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新聞により反応様々 空自のイラク派遣違憲判決

2008年04月18日 18時51分36秒 | 国内政治・経済・社会問題
大西さんから、社説を比較する記事が送られてきました。
転載します。   落石

    

朝日・中日社説は「派兵再考を求める」毎日は「政府に説明責任」
読売「兵輸送は武力行使ではない」産経「平和協力を否定するのか」

 名古屋高裁の航空自衛隊のイラク派遣(多国籍軍兵士や武器の輸送)は
憲法第九条に違反するという判決の報道は、
新聞によって様々な反応(ニュースの評価)の違いが見られた。
 
一番詳しく報道・解説したのは中日新聞で、
1面の4分の3のスペースを使って判決内容を紹介し、
「米兵2万人輸送か」と政府がなかなか明らかにしようとしない
クエート→イラクの空自の輸送内容について
独自の調査で実態を明らかにしていた。
また、「『人道』盾に実態隠す政府の国会答弁」と、
国民の知る権利に応えていない政府の情報公開の実態を批判していた。
2面と3面では判決が「恒久法制定の動きに与える影響や
インド洋での給油にも「飛び火」する可能性を指摘した。

 社説では「『派兵』への歯止めだ」とこの判決を評価し、
「小泉政権の『開戦支持』は正しかったか。
この延長上に自衛隊の派遣があった。
高裁が違憲とした以上、空自の輸送活動をこのまま継続することは難しく、
撤退も視野に入れた検討が必要ではないか。
与党の中には、自衛隊の海外派遣を恒久法化しようという動きがある。
しかし、九条が派遣でなく『派兵』への歯止めとなることを憲法判断は教えた。
イラク派遣に限らず、司法は自衛隊に関する憲法判断を避けてきた。
今回の踏み込んだ判決を受け止め、平和憲法の重さとともに、
世界の中にある日本の役割を考える機会としたい。」と述べている。
社会面の2頁を使って、原告側と小牧の航空自衛隊員の反応も伝えていた。


 朝日新聞も、1面のほぼ全体を使い、
「名古屋高裁『兵空輸は武力行使』空自イラク活動違憲」と伝え、
解説で「政府・自民党内には、政府自らが長年『憲法で禁じている』
と言ってきた『集団的自衛権の行使』について解釈を
変更しようという動きもある。
その憲法の中核の精神をないがしろにするかのような政府の姿勢を
厳しく断じたうえ、
9条をめぐって大きな風穴を開ける司法判断と言えよう」と指摘した。
2面では判決が政府の非戦闘地域のあいまいな解釈の矛盾を
指摘したことを説明した。

社説は「違憲とされた自衛隊派遣」で、
バグダッドへ向かう自衛隊機が何度も危険回避の行動をとったことや
米軍機が実際に被弾したことを指摘して、
「判決の認識は納得がいく」と述べ、
「与野党は(自衛隊の)撤退に向けてすぐにも真剣な論議をはじめるべきだ」と促している。


 毎日新聞は、中日や朝日に比べて判決の紹介は1面も4分の1くらいのスペースで、
「都道府県立高校入学金と授業料滞納は4億6千万円」
「メリル赤字1980億円」などが並んで報じられていた。
2面で「活動に影響ない」という政府の反応、
社会面で「原告団『歴史に残る』」、
「防衛省『士気に影響心配』」、
第二社会面で「海外活動に問題提起」という解説と、
「ごまかし突いた」「画期的」「『国の統治』に踏み込み勇み足」
という識者の賛否両論の談話を紹介していた。

社説は「あいまいな説明は許されない」で、
自衛隊派遣をめぐる国会での小泉首相の答弁を振り返って、
「判決は、極めてあいまいだった当時の首相発言を指弾する内容でもある。
政府は真摯に受け止め、活動地域が非戦闘地域であると首長するなら、
その根拠を国民にていねいに説明する責務がある。
政府は、輸送の具体的な内容についても国民に明らかにすべきである」
と判決を無視して派遣を継続するという政府の態度を批判していた。


