信仰とは、祈ること。それだけ。
ひさしぶりのインド映画。主演は2年前の「チェイス!」に続いてアーミルカーンだ。
前作の記事では内川聖一と書いたが、今回は独特な風貌をより突出させて宇宙人となってしまった。
地球に着くなり母船のUFOを呼び出すリモコンを盗人に奪われた宇宙人が行く先々で大騒動を引き起こす・・・というのが大筋だが、この騒動の内容が本作の肝である。
それは宗教だ。
人の心の拠りどころとして精神の安定に大きな役割を果たす一方で、それを悪用した犯罪も絶えることがない。宗派が異なる人たちは大昔から聖地を巡って戦いを続けてきた。
善なのか、悪なのか。そもそも神は存在しうるのか。薄々思っているけど口に出せないことを宇宙人・PKを通して具現化する。時にはコミカルに、時には大真面目に。
冒頭からパキスタンとインドの男女が出会う場面が描かれ、作り手の覚悟を感じたと思えば、唐突に歌と踊りが長時間挟まれるボリウッドスタイルはそのまま。社会的メッセージを含む大衆娯楽は、前作と通じるインド映画の発展形と言えるだろう。
PKは自分の星へ帰りたいという願いをかなえるために神を探し続ける。様々な信仰の儀式はいずれも風変わりにしか見えず、似たようなことをしている宗教団体からはさぞ憎悪の眼で見られたに違いない。
しかし、もちろん茶化しや批判は本筋ではない。宗教の必要性を認めた上で、神の名を借りて弱みにつけこもうとする偽者だけを断罪するPKの演説を配することでしっかりと着地させている。
娯楽要素も充実している。
PKが出遭うテレビレポーターのジャグーを演じるアヌシュカシャルマはC.ディアス似で華がある。宇宙人と恋仲にはならないが、過去の悲恋やPKのほのかな恋心、そして宗教を巡って対立してしまった父娘関係など、多様な人間関係の要として喜怒哀楽に富んだ人間ドラマを提供してくれる。
今回はエンディングもハッピーな感じで良かった。全員が出てきて踊り出すまではいかなかったが、やっぱり観て幸せな気分になれることこそがインド映画のいいところだと思う。
(80点)
ひさしぶりのインド映画。主演は2年前の「チェイス!」に続いてアーミルカーンだ。
前作の記事では内川聖一と書いたが、今回は独特な風貌をより突出させて宇宙人となってしまった。
地球に着くなり母船のUFOを呼び出すリモコンを盗人に奪われた宇宙人が行く先々で大騒動を引き起こす・・・というのが大筋だが、この騒動の内容が本作の肝である。
それは宗教だ。
人の心の拠りどころとして精神の安定に大きな役割を果たす一方で、それを悪用した犯罪も絶えることがない。宗派が異なる人たちは大昔から聖地を巡って戦いを続けてきた。
善なのか、悪なのか。そもそも神は存在しうるのか。薄々思っているけど口に出せないことを宇宙人・PKを通して具現化する。時にはコミカルに、時には大真面目に。
冒頭からパキスタンとインドの男女が出会う場面が描かれ、作り手の覚悟を感じたと思えば、唐突に歌と踊りが長時間挟まれるボリウッドスタイルはそのまま。社会的メッセージを含む大衆娯楽は、前作と通じるインド映画の発展形と言えるだろう。
PKは自分の星へ帰りたいという願いをかなえるために神を探し続ける。様々な信仰の儀式はいずれも風変わりにしか見えず、似たようなことをしている宗教団体からはさぞ憎悪の眼で見られたに違いない。
しかし、もちろん茶化しや批判は本筋ではない。宗教の必要性を認めた上で、神の名を借りて弱みにつけこもうとする偽者だけを断罪するPKの演説を配することでしっかりと着地させている。
娯楽要素も充実している。
PKが出遭うテレビレポーターのジャグーを演じるアヌシュカシャルマはC.ディアス似で華がある。宇宙人と恋仲にはならないが、過去の悲恋やPKのほのかな恋心、そして宗教を巡って対立してしまった父娘関係など、多様な人間関係の要として喜怒哀楽に富んだ人間ドラマを提供してくれる。
今回はエンディングもハッピーな感じで良かった。全員が出てきて踊り出すまではいかなかったが、やっぱり観て幸せな気分になれることこそがインド映画のいいところだと思う。
(80点)