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新聞の片隅に載ったニュースから(番外編ⅩⅣ)    大西五郎

2014年04月28日 19時00分59秒 | Weblog
オバマ氏発言で「誤訳」が独り歩き 日本のメディア(14.4.27 琉球新報))

 24日の日米共同記者会見で、オバマ大統領が尖閣列島問題について「事態をエスカレートさせるのは『重大な誤りだ』と語った部分について、多くの日本メディアが「正しくない」と訳して報じている。公式の同時通訳で「正しくない」とされたため、そのまま使われている形だが、尖閣問題に関してオバマ氏が安倍晋三首相に直接指摘した重要な言葉が、「誤訳」のまま報道されているとの指摘も出ている。
 会見でオバマ氏は、米メディアからの「中国が尖閣に軍事侵攻したら米国は武力を行使するのか」という質問に対し、「日本の施政権下にある領域に(日米安全保障)条約が適用されるという同盟の条件は、他の複数国との間の条約における標準的な解釈だ。われわれは単にこの条約を応用しただけだ」と説明した。
 その上で、「同時に私は安倍首相に直接言った。日中間で対話や信頼関係を築くような方法ではなく、事態がエスカレーションしていくのを看過し続けるのは重大な誤りだと」と述べ、首相に平和的解決を強く求めたこいとを明らかにした。
 共同会見では日本政府が通訳機を用意し、日本メディアは同時通訳を通してオバマ氏の発言を確認。同時通訳が「重大な誤り」を刺す「profound mistake」を「正しくない」と訳したことを受け、本誌(註:琉球新報)が記事配信を受ける共同通信などを含む多くの報道機関が、そのまま発言内容を報じた。
 沖縄の基地問題などを日本語と英語で積極的に発信している平和団体ピース・フィロソフィーセンター(カナダ)の乗松聡子代表は「オバマ氏が安倍首相に直接くぎを刺した言葉を、日本のメディアの多くは重視せず、正確に報じていない。読者、視聴者に誤解を与える」と話している。
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 共同記者会見が行なわれた翌日(25日)の新聞各紙は、会見の中身を大きく伝えましたが、
新聞の見出しだけを読んでいますと、「尖閣の防衛義務大統領言及」(朝日)「安保では協調演出」(毎日)「『尖閣防衛』強い決意」(読売)「米大統領『尖閣は安保対象』」〈中日〉で、オバマ大統領が尖閣列島を守ると言明し中国を牽制したと日本のメディアは高く評価しています。
しかし記事を丹念に読みますと、「中国に対抗するため、米国の強い関与を求めた日本側に米国が応じた」とした朝日新聞も「オバマ氏は『この問題がエスカレートし続けるのは大きな過ちだ。日本と中国は信頼醸成措置をとるべきだ』と強調(全国紙では朝日新聞だけが「大きな過ちだ」と訳していました)」と、オバマ大統領が安倍首相に、中国に対抗的な態度ではなく、対話により事態の悪化を防ぐべきだと提言したことがわかります。
またオバマ大統領はアメリカのメディアの質問に答えて「尖閣諸島に日米安保条約が適用されるという同盟の条件は、他の複数国との間の条約における標準的な解釈だ」と答え(琉球新報)、日本のメディアが言うように日本だけ特別に手厚くするのではないと言っています。
日本のメディアは政府や官の見解を大きな疑念も持たずにそのまま報道する傾向がありますが、「米国が尖閣防衛を約束したことが首脳会談の成果」という政府発表に従って、オバマ大統領の「注文」には注意を払わなかったようです。
※この番外編は中京大学の平川宗信教授から情報を頂いて作りました。
                                    大西 五郎
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6 コメント

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尖閣もTTPも (らくせき)
2014-04-28 19:07:39
日本側に不都合のないように報道されてるのかな?
となんとなく感じていましたが・・・

施政権がないと米が判断すれば・・・

事実上妥結、と報じた読売・・・

我々がしっかりしないと、先を誤ることに・・・


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貴重な指摘 (文科系)
2014-04-29 00:37:30
 非常に貴重な指摘と、感じています。というのは、日頃こんな世界情勢の総合的認識を持ってきたからです。

 アメリカでも共和党と民主党はかなり違い、現日本政府は共和党的発想に凝り固まっている。EUはもちろん共和党が嫌い。この場合共和党というのは、産軍複合体とマネーゲームの主体・国際金融資本の政治的代弁者という解釈です。その意味では、共和党と日本自民党政府(官僚、マスコミ主流を含む)は、世界でも最も突出したタカ派なのだと。

