「美しい村」の議員日記

南アルプス山麓・大鹿村在住。自給自足農業、在宅ワーカー、2011年春より村議会議員。

いまどきの「常識」

2005年11月15日 | 非戦・平和・社会
 香山リカさんの『いまどきの「常識」』を読んだ。ここに書かれている最近の風潮、「常識」への違和感は、ほぼ私も共通して感じることだけど、それを「常識」と記さなければならないほどに、世間に広く受け入れられている考え方なのかと思うと、ひどく憂うつな気分になってくる。
 6章の「国を愛さなければ国民にあらず」の冒頭には、公開討論会で「平和」という単語を口にした瞬間、周りの空気が一瞬「凍りついた」とある。「平和」「反戦」「理想」「人権」「平等」といった単語を口にするだけで、テレビ局に抗議の手紙が来るそうだ。「平和」や「反戦」にとらわれるのは頭が古い証拠で、野暮、お金は万能、世の中すべて自己責任……。
 先の選挙での自民党の圧勝を見ても、世の中は信じがたいほど保守化・右傾化してしまっているらしい。それも若い層が。憲法9条が改正されて自衛軍になったら、まず戦地に派遣されるのは若い人たちなのに。
 それに帯の文句! 「これを押さえればあなたも「勝ち組」!? でも、それでいいのだろうか…」。あるいは岩波のサイトに編集者が書いた紹介文があるが、その最後に、「これらの「常識」を目にして、読者の方々はどう感じられるでしょうか? 「こんなの当たり前だよ。何がいけないの」と感じる方。あるいは「こんな常識がはびこる社会は違和感がある」と感じる方。もし、あなたが後者だとすると、「負け組」の道に一歩足を踏み入れています。どうかご注意を。」とある。「勝ち組」「負け組」という言葉はどうもなじめない嫌な言葉だと常々思っているが、ちょうど『下流社会』(三浦展)も読んでいたので、かなり後味の悪いブラックジョークに感じてしまった。

やはり当たり前に「Give Peace a Chance!」と言える世の中であってほしい。

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4 コメント

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勝ち組には抵抗ありました (じぇりくるきゃっつ)
2005-11-21 00:07:45
負け組もね。



きょうは空が青かったけど寒い日でした。

はめ殺しの窓の要塞のような会社を一歩出ると外気にあたってホッとするんだけれど、

最近は「サムッ!」

友達のスカーレットに大鹿村の事を話したら行きたいと言ってました。

いつになるかわからないけど「いつか」と

思うと嬉しくなりました。

今年はインフルエンザとボージョレーの当たり年なので風邪と二日酔いには気をつけましょう。
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コメントありがとうございました (Aki)
2005-11-21 09:43:15
こんな日記を書くと、「何甘いこと言っているんだ。そんなことを言ってるおまえ自身がまさに負け組じゃないか」と思われる方が多い世の中なのかなとも思いました。大体、過疎の山村自体が中央から見捨てられつつある存在なのでしょう。

 編集者自身がこういう風潮に疑問を感じるから本を作ったのに違いないのに、こういう紹介のしかたをすることに、まさに今の状況が現れているのでしょうか。すごく屈折したものを感じてしまいます。

 でも、やはり勝ち負けの二極で物事を判断するのは、どう考えても変だと思う。「下流社会」や「希望格差社会」の論調なんて、自分らしく生きようとすること→フリーター化・パラサイト→下流という、まるで「自分らしさ」バッシングのような感じです。

 若者が希望を持てない非正規雇用が増えているなどの状況はもちろん改善すべきだと思っていますが、勝ち負けのような二極化したレッテル貼りをして、それも親の階層によって本人の努力が報いられないなんて決めつけられたら、救いがありません。社会学者は、もっと建設的な議論のしかたをしてほしいものです。



 ごめんなさい。最近読んだ本と仕事で聞いた話が交ざって、頭の中でぐるぐるしてしまって。



 本当にいつか機会を見つけて、美しい季節にいらしてください。
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Akiさんへ (じぇりくるきゃっつ)
2005-11-25 04:46:13
今日のこの日記もそうだし、いろいろ話したいことがあります。反訳の締め切りが迫っていない時に伺いたいです。私がひとりで行くとAkiさんに気を遣わせてしまうなと躊躇していたのですが。美しい村のアナタのことを話したら、そこへ行きたいと彼女が同調してきたので話しかけた私の方が驚きました。私はただの感激屋ですが、彼女は自分の考えを持った人ですので、きっと話があうと思いますよ。わが子たちが大きくなってくるからちゃんとした社会人に育て上げなくてはね。がんばりましょう
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Unknown (Aki)
2005-11-25 12:48:40
 じぇりくるきゃっつさん、ありがとう。そうですね、いろいろありますし、今度メールします。
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