 これに対して読売新聞は、1面で「イラク空自『一部違憲』 
戦闘地域へ輸送 派遣差し止めは退ける」
「政府派遣を継続」「傍論で違憲、問題判決」と、
判決の重みを軽く見るように読者を誘導する紙面になっていた。

そして社説では「兵輸送は武力行使ではない」として、
「多国籍軍による武力勢力の掃討活動は、イラクの安定と安全への貢献で、
正当な治安維持活動にほかならない。
仮に掃討活動が武力行使だとしても、
空自の輸送機を降り立った兵士がすぐに戦闘活動を開始するなら
(武力行使と)一体化する恐れもあるだろうが、
実態は違うので、憲法上の問題はない。
イラク空輸活動は、日本の国際平和活動の中核を担っている。
空自隊員には今回の判決に動じることなく、
その重要な任務を果たしてもらいたい。」と
判決を自分の解釈にそぐわない理論だと否定している。


 産経新聞は、18日に名古屋配達の新聞では、
1面で「名古屋高裁初の判断 『空自イラク活動違憲』 派遣差し止めは棄却」
と判決が出たことを簡単に紹介する500字余りの記事だけだった。

社説も「Jパワー株 中止勧告は妥当な判断だ」
「映画『靖国』 助成金の適否を検証せよ」
という東京・大阪版では前日の紙面に載った社説だった。
インターネットで調べると、東京・大阪では18日付けで
「空自派遣違憲判決 平和協力を否定するのか」を掲載していた。
その論旨は、「空自は現在、国連や多国籍軍の人員・物資を輸送している。
政府は『バグダッドはイラク特別措置法がうたう
非戦闘地域の要件を満たしている』と主張しており、
空自は当たり前の支援活動を行っているに過ぎない。
忘れてはならないのは空自の活動が
国連安保理による多国籍軍の駐留決議も踏まえていることだ。
これにより、日本はイラクをテロリストの温床にしないという
国際社会の決意を共有している。
憲法9条で禁止されている『武力による威嚇又は武力の行使』は、
侵略戦争を対象にしたものと解釈するのが有力だ。
国際平和活動を違憲という判断は日本が置かれている国際環境を考えれば、
理解に苦しむ。」として、
「政府は空自の活動を継続すると表明している。当然なことだと述べている。
 

なお、読売も産経も、判決が派遣の差し止めも慰謝料の請求も棄却しているのに、
傍論で違憲の判断を述べたのは怪しからんと主張している。
判決の結論が気に入らなければ、判決の内容を否定しがたいので、
判決の構成に異議を唱え、判決の持つ意味を否定しようというのであろうか。

                          (大西)

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イラク判決についての新聞の社説は?        まもる   

2008年04月18日 14時34分50秒 | 国内政治・経済・社会問題
★この判決皆さんはいかがお考えでしょうか?
新聞各社の主張を載せてみました。
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朝日新聞社説  「イラク判決―違憲とされた自衛隊派遣」

 あのイラクに「非戦闘地域」などあり得るのか。武装した米兵を輸送しているのに、なお武力行使にかかわっていないと言い張れるのか。

 戦闘が続くイラクへの航空自衛隊の派遣をめぐって、こんな素朴な疑問に裁判所が答えてくれた。いずれも「ノー」である。

 自衛隊が派遣されて4年。長年、疑念を抱いていた人々も「やっぱり」という思いを深めたのではないか。

 航空自衛隊の派遣に反対する3千人余りの人々が派遣差し止めを求めて起こした訴訟で、名古屋高裁が判決を言い渡した。

 差し止め請求は退けられ、その意味では一審に続いて原告敗訴だった。だが、判決理由のなかで憲法などとのかかわりが論じられ、派遣当時の小泉政権が示し、その後の安倍、福田両政権が踏襲した論拠を明確に否定した。

 判決は、イラクの現状は単なる治安問題の域を超え、泥沼化した戦争状態になっていると指摘した。とくに航空自衛隊が活動する首都バグダッドの状況はひどく、イラク特措法の言う「戦闘地域」にあたるとした。

 小泉政権は、イラクのなかでも戦火の及ばない「非戦闘地域」が存在し、そこなら自衛隊を派遣しても問題ないと主張した。陸上自衛隊を派遣した南部サマワや、首都の空港などはそれにあたるというわけだ。

 判決はそれを認めず、空輸活動はイラク特措法違反と明確に述べた。空自の輸送機はこれまで攻撃を受けなかったものの、何度も危険回避行動をとったことを防衛省は認めている。実際に米軍機などが被弾したこともあった。判決の認識は納得がいく。

 もう一つ、多国籍軍の武装兵員を空輸するのは、他国による武力行使と一体化した行動であり、自らも武力を使ったと見られても仕方ない、つまり憲法9条に違反するとした。

 もともと、無理のうえに無理を重ねた法解釈での派遣だった。当時の小泉首相は、非戦闘地域とはなにかと国会で聞かれ、「自衛隊が活動する地域は非戦闘地域」などと開き直ったような答弁を繰り返した。

 判決後、町村官房長官は派遣続行を表明した。最高裁による最終判断ではないからということだろう。それでも、高裁の司法判断は重い。判決を踏まえ、与野党は撤収に向けてすぐにも真剣な論議を始めるべきだ。

 日本の裁判所は憲法判断を避ける傾向が強く、行政追認との批判がある。それだけにこの判決に新鮮な驚きを感じた人も少なくあるまい。

 本来、政府や国会をチェックするのは裁判所の仕事だ。その役割を果たそうとした高裁判決が国民の驚きを呼ぶという現実を、憲法の番人であるはずの最高裁は重く受け止めるべきだ。
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毎日新聞社説:イラク空自違憲 あいまいな説明は許されない

 イラク復興特別措置法に基づく航空自衛隊のバグダッドへの空輸活動を違憲とする判決が出た。自衛隊のイラク派遣に反対する市民グループが国を相手取って、派遣が憲法違反であることの確認を求めた控訴審で、名古屋高裁(青山邦夫裁判長)が17日、判断したものだ。

 陸上自衛隊は06年7月にイラク・サマワから撤退したが、空自は昨年6月のイラク特措法改正で活動が2年間延長された。イラクで5年目の活動を展開しており、クウェートから首都バグダッドへの輸送などを担当している。

 判決はまず、バグダッドで米軍などと武装勢力との間で激しい武力衝突が起きていることを指摘し、特措法でいう「戦闘地域」にあたると認定した。そのうえで、「多国籍軍の武装兵員を戦闘地域であるバグダッドに空輸する活動は、他国による武力行使と一体化した行動で、武力行使を行ったとの評価を受けざるを得ない」とした。

 政府と同じ憲法解釈で特措法を合憲としたとしても、活動を「非戦闘地域」に限定した特措法と、武力行使を禁じた憲法9条に違反するとの判断である。

 重要なのは、判決がイラク国内の紛争は多国籍軍と武装勢力による「国際的な武力紛争」であるとの判断に基づき、バグダッドを「戦闘地域」と認定したことだ。政府がイラクでの自衛隊の活動を合憲だと主張してきた根拠を根底から覆すものだからだ。

 イラクに自衛隊を派遣した小泉純一郎首相(当時)は、国会で非戦闘地域について質問されて、「自衛隊が活動する地域は非戦闘地域である」と答弁し、物議をかもしたことがある。また、党首討論では、イラク国内の非戦闘地域について聞かれ、「イラク国内の地名とかを把握しているわけではない。どこが非戦闘地域かと聞かれても、分かるわけがない」と発言したこともあった。

 判決は、極めてあいまいだった当時の首相発言を指弾する内容でもある。政府は判決を真摯(しんし)に受け止め、活動地域が非戦闘地域であると主張するなら、その根拠を国民にていねいに説明する責務がある。

 さらに、判決が輸送対象を「武装兵員」と認定したことも注目に値する。政府はこれまで、空自の具体的な輸送人員・物資の内容を明らかにしてこなかった。小泉首相は、当時の記者会見で「空自による物資の輸送はしている。しかし、どんな活動をしているかは部隊の安全の面があり、公表できない部分もある」と述べていた。

 しかし、輸送対象に米軍を中心とする多国籍軍が含まれており、当初の「人道復興支援」から「米軍支援」に変質したのではないかとの見方が前からあった。

 政府は、輸送の具体的な内容についても国民に明らかにすべきである。

毎日新聞 2008年4月18日 0時01分
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中日新聞社説

    イラク空自違憲 「派兵」への歯止めだ
                          2008年4月18日

 航空自衛隊のイラク派遣は憲法九条に違反している。名古屋高裁が示した司法判断は、空自の早期撤退を促すもので、さらには自衛隊の海外「派兵」への歯止めとして受け止めることができる。

 高裁の違憲判断はわかりやすい論理になっている。

 イラク特措法は、人道復興支援のため「非戦闘地域」での活動を規定している。空自のC130輸送機は、武装した米兵らをバグダッドなどに空輸している。ところが、バグダッドは戦闘地域、すなわち戦場である。

 戦場に兵士を送るのは軍事上の後方支援となる。これは非戦闘地域に活動を限定したイラク特措法から逸脱し、武力行使を禁じた憲法九条に違反するとした。

 イラク戦争開戦から五年余。大量破壊兵器の保有、国際テロの支援を理由に米英両国は攻撃に踏み切った。「事前に悪をたたく」という米ブッシュ政権の先制攻撃論が理論的支柱となった。

 いずれも見込み違いの「大義なき開戦」だったことは明らかだ。この五年は、イラク人にとり苦難と混乱の日々であった。世界保健機関(WHO)によると、十五万人以上のイラク人が死亡した。

 米兵死者が四千人を超す米国も、厭戦(えんせん)気分が満ちている。秋の大統領選ではイラク問題が最大争点となりそうだ。

 では、小泉政権の「開戦支持」は正しかったか。この支持の延長に自衛隊の派遣があった。イラク南部サマワに派遣された陸上自衛隊は、インフラ整備など復興支援の活動を展開したが、空自は情報開示に乏しく、活動実態は伝わっていない。

 高裁が違憲とした以上、空自の輸送活動をこのまま継続することは難しく、撤退も視野に入れた検討が必要ではないか。福田政権にとっては、道路財源や高齢者医療の内政問題に加え、日米同盟にかかわる安全保障上の外交課題を背負うことになった。

 もう一つ、今回の違憲判決が明確にしたのは、自衛隊海外派遣と憲法九条の関係である。与党の中には、自衛隊の海外派遣を恒久法化しようという動きがある。しかし、九条が派遣でなく「派兵」への歯止めとなることを憲法判断は教えた。

 イラク派遣に限らず、司法は自衛隊に関する憲法判断を避けてきた。今回の踏み込んだ判決を受け止め、平和憲法の重さとともに、世界の中にある日本の役割を考える機会としたい。
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(4月18日付・読売社説)イラク空自判決 兵輸送は武力行使ではない

 イラクでの自衛隊の活動などに対する事実誤認や、法解釈の誤りがある。極めて問題の多い判決文である。

 航空自衛隊がクウェートとイラクの間で実施中の空輸活動の一部について、名古屋高裁は、国際紛争解決の手段としての武力行使を禁じた憲法9条に違反するとの判断を示した。

 市民団体メンバーらが空自のイラク派遣の違憲確認と差し止め、損害賠償を国に求めていた。

 判決は、原告の請求をいずれも退けた。違憲確認の請求についても「利益を欠き、不適法」と判断している。それなのに、わざわざ傍論で「違憲」との見解を加える必要があったのだろうか。

 国は、訴訟上は勝訴したため、上告できない。原告側も上告しないため、この判決が確定する。こうした形の判例が残るのは、好ましいことではない。

 イラク復興支援特別措置法は、自衛隊の活動について、人道復興支援などを「非戦闘地域」で行うよう定めている。

 判決文は、イラクでの多国籍軍と国内の武装勢力との抗争を「国際的な戦闘」と“認定”した。それを前提として、空自による多国籍軍兵の空輸は「他国による武力行使と一体化した行動」で、武力行使に当たる、と結論づけた。

 だが、多国籍軍による武装勢力の掃討活動は、イラクの安定と安全への貢献を求めた2003年5月の国連安全保障理事会決議1483などを根拠としている。イラク政府も支持しており、正当な治安維持活動にほかならない。

 仮に掃討活動が武力行使だとしても、憲法上の問題はない。空自による多国籍軍兵の空輸は、武力行使と一体化しないからだ。

 内閣法制局は、「一体化」の有無を判断する基準として、地理的関係、密接性など4項目を挙げている。空自の輸送機から降り立った兵士がすぐに戦闘活動を開始するなら、一体化する恐れもあるだろうが、実態は全く違う。

 判決文は、バグダッドが「戦闘地域」に該当するとしている。

 だが、イラク特措法に基づく基本計画は、空自の活動地域をバグダッド空港に限定している。空港は、治安が保たれ、民間機も発着しており、「戦闘地域」とはほど遠い。空港が「戦闘地域」になれば、空自は活動を中止する。

 イラク空輸活動は、日本の国際平和活動の中核を担っている。空自隊員には、今回の判決に動じることなく、その重要な任務を着実に果たしてもらいたい。

(2008年4月18日01時23分 読売新聞)
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赤旗しんぶん主張

イラク派兵 違憲判断空自活動「9条に違反」名古屋高裁 米兵空輸は武力行使


 愛知県などの住民ら千百二十二人が自衛隊のイラク派兵は違憲だとして差し止めを求めた「自衛隊イラク派兵差止訴訟」(原告・池住義憲氏ほか)の控訴審判決が十七日、名古屋高裁であり、青山邦夫裁判長(退官のため高田健一裁判長が代読)は、米兵などを輸送する「航空自衛隊の空輸活動は憲法違反」「平和的生存権は、憲法上の法的権利」と認める画期的な判決を出しました。同様の訴訟は全国で起こされていますが、違憲判断は初めて。派兵差し止めと慰謝料請求の訴えは棄却しました。国側は勝訴のため上告できず、違憲判決は確定する見通し。


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 判決は、「現在のイラクでは、国際的な武力紛争が行われている」と明言し、現在行われている航空自衛隊の武装兵員空輸活動は、「他国による武力行使と一体化した行動」と指摘。「武力行使を禁止したイラク特措法二条二項、活動地域を非戦闘地域に限定した同条三項に違反し、かつ憲法九条一項に違反する活動を含んでいることが認められる」としました。

 また、憲法前文に盛り込まれている平和的生存権は「憲法上の法的な権利と認められるべきだ」として、「九条に違反する戦争の遂行等への加担・協力を強制されるような場合には、裁判所に救済を求めることができる」と明言しました。

 一方、違憲確認の請求は「確認の利益を欠く」として棄却。差し止め請求も退け、損害賠償請求も認めませんでしたが、「控訴人らは、それぞれの重い人生や経験等に裏打ちされた強い平和への信念や信条を有している」「そこに込められた切実な思いには、平和憲法下の日本国民として共感すべき部分が多く含まれている」と原告の訴えを評価しました。

 原告らは、二〇〇四年から七次にわたり三千人を超す住民が集団提訴。〇六年、名古屋地裁が原告の訴えを全面棄却したためこれを不服として控訴していました。

 原告弁護団によると、九条違反を認めたのは一九七三年の札幌地裁の長沼ナイキ基地訴訟判決以来三十五年ぶり。高裁では初といいます。

画期的な判決
訴訟の会・弁護団

 「自衛隊イラク派兵差止訴訟の会」と同弁護団は判決後、連名で「声明」を発表しました。

 「声明」は、イラク派兵を「違憲」と認めた同判決を「日本国憲法の根本原理である平和主義の意味を正確にとらえ、それを政府の行為に適用したもので、憲政史上最も優れた、画期的な判決である」と評価。その上で、声明は「日本政府がこの判決に従い、直ちにイラクからの自衛隊の撤退を行うことを強く求める」と主張しています。同時に「判決を力に、自衛隊のイラクからの撤退を求める新たな行動を開始する」と決意を表明しています。


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 自衛隊イラク派兵差し止め訴訟 札幌、仙台、宇都宮、東京、甲府、静岡、名古屋、京都、大阪、岡山、熊本の各地裁で提訴。原告は計五千七百人に上り、弁護団は八百人を超えます。最初の判決は二○○五年五月の東京地裁で、憲法判断に踏み込まないまま、違憲確認の訴えを却下しました。

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自衛隊のイラク派遣を違憲と認める! 弁護団声明   まもる

2008年04月18日 12時00分04秒 | 国内政治・経済・社会問題
★訴訟を応援に行った風仲間の池田さんから、早速弁護団の声明の詳細が届けられました。

☆行ってきました。 きょうの名古屋はうれし涙雨です。

 弁護団声明です。、順次打ち込みます。


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声明

第1 画期的な違憲判決である

2008年4月17日、名古屋高等裁判所民事第3部(青山邦夫裁判長、坪井宣幸裁判官、上杉英司裁判官)は、自衛隊のイラクへの派兵差し止めを求めた事件(名古屋高裁平成18年(ネ)第499号他)の判決において、「自衛隊の活動、特に航空自衛隊がイラクで現在行っている米兵等の輸送活動は、他国による武力行使と一体化したものであり。イラク特措法2条2項、同3項、かつ憲法9条1項に違反する」との判断を下した。
加えて、判決では、平和的生存権は全ての基本的人権の基礎にあってその享受を可能ならしめる基底的権利であるとし、単に憲法の基本的精神や理念を表明したにとどまるものではないとし、平和的生存権の具体的権利性を正面から認めた。
 判決は、理由中の判断で、自衛隊がイラクへ派兵された後の4年にわたって控訴人らが主張してきたイラク戦争の実態と自衛隊がイラク戦争の中でどのような役割を果たしているかを証拠を踏まえて詳細な認定を行い、委託特措法及び憲法9条との適合性を検討した。
その結果、正面から自衛隊のイラクでの活動が違憲であるとの司法判断を下したものである。
 この違憲判決は、日本国憲法制定以来、日本国憲法の根本原理である平和主義の意味を正確に捉え、それを政府の行為に適用したもので、憲政史上最も優れた、画期的な判決であると評価できる。 判決は、結論として控訴人の請求を退けたものの、原告らを始め日本国憲法の平和主義及び憲法9条の価値を信じ、司法に違憲の政府の行為の統制を求めた全ての人々にとって、極めて価値の高い実質的な勝訴判決と評価できるものである。

第2 自衛隊イラク派兵差し止め訴訟の意義

 1990年の湾岸戦争への自衛隊掃海艇派遣以来、自衛隊の海外活動が次々に拡大され、その間、全国各地で絶えることなく自衛隊の海外派兵が違憲であるとす訴えを市民は提起し続けてきた。しかし、裁判所は一貫して司法判断を避け、門前払いの判決を示し、憲法判断に踏み込もうとしなかった。
 しかし、今回のイラクへの自衛隊の派兵は、これまでの海外派兵とは質的に大きく異なるものであった。第一は、アメリカ、ブッシュ政権が引き起こしたイラク戦争が明らかに違法な侵略戦争であり、自衛隊のイラク派兵はその違法な侵略戦争に加担するものであったということである。第二は、自衛隊のイラク派兵は、日本国憲法下においてはじめて「戦闘地域」に自衛隊が展開し、米軍の武力行使と一体化する軍事活動を行ったことであり、これは日本がイラク戦争に実質的に参戦したことを意味しているという点である。この裁判は、このような自衛隊のイラク派兵が、日本国憲法9条に違反し、日本国憲法が全世界の国民に保障している平和的
生存権を侵害していると原告らが日本政府を相手に訴えたものである。

 日本政府は国会でもイラクで自衛隊が行っている活動の詳細を明らかにせず、実際には参戦と評価できる活動をしている事実を覆い隠し、本訴訟においても事実関係については全く認否すら行わない異常な態度を最後まで貫いた。国民には秘密の内に憲法違反の自衛隊は兵の既成事実を積み重ねようとする許しがたい態度である。
 私たちはこの裁判で、自衛隊の活動の実態を明らかにするとともに、日本政府が国民を欺いたままイラク戦争に参戦していることを主張、立証してきた。そしてまた、音声府が立法府にも国民にも情報を開示しないまま、米軍と海外で戦争をし続ける国作りを着々と進めている現実の危険性を繰り返し主張してきた。そして、今、行政府のこの暴走を食い止めるのは、憲法を守る最後の砦としての役割が課せられている司法府の責任であることを強く主張してきた。

第3 憲法と良心にしたがった歴史的判決

 本日の高裁民事3部の判決は、原告の主張を正面から受け止め、イラク派兵が持つ歴史的な問題点を正確に理解し、憲法を守る裁判所の役割から逃げることなく、憲法判断を行った。
 判決は、憲法9条の規範的意味を正確に示した上で、航空自衛隊が現実に行っている米兵の輸送活動を、憲法9条が禁止する「武力行使」と認定し、明らかに憲法に違反していると判断した。
 我が国の憲法訴訟は、違憲判断消極主義と評価されるような政府・国会の判断にたいする過剰な謙抑により、憲法の規範性が骨抜きにされ続け解釈改憲とすら評される事態を進めてきた。自衛隊の違憲性については、過去に長沼ナイキ基地訴訟第一審判決(札幌地裁昭48・9・7)で、自衛隊を違憲とした判断が唯一見られるだけで、それ以後、自衛隊及びその活動の違憲性を正面から判断した判決は一つとして見られない。ましてや、高裁段階の判断としては、本日の名古屋高裁民事第3部の判決が戦後唯一のものである。憲法と良心に従い、憲法を守り、平和と人権を守るという裁判所の役割を認識し、勇気をもって裁判官の職責を全うした名古屋高裁民事第3部の裁判官に敬意を表するものである。
 本判決は、我が国の憲法裁判史上、高く評価される歴史的判決として長く記憶されることになるであろう。
 イラクへの自衛隊派遣を違憲とした本判決は、現在、議論されている自衛隊の海外派兵を前提とする様々な活動について、憲法違反に該当しないかどうかについての慎重な審議を要求することになる。憲法との緊張関係を無視して違憲の既成事実を積み重ねるためにイラク特措法を制定し、国会での審議すら実質上無視するような政府の姿勢は厳しく断罪されなければならない。この判決を機に自衛隊の存在とその活動について憲法の立場から厳しくチェックがなされなければならない。
 また、この判決は、この裁判の原告となった3000名を越える市民(全国の同種訴訟に立ち上がった5000名を越える市民)が声を上げ続けた結果、生み出されたものである。
日本と世界の市民の平和を希求する思いがこの判決を生み出したのである。
 さらに、日本国憲法、とりわけ憲法9条がなければ出されることのない判決である。
この判決は、平和を希求する市民が日本の平和憲法の力を活かした結果生み出したものであ
る。
 日本国憲法の価値を示す画期的な判決として、この判決を平和を願う全ての市民とと
もに喜びたい。

第4 自衛隊はイラクからの撤兵を

 我が国は三権分立を統治原理とし、かつ法の支配を統治原理としている立憲民主主義国家である。三権の一つであり、かつ高等裁判所が下した司法判断は、法の支配の下では最大限
尊重されるべきである。行政府は、立憲民主主義国家の統治機関として、自衛隊のイラク派兵が違憲であると示したこの司法判断に従う憲政上の義務がある。

 私たちは、今日このときから、この違憲判決を力に、自衛隊のイラクからの撤退を求める新たな行動を開始するとともに、「政府の行為によって再び戦争の惨禍が起こることのないやうにすることを決意」し、「全世界の国民がひとしく恐怖と欠乏から免れ、平和のうちに生存する権利を有することを確認」した日本国憲法の理念を実現するための行動を続けるものである。

                           2008年4月17日
                      自衛隊イラク派兵差止訴訟の会
                      自衛隊イラク派兵差止訴訟弁護団

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裁判を支えた人々   落石

2008年04月18日 10時35分38秒 | 国内政治・経済・社会問題
知人が今回の判決の原告になっていました。
その人から聞いた話です。

裁判を広報する手紙を配布する運動に
たまたま一人の中国の留学生が参加してきました。
中国の留学生が参加したのは、
中国と日本の友好の原点は平和であることを
よく知っているからでしょう。

9条を守ることは戦争から身を遠ざける術。
「君子危うきに近寄らず」です。

「虎穴にいらずんば虎子を得ず」もあるけれど。
まあ戦争という虎穴は遠慮しましょう。

その留学生、交通事故で大怪我をしてしまいました。
ところが奇跡といおうか、何週間かの入院生活から帰ってきた時は、
まったく無傷。
今は元気で学校に戻っているそうです。
世の中には予期せぬことがあるものです。








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グランパスの得点パターン  文科系

2008年04月18日 05時20分41秒 | スポーツ
グランパス分析(その3)グランパスの得点パターン  文科系

今回は得点とその周辺を語りたい。

グランパスのシュート数は、他チームと比較してけっして多くはない。チーム総シュート数はJリーグ中位に過ぎないし、シュート数個人別ベスト10には、グラの選手は誰も入っていない。これを言い換えれば、個人たちが多少とも強引にシュートを打っていくといったチームではないということだ。

やや優れているのは、シュート数に対する決定率の高さである。この決定率が、鹿島、神戸に次いで第3位である。こうしてまず、「けっして多くはない機会を確実に決めていくチーム」ということができる。どういう戦術で、それを確実に決めていくのか?

ここで、第1回目で述べたチーム・クロス数ベスト1という長所が光ってくる。個人別クロス数Jリーグ・ベスト10に、2位竹内と9位阿部と、サイドバック2人が入っているのも目立つ。つまり「サイドからヨンセンめがけて正確なクロスを入れ、それをヨンセンが確実に起点にして、得点にしていくチーム」なのである。それはヨンセンの次の数字を見ても分かる。

ヨンセンは前々節までで得点3のほかに、アシスト(直接得点に結びついた最終パス)2も記録している。なお、この得点3は個人のリーグ・ベスト3位だが、1、2位は1人ずつしかいなくとも3位は10人もいるので、たいした数字ではない。むしろ、グランパスに得点2が3人もいるという特徴の方が大きいだろう。チーム総得点が11なのだから。マギヌン、杉本、小川である。
こうして、グランパスの得点は、リーグ1位のクロスをしっかりと正確に収めたヨンセンが、彼の周囲を走り回っている玉田などに良いボールを渡し、そこから皆で取り合うことになっていくというものである。個人がやみくもにシュートを打つのではなく、より良い位置に走った人間を見つけあって、得点にしあうということだ。これは強いチームの最大の特徴であろう。

なお、ピクシーがリーグの日本人FWで最も高く評価している玉田は1点しか取っていないし、アシストも少ない。「得点を陰でお膳立てする玉田」を評価しているのは間違いないところだろう。
ちなみにこの玉田、個人ドリブル数でただ1人リーグベスト10に入っている。リーグ7位なのである。敵ゴール前でボールを奪われずに持ち続けながら、良い得点機会、パターン、選手を探しているという玉田の姿が目に浮かぶのである。
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