足立 真一のTriton Blog

株式投資の実践、グローバルな視点での投資戦略。
銘柄選択は、成長株、中・小型株、新興市場株にバイアスを置く。

ガイトナー財務長官の発言に注目

2010-07-26 05:53:22 | 株式

今週のNY株をみる上での注目すべき材料が出た。

日曜日のガイトナー米財務長官は昨日(25日)に米NBCに出演し「足元では、やがては企業の設備投資が始まり、雇用の増加も始まる兆しがある。先行きに勇気づけられる兆しが見えてきた」と語り、投資家にはグッドなメッセージを送った。

先週のバーナンキ連銀議長とは異なった印象を与える発言であった。先週の株式市場はバーナンキの“異常な不確実性”ということばに反応して一時は株価が下落した。

しかしその真意は“バーナンキ議長のいうように先行きには不確実性があるが、景気回復のトレンドはしっかりした足取り”というところのにあったのではないか。ガイトナー財務長官とは景気の現状と先行きを分析する情報は米連銀と共有しているはずである。

バーナンキ議長の発言に悲観視した市場に配慮したのがガイトナー財務長官の日曜日のTV番組での見解であった。

来週金曜日(86日)には7月の雇用統計の発表がある。現在の米国のダブルディップ論争に一つの判定を下す材料である。

世間が考えているよりも雇用情勢の見通しが明るくなってきたのではないかーとガイトナー財務長かの話からは伺わせる。

ガイトイナー財務長官は「米国の全土にわたって経営者は自信を回復してきたという認識をもっている」とダブルディップ論には組みしない。

今週、大手ヘッジファンドの投資戦略論を「トリトンスクエア通信」で取り上げたが、偶然であるのか、ガイトナー発言と同じ内容である。

新しい常識が生まれてそうだ。


来週の相場に期待

2010-07-24 09:00:47 | 株式

注目されたヨーロッパでの91銀行のストレステストの結果であったが、7行だけが資本注入が必要という結果で、ウォール街には安堵感が広がりNYダウ平均は大幅高になった。

10424.62と昨年末の10428.05にあと一歩に迫った。来週は昨年末の水準を抜くことが期待できる。

ストレステストは先行き景気がダブルディップに突入するという前提条件のもとに行われた。

昨年2月に米国で銀行大手19行を対象に行われたが、米国の場合は10行が不合格で資本増強が迫られ公的資金の注入が行われた。しかし、ここへきて注入を受けた銀行も政府に資金を返済し、政府が資本参加した分の売却も終幕にきた。

今回のヨーロッパでは問題行が意外に少ないという印象であった。米国発のサブプライム問題の影響を受けて銀行が不良資産の処理を行ったあとだけに、ギリシア問題の打撃の影響は世間が懸念したほどではなかった。

ユーロ圏での景気の鈍化が世界経済に大きな影を落とすとみる向きも多かったが、先に発表された独仏の景況感の意外な好調も加わって、投資家のセンチメントの悪化も一服するだろう。

昨日はウォール街ではGEが早々に20%の増配を発表するなど経営者の株式市場への配慮がうかがえる。

NYダウ、ナスダックは200日移動平均を上回った。来週はS&P500が上回るかどうか注目点である。

東京市場では決算発表が始まるが、好材料を評価する環境が整ってきた。


ヨーロッパから光

2010-07-23 07:45:14 | 株式

明るい日差しはヨーロッパから上がった。

前日、米上院でのバーナンキ議長の異常な不透明さ発言で相場は冷や水を浴びせられたが、ユーロ圏の景況感の回復を示す景気指標が発表になり、ヨーロッパ株が大きく反騰した。

これを好感して、寄り付き前にはNY株の先物が急騰した。

取引き開始後、3M,UPS,キャタビラーが好決算を発表し、ミクロの好調が相場に買いエネルギーをもたらした。いずれも米国経済の景況をしめす象徴的な大企業である。

企業業績はS&P500の既発表124社の増益率が+55%と、事前のアナリスト予想の+25%を大きく上回る。相場のセンチメントは今週初めの強気のバイアスに戻った。

この日は前日に引き続いてバーナンキ議長が下院で証言したが、景気の現状を精査しているが、必要ならいつでも出動すると語ったのに注目した。「出動の基準のバーが低くなった」とみる向きが増えてきた。このような見方をみても前日のバーナンキ発言を前向きにとらえる人気がこの日は優勢であった。それというのも企業業績の好調が背景にある。

バーナンキ議長がどう動くかは810日の連銀FOMCで答えが出る可能性が強い。

東京市場の投資家センチメントは海外に比べて悪い。アナリストをはじめ投資家が自信を失っている。

昨日、信越化学(4063)が大手企業ではトップバッターとして業績を発表した。内容は本日の日経新聞で見るとして、電話会議を聞いて感じたのは3ヵ月前よりは会社が先行きに自信を示したことだ。半導体シリコンに質問が集中したが、市場でいわれる弱気トーンの話はなかった。


バーナンキ議長の証言に失望

2010-07-22 07:55:28 | 株式

世界の投資家が注目していたバーナンキ議長の上院での昨日の公聴会であったが、結果は景気の鈍化(異常な先行きの不透明感)を認めただけで、相場にはポジティブな材料は全くなく、NY株は2時過ぎから下落をはじめ、大幅安に終わった。

もともとこの種の公聴会で新しい政策の発表を期待するのは無理ではあった。

彼の現状認識がダブルデイップ・リセッション入りはないというものであった。

ただ景気が一段と鈍化するようなら政策発動の準備はしており、選択肢としては次の3つをあげた。

    現在のゼロ金利政策をさらに長期にわたって継続する。出口政策の検討の否定。

    銀行の連銀への預託金への金利付与の廃止。

    これまで住宅関連証券をⅠ兆ドル買いつけたが、さらなる買いつけの再開。

ただこのような政策には「それぞれに欠点がある」と言及し、新しい政策発動も検討していることをにおわせた。

株式市場は相変わらず、せっかちである。

この日の証言の中で何らかの政策の発動を期待した。

バーナンキ議長は株価が景気に与える影響をグリーンスパン前議長より重要視している。それだけにオバマ政権とは密接な連携をとっている。

立会中の株価は大幅高になったが、引け後は落ち着きをみせている。


NY株、基調に変化の兆し

2010-07-21 08:08:27 | 株式

昨日のNY株に関してはミクロがマクロに勝った。

発表された住宅着工高や建築許可の数値がよくなかったが、アップルをはじめ好調な企業業績の発表が懸念材料に打ち勝った。

アップルの決算は売上+61%、純益+78%と絶好調であった。話題のiPadだけでなく、かつての主力商品であるPCMacも好調であった。今回の世界のハイテク製品の回復のカギはアップルにはじまりアップルに終わるという感じを強くする。

相場の下支えになったのは水曜日の連銀バーナンキ議長の上院での証言である。

難航の米金融改革法が議会を通過し、米国の中央銀行は金融機関の監督権限を拡大した。半面、金融システムの安定の責任も全面的に負うことになった。物価の安定だけでなく、雇用問題にも責任が一段と増した。

この日、市場で期待された金融政策の変更は、これまで銀行が中央銀行へ預託していた準備金への0.25%の金利を廃止し、準備金を一般への貸付に回すように促すことである。

株価の動きを注視するバーンナンキ議長だけに、何らかの動きをすることが期待はできる。

NY株の1日の動きをみていると変化が出ていることは昨日も感じさせた。1日のうちでの後半にかけての株価の強さである。6月下旬から今月初めまでの人気とは全く逆になった。

VIX(恐怖)指数も618日以来の23台にまで下落してきた(当時のNYダウは10450ドル)。