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新聞により反応様々 空自のイラク派遣違憲判決

2008年04月18日 18時51分36秒 | 国内政治・経済・社会問題
大西さんから、社説を比較する記事が送られてきました。
転載します。   落石

    

朝日・中日社説は「派兵再考を求める」毎日は「政府に説明責任」
読売「兵輸送は武力行使ではない」産経「平和協力を否定するのか」

 名古屋高裁の航空自衛隊のイラク派遣(多国籍軍兵士や武器の輸送)は
憲法第九条に違反するという判決の報道は、
新聞によって様々な反応(ニュースの評価)の違いが見られた。
 
一番詳しく報道・解説したのは中日新聞で、
1面の4分の3のスペースを使って判決内容を紹介し、
「米兵2万人輸送か」と政府がなかなか明らかにしようとしない
クエート→イラクの空自の輸送内容について
独自の調査で実態を明らかにしていた。
また、「『人道』盾に実態隠す政府の国会答弁」と、
国民の知る権利に応えていない政府の情報公開の実態を批判していた。
2面と3面では判決が「恒久法制定の動きに与える影響や
インド洋での給油にも「飛び火」する可能性を指摘した。

 社説では「『派兵』への歯止めだ」とこの判決を評価し、
「小泉政権の『開戦支持』は正しかったか。
この延長上に自衛隊の派遣があった。
高裁が違憲とした以上、空自の輸送活動をこのまま継続することは難しく、
撤退も視野に入れた検討が必要ではないか。
与党の中には、自衛隊の海外派遣を恒久法化しようという動きがある。
しかし、九条が派遣でなく『派兵』への歯止めとなることを憲法判断は教えた。
イラク派遣に限らず、司法は自衛隊に関する憲法判断を避けてきた。
今回の踏み込んだ判決を受け止め、平和憲法の重さとともに、
世界の中にある日本の役割を考える機会としたい。」と述べている。
社会面の2頁を使って、原告側と小牧の航空自衛隊員の反応も伝えていた。


 朝日新聞も、1面のほぼ全体を使い、
「名古屋高裁『兵空輸は武力行使』空自イラク活動違憲」と伝え、
解説で「政府・自民党内には、政府自らが長年『憲法で禁じている』
と言ってきた『集団的自衛権の行使』について解釈を
変更しようという動きもある。
その憲法の中核の精神をないがしろにするかのような政府の姿勢を
厳しく断じたうえ、
9条をめぐって大きな風穴を開ける司法判断と言えよう」と指摘した。
2面では判決が政府の非戦闘地域のあいまいな解釈の矛盾を
指摘したことを説明した。

社説は「違憲とされた自衛隊派遣」で、
バグダッドへ向かう自衛隊機が何度も危険回避の行動をとったことや
米軍機が実際に被弾したことを指摘して、
「判決の認識は納得がいく」と述べ、
「与野党は(自衛隊の)撤退に向けてすぐにも真剣な論議をはじめるべきだ」と促している。


 毎日新聞は、中日や朝日に比べて判決の紹介は1面も4分の1くらいのスペースで、
「都道府県立高校入学金と授業料滞納は4億6千万円」
「メリル赤字1980億円」などが並んで報じられていた。
2面で「活動に影響ない」という政府の反応、
社会面で「原告団『歴史に残る』」、
「防衛省『士気に影響心配』」、
第二社会面で「海外活動に問題提起」という解説と、
「ごまかし突いた」「画期的」「『国の統治』に踏み込み勇み足」
という識者の賛否両論の談話を紹介していた。

社説は「あいまいな説明は許されない」で、
自衛隊派遣をめぐる国会での小泉首相の答弁を振り返って、
「判決は、極めてあいまいだった当時の首相発言を指弾する内容でもある。
政府は真摯に受け止め、活動地域が非戦闘地域であると首長するなら、
その根拠を国民にていねいに説明する責務がある。
政府は、輸送の具体的な内容についても国民に明らかにすべきである」
と判決を無視して派遣を継続するという政府の態度を批判していた。


 これに対して読売新聞は、1面で「イラク空自『一部違憲』 
戦闘地域へ輸送 派遣差し止めは退ける」
「政府派遣を継続」「傍論で違憲、問題判決」と、
判決の重みを軽く見るように読者を誘導する紙面になっていた。

そして社説では「兵輸送は武力行使ではない」として、
「多国籍軍による武力勢力の掃討活動は、イラクの安定と安全への貢献で、
正当な治安維持活動にほかならない。
仮に掃討活動が武力行使だとしても、
空自の輸送機を降り立った兵士がすぐに戦闘活動を開始するなら
(武力行使と)一体化する恐れもあるだろうが、
実態は違うので、憲法上の問題はない。
イラク空輸活動は、日本の国際平和活動の中核を担っている。
空自隊員には今回の判決に動じることなく、
その重要な任務を果たしてもらいたい。」と
判決を自分の解釈にそぐわない理論だと否定している。


 産経新聞は、18日に名古屋配達の新聞では、
1面で「名古屋高裁初の判断 『空自イラク活動違憲』 派遣差し止めは棄却」
と判決が出たことを簡単に紹介する500字余りの記事だけだった。

社説も「Jパワー株 中止勧告は妥当な判断だ」
「映画『靖国』 助成金の適否を検証せよ」
という東京・大阪版では前日の紙面に載った社説だった。
インターネットで調べると、東京・大阪では18日付けで
「空自派遣違憲判決 平和協力を否定するのか」を掲載していた。
その論旨は、「空自は現在、国連や多国籍軍の人員・物資を輸送している。
政府は『バグダッドはイラク特別措置法がうたう
非戦闘地域の要件を満たしている』と主張しており、
空自は当たり前の支援活動を行っているに過ぎない。
忘れてはならないのは空自の活動が
国連安保理による多国籍軍の駐留決議も踏まえていることだ。
これにより、日本はイラクをテロリストの温床にしないという
国際社会の決意を共有している。
憲法9条で禁止されている『武力による威嚇又は武力の行使』は、
侵略戦争を対象にしたものと解釈するのが有力だ。
国際平和活動を違憲という判断は日本が置かれている国際環境を考えれば、
理解に苦しむ。」として、
「政府は空自の活動を継続すると表明している。当然なことだと述べている。
 

なお、読売も産経も、判決が派遣の差し止めも慰謝料の請求も棄却しているのに、
傍論で違憲の判断を述べたのは怪しからんと主張している。
判決の結論が気に入らなければ、判決の内容を否定しがたいので、
判決の構成に異議を唱え、判決の持つ意味を否定しようというのであろうか。

                          (大西)

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