「美しい村」の議員日記

南アルプス山麓・大鹿村在住。自給自足農業、在宅ワーカー、2011年春より村議会議員。

ジオパーク

2012年02月19日 | 地域おこし
 今日は伊那市で行われたジオパーク交流集会に行ってきた。ここ大鹿村も、南アルプス(中央構造線エリア)として、日本ジオパークの一つに認定されている。村内には中央構造線の北川露頭、安康露頭や、鳥倉林道~塩見岳(さまざまな付加帯の岩石を観察できる)などのジオサイトがあり、解説看板も設置されている(中央構造線博物館のサイトもご覧ください)。とはいっても、南アルプスジオパークを構成する市町村(伊那市・飯田市・大鹿村・富士見町)の中で、伊那市はとても熱心だけれども、残念ながら、村の中ではジオパークの認知度がそれほど高いとは思えないところがある。あるいは、博物館に限定されたものと考えている人も多いのではないかと思う。
 今日の基調講演のお話にによれば、「ジオパーク」とは、ヨーロッパで始まった地質・地形を見所とする自然の公園で、地球と人類のかかわりを学べる「大地の公園」であること、また、地質・地形遺産を含めた自然遺産を保全するとともに、ジオツーリズムを通じて地球科学の普及と地域の振興を目指すという非常に広がりを持ったもので、審査基準の中にも、自治体、地域社会、観光協会、研究機関などが参加してボトムアップ的に設立された、しっかりした運営組織という文言が入っている(南アルプスジオパークでも、観光協会や教育委員会なども含めた関係団体による協議会が、来週24日に設立総会が開催されて正式に発足する)。
 ジオパークの関連事業の成果発表では、島原半島、糸魚川、南アルプスの三つのジオパークで行われた子どもキャンプの紹介があり、また、シンポジウムでは、磐梯山ジオパークの福島県北塩原村の小椋村長、阿蘇ジオパークの阿蘇市・佐藤市長、糸魚川ジオパークの糸魚川市・米田市長、そして南アルプスジオパークの伊那市・白鳥市長が、それぞれのジオパークの取り組みを熱心に紹介されていた。糸魚川市は世界ジオパークが発足する前から、市独自でジオパークという言葉を使っていたそうで、当時、箱物全盛の時代に、まずはソフトからということで学芸員を入れたというお話が印象的だった。
 ないものねだりではなく、地域資源を見直し生かすことで地域振興につなげること。理科離れがいわれる昨今の子どもたちに格好の自然体験教育、環境教育の場となること。もちろん子どもだけでなく、ガイド養成など、地域の人材の養成・発掘。さらには日本のジオパークの場合、火山や断層など一方で災害と結び付くものも多く、防災教育にもなること等々。あるいは、今まではばらばらに動いていたものが、ジオパークという切り口でチームプレーができるようになったというお話もあった。今、日本には既に20のジオパークがあり、今年もまた幾つか増えるらしい。東日本大震災の被災地では、環境省の三陸復興国立公園構想と共働した三陸ジオパーク構想もあるそうだ。
 さまざまな広がりを持ち得るお話を聞きながら、村でもこの「ジオパーク」という切り口をもっと積極的に位置付けて活用できればいいのにと思ってしまった。先日説明のあった第4次総合振興計画(案)の柱の中には、世界自然遺産やジオパークの文言もなくて、質問したら、「中央構造線博物館の活用」という中でやっていくとのことだったけれども、何かなあ・・・。 

※本文中、「南アルプスジオパーク」のサイトにリンクを貼ろうとしたら、「不正な書式」が含まれているとして投稿できなかったので、日本ジオパークのサイトの中の南アルプスジオパークの紹介にリンクしています。gooブログだけでの問題なのでしょうか?