先程、ときおの愛読している読売新聞の基幹ネットの【 YOMIURI ONLINE 】の中で、
医療、健康関係の『yomiヨミドクター』を見ている中で、
『 お餅、パン、こんにゃく・・・窒息事故を防ぐために 』と題された見出しを見たりした。
私は東京の調布市の片隅みに住む年金生活の74歳の身であるが、
私たち夫婦は子供に恵まれなかったので、我が家は家内とたった2人だけの家庭である。
そして私たち夫婦は、お互いに厚生年金、そしてわずかながらの企業年金を頂だいた上、
程ほどの貯金を取り崩して、ささやかな年金生活を過ごしている。
こうした中、私は朝食、夕食の時、家内と共に頂いているが、
私は亡き母の遺伝を素直に受け継いだ為か、男の癖におしゃべりが好きで、何かと家内と談笑したりしている。
そして私は、食べながら家内に話したりしていると、一か月に一度ぐらい、
食物が食道へ入るべきものが気管に入ってしまうらしく、一分ぐらい、むせたり咳き込んだりすることがある。
こうした時、家内は『高齢者になると誤嚥(ごえん)になる人が多いから、気を付けてねぇ・・』
と私は言われたりしている。
私は2年前の頃までは、こうした体験がなく、戸惑いながら不安を秘めたりしている。
そして家内も、数か月に一度ぐらいあるから、私も気を付けるわ、と私に微苦笑しながら言ったりしてきた。
このような体験を秘めている私は、《・・お餅、パン、こんにゃく・・・窒息事故を防ぐために・・》、
どのようにすれば、と思いながら記事を精読してしまった・・。
この記事は、在宅訪問管理栄養士の塩野崎淳子さんの寄稿文であり、
【 YOMIURI ONLINE 】に2018年12月21日に配信されていた。
私は読売新聞を48年ばかり購読しているよしみに甘えて、
無断ながら記事を転載させて頂く。
《・・お餅、パン、こんにゃく・・・窒息事故を防ぐために
12月の訪問栄養指導では、自然と年末年始の食事の話題になります。
ある高齢女性は、「昔は数日かけて、おせち料理を作っていたけれど、
今では買ってきたおせちの具材を重箱に詰めるだけよ。楽になりました」と笑います。
毎年、介護家族や医療者から相談されるのは、「お餅の食べ方、食べさせ方」についてです。
☆高齢者の「不慮の事故死」1位は「窒息」
平成28年人口動態統計で80代以上の「不慮の事故の種類別にみた年齢別死亡数百分率」を見ると、
「不慮の窒息」が約30%と1位となっています。
2位は「転倒・転落」、3位は「不慮の溺死・溺水」と続きます。
「不慮の窒息」のうち、
「気道閉塞を生じた食物の誤えん」は14.6%、
その約半数は「食べ物がのどに詰まってしまった結果」です。
もう少し下の世代の65歳から79歳までの場合でも12.5%と、
窒息による死亡事故が、やはり多く起きていることがわかります。
お正月のお餅だけではなく、パンやこんにゃくなどを、
のどに詰まらせてしまう高齢者も多くいるのです。
毎年、お正月に「窒息で救急搬送」というニュースが流れるのを見て、
「お餅禁止令」を出したくなるご家族の気持ちも理解できます。
「喉に詰まるのが怖いから、しばらくお餅を食べていない」
という高齢の患者さんも少なくありません。
一方で「やっぱり、お正月くらいは、代々家に伝わってきた特別なお雑煮やあんこ餅を食べたい」
と本音を訴える方も多くいらっしゃいます。
☆「窒息を起こしやすい人」の特徴とは
さて、訪問栄養指導の際に、私が必ず行うことのひとつに、
「食べるところを観察する」があります。
食事の姿勢、食器の持ち方、食べるスピード、ひと口の量。
テレビを見ながら食べているのか、だれかと話しながら食べるのかも確認します。
ある高齢男性は、日本の高度経済成長期に建設業界で働いていました。
現役時代には、お昼を食べる時間がゆっくり取れず、昼食の時間は10数分。
何10年もの習慣の結果、すっかりそれが体に染みついてしまっていました。
時間は十分にある今でも、ひと口の量は多く、ズルズルとすするように食べ、
食べ物を飲み込む前に、次を口へ入れてしまいます。
食べるスピードも速く、時々むせこみながら、食べていたのです。
そのような人が、お餅などの「詰まりやすい物」を急いで食べたら、窒息のリスクは高くなります。
☆窒息を起こしやすい人の食べ方の特徴は、
- 丸のみ、かきこみ、すすり食べをする
- 早食い、大食い
- 食べながらしゃべる
また、食べ方以外の特徴もあります。
- のみ込む力が低下している
- 視力や認知力が低下している(ひと口の量が多すぎてしまう)
- 咀嚼(そしゃく)力が低下している(義歯の不適合や歯の欠損)
- 麻痺などが原因で口の中に食べ物が残りやすい
- 口の中が乾燥している
- 唾液が多すぎる(自分の唾液でむせてしまう)
- たくさんの種類の薬を服用している(口腔(こうくう)乾燥の副作用や嚥下(えんげ)機能に影響を与える薬もある)
- 自分で姿勢を調整できない
当てはまる点があれば、食べる環境や食べ方、
薬の種類や服用方法などを変えることで、窒息事故のリスクを下げられるかもしれません。
☆「それでもお餅を食べたい」をかなえるための工夫
仙台市内のグループホームに暮らす高齢男性Aさんの願いは、
ただ一つ、「お餅を食べたい」でした。
「部屋の窓枠にお餅を並べ、眺めてから、ひとつずつ食べたい」というほど、
お餅が大好きなAさんでしたが、多発性脳梗塞の既往歴があり、
言語聴覚士の評価によると、中等度の飲み込みの障害があります。
グループホームでは、誤えんのリスクが高いために、「お餅禁止」になっていましたが、
男性は「どうしても食べたい」と訴え続けます。
「どうすれば、より安全にお餅を食べられるか」を皆で考えることになりました。
私は、切り餅を8分の1にカットし、ひとつひとつが、くっつかないように
注意しながら、柔らかくゆでました。
そして、表面の粘り気を消すため、「レトルト汁粉」にとろみ剤を加え、
滑らかな「こしあんだれ」をたっぷりとかけてみました。
ひと口ほどの大きさのあんこ餅は、さらに箸で半分に切りました。
Aさんの首の角度などに注意しながら、スプーンで食事介助をして食べてもらうと、
「もぐもぐ・・・ごくん」とスムーズに飲み込むことができたのです。
Aさんは、たちまち笑顔になり、「ああ・・・餅はやっぱり、うんめえ~なあ~」とつぶやきました。
お餅の周りに、とろみのあんをまとわせることで、
口や喉の粘膜に張り付きやすい「付着性」を低下させることができます。
これは、飲み込みの障害がある方の料理を作る際のテクニックのひとつ。
お雑煮などの汁ものでも、「つゆ」に片栗粉などでとろみをつけるだけで、とても飲み込みやすくなります。
その後、Aさんは、住み慣れたグループホームで穏やかに暮らし、生涯を終えました。
亡くなる前に、大好きなお餅を食べることができて、本当に良かったと思います。
「食べたらダメ」と言うのは簡単ですが、
「食べたい」の気持ちを大切にできるサポートをしていきたいと思った出来事でした。
お餅を見るたびに、Aさんの笑顔が思い出されます。
参考文献 「誤嚥を防ぐポジショニングと食事ケア 食事のはじめからおわりまで」迫田綾子著 三輪書店2016年・・》