 日本国民は、らくせきさんも言うようにこれから本当に心してかからねばなりませんね。世界の中で最も反動の立場に現日本政府が立っているということですから。アメリカ共和党とともに国際憲兵になる方向? 安倍政権になってからは特にそんな言動ばかりが目立っています。小泉政権も似た感じがありましたが、あれはリーマン・ショックの前のこと。あれの前後では、全く国際情勢は異なっていると観てきました。
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そうかな? (1970)
2014-04-29 01:34:03
見出しはあくまでも見出し。
尖閣諸島は安保の~を見出しにして、リード以下ボディで細かく書くのは、普通じゃないかな。日中関係をエスカレートさせないという話を見出しにはしないでしょ。
先ずは尖閣諸島への立ち位置の確認だから。
中国のそれに対する声明で抗議をしている。
日中関係云々とのオバマ発言にはあまり反応していない。
見出しは見出し。そこに中身が付いてるわけだから殊更おかしな書き方とは思わないけどな。
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訂正 (Unknown)
2014-04-29 01:35:16
中国の→中国も
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Unknown(1970)さんへ 問題点を読み違えています。 (大西 五郎)
2014-04-29 15:20:50

 「そうかな? 見出しはあくまで見だし」で私がコメントの冒頭で日米首脳共同記者会についての新聞各紙の記事の見出しを並べて紹介したことを否定するようなご意見を述べておられますが、私がコメントの冒頭で新聞各紙の日米首脳共同記者会見の気維持も見出しを並べて紹介したのは、コメントの後半にありますように、日本のメディアが「政府や官の見解をそのまま報道する傾向」を例示するためです。新聞各紙が揃って「オバマ大統領が尖閣列島を守る意思を表明した」とあたかもオバマ大統領が特別な配慮をしたというような報道をしたことを、見出しの表現で示しかったからです。
 オバマ大統領は米メディアの質問に答えて「尖閣列島に日米安保条約が適用されるという同盟の条件は、他の複数国との間における標準的な解釈だ」と述べ、日本に特別の支援をするわけではないとアメリカ側の考えを述べています。日米首脳会談以前にも米国務長官や国防長官が「尖閣列島に日米
安保条約が適用される」と言ってきましたし、アメリカの方針を変えると言ったわけではないのです。
 琉球新報の記事が問題にしたのは、「私は安倍首相に直接言った。日中間で対話や信頼関係を築くような方法ではなく、事態がエスカレーションしていくのを看過し続けるのは重大な誤りだ(profoun mistake)」と述べた部分が、「正しくない」と“誤訳”されて、日本のメディアが報じていることです。「正しくない」というのは一般的評価ですが、「重大な誤りだ」と述べたことは、日本の首相に対して「あなたの方法(態度は)間違っていますよ(改めるべきです)」と言ったことになります。そのことが日本のメディアでは重視されていないことに注意を促したのです。
 私は新聞の見出しはむしろ「オバマ大統領、安倍首相に中国との関係を苦言」とすべきだったと思います。
 新聞記事の見出しというのは、「この記事のポイントはこれですよ」ということを読者に示すものなのです。単に「見出しは見出し」なのではなく、焦点となっている尖閣列島問題が日米首脳の間で
どのような話し合いが行われたかを提示すべきものなのです。日本のメディアがオバマ大統領の勧告に注意を払わなかったことが問題なのです。
                                    
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大西さんへ (1970)
2014-04-30 00:14:55
いや問題点は理解した上で書いたつもりです。
つまり、見出しとしては、オバマ日中関係に苦言というものより、尖閣諸島は安保の範囲内という方が自然だと思っているからですよ。
何故なら、先ずそれがあってからの日中関係の話だからと思うから。
これは考え方の違いといえばそれで終わりだけれど、尖閣問題の発端はあの辺りで天然ガス等資源の宝庫というのが報告されてからでしょう(異論はあるとは思うが)、それからやおら中国が出て来た。
同じ海の話で中国はベトナムやフィリピン等とも衝突しているが、こうした中国の力任せなやり方に関しては、先ず、領土を守る、或いは守ることに協力するという話が先に立たないとおかしいと思うんですよ。
しかし、関係構築は上手くやれよと。
だから見出しに関してはあれでいいと思うし、関係の話は中身で触れればいいと、そういうことです。
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