足立 真一のTriton Blog

株式投資の実践、グローバルな視点での投資戦略。
銘柄選択は、成長株、中・小型株、新興市場株にバイアスを置く。

さすがのNY市場も狼狽・・・腰を落ち着ける投資家たち

2015-08-25 06:56:38 | 投資戦略
中国ショックが与えたウォール街へのショックは強烈であった。
NY株は寄り付きから売り物が殺到し一時は瞬間で1,089ドル安と2010年のフラシュ・クラシュ暴落以来の下落になった。
これまで中国という異質な株式市場での出来事とみていた向きも、中国株ショックには身構えはじめた。
VIX(恐怖)指数は3.29ポイントまで急騰した。昨日の下落率は中国-9.28%、日本-4.61%、独-4.70%、英-4.69%、米-3.57%と世界中の株価を波乱のなかに巻き込んだ。
先月以来の中国株の変調には当局が矢継ぎ早の株価テコ入れ策を発動し、株価を下支えてきたが、これまでの対策はすべてが無に消えた。ウォールストリート・ジャーナル紙はNY市場が始まるまえに「引き続き政府が強力な株価対策を用意している」と報じたが、今回は発表がなかった。
市場の関心事は本日の東京市場に移る。あれだけ未曾有の株価対策を継続的に打ち出したのだから、中政府がこのまま事態を放置することは考えられない。問題はどんな奇策が準備されているかだが、これまでの場当りの政策だけでは効果がないことを肝に銘じて、「さすがは・・・」といわれる中国らしい政策が待たれる。

ビル・グロスと世界最大の債券ファンドを築いたモハメド・エラリアンは「中国経済の調整の初期段階だが、長期的には世界にはプラス」とみる。有名なエド・ヤルデニィは「米国の投資家には中国株の暴落は結果としてはプラス。腰をすえて米国株投資に専念できる」と語る。

また伝説的な投資家ビル・ミラーも久しぶりに姿を見せ「バブルがなくなった。腰を据えて投資を考えるとき」として、「向う12ヵ月で25%以上の投資収益率が期待できる」と語った。
財を築いてきた投資家は冷静でチャンス到来とみる。

動揺は無用・・・「投資は企業を買うこと」(ウォーレン・バフェット)

2015-08-20 06:25:33 | 投資戦略
本ブログの執筆を離れ休暇中に世界の株価は大きく下げ大波乱にはいった。

NY市場がS&P500は20日(木)-3.2%、21日(金)-3.2%と暴落し、ここ一週間で相場の環境は激変した。
材料は中国株の暴落、ブラジルに代表される中南米株の続落、石油の下落である。
世界経済の先行に不安感が高まり、ウォール街ではVIX(恐怖)指数は7月中旬の11から先週末は28.3まで急騰した。CNNMoneyの「Fear&Greed」(恐怖&貪欲)指数も5まで急落した。1年前は30であった。
この両指数をみると市場心理が先行きにいかに恐怖心を抱きはじめたかがわかる。
今回の強気相場は2009年3月に始まり6年間も続くという史上でも数少ない強気相場の転開であった。長い間、株式相場の成果で財を成してきた成功者は内心では「いつ調整局面にはっても当然」とみてきた。
この間、市場の構造にも大きな変化があった。
たとえばヘッジファンドの世界が大きく成長し2兆円以上を運用スーパースターたちが輩出した。40歳代~60歳代の運用者たちであり、相場を動かす構造は大きく変化してきている。
相場の神様といわれるウォーレン・バフェットは10年の一度の巨象狩りに全力をあげる。彼は相場の下落が手掛け始めた投資戦略には大きく味方すると内心ではほくそ笑んでいる。

米連銀が政策転換の時期を模索してきたが、今回の世界の相場の波乱で時期が多少は先に延びるだろう。
株価が大波乱するとき、いつも思い出すのは2001年の同時テロ時のピーター・リンチの「アメリカの将来を買おう」ということばだ。
またウォーレン・バフェットは2008年のリーマンショックには「株を買うのでなく、投資は企業を買うことを忘れないように」として肝に命じ大量の資金を動かし資産を膨らませるチャンスにした。当時はS&P500と日経平均の長期の先物のコールも仕入れた。
現在の相場の激変はこのような過去の激変に比べると問題にならないが、強調したいのは動揺は無用ということである。

NY株の季節性は消えず・・・訪日外人は暑さに影響されず

2015-08-20 06:23:16 | 投資戦略
上海株が落ち着きウォール街では米連銀の議事録(7月)が公表され一時は落ち着きを取り戻した引けにかけて再び売られ、NY株は2日間の続落。
議事録では足元のインフレ率が連銀の目標には到達しておらず、ハト派からは政策転換の反対の議論も出されていた。
しかしメンバーの意見は分かれ相場の反応は気迷い。9月の連銀FOMCまでは不透明な昨今の環境が続きそうである。
ひとつだけ明快なのは仮に政策転換が実行されても、相場の方向性には決定的な打撃を与えることはなく、やがては好調な景気の回復を背景に上昇トレンドを取り戻すということだ。
イエレン議長は株価が消費景気を左右する要因であるとみていることは、前任者のバーナンキ議長と同じである。
仮に9月に政策転換が実現した場合には相場の内容に変化が出て、ここ6年間のような一本調子の相場展開に変調がおこり、相場の内容に変化が出ることはたしかだ。これまでの循環買い現象はストップし、人気銘柄の物色の範囲は狭くなる。最大の関心事は米国の株式市場に大きな影響力をもたらせるエネルギー関連の動向である。
いずれにしても、年間で最悪のパフォーマンスという8月相場の経験則が今年は幅を利かすことだ。

東京市場もNY株の動きに左右される動きは不変である。昨日は中国株の波乱に大きな反応をした。

7月の訪日外国人の動向が政府から発表された。7月の実績は前月比で+51.0%と191万8000人になり、過去最高の2014年7月の127万人を大きく上回った。1~7月で累計1,000万人を突破し1,106万人になった。これまでの訪日プロモーションが引き続き大きな影響を与えた。トレンドは中国株の波乱に関係なく、今後も継続しそうである。中国からの旅行者も2倍と勢いは衰えない。8月もこの上昇トレンドが続いているようだ。
インバウンド関連株が最近、調整局面にはいっていたが、買い場にきた銘柄が多い。
代表的な化粧品のコーセ(4922)に注目。
またジャンルは異なるが医薬品の日医工(4541)の株価にも注目したい。

(お断り)週末の「トリトン・ブログ」は休みます。


ジェネリック医薬品関連の重要度

2015-08-19 06:38:31 | 投資戦略
中国株が8月7日以来の大幅安になりNY株も下落した。
上海株指数は6.2%暴落。特に新しい悪材料が出たわけでないが当局の新しい株価対策の発動がなく、市場では失望感が出る。中国景気の先行き不安も台頭。
ウォール街では7月の連銀の議事録の発表に関心が向き、9月の政策転換の有無が相場の方向性に影響を与える。

昨日の東京市場では医薬品株に物色人気が高まる。米国でのゼネリック関連株への人気再燃が材料。関心事はバイオ関連の新薬とジェネリック関連のM&Aである。
日本でも政府は5年以内に医療機関の投薬の80%をジェゼネリック医薬品に移行する方針を打ち出しており、関連株の人気化が続いている。
ジェゼネリック関連企業の研究開発が活発化し、製品の種類が急ピッチで増加している。既存の医薬品企業の売上経常利益率は10%内外だが、ジェネリック関連企業の利益率は取扱い品目の拡大と、既存医薬品の増産で大きく改善が進み高収益企業になってきた。この点を市場は評価し、日医工(4541)、東和薬品(4553)沢井製薬(4555)の人気が続く。各社ともジェネリック医薬品の種類を拡大するとともに、今後はがん関連領域への積極的な進出をはじめた。いわゆるバイオシミラー分野だが、大きな収益源が出てくる。昨今の関連株が材料として織り込みはじめた。
やがて東京市場でもこの分野での再編成(M&A)が出てくるだろう。ジェネリック医薬品株はヘルスケア関連での銘柄選択の重要な柱になってきた。




日米とも前向きに…個別物色人気

2015-08-18 06:08:09 | 投資戦略
NY株は反騰した。
景気指標では住宅関連が好調であったが、ほかには目立った動きはみられなかった。中国の為替政策の変更も一段落した。
ウォール街の関心事はヘッジファンド、機関投資家の大口売買のSECへの届け出だ。第2四半期末の最終報告の期限が先週末であった。
その分析は証券会社のストラティジストの大きな仕事である。昨日はソロス、バフェット、ビル・アックマン、ダン・ローブなどの売買に関心が集まったが、すでに公表されたバフェットの大物買収プレシジョン・キャスティング(PCP)が最大の話題で、そのほかには大きな話題はみられなかった。
ソロスのタイムワナー(TWC)への大量投資が注目されぐらい。比較的に静かな第2四半期であった。秋から年末にかけての米連銀の金融瀬策の変更のタイミングが投資家の最大の関心事になり、短期的には景気の動向と金利の動きを見極めたいというところ。
7月からはじまったギリシア問題は一段落し、中国景気の減速の為替の切り上げで成り行きをみるというムードに変わってきた。

先週来の東京市場の動きにも落ち着きがみられる。
昨日はヘルスケア関連が幅広く買われた。塩野義(4507)、日本新薬(4516)、参天製薬(4536)のほか好決算の医療機器関連である。
今週のトリトンスケア通信では好決算の押し目買い銘柄を中心に銘柄を取り上げた。
引き続き訪日外人のインバウンド関連の押し目にも注力して具体的な銘柄論を掲載した。