「美しい村」の議員日記

南アルプス山麓・大鹿村在住。自給自足農業、在宅ワーカー、2011年春より村議会議員。

全く反映されなかったパブリックコメント

2011年05月14日 | リニア新幹線
 5月12日、リニア新幹線に関する国交省の交通政策審議会の中央新幹線小委員会の答申が出された。3月11日の東日本震災で3月の審議会が延期になった後、4月に入ってから、震災による東北新幹線の被害状況について若干検討しただけで答申案が出され、たった2週間、それも大型連休期間中に締め切りというパブリックコメント期間を経て、わずか1週間で最終答申が国土交通副大臣に手渡されてしまった。国交省では月内にも整備計画決定する見込みと報道されている。
 このブログでも「パブリックコメントに1人でも多くの反対意見を!!」というリニア市民ネットの呼び掛けを掲載したけど、今回のパブリックコメントは、この短い期間内に888件の意見が寄せられ、長野県の157件をはじめ、東京、神奈川、山梨など各地から648件もの「中央新幹線整備に反対、計画を中止又は再検討すべき」という意見が寄せられた。しかも、リニアに関するパブコメは3回行われているけれども、今回新たに加わった意見として、「東日本大震災の影響が収まっておらず、新たな大規模事業を進めるような社会的状況ではないため」「中央新幹線の整備にかかる費用、エネルギー、人的資源などは、まずは東北地方をはじめとする被災地の復興にあてるべきと考えられるため」「福島第一原発事故が収束しておらず、今後の電力供給が不透明であるため」といった意見が寄せられている。しかし、それらの意見は一切却下された。
 しょせんパブコメなんて、一応意見を聴いたという形式的なものにすぎないとよく言われるけれども、だからといって、こういう制度がある以上、何も言わないでいたのでは賛成していると受け取られても仕方ないので、私も今回も何点か書いて出した。やっぱり何も反映されないのかとは思いつつも、前にコメントをいただいたkabochadaisukiさんのブログのように「何のためにパブリックコメント(国民の声)を募集したのですか? 」と言いたくなる。 
 ちなみに、パブリックコメントはこの審議会が始まってから3回募集があり、最初のパブリックコメント(2010年7月30日~8月28日)では「中央新幹線の整備反対」はわずか12件だった。中間とりまとめが出たときのパブリックコメント(2010年12月16日~2011年1月14日)では、それが142件に増え、今回はさらに大幅に増えたことになる。国交省においては、整備計画決定する前に、いま一度これらの声を十分考慮してほしい。以前、信毎に新幹線の耐震性を再検討する検討会議を設けるような話が出ていたけれど(「新幹線の耐震性再検証 リニア・北陸含め基準変更可能性も」)、それもぜひ行ってほしい。

 阿部知事はこの答申結果を受けて、16日にもJR東海と面談するとのこと。しかし、駅位置問題や費用負担の問題など、JR東海側と地域の側には隔たりが大きいし、パブリックコメントに示されたような懸念事項も多々あるので、JR東海の日程にとらわれずに、丁寧に時間をかけて議論してほしいと切に願う。

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2 コメント

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ヘンな話ですよね (kabochadaisuki)
2011-05-15 11:42:35
あまりに理不尽な結末に憤りを感じました。一応民間事業の形になっているとはいえ、完全に悪しき超大型公共事業の典型コースを突き進んでいます。

そこで、民主党さんと社民党さんのHPにあった「意見受付コーナー」に、「パブリックコメントの結果についてきちんと審議した上で答申を出すべきではありませんか」と意見を提出してみました。詳細は今日のブログにあります。

自民党は…リニアをつくった張本人なので…。
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Unknown (Aki)
2011-05-18 00:05:12
 なるほど。あと、審議会の答申はもう提出されてしまったので、次に考えられるのは国交省への働き掛けでしょうか。でも、国交省こそ張本人ですものね。以前、信毎で新幹線の耐震性を再検討する検討会議を設置する考えという報道があったのですが、どうなったのでしょうか。
 長野県の阿部知事がJR東海の社長との会談で、スケジュールありきではない協議を求めたとのこと。ここまで震災のどさくさに紛れて、どんどん進めてしまおうという感じがありましたが、地元の推進派の人たちにしても、駅位置問題にしろ、費用負担の問題にしろ、JR東海側との隔たりが大きいので、何とかここで時間を稼いで、もっと広く問題点をアピールできるといいですね。
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