く敗者三部作と呼ばれる完結編だが・・・

なんじゃこれ?
敗者三部作の最終章とはいえ、主人公の敗者振りをここまで徹底的に坦々としたストーリー展開で描くか!?
友達も恋人もいない孤独なしがない警備員。このうだつのあがらない男が見事なまでに女に騙され、濡れ衣を着せられ、懲役くらって朽ち果てていく。
『過去のない男』では主人公はもちろん、しわくちゃのヒロインにも、強欲な警備員にもなにかしら人間的な魅力がありましたが、この映画の主人公には全くといっていいところがない。

人間どんなに堕ちても魅力ある者には自然と周りが同調し近寄ってくるが、ダメなヤツはダメなまま騙され利用されて捨てられる。
私自身どちらかというとダメ人間なので、この映画を観ていてなんかヘコみそうになりました。最期もうちょっと救いみたいな要素がないとこれでは辛過ぎる。
しかし何度も比べてすみませんが『過去のない男』があれだけ面白かったのに、なんで今回はこうも・・・なんてゆうか・・・その・・・

やっぱり私みたいな半端モンが柄にもない映画観るもんやないですわ。
この映画のいいところをあげるとすると、主人公が女に「ディスコへ行こう」と誘うのだが(ディスコて!)、着いたところは時代遅れなバンドマンが演奏してるライヴハウスみたいなところ。そのバンドマンの演ってる曲のイントロギターのアヴァンギャルドさが印象深かった。
確かにこの監督特有の音楽趣味のよさ、映像のコントラストの艶やかさなど、そして登場人物の無表情さは相変わらず光ってはいるんですが、ストーリーがあれではもちませんわ。

そんな主人公にも最期まで見守ってくれてる者たちがおりました。グリル屋の女と黒人の子供と犬。
あのグリル屋台のネオンの灯りが彼の唯一の“あかり”だったのかもしれません。彼はその“あかり”に気付かぬままラストを迎えるわけですが・・・
ああ、虚しい。

まぁ昨日私にとって駐車場が一台分空いてたのが正に“あかり”でしたね。

オススメ度:★★

今日の1曲:『もっと光を!』/ 人間椅子
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初めての・・・映画バトン

2007年08月31日 | しねしねシネマ

昨年ぐらいから『盲獣VS一寸法師』記事をキッカケに猟奇趣味や映画の事などで親密にしていただいてる『レザボアCATsとらねこ様から生まれて初めてバトンなるものをいただきました。有難うございます。
中途半端な映画趣味しか持たない自分ではございますが、なんか嬉しいっすね。こういうの。
それでは冷静且つ大胆にまいりましょう。せーの・・・
あましんの~、(ご一緒に)死ネー死ネーシネマ!!

■1、持っているDVD、あるいはビデオの数

30枚くらいだと思います。でも映画ってテレビで放映されてるとついつい見てしまうんですが、DVDで買うと不思議と全然見なくなります。
「買うんじゃなかった・・・」みたいなの結構あります。映画はやっぱり映画館で観るのが一番であります。




■2、あなたのお気に入りの監督・俳優・脚本家などの映画人(5人まで)

松田優作
探偵物語の個性的なキャラも好きですが、なんといっても高校生の時、友達の家のレーザーディスクで鑑賞した遺作『ブラックレイン』での悪役は衝撃だった!
溜め息ついてから振り向きざまの「あぁ!?」はイカツ過ぎ!私もこのシーン何回もマネしたもんです(全然再現できてないけど)。
私が車から降りる時、足でドアを開けるのもこの映画での優ちゃんの影響です。

あぁ!?



ケビン・スペイシー
出会いはもちろん『SE7EN』。これに出演した当初、ケビンはクレジットされないくらい無名だったんだよなぁ~
首をかしげる仕草とかたまらん!悪賢い役やらせたら右に出るもんはおりまへん!
『L.A.コンフィデンシャル』、『ユージュアル・サスペクツ』、『交渉人』と、いずれも名演!

オードリー・ヘプバーン
高校生の頃、たまたま深夜にやってた『ローマの休日』を見て一目ボレ
てゆーかこの作品、殆どオードリーのアイドル映画みたいなもんでしょう。
当時オーリド・ペップバーンと名前間違えて覚えてて恥かいた。




この監督!!ってのは別にいないんですよね。強いて言えばタランティーノスパイク・ジョーンズかな。
彼らの映画は必ずチェックしてますし、だいたい面白かった。


■3、一番最近観た映画

ブログを見返してみますと・・・
うわ、『善き人のためのソナタ』以来見てまへんな。


■4、人生で初めて観た映画

洋画:E.T.・・・子役でドリュー・バリモア出てたね。
邦画:のび太の宇宙開拓史(同時上映『怪物くん』)


■5、今、観たい映画

★タランティーノ監督最新作デス・プルーフ in グラインドハウス
やっぱタランティーノ作品は見逃せません!

★アキ・カウリスマキ監督最新作街のあかり
彼監督の『過去のない男』というのが面白かったので。てゆーか明日観に行く予定。


■6、何度も観てしまう映画、あるいは特別な思い入れがある映画(5本)
これメチャ迷いますわ・・・



★『リリイ・シュシュのすべて
感動した!!この映画はねぇ、賛否両論だと思いますよ。
一週間レンタルで5度立て続けに鑑賞した!観終わって一週間ぐらいこの映画の事ばっかり考えてた!リリイ・シュシュのアルバム即買いした!オフィシャルで限定2枚組特別版DVDも購入した!
それほどまでに衝撃の映像でした。
「リリイだ!リリイだ!リリイがいるぞ~~!!」

★『SE7EN』
私を映画趣味に走らせた衝撃作!!「カイザー・ソゼ~~~!!」
え?それ違う映画?

★『ダンサー・イン・ザ・ダーク
この私が映画館で人目をはばからず、涙をダクダク流し続けた傑作ミュージカル映画。
「母さんは~仕方なく殺った~♪」

★『スターウォーズ 帝国の逆襲
レイア:「あなたが好きです!」
ハン:「知ってたよ」
チューバッカ:「ウボ~~~」
いや~何回見ても泣けます。

★『ピストルオペラ
眩いばかりの色彩美とダブ・ミュージック・・・ドラッグのように癖になる1本。


■7、バトンを回したい人
残念ながらブログフレンドが全然おりません。

イースト潤:前の会社の同僚でバイリンガルなおっさん。ガンダム・Cocco・映画・UFOキャッチャーとメチャメチャ趣味の被った人物。ブログを早く開設するんだ!

MUROちゃん:昔一緒のパチンコ屋で働いてた映画と音楽趣味のメッチャ合ったプリティーな女の子彼氏がいるのにもかかわらず一緒に『メメント』観に行ってくれた。元気かな?

今日の1曲:『Incense and Peppermints』/ Strawberry Alarm Clock
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善き人のためのソナタ

2007年07月10日 | しねしねシネマ
『硫黄島からの手紙』を観てから次に向かったのは橿原シネマアークという行ったこともない映画館でした。
一応シネコン形式をとった映画館なのですが、純喫茶などが立ち並ぶ昭和の雰囲気をとどめた駅前の路地裏にある古めかしい場末の映画館といった感じの所で、なんだかタイムスリップした気分になりました。
で、ここでやっとこさ奈良にもフィルムが回ってきたドイツ映画『善き人のためのソナタ』を観ることができました。
いやいや~、久々に名作映画にありつけたなと思いました。
これを観てけなす人はあまりいないんじゃないでしょうか?おそらく今年のしねしねシネマアワード最優秀賞(そんなもんないけど)に輝くことになるかと思われます。

舞台はドイツがまだ西と東に分断されていた時代で、1989年の“ベルリンの壁”崩壊の4年前の話。
私の幼少時代のことですからこの寒い時代のドイツの情勢は結構リアルタイムで伝わってきておりました。
確か石ノ森章太郎の漫画「サイボーグ009」で全身兵器男の004が東ドイツ出身で、恋人をライオンの着ぐるみで隠して東ドイツからトラックで亡命することを試みて、検問所でバレて恋人が銃弾に撃たれて死んでしまうエピソードを読んだのがこの国の情勢をキッカケだったと思います。

話の内容は、東西冷戦下の社会主義国家東ベルリン。冷徹で職務に忠実な国家保安省局員“シュタージ”のヴィースラーは、同棲中の活動家の劇作家と舞台女優の調査を命じられる。
盗聴器を通して知る、愛と自由、音楽。彼らを通して人間らしい自由人の別世界を知ることで、ヴィースラー自身の心境が少しづつ変わってゆくのであった・・・
タイトルからして最初ピアニストの話かと思ってたんですが、劇作家が劇中でたった一度だけこの“善き人のためのソナタ”のスコアを弾いて、それを盗聴していたヴィースラーはコロっとやられてしまうわけです。
とにかくこのヴィースラー役を演じるウルリッヒ・ミューエのキャラクターがかなりの魅力を放っておりまして、冗談を言っても表情ひとつ変えない男が1曲のソナタで涙してしまう程に感動に打ち震えるこの劇的な表情の変化が素晴らしい!いったいどんだけいいヘッドフォンで盗聴しとったんや?
この“善き人のためソナタ”を聴いてからの彼は監視人というより殆どストーカー。恋人たちの生活を盗聴し、ファンになりすまして酒場で助言を与えたり、謀議をキャッチしながらも右から左へ受け流す~♪とっても善いストーカー。
そして寡黙な彼の私生活での孤独感がまたこの映画を一段と感慨深いものにしております。この役者から醸し出されるとてつもない哀愁感は一体なんなんのだろう?
実際彼は東ドイツ出身でシュタージに監視されてたらしいです。そしてなんと女優である奥さんに10数年間当局に密告され続けていたとか!
そんな辛い過去が彼をここまで哀愁漂わす名優に仕立て上げたのではないでしょうか。
いや~『硫黄島』の渡辺健といい、今回のウルリッヒさんといい、ハゲ俳優が映えてますね!ハゲカッコいい時代が到来したのではないでしょうか!実は私もかなりキテますんで・・・(これ内緒ね!)

しかしこの監督さんもかなりの優れものですねぇ。
東独時代のベールに包まれていた監視社会の冷徹さを、史実に基づいてリアルに浮き彫りにし(それは自白の強要だったり、身内の密告だったり)、そこにピアノ曲を通じて心を動かされる監視人が思いがけない行動をとっていくといったドラマ性を盛り込み、サスペンス風味をほんのり盛り込んだ悲劇的な山場へと展開させ、さらにラストにほんのりと心救われる感動で締めくくるこの監督の手腕は見事である。

ピアノ曲をテーマとした映画で『暗い日曜日』という感動作がありましたが、これもやはりドイツ/ハンガリー映画で、ピアノ曲だけで観る者をグっと物語に惹きこませるのはやっぱクラシックが盛んなこの辺ならではの伝統が成せる技といったところでしょうか。

オススメ度:★★★★★

今日の1曲:『善き人のためのソナタ』/ Gabriel Yared & Stephane Moucha
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スパイダーマンVS蜘蛛男

2007年06月24日 | しねしねシネマ
『スパイダーマン3』観てきました。
『2』を観てこの次は多分おもろないやろな~と思いつつ、ついつい観てしまうのです。
まぁスパイダーマンのキャラが好きっちゅーのもあるんですがね。

オープニングタイトルで、前回までのあらすじ的場面を蜘蛛の巣CGでコラージュしてあるのはよかった。
しかし、話が始まるとアホくささ満開の三角関係ストーリーが展開され観る者をウンザリさせます。
前回結婚式をスッポかしたMJだが、今回はまたしても未練タラタラな元彼を再びタラしこんどります。ホンマ鬼ですわ。
今回は宿命のニューゴブリンとの親友対決に、黒スパイダーのヴェノム、そしてハムナプトラもどきの砂男サンドマンとの死闘など、メチャメチャ話が盛り込まれてて、ほんまに今日中に終わるのかと心配になりました。まぁラストで3人ともまとめて始末されてましたけど。
しかしニューゴブリンを最後殺すことなかったんちゃう?あんなジェットボードなんか身を盾にせんでもパンチ一発で跳ね飛ばせますやろ?三角関係にシコリが残らんように消されたとしか考えられませんわ。ほんまヒドい話です。

あと本編前の映画予告を観てて思いましたけど、最近のハリウッド映画はどないなってますねん?『ダイ・ハード4.0』に『TAXi4』、『バイオハザード3』とか、続編ばっかりやないけ!
極めつけは『オーシャンズ13』って・・・アホか!人数1人ずつ増えていっとるだけやないかい!
最近のハリウッド映画のパターンにはこの他に他国のリメイク、そしてスペシャルコラボみたいなVSモンなんかがありますね。『エイリアンVSバネッサ・パラディ』って、どういうことやねん!!

ところで今回はスパイダーマンともうひとりの黒スパイダーマンとの対決がみれましたが、実は日本にもスパイダーマンが昭和3年頃すでに存在しておったのをご存知ですか?
そうです!江戸川乱歩作品で登場した芸術家肌の殺人鬼“蜘蛛男”でございます。
彼は、自分好みの容姿の女性を次々と惨殺してゆく「恋しければ恋しい程、その相手を責めさいなみたい」という戦慄すべき色情殺人魔。
美女の死体を石膏像にして展示したり、水槽の中に浮かべてみたりとありとあらゆる見せびらし方で己の変態芸術欲を満たしてゆきます。
誘拐手段も実に巧妙で、後の『盲獣』や『『悪魔の紋章』(トリック全く一緒!)などに登場するまさに猟奇犯罪者の元祖!ともいうべきモンスターなのです。
もしこの先スパイダーマンの続編が作られるのであれば、日米合作でこの蜘蛛男とスパイダーマンとを対決させてはいかがでしょうか?
題して『スパイダーマンVS蜘蛛男』!
まぁ私の脚本プランでは、MJなんか真っ先にバラバラにされて石膏像にされてしまいますけど。

オススメ度:★★

日本の怪人“蜘蛛男”多賀新氏イメージ図

今日の1曲:『SPIDERWEBS』/ NO DOUBT